玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*立冬

2013年11月12日 | 玉川上水の四季

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 残念なことにあれから三ヶ月にもなろうとしているのに新堀用水の流れは復活していない。この秋は庭の柿の木がたくさんの実をつけた。10日ほどの旅に出かける前に色付いた柿を収穫しておくことにした。それを新聞紙をひろげて廊下にならべて出かけた。帰宅してみるとその一部は完熟して果汁が溶けだして新聞紙をぬらしていた。つぎつぎに熟していくトロトロ柿は食するのが追いつかないほどだ。今年の秋の異変はあと一つある。上水の緑道に落下するドングリの数が多いことだ。緑道は避けて通れないほどドングリで敷きつめられている。

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 オープンギャラリー立冬の東側展示は「玉川上水の蝶~初冬に舞う」である。鈴木さんの関心事として最近は蝶が大きな割合を占めているようだ。冬でも蝶が飛んでいますよと鈴木さんは教えてくれる。蝶たちの多くは蛹になって冬を越すが、蝶の冬の越し方は成虫越冬、幼虫越冬、蛹、卵に分かれるという。成虫越冬するものとしてヒメアカタテハ、アカタテハ、キタキチョウ、テングチョウ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミの写真が並んでいる。蜜源の花はキク、ツワブキになる。暖かい日の午前中に上水の南側の右岸を歩くと蝶に出会えるという。初冬の頃は活動しているが12月の大雪の頃には休眠に入り葉の陰などでじっと春を待つという。

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 これらの蝶は春を迎えると休眠から目覚め、3月の啓蟄になると活動が始まる。食草が新芽を出すのを待って卵を産みつけ、厳しい冬を越した蝶は大切な子孫を残して一生を終える。蝶の命は普通は2週間と言われているが、このように成虫越冬する蝶も存在する。つぎに幼虫越冬するものとしてウラナミシジミ、モンキチョウ、ツマグロヒョウモン、ヒメジャノメ、ベニシジミ、ヤマトシジミの写真が並ぶ。これらの蝶は初冬の頃までに産卵を済ませてその一生が終わる。食草に産み付けられた卵は孵化して幼虫で冬を越し、春を迎え蛹になり羽化するという。そういえば昨年の冬に鈴木さんがギシギシという野草の葉の裏にベニシジミの幼虫を探し出して私達に見せてくれたことを思い出す。

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 西側展示の鈴木さんの立冬の詩はつぎの通りだ。「キヅタ黄緑色の花が盛りだ。フユノハナワラビ穂のようだね。ルリタテハ、クヌギで日光浴だ。コゲラ、マユミの実を食べはじめた。シメ、イルカ、ムクの実に来たよ。ツタ、真っ赤に色付いた。歩こうよ、ゆっくり歩こうよ」立冬の観察会は10日の日曜日でこの日は津田塾大の学園祭の最終日でもあった。それを横目に下流の一位橋へ向かう。ツタの紅葉、イヌザクラの黄葉、キタキチョウの食草であるハギの黄葉、コゲラの好物であるマユミの実、シロダモの雄の木に黄白色の花、白ダモの雌の木に紅い実、保存樹林の中に黄色のヤクシソウ、ミズキやゴンズイの実などを見て回った。この日の新聞に「ムクの実の甘みは遠い昔に」と題した徳島市の70歳男性の投稿記事があった。「子ども時分、今のように甘いお菓子などなく、クワやマキ、ムクの実はおやつだった」とある。(写真は日展の作品)

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