ALQUIT DAYS

The Great End of Life is not Knowledge but Action.

人間50年

2012年01月24日 | ノンジャンル
下天のうちにくらぶれば夢幻の如くなり。

40代最後の年の初めを、佐渡という島で過ごしている。

ここは、古来、島流しの島の一つである。

新潟から高速艇で日本海を渡る。かなり沖合に出ても、
海上の波はうねるように不気味に高く、白い波がしらが
一面に砕ける。

太平洋に慣れ親しんだ身にとっては、ぞっとするような
荒れた海の様相だ。
低い雲が遠くに見える佐渡の山にかかり、雪とあいまって
かすんだように見えるそのすぐ下には、黒い海が広がる。

多少の薄明かりが海面を照らしても、その色は鉛のように
鈍くぬめっているように見える。

ごつごつとした岩肌の上を、まるで岩を砕いて行くように
船は進んでいく。

これが、冬の日本海である。昔の帆船などが冬の航海を
避けたのもうなずける。まさに板子一枚下は地獄である。 
いや、板の上も地獄であろう。

この島に流されたものには、絶望しかなかったのではないか。
事実、この地で不遇の死を遂げたものが殆どである。

四苦八苦の、四苦の年を、この土地から始められるのは、
むしろ私らしい。

今はともかく、昔なら人の世も50年。
今でもアル中なら50年。

残り1年の寿命のつもりで、今年一年を奮励努力し、
明年以降の天佑を待つこととする覚悟なのである。