昨夜、NHKEテレで、『知の巨人たち・第三回・丸山真男と政治学者たち』を放映しました。
http://www.nhk.or.jp/postwar/program/schedule/
先月、来日中のロナルド・ドーア氏を訪問した時に、机の上にNHKの人に名刺がおいてありました。
その名刺を見て、
「短期間の滞在でも、NHK受信料って、徴収されるんですか?」
ととんちんかんなことを聞いた私にドーア氏は
「NHKが丸山真男の番組を作るということで、NHKからインタビューを受けた」
と教えてくれました。
この日、数日前に転んでしまったということで、目の下にアザを作ってしまっていたドーア氏の心配と、その後のお喋りに熱中して、NHKの番組の話はあまり聞いてこなかったのですが、少したってから思い出して検索してみて、NHKが『知の巨人たち』という番組を制作していることを知りました。
残念ながら私は第一回目の『湯川秀樹と武谷三男』は見逃してしまいましたが、第二回目の『鶴見俊輔と思想の科学』、そして今回の『丸山真男と政治学者たち』の、ともに見応えがあり、考えさせる番組になっていました。
(安倍政権になってから余計「政権の犬」呼ばわりされるようになったNHKの良心的な人達のレジスタンス的番組ともいえるかもしれません。)
ご覧になられていない方は、第三回目の再放送(2014年7月26日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜))、第4回目『司馬遼太郎』(2014年7月26日(土)午後11時~翌0時30分、再放送2014年8月2日(土)午前0時00分~午前1時30分(金曜深夜))がありますので、是非ご覧ください。
以下、今日ドーア氏の送った感想メールの抜粋を貼り付けます(若干編集)。
「ロナルド・ドーア様
昨夜、NHKの『知の巨人たち』第三回を拝見しました。
先月末、ブレア元首相と小泉元首相をこき下ろすことを書いてきたスロベニアの友人に、
「かつて私が最悪と思った首相は、小泉でした。彼は「自民党をぶっ壊す」といいながら、日本の大切なものを壊しました。
しかし、今、最悪と思えるのは、安倍首相。彼は小泉と同じ路線で進むと同時に、民主主義をも破壊しました。」
と返事をしました。
民主主義については、イタリアの友人が「今、本当に民主主義国家と言える国があるのか」と言って慰めてくれましたが、昨日の番組を見て、
「民主主義を壊しているのは、政府ではなくて、国民の方なのだ」
と、思いました。
そして、「民主主義国家」というものは「理想」でしかなくて、これは追い求めていくことに意義があるのだと。
(丸山真男は、東大紛争のときの態度などで、ダブルスタンダード的な批判も受けましたが、私は彼のあの態度には一貫性があったと思います。
「自分たちの権利を勝ち得るための破壊行為」は民主主義精神あってのことと思えないですし、あれは『対話』をする状態にはなかったと思います。対話を重視した丸山真男は、同時に単なる『(暴力的)対立』は結果を伴わないことをも意味してきたのだと思います。)
(後略)
ゆかり」
さて、蛇足になりますが、丸山真男ですが、ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%B8%E5%B1%B1%E7%9C%9E%E7%94%B7
には
「30歳の時に、大学助教授でありながら、陸軍二等兵として教育召集を受けた。大卒者は召集後でも幹部候補生に志願すれば将校になる道が開かれていたが、「軍隊に加わったのは自己の意思ではない」と二等兵のまま朝鮮半島の平壌へ送られた。」
と書いてありました。
この時は、脚気のため一度除隊。しかし除隊して4か月後にまた召集をされ、広島の陸軍船舶司令部に配属。広島原爆では被ばくもしていますが、これについてあまり語らなかったそうです。
何か、見逃した…と昨日になって気になっていました。
丸山真男の回だったのですね。おかげさまで再放送と司馬さんの分はキッチリ録画して見たいと思っています。
このような番組が、深夜枠でなくゴールデンタイムで放映されるとよいのですけどね。
ところで、この番組を担当した渡辺考氏が、阪南大学で講演した時の記録です。
http://www.hannan-u.ac.jp/gakujutsu/copy_of_copy_of_
st9plj000000jyku.html