二十四節気のひとつ芒種は6月6日から20日である。昨日の日曜日のギャラリー友の会の冒頭で、鈴木さんがやおら取り出したのは一本の麦の穂であった。イネ科植物のこの針のような毛が「のぎ=芒」というのだと教えてくれた。辞書によれば芒種とは「のぎ」のある植物とあった。麦の熟する初夏の頃が「麦秋」であることを知ったのはちょうど昨年の今頃だった。
ムクドリは人前でも平気で地面に降り立って小走りする姿をよく見かける。よく知られた鳥の一つだろう。玉川上水の林から百メートルも離れていない民家の2階の戸袋でムクドリが子育てをしていた。どうやらその家は空き家である。空き家だから2階の戸は立てられていて戸袋に戸はない。手を差し込む隙間からムクドリの親鳥が出入りしているのを目撃した。頻繁に餌を運び入れ糞を運び出している。その隣の家の2階の戸袋の手の差し込み口がビニールテープらしきもので塞がれていたのがほほえましい。
少し歩くと近くには野草保護区がある。そこではまもなく多数の白色の小花を尻尾状につけるオカトラノオを見ることができるという。今回の写真展示のテーマは「オカトラノオと蝶」であった。各種の蝶がオカトラノオにとりついている12枚の写真が展示されている。その他アジサイ、ホタルブクロ、ツユクサ、ネジバナがこの時期のものだ。そのうち梅雨の雨をたっぷり吸いあげたクヌギからは樹液が分泌され蝶、蛾、蜂、甲虫が集まってくる。まだクヌギの木肌は乾いていた。
「どくだみや真昼の闇に白十字」の句の通り日陰に多いどくだみは白色で花弁状のものが4個ある。悪臭がするというが私にはむしろ好ましい方の香りだ。これから「どくだみのヤエ」を見に行くといわれて面喰った。ヤエとは何か。それはこれまでの4枚の白い花弁状のものとはまるで異なるどくだみだった。どくだみの変種だろう白い小さな花弁状のものがぎっしり重なっている。なるほど八重桜のヤエと納得した。頻繁に私が渡る鎌倉橋のたもとににそれはあった。観察力の相違である。何であれ自分自身で気付くことのいかに少ないかを思い知るばかりだ。
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