エコノミスト誌も、地に落ちたものです。
JBpress (2014年8月9日)
売買春:個人の選択に委ねよ
(記事:英エコノミスト誌の翻訳)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41452
インターネットにより、売買春はより手軽で安全なものになりつつある。禁止しようとしている各国政府は、考えを改めるべきだ。
街頭に立って客を探す売春婦。売春婦をひっかけようと車を流す男たち。胸や尻の写真が貼り付けられた電話ボックス――。その破廉恥さは、各国政府が昔から売春の禁止、あるいは認可された売春宿や「売春容認地域」への囲い込みを試みてきた理由の1つにすぎない。
この問題に関しては、「ニンビー」(地域エゴ)的な心情を持つ人々が、売春をする女性は罪人だと考えるピューリタン、さらには売春婦は犠牲者だと考える世間知らずの慈善家と結託している。
だが、現実はもっと複雑だ。確かに売春従事者には、人身売買や搾取、暴力に苦しめられている者もいる。こうした犯罪の加害者については、その罪を裁き、刑務所送りにしなければならない。だが、男女を問わずこれに従事する多くの者にとって、性労働はその名の通り、単なる労働だ。
(中略)
各国政府は、この機会をとらえて政策を見直すべきだ。部分的にせよ全面的にせよ、売春を禁止する措置は、当然予想できることだが失敗に終わっている。特に売買春の根絶には全く役立っていない。米国では、ネバダ州を除き、売春は法律で禁止されているが、やや古い数字によれば、その取引金額は全米で年間140億ドルに上るという。実際にはそれ以上であることはまず間違いない。
より最近の数字によれば、売春自体は合法だが売春のあっせんや売春宿が禁止されている英国の場合、売春ビジネスを国内総生産(GDP)に加えると、最低でも53億ポンドの増加になると推計されている。
さらに、売春の禁止はおぞましい結果をもたらしている。社会の辺縁で生きる被害者には法の正義を求めたり法に守られたりすることが少ないため、売春婦に対する暴力が看過されてしまうのだ。性産業が一部合法化され、その極めて限定的な合法部分がとかく注目されがちなオランダやドイツといった国は、セックスツーリズムの問題に悩まされている。
売春の禁止がうまく機能しないことから、先進諸国は新たな施策を実施する道を探っている。これはすなわち、売春ではなく、買春の違法化だ。この制度は1999年にスウェーデンがいち早く導入し、ノルウェー、アイスランド、フランスがこれに続いた。カナダも同様の方針で法律の改定を進めている。
欧州議会は、欧州連合(EU)全域での「スウェーデンモデル」の導入を求めている。米国でも、推進派が同様のアプローチを取るよう声を上げている。
(中略)
2003年から2009年にかけて、屋内での売春が当局の意図しないところで合法化されたロードアイランド州では、レイプの報告件数と淋病の発症数が急激に減少した。
各国政府の好むと好まざるとにかかわらず、売買春のオンライン化は進んでいる。政府がその変化を妨げようとすれば、悪影響が生じるだろう。実際、売買春の根絶という非現実的な目標のせいで、現代の奴隷制(多くの活動家には売春目的での不法移民と一緒くたにされている)や児童売春(児童のレイプを助長する金銭授受と表現するほうが適切だろう)といった真におぞましい問題から当局の注意が逸らされている。
各国政府は、このような犯罪の抑止と処罰にこそ重点を置くべきだ。そして、成人が双方の合意のうえで売買春を望んでいるのなら、オンラインで安全かつ内密にことを進めるこれらの人々に干渉するべきではない。
7,8年前、零細~中小規模の法人の顧客がメインの会計事務所の仕事を少しだけ手伝ったことがありました。
このとき、顧客であるホテルで未成年の売春が行われていたという情報が警察に寄せられたとのことで、売上伝票のチェックを依頼されたことがあります。
当時は忙しかったこともあって、ついつい、
「なんでこんな時に・・・。
売春より政治家たちがしていることでも捜査すればよいのに。売春・買春、買春者の奥様や恋人にとっては裏切りだけど、本人同士が割り切っているのであれば、これは商取引でしかないのでは。」
なんて言ったりしていました。
が、その後、昔身近だった人々(海外出張に行くような仕事をしている人達)が、出張先で、買春、もしくは接待で女性をあてがわれる(この場合、断る人がほとんどであると信じたい・・)というようなことが当たり前に行われていたということを耳にしたこと、若い女性、子供をだましたり誘拐したりして、売春を強要する組織のことを知り、考えが180度変わりました。
組織的犯罪に巻き込まれて売春をしていない人達だって、生活のために売春、もしくは風俗産業で働いているのであって、喜んでその仕事に従事している人は本当に一握りだと思います。
「春を買う人がいるから、人身売買組織という犯罪があるのだということ(買っているのはエコノミスト記者のなかや、取材先に少なくないでしょう。)」さえ分からない輩には、前述のことなどわからないでしょうね。
そして、このエコノミストの記事を書いた人は、生活保護を申請にしにきた若い女性に向かって職員が「春を売りなさい」と言っている場面を目にするようになっても、違和感は持たないことでしょう。
(筆者とこの記事を載せたエコノミストは、橋下徹以下の気がします。)
参考:
タイ人女性との苦い想い出、橋下市長の従軍慰安婦発言
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20130514
橋下氏慰安婦発言、そしてウクライナの女性親子を助けたイタリア人家族の話
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20130516
先進国に未だ存在する奴隷、スウェーデンとオランダはどちらが『高度な民主主義国家』か?