玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*地域社会への愛着

2011年04月25日 | 捨て猫の独り言

 私が初めて参加した公民館の囲碁のリーグ戦が終了した。4か月の期間中に大震災の影響で2回の休会があった。参加者26名の成績が集計され、表彰式のあとは懇談会があった。優勝者は22勝12敗で、私は11勝16敗と負け越して勝率順位は24位だった。つぎの4か月にわたるシリーズでは必ず巻き返しを図るつもりだ。近くの緑道を歩くと「穀雨」の節気にフデリンドウやチゴユリが可憐な姿をみせている。キンランが見頃になるのは、今年は例年より遅れて大型連休の頃になるという。5月6日は「立夏」である。

 つい最近のことだが、ある本で湯布院の観光戦略を称える記事を読み、ラジオでオーストリアが反原発の国であることを知った。温泉と原発、そして全く異なる場所での二つの事柄に人間の叡智というべきか、持続する意志というか、なにやら共通するものを私は感じた。勇気づけられるものがあると思った。そして2年以上も前に初めて訪れた湯布院で青空にくっきりと浮かぶ由布岳を仰ぎ見たことを思い出した。また100人のウィーン少年合唱団が大震災のチャリティーコンサートで「赤とんぼ」を日本語で歌ったとラジオは伝えていた。

 1955年由布院町と湯平村が合併して湯布院町となった。湯布院町は2005年に挟間町・庄内町と合併し由布市となっている。70年代に溝口薫平(玉の湯)、中谷健太郎(亀の別荘)の宿の主人を中心に「人」が考えたのは「何もない」ことをテコにすることだった。映画館がないから映画祭を催し、ホールがないから音楽祭を催しつぎつぎにイベントを作る。一方で「何もないこと」を保つ努力もした。芸者衆、ネオン街といった温泉につきものの歓楽装置を排した。「手作りともてなし」「洗練された田舎っぽさ」で大規模・画一化、通俗化した温泉に飽きた客を集めるようになった。その頃1979年に一村一品運動を提唱したのは大分県知事の平松守彦だった。

 オーストリアには核の番人といわれる IAEA の本部が置かれているが原発は1つもない。1978年の国民投票ですでに完成していた原発の稼働開始が否決されたという。先頃オーストリアを訪れたスイス大統領が脱原発を示唆したのに対して、オーストリアの大統領は性急な原発廃止には慎重を期すべきだとして、現在稼働中の原発の安全確認が優先課題だと応じている。そしてオーストリア政府は自国内に原発を持たないギリシャ、ポルトガル、アイルランド、キプロス、マルタに参加を働きかけ、欧州の全ての原発に対してストレステストを実施し不合格となった原発は廃止されなくてはならないことを目指すEUレベルでの会議を提唱している。 

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*杉花粉と黄砂

2011年04月18日 | 捨て猫の独り言

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 毎年その色合いを楽しみにしている「柿の若葉」が姿をみせて日毎に成長を見せている。ドウダンツツジやニシキギは点々と小さな葉をぎっしり芽吹き始めた。ハナミズキは二、三日前に精一杯に花開いた。いつの間にか「フキの葉」が蕗の薹を収穫した跡地一面を敷き詰めるように茂り始めた。芽吹きの季節の中でサルスベリだけはいまだに何の萌しも見せていない。

 春が埃っぽい季節だと改めて私は感じている。車のフロントガラス、ベランダの手すりなどに、短期間のうちにべっとりと埃が積み重なってしまう。私には毎日雑巾がけするほどの根気や心がけの持ち合わせがない。一週間に一回ぐらいの雑巾がけができればいい方だ。今の節気である「清明」とは万物がすがすがしく明るく美しいころという意味だろうが実態と大いにかけ離れていると思う。

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 日本ではスギ花粉の飛散や黄砂現象は春に起こることが多い。現在日本人の四人に一人は花粉症だという。私は朝の起きてすぐの時に、くしゃみ鼻水に悩まされているが、これなど軽症の方だろう。鬱陶しいから外出時にマスクはしていない。病は気からというので「気のせいじゃないの?」と自分に問いかけて玄関を出る。この暗示療法は最近始めたことなのでしばらくは続けるつもりだ。

 福島原発の事故に伴う放射能雨に警戒を強める韓国で、中国から飛来した黄砂から核分裂によって生成される放射性物質セシウムが含まれていたとして健康被害を不安視する声が高まっているという。黄砂に関連して今朝の新聞コラムでつぎのことを知った。91年以来「日本砂漠緑化実践協会」がボランティアを募って中国で植林を進めている。未来のために砂漠に木を植える。それは黄砂による日本の環境汚染防止にも役立つ。砂漠に苗木を植える「緑の協力隊」の参加者には東北地方の人も多い。3月以降やむなく派遣を断念したグループもある。困難な状況の中でも活動を継続するために中国に渡る日本人がいる。

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*二十四節気の清明

2011年04月11日 | 玉川上水の四季

 予報がはずれて期待した雨は降らなかった。緑道は土ほこりのために行き交う人達の足の運びも鈍くなりがちだ。庭にはボケ、カイドウ、ヤマブキが咲き、隣家にはミツバツツジがほんのり紅く咲いている。ムクドリの餌となっていた畑のチンゲン菜も茎が伸びて黄色の花をつけ始めヤマブキと競い合う。そういえば傍らに咲くスイセンも淡い黄色だ。この時期の緑道は西洋タンポポとヤマブキの黄色が鮮やかに目に飛び込んでくる。

 名勝小金井桜は8代将軍徳川吉宗の時代に玉川上水沿いにヤマザクラが植栽されたのが始まりという。植栽後70年も経つと立派な花見の名所となり、江戸からも周辺の村からも大勢の花見客が訪れたという。平成5年の東京都教育委員会の調査によると約6キロの区間の両岸に1120本の桜が確認され、その約6割をヤマザクラが占めているという。今回の清明のミニ観察会は小金井桜の区間途中にある茜屋橋までの往復6キロの遠出となった。

 ヤマザクラを見物しながら南側の右岸を下流に向かって歩く。折り返し点の茜屋橋の近くでは柵の中にイチリンソウが今を盛りに群れ咲いていた。ここまで来る途中に何度も見かけたニリンソウウに比べて予想以上に大きな花弁である。まさに今しか見られない鮮やかなイチリンソウだと感得する。いつものことだが案内者の鈴木さんに感謝だ。玉川上水をこよなく愛する鈴木さんは上水沿いには思い出の場所が数多くある。カワセミやエナガなどの撮影に成功した場所や、自分がほうり投げた種が大きく育ったクルミの木など思い出や痕跡が数多い。小金井公園の桜を見物に行くと思われる人とすれ違う。人々は頭上にある緑道のヤマザクラにはあまり目をくれようとしない。

 立春に始まり雨水、啓蟄、春分、清明と「玉川上水の四季」の今年度のパンフレットはこれで5冊目になった。清明のパンフの「樹木のおはなし」にはつぎのような箇所がある。「清明の節気も終わろうとする頃に、緑道にオリーブイエローの絨毯が敷かれます。朝の散歩は絨毯の上を貴族になった気分で緑の御殿を歩くのです。この絨毯をよく見ると、コナラやクヌギの花穂が落ちたもので、すべてが雄花で、咲き終えた順に落下するのです。短い花の命が作り出す自然の作品は心休まる安らぎを与えてくれます。旧小川水衛所より下流は小金井桜と呼ばれるヤマザクラの名所で雑木林のクヌギやコナラはありません。縞模様の絨毯の光景に出合えるのは旧小川水衛所より上流になります」

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*MLBの開幕

2011年04月04日 | 捨て猫の独り言

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 私の住む地域では震災後に公民館などの公共施設はすべて閉鎖されていた。約3時間の計画停電はこれまで3月中は16日、17日、18日、22日の4日間実施されただけである。ようやく4月1日の金曜日から公共施設は夜間を除き利用可能とされた。最近では日用品の米や牛乳あるいはトイレットペーパーの棚が空っぽになることも少なくなった。ただ主力産地の茨木が被災した関係で納豆が品薄気味のようだ。ニュース番組はいつも福島第一原発で始まる。

 宮城県松島湾の震災後の映像を見た。私はまだ芭蕉の奥の細道にもあるこの景勝地を訪れたことがない。この松島湾の二重にも三重にも重なる島々は、押し寄せる大津波に対して緩衝帯の役割を果したらしい。そのために町の被害は軽減されたという。ある湾では海底が深さ10メートルもえぐられたという調査結果が出て港湾施設の点検の必要性が提言されている。また他の湾では行方不明者捜索者のため潜水してみると泥による視界不良の中、おだやかに見える海面のその下には多くの家屋や車などのおびただしい残骸が確認されているという。

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 4月1日のNHKのBSテレビは午前9時からMLBのジャイアンツ対ドジャース戦を中継した。各球場では開幕のセレモニーに先立ち日本の大震災の犠牲者に黙とうが捧げられたという。私は午後からは甲子園球場の準々決勝の試合を見なければならなかった。故郷のチームである鹿実が神奈川の東海大相模と対戦する。残念ながらひいきの鹿実は敗れ去った。しかし身長167センチの鹿実の主戦投手は私の記憶にながく残るだろう。実はこの日の午後は久しぶりに再開された公民館の囲碁の会があった。迷った末に野球観戦のため欠席したのだった。

 翌2日にはMLBのアメリカンリーグが開幕した。まず午前8時からカナダのトロントでのツインズ対ブルージェイズ戦が中継された。昨年まで日本の千葉ロッテでプレーしていた西岡がツインズの2番セカンドでデビューした。11時からのテレビ中継は西海岸カリフォルニア州オークランドでのマリナーズ対アスレチックス戦である。イチローと松井秀喜が出場して、イチローは2安打と快調な滑り出しだった。球場には「がんばろう、日本!〇〇寿司」という表示の広告も見えていて、それは長時間テレビ画面に写し出されていた。私が応援するレッドソックスは3連敗のスタートである。今季はど真ん中の速球で勝負したいとコメントしたレッドソックスの松坂に注目している。(写真は三鷹駅近く:上は太宰治ゆかりの玉鹿石、下は山本有三記念館)

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