新・徒然煙草の咄嗟日記

つれづれなるまゝに日くらしPCにむかひて心に移りゆくよしなし事をそこはかとなく紫煙に託せばあやしうこそものぐるほしけれ

東京国立近代美術館に行ってきた 2 (本館編)

2009-09-07 00:27:38 | 美術館・博物館・アート

東京国立近代美術館工芸館を後にして、そして、やってきました、ゴーギャン展

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心配された行列も入場制限もなく、意気揚々と展示室に向かいました。


、です。 なんだぁ、この人混みは

第一室から、展示された絵の前にはびっしりと観客が張り付いているではありませんか。「絵の前に観客が群れている」といった次元ではなく、まさしく「張り付いている」状態です。

これを見た段階で、私の気分は一気に萎え萎え~

こうなると、「せっかく入場料を払ったんだから、しっかり鑑賞して元をとらないと」なんてことはまったく頭の中から消え去ってしまい、人混みの後ろから、人の頭の間からチラチラと絵を見ながら、歩を進める私でありました。

ところが、意外や意外、「ゴーギャン展」で最もじっくりと、接近して、離れて、鑑賞できたのは、この展覧会の目玉「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」でした。

絵と平行にパーティションが置かれていて、絵に近い方は「歩きながらでも良いから近くで観たい」人用、遠い方は「離れた場所からでも良いからじっくり観たい」人用に分けられていたのが良かったのかも。
もちろん私は、「近い方」「遠い方」両方で堪能いたしました。

   

そんな具合に、かなり「イマイチ」感が支配する中で「ゴーギャン展」を見終えた私でしたが、それでもグッズを購入してしまいました。

購入したのは、「我々はどこから・・・」のクリアフォルダと、付箋紙です。
クリアフォルダの表がこちらで、

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裏側と付箋紙がこちら。

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付箋紙を拡大してみましょうか。

090906_2_4

使い勝手はどうなんでしょうねえ。見栄えはともかくも、実用性は????です。

   

さて、若干「う~む」とうなりながら、私はエレベーターで企画展が行われている1階から4階へ上りました。せっかくですので、所蔵品ギャラリーを観て帰ろうというわけです。

これが、これが…

さすが「東京国立近代美術館」の名を冠するだけはあるぞと思うコレクションでした。

教科書や事典で見たことがある作品が目白押しだし(朝倉文夫の「墓守」があれほど「伝わる」作品だとは思いもよらなかった…)、初めて名前を聞く作家の作品も素晴らしいし、こりゃ凄いです。

本日最大の収穫は、藤田嗣治の「血戦ガダルカナル」、中村研一の「北九州上空野辺軍曹機の体当り B29二機を撃墜」、清水登之の「工兵隊架橋作業」と、3枚のいわゆる「戦争画」でした。
「戦争画」というのは、前の大戦の際、軍部が記録と戦意高揚を目的に、当代一流の画家を「従軍画家」として戦地に派遣して描かせた絵です。
戦後、「戦争画」を描いた画家たちは「戦争協力者」と非難を浴びることになったそうで、藤田嗣治なんぞは、この非難に嫌気がさして渡仏、そしてついには日本の国籍を抹消してしまったんだそうな。

絵画に限らず、芸術をイデオロギーの視点第一に評価すること、私は大っ嫌いです。
イデオロギーの視点から評価された作品・非難された作品を見れば、ぜぇったいに、その評価は逆にとる方が私の感情にはぴったり来ます。
どういう意図で依頼されたのかということなんぞ二の次以下で、どういう意図で制作したのか、その成果(作品)はどうなのかが一番だと思います。

そしてこの日観た3作品、どれも素晴らしい作品でした。「血戦ガダルカナル」の描く悲惨さ、「北九州上空野辺軍曹機の体当り B29二機を撃墜」の美しさ、「工兵隊架橋作業」の写実性、どれも東京国立近代美術館が展示するにふさわしい作品だと思いました。

これらの作品は、軍部が意図した「戦意高揚」に役立ったんでしょうかねぇ。

   

そして、最後に楽しい作品が待っていました。
2階フロアと、ガラスをはさんだバルコニーに置かれた一対の人物像(作者もタイトルも判りませ~ん)。

室内から観ると、こんな風に、「それがどした」って感じ。

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ところが、外に出て、バルコニー側から観ますと、、、

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ガラスに映った虚像なのか、はたまた、ガラスの向こうに存在する別の実像なのか…。

いやぁ~、アートしてます

ガラスに映る光景としては、こちらの角度も「良し」かも。

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メインの「ゴーギャン展」は置いといて、なかなか楽しめた東京国立近代美術館でした。


直前の記事:東京国立近代美術館に行ってきた 1 (工芸館編)

コメント
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