Various Topics 2

海外、日本、10代から90代までの友人・知人との会話から見えてきたもの
※旧Various Topics(OCN)

タイ人女性との苦い想い出、橋下市長の従軍慰安婦発言

2013年05月14日 | 社会(歴史・都市計画含む)

今まで生きていた中で、後悔することはいくつかあるのですが、その一つが「自分の無知であったが故、もしかしたら人を危ない目にあわせてかもしれない」ということです。

-バブル真っ盛りの80年代、仕事帰りなどに時々上司が飲みに連れて行ってくれたことが時々ありました。

そんななかで、一度上司に連れて行ってもらったところは、赤坂の高級なバー。

当然お客であれば、男性のみならず、女性にもホステスさんがついて接待してくれたのですが、私の隣に座った女性は、場慣れしていないようなタイの若い女性。

ちょうどその頃は私が東南アジアや南アジアに旅行にはまっていたときだったので、その旅行の話を彼女としていました。

そんな会話の途中で彼女は私に突然、

「私は、本当はピアノを習わせてもらえると聞いて日本にきたのに、こんなところで働かされているの」

と小声でもらしました。

それが少し離れた席にいた“ママ“に聞こえたからでしょうか、彼女はやさしい声ではありますが、きっぱりした感じでこのタイの女性を呼んで、他のお客のところに行くように指示をしました。

このときはさすがに気がかりでしたが、席を離れるときもこの女性は別に怯えた風でもなかったことと、一緒にいた上司に話しても、「別にこのお店はそんな悪徳じゃないから大丈夫でしょう。」と言われたこともあって、深刻に考えませんでした。

深刻に考えなかったのは、あのお店は上司が行きつけにしている高級店であるので、

「きっとあのタイの女性は、ホステスもさせられているけど、きっとそのお金でピアノも習わせてもらっていることでしょう」と楽観的に考えたこともありましたが、自分のなかにはあの当時は、「東南アジアの人々にとって、日本に来て働くということはそんなに悪いことではないのだろう。」と奢った気持ちもあったことも認めなければなりません。

(ちょうどこの時期はフィリピンで、日本に出稼ぎに来たがっていたフィリピン人の人達(ホテルのバンドの人達、そして駐在していた人に連れていってもらったバーで話していたホステスさんたち、現地ガイド)とのかかわりがあったので、タイの女性にしても、日本に来たのは自らすすんでだろう、と思っていました。)

そして、この出来事を思い出すきっかけとなったのは、2005年のアメリカとカナダ製作の映画(元はTVドラマ)の、『ヒューマン・トラフィック(Human Trafficking)』という映画を見たことから。

(参照:『独り言。』さんのブログから

http://v1958nc.exblog.jp/7450979 )

この映画は、東欧や東南アジアの若い女性や子どもをだましたり、誘拐したりする組織と、人身売買捜査官と戦いを描いたものです。

映画の内容自体はフィクションですが、貧しい国の若い女性を「モデルにさせる」と言ってだましたり、男性を使って駆け落ちを持ちかけ、そのまま性産業の従事、高級娼婦をさせるなどのほか、子どもの場合は誘拐し、場合によっては臓器移植、そして政治家や企業エリートも顧客、逃げ出そうとした女性たちが酷い仕打ちを受けるというのまで、これは本当にあることだそうです。

この映画を見て、

「あのタイの女性も、だまされて日本につれてこられたということ?あのバーは客層も高いから大丈夫かと思っていたけど、性接待もさせられていたとしたら・・・。そしてまた、私にああ打ち明けたことで、酷い目にあっていたとしたら。」

と心配しても後の祭り。

(もっとも、あの80年代、仮に私が警察に彼女のことを通報したところで、警察が本当に動いて解決してくれたのかどうかはわかりません。赤坂と言う高級バーあたりだと、政治家の接待にも使われることあるでしょう。

そして、この当時は私は知る由もありませんでしたが、実は、海外、日本においても性接待は政治家、大企業では当たり前のようになされていて、実は自分の身近でもそういう人が多くいただろうことを後で知りました。)

性といえば、昨日の橋下大阪市長の「従軍慰安婦は必要だった」発言に反発の声が上がっています。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013051300931

私は橋下氏について、政治家以前に人間としてマトモには思えないのですが、今回の発言になかの、「従軍慰安婦は必要だった」「他の国でも」と言ったことはある点で評価します。

この言葉は、(橋下氏の発言の目的はわかりませんが)従軍慰安婦を貶めているのではなく、それを必要とした男性たちの愚かさを暴露しているからです。

彼の発言を叩く女性たちは、従軍慰安婦だけではなく、今もなお、身売り、人身売買、貧困で性産業に従事せざるを得ない人達にも目を向けて欲しいと思います。

(米軍に風俗利用を薦めたことについては-性産業後押しのようでそれ自体はおかしいのですが・・・しかし、(米軍基地がある現状では)米兵の性犯罪を無くす手立てを考え、発言することは、間違っていないように思えます。)

ところで私は3月にちょうど今回の橋下市長の発現と似たようなことをブログに書きました。

安倍首相、ノーベル平和賞でも狙ってみては?

http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/d/20130310

私はここの末尾で、

安倍首相は当事国や他の国々から非難されているより、きちんと非を認めた上で、

「従軍慰安婦自体は、朝鮮戦争時もベトナム戦争時もあった。従軍慰安婦自体がなくてもたとえば国連平和維持軍の現地での性犯罪(ボスニアにおいては国連軍の人身売買組織まで)などもあり、それらは大きな問題提議はされなかった。だから、同時にこのときのことも皆で勉強しようではないか!」

とでも言ったら、世界的評価も上がるのではないでしょうか。

と書きましたが、橋下市長には、「必要だった」「他の国にもあった」と開き直りたいのなら、少なくとも先に「自己の非を認める」ということをすべきであると学んだらよかったのかもしれません。

そして、「恥じるべき欠点を堂々と正当化したり、知ることを放棄してしまう人は、まともな人からは相手にされることもない」と知るべきでしょう。

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