ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

初めと終わり

2014年09月26日 | ノンジャンル
断酒初期の頃を、飛行機の離陸に譬えたことがあるが、
出張で搭乗するたびにそのことを思い出す。

航空機は統計上、最も安全な乗り物とされる。
事故が起きれば、被害は甚大となることが多く、
そのせいで危険なイメージが伴うが、実際上は
事故に遭う確率は自動車や電車に比べてはるかに低い。

航空機事故の起きやすい時というのは、
離陸時と着陸時である。
地上から離れて飛び立つとき、そして、地上へと
舞い降りる時に最も大きなリスクが伴う。

離陸時は最もエネルギーを要するし、上昇して
巡航高度に達するまでが断酒の初期と同じように
苦しく不安定な時であろう。

まして雲の中であれば、何も見えない迷いの
最中にいるようで、肉体的というよりは
精神的にかなりの負担を伴う。

まず最初の一年と言われるのがその所以である。
無論、初めのひと月、3ヶ月、半年というのは
肉体的にも、精神的にも過酷な時期である。

ともあれ、飲まずに四季を過ごし終えたときに、
随分と楽になった記憶がある。
最低限のエネルギーで済む、巡航高度に
近づいたということだろう。

そして、時に乱気流に巻き込まれることはあっても、
体勢を立て直すのにそれほどのエネルギーを
要さなくなれば、もうすでに安定飛行に入ったと
いうことかもしれない。

今の自分は、断酒という点では安定飛行にあると思う。
素面で現実に立ち向かう力も、本当に徐々にではあるが
ついてきた実感もある。

さて、忘れてはならないのが、いつか迎えねばならない
着陸である。

その終着点に向かうとき、自分は飲まないで
いられるのかどうかはわからない。
もう最期を迎えるのだからという気にならない
とも限らない。

だが、せっかくの最期なら、無残なクラッシュではなく、
美しいランディングの姿で飾りたいとも思うのである。