玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*4週目の変調

2013年06月22日 | 捨て猫の独り言

 一昨日の夏至の日の出は4:25で日の入りは19:00だった。これからは明るい時間がどんどん短くなってゆくばかりだ。昨年の冬至は日の出が6:47で日の入りが16:32だった。夏至の日と冬至の日の昼の時間の差は3時間50分という計算になる。オープンギャラリーの鈴木さんによると、この梅雨の時期に玉川上水にお勧めの光景が出現するという。東西に流れる玉川上水の緑道に東北の方向から日の出の光が射し込む。日の出の瞬間に木立はシルエットになり別世界の光景になるという。夜中に雨が上がり、快晴の朝を迎えたときなどは朝の光と朝靄でさらに一段とすばらしい光景になるという。しかしこの早朝散歩はまだ実現できずにいる。

 孫娘は短期入学の4週目を迎えた。今週は水曜日に学校を休ませた。毛虫にかぶれて通院のため休んで以来2回目のことである。火曜日の給食のあとに担任の先生から電話があった。こんな場合に備えて近頃はできるだけ外出をひかえるようにしている。「すみれちゃんが迎えに来てほしいと言っています。たんなる甘えのようですがよろしく」昨日は友だちと一緒に帰宅しそのあと中央公園で遅くまで遊んでいた。その友だちはおけいこ事で今日は遊べないという。この日は給食に嫌いな魚が出てほとんど食べずに残したともいう。さらに悪いことには夕食のあと机の角で右わき腹を強打した。一瞬息が詰まったようだ。しばらくして「これでは明日の学校は無理」と言いながら寝入った。

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 翌日の登校前にアメリカの両親から久しぶりにスカイプがあった。最初は学校のプリントなどをひろげて頑張っているよと報告させようとしたが、すぐに泣きだして止まらない。そのうち6年生が迎えに来ても断固たる決心を変えようとはしなかった。6年生が持ち帰ってくれたれんらくノートには「学校でできることがあれば改善していきます。今考えているのは席を私の近くにしようかと思っています。すみれちゃんに聞いてみてください」とあった。この日の午前中は祖母のエアロビクス教室に付き添って体育館で過ごした。午後は5才と3才の男の子と水遊びや自転車遊びで駆け回っていた。そして右わき腹をパンパンとたたいて「もうだいじょうぶ」と汗ばんだ顔でなにごともなかったように言う。

 翌日の木曜日に給食のあと電話があった。「おともだちと一緒に帰りたくないと言っています。お迎えをお願いします」この日も小雨が降り続いていた。これはよくない傾向である。はたしてこの先どうなるのだろうかと不安になった。「席は変えなくていいと言ってきたのでそのままです。変えたくなったら教えてと伝えてあります」とノートにあった。翌日のノートでこちらからつぎのようにお願いした。「これまでアメリカでは英語中心でしたから、日本語で考えて話すのに困難を来しているのでしょう。一人で頑張っていることを含めてクラスの皆さんに伝えていただけるとありがたいです」返信に「学校では一人で頑張っていることを話すと皆びっくりしていました。本当にえらいと思います。引き続き見守っていこうと思います」とあった。金曜日の午後に小雨の中を私が久しぶりの外出から帰ると、5人の女の子が家の中を走り回っていた。何という騒ぎだ。悪い予測はしばらく遠ざかり、これで一つの山を越したと思った。

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*3週目のれんらく帳

2013年06月17日 | 捨て猫の独り言

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 小学一年生の体験入学も3週目が終わった。残りはあと5週である。柔軟な子供の適応能力に驚かされる。つらさや悲しみをいつまでも訴えることをしない。あるいは日本語で訴えることができないので諦めているのかもしれない。まず現在の彼女は ひらがな の読み書きを越えねばならない大きな壁として感じているはずだ。こちらもさりげなく生活の中にひらがなの読みを取り入れて習得に協力する。ある日雷に打たれでもしたかのように突然ひらがなに開眼する時が訪れることを期待する。

 6月11日は入梅でその週はこよみ通り雨の日が続いた。それで子供たちが待ち望んでいたプールは2日とも中止になった。今週は気温も上昇してプールで泳げるだろう。今朝の月曜の食卓で「今日わたし学校へ行くの?」と言われてびっくりした。曜日を勘違いしていただけだと分かって安心する。ここ3週間で私の体重が2キロ減った。これも二か月も孫と暮らせることの代償だろう。「わたしなにすればいい?」という孫の言葉が新鮮に聞こえる。人は何のために生きているのと問うているかのように聞こえるからだ。

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 3週目のれんらくノートを記録しておこう。●6月10日月曜の記事「金曜の午後はクラスメートのAさんの母親から連絡があり初めてAさんの家に遊びに行きました。教科書は毎日持ち帰ることを理解したようです」返信「少しずつ慣れてきたようでよかったです」●火曜の記事「家に帰ると近所の5歳の男の子の自転車を乗り回しています。通行人や車とぶつかりそうになって危なかったと注意がありました。まとめていただいたこれまでのひらがなのプリントをだましだまし活用しています」返信「お子さんの新しいことを覚える能力はすごいですね。学校では普通に過ごしています」●水曜の記事「テレビの『アイ・カーリー』や『トムとジェリー』という番組を録画して英語版で見ています。Eテレキッズもよく見ます」返信「国語のノートに板書を写す作業がとてもはやくなりました。お母さんと離れているのにしっかり育っていてパワーを感じます」

 週の真ん中の水曜日は4校時で掃除がないので下校は13:15と早い。●木曜の記事「いつも駅まで一緒に下校してくれるお友だちがいます。相談して今日から下校のお迎えを止めることにしました」返信「下校ができるようになってすごいですね。学校で『たからもの』を書くことになりました。すみれちゃんのたからものを教えてください」●金曜の記事「アメリカでは移動の時はいつも子供は車の後部座席です。電車はめずらしく電車に乗ることを喜びます。IC乗車券を買ってもらい紐のついたケースにパスモを入れて首からぶらさげるようにしました。たからものはパスモです」返信「7月27日の納涼祭の盆踊りを授業で練習する予定です。すみれちゃんの帰国はいつですか。お祭りに参加できるといいですね」(登校するいつもの二人)

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*毛虫とスズメバチ

2013年06月08日 | 捨て猫の独り言

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 孫娘は祖母が大きなハサミでツゲの生垣を剪定する作業を見ていた。私もやりたいと小さなハサミでささやかに葉を切り始めた。じっとしておれない性分だ。生垣に沿って植えられているハナミズキの葉の茂みの中に、なにやら異様なものを見つけたようだ。道路に面して2mぐらいの高さのところに一輪ざしの花瓶かまたは徳利を逆さにしたような物体が見える。近所の人たちも集まってきて蜂の巣だろうと騒ぎになった。スズメバチの巣をパソコンで検索すると初期の巣であることが判明した。市役所に電話をすると5時をまわっているので明日の8時半にあらためて連絡してほしいという。

 あくる日の朝のことである。孫娘はかゆいかゆいと半ベソをかきながら起きてきた。首から胸にかけて、脊中と上半身にぽつぽつと赤い斑点ができている。ひざの裏も赤くなっている。とりあえずかきむしらないように三角布やハンカチを使って患部を氷で冷やすことにした。原因がはっきりしない。今日は学校よりも病院だ。近くの子育て中の母親に行きつけの皮膚科を紹介してもらった。どたばたの最中に先にアメリカに帰国した母親からスカイプが入った。画面にはママと妹がにこにこ顔で並んで写し出されている。下向きの孫娘はしばらくの沈黙のあとで大粒の涙を流した。「わたしママが欲しい!え~ん~え~ん」

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 市役所の環境保全課に電話が通じた。スズメバチの巣の駆除は2時から4時の間になるという。1年生の孫娘を迎えにきた監視役の6年生の男の子に今日はまず病院へ行くことを話し、れんらくノートを託した。3つ目の駅で電車を降りて隣町の皮膚科の受付窓口に着いたのは9時を少し過ぎていた。診察開始は10時で、あなたは10番目の受付だから診察は10時半以降になるという。1時間余りの待ち時間をどう過ごすか。近くを流れている野火止用水を散策することにした。用水には大きなコイや小さなフナが泳いでいた。用水の草刈りや樹木の剪定などの作業をする人たちの姿もある。こんな時刻にこんな場所を孫娘と歩いていることが不思議に思えた。自販機で手に入れた冷たい飲み物をそれぞれ飲んだ。

 アジサイがところどころに咲いていた。アジサイを覚えてもらおうと二度三度「これはアジサイだよ」とくりかえす。病院に戻ると待合室のすべての椅子には人が腰かけせまい出入り口に立っている人もいた。診察室で医者は即座にツバキに発生するチャドクガ(毛虫)によるものと断定した。チャドクガは毒針毛を持ちその風下にいるだけで被害にあうことがあるという。評判の医者はその場で孫娘の患部に塗り薬を擦り込み、体重を測定して塗り薬3本と飲み薬の5日分を処方した。たしかに我家ではつい先日にサザンカの毛虫に私が殺虫剤をかけポトリポトリと落ちる毛虫を子供たちが見ていた。無知がなせる業だったと反省した。病院から戻りいくらか明るい気分で孫娘と私は窓越しにスズメバチの駆除を見学した。報告によると女王蜂は出かけていたらしく巣の中は空っぽだったという。(上はゴーヤ下はキンカンの実とスズメバチの巣)

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*れんらくノート

2013年06月03日 | 捨て猫の独り言

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 一時帰国した孫娘たちは週明けに市役所に出向いた。するとその場で成田空港に到着した日付で転入が受理され住民票や国民健康保険証が交付された。なにやら戸惑いを感じるが月額1万円の児童手当も支給されるという。そして日本に到着して3日目から孫娘の小学一年生としての体験入学が始まった。予想以上にすべてが急テンポで展開していく。近くに住む6年生の男の子は孫娘と顔なじみである。学校長は孫娘の登校時の監視役を勤めるようこの6年生に声をかけてくれた。学校長は毎朝学校正門ではなく途中の線路の踏切のところで登校する児童に声をかけている。

 初日の朝は孫娘と母親に私も同行した。踏切のところで私は学校長に初対面の挨拶をして先に学校に行き校長室で待った。しばらくして戻った学校長から担任の紹介がありそのまま全員揃って2階の教室に向う。列の最後の2人の女の子にかこまれた変則の3人並びの机に孫娘は案内された。いつの間にか校長先生は姿を消していた。担任の女の先生は孫娘の名前を黒板に大きく書き、横に孫娘を立たせて「よろしくお願いします」と二人で挨拶し、それに応えて児童たちも同じ言葉を大きく唱和した。それを後の出入り口で見届けていた私がさらに同じ言葉を大きな声で発すると児童たちがいっせいに振り返り、私と母親はその場を退散した。

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 しばらくの間は登下校時には大人が付き添うことにしている。6年生は授業が1コマ多いので基本的に下校時の監視役は不可能である。私には多くの出番があることを覚悟せねばならない。れんらくノートの記入も私に任された。初日の記事「昨日の夕方はテレビを見ながら寝てしまい、夕食も取らずにそのまま朝まで寝ていました。今朝は4時半に起きて元気にしています。給食の献立表が手に入ればありがたいです」 返信「5月の献立表を入れておきました。今後ともよろしくお願いします」 給食費は一食が226円だという。創立140周年を記念して保護者から「思い出の給食」を募集中だ。その第一弾として6月5日に主食に「揚げパン」が登場する。おかずはポークシチューとコーンサラダ という。

 2日目の記事「こちらのかん違いで下校の出迎えが遅れたところ1時半に一人で帰ってきました。昨日は昼寝を3時間して9時には寝て朝は5時前に起きました。本人にとって貴重な体験が続きます。先生方には多大なご負担をおかけしますがよろしくお願いします」 返信「昨日はさよならの後すぐに出ていってしまったので確認しないまま下校させてしまいました。お気づきのことがありましたら教えていただけると助かります」 3日目の記事「昨日はママが迎えに行きました。いつものお友達二人と手をつないで小学校の通りを猛スピードで下校したようです。動きが急でハラハラすることがあります」 返信「学校で使用する①はさみ②セロハンテープ(ちいさいもの)を記名してもたせてください。用意できしだいで大丈夫です」(写真は5月19日渋谷にて)

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