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三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

櫻井義秀『霊と金 スピリチュアル・ビジネスの構造』1

2012年08月26日 | 問題のある考え

スピリチュアルの問題点を指摘するのは厄介である。
スピリチュアリティとは、櫻井義秀『霊と金』によると、「自分を超えたもの、自分とそうした存在とのつながりを求める気持ち、自分がそうしたものにふれて変えられていく感覚を近年はスピリチュアリティと呼ぶ」ということである。

「科学ではわからないことがある」「物質文明は人間を幸せにしない」といった一見もっともなスローガンでスピリチュアルを正当化し、スピリチュアリティのネガティブな面を隠している。
櫻井義秀「スピリチュアル・ビジネスという概念により、現代のスピリチュアリティを批判的に見る視点を提供しようと考えた」

スピリチュアル・ビジネスの一例として、櫻井義秀氏は「すぴこん」(スピリチュアリティを提供する見本市)を取り上げている。
すぴこんは現在はスピマ(スピリチュアル・マーケット)と名前を変えている。
どうやら仲間割れしたためらしい。
全国の約60会場で年間延べ11万人が利用しているそうだ。

第2回札幌すぴこんは入場料1800円、それぞれのブースでもお金がかかる。
「全カルマ解除」は3つの店舗でしている。
癒しマッサージ部分20分1500円
オーラ写真撮影2000円、プラス1000円で解説
オーラ診断2000円
ワンネス、各種ディクシャ(脳にエネルギーを与える)2000円
ダウジングによるチャクラ測定20分2000円
リンパセラピーによる小顔マッサージ1000円
霊気による血液交換法15分1500円
チャネリング15分1000円
過去世リーディング15分2000円

これらはどういうものかをネットで調べたが、いかにもインチキ臭いというか、しょうもないシロモノとしか私には思えない。
でも、これで商売が成り立って生計が立つということは、まともに信じている人がそれだけ大勢いるということである。
私もこの手のものは嫌いではないが、どうしてそこまでのめり込めるのか不思議である。

前世の霊視については、高橋秀実『ご先祖様はどちら様』に体験談があるので、それをご紹介しましょう。
我が家の家系を調べる高橋秀実氏は「半年先まで予約がいっぱい」という人気の前世カウンセラー平池来耶氏を訪れる。
ちなみに平池来耶氏は「これまで何百回も生まれ変わっている」そうだ。
「『なぜか惹かれる』というモノや場所はありませんか?」と高橋秀実氏は聞かれる。
これは占い師や霊能者が相手の情報を知るために行うリーディングという初歩的テクニックである。
だが、ほにゃららな高橋秀実氏は返答をためらうので、平池来耶氏は困ったと思う。

平池来耶氏は霊視によって前世が見えるらしい。
「エボシが見えます」
「おそらく平安時代の学者さんか何かですね。そこそこの身分の人でしょう」
高橋秀実氏は「誰なんでしょう」と尋ねると、「あくまで心象イメージです。もともと名前や言語は記録に残らないんです」と、まことに頼りないというか、突っ込まれないような返事が返ってくる。
「彼女によると、人の魂はもともと「大いなる源」という所にあり、何かを学ぶために現世に旅立つらしい。そして学びの途中で肉体が滅びるとまた「大いなる源」に帰り、再び現世へ。この繰り返しがすなわち「転生」。私たちは毎回、学ぶべきテーマを持って生まれてくるそうだ」
ニューエイジ・スピリチュアルでおなじみのお話ではないか。(ニューエイジ系の宗教はこの手の教えを説いている)

二人の対話から。
――私は誰の生まれ変わりなんでしょうか?
「ですから、誰なのかはわかりません」
――しかし、それでは……。
「ここにいらっしゃる方たちは、本音では『自分が誰の生まれ変わりなのか』ということに、実はあまり興味がないんです」
――じゃあ、何に興味があるんですか?
「自分の人生が、ゼロからのスタートではないと確認したいんです」
――ゼロから?
「ゼロからだと不安でつらいんです。前世があることを知れば、自分のスタート地点をあらためて確かめられる。そして、なんとなく感じていた予感も確認できる。人生を味気ないと感じていた人も、前向きに生きられるようになるんです」

そんなものかと思うが、『霊と金』にはこんなアドバイス例が載ってる。
「あなたが恋愛に臆病なのはね、あんたの前世のせい。あなたは中世ドイツの貴婦人で騎士から愛を告白されたけど返事をしなかった。その騎士は戦場で亡くなってしまい、あなたは罪滅ぼしのために愛を封印した人生を送ってきた。だから、あなたは自分の感情を表に出さない性格の人なの。でも、もう十分、幸せになっていい時期よ」
こういうやりとりなら平池来耶氏もお手のものなんでしょうね。

平池来耶氏に前世を霊視してもらうのにどれくらいかかるのか。
ネットで調べたら、個人リーディング料:40分2万円(前世セラピーを含むと3万円)でした。

すぴこんでの料金はお試し価格で安めに設定してあるそうで、『霊と金』によると、セッション価格は、「オーラを見る教室」の2時間3150円、チャクラヒーリング1時間1万円、波動調整1時間2万5000円など。
研修講座は、光の言葉セラピーヒーラー1日3万円、直伝レイキセミナー6日間9万5000円、エナジーセラピスト総合講座(色エネルギーによる癒し)受講70時間390,600円など。
こんなのを受講して資格を取り、じゃあ、どうするのでしょうか。
これからは、セラピーという言葉を見たらあやしいと考えることにしましょう。


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18 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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葦編三絶 (となりのみよちゃん)
2012-08-26 15:40:47
これって、人の弱みに付け込んで、みたいなやり方でしょ。溺れる者はワラをもつかむ、その心理を悪用しているように思います。つかんだ物がワラと気づいたときには、お金がなくなっていて、元を取り返そうとして、同じことを他の人にする人もいるでしょうね。

しかし、前世は何だったとか、占いとか、好きな方かなりいらっしゃるみたいです。ブログでもその種のもの、みなさんに受けていますね。

易、関係も流行っていますね。葦編三絶、孔子は易の本を、何回も何回も読んで理解しようとしました。その当時は、易に書かれていたことは科学的だったのです。例えば、野焼きをすると雨が降るというような。こういう生活に直接、結びついていたものを研究していたようです。この難しい本を適当に解説してある本あります。孔子も驚き!

40万弱!こんなことに大金支払うより、もっと、有意義なお金の使い方、ないのかしら?
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信じる者は ()
2012-08-27 16:12:05
この人たちが、自分はインチキをやっていると思っているかというと、そうでもない気がします。
本気で前世やヒーリングといったことを信じているかもしれません。
森達也『職業欄はエスパー』という本を読んで、嘘は言っていないんじゃないかと思いました。
後日、ブログで紹介します。
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救われていないと思います (となりのみよちゃん)
2012-08-27 18:28:05
ええ、そういうタイプの方、たくさんいると思います。そうでなかったら、あんなに真剣に勧誘できません。ご当人は、嘘いってるどころか、大真面目でしかもいいことしてると思っているから、その家族は迷惑しているし、関わっている人達も困っているのです。

真剣にお高い美容液を買うようにススメられたことがあります。おそらく、わたしがブスだと思ったのでしょうね、その人。あんなに真剣にススメていたのですから。
あんな少量をあのお値段で売りつけるなんて信じられません。売ってる方は、確かにお綺麗ですが、そういう人だけ採用しているんでしょ?もともと美人なわけで、美容液を使ってるからではないと思います。これもある意味でインチキの部類に入るのでは?美容液を購入すると、アロマセラピーのおまけつきなんて、よくありますよ。
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不思議な世界 ()
2012-08-28 15:42:20
霊感商法やマルチ商法の場合は、騙しているという自覚はあるでしょうけど、スピリチュアル・ビジネスはどうなんでしょう。
美容液は前者(詐欺と承知している)でしょうね。
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不思議な人 (となりのみよちゃん)
2012-08-28 17:21:29
米を数えて炊(かし)ぐ、ということを荘子がいっていました。つまらないことに熱中して本質を忘れるという意味かと思います。お米一粒ずつ数えてご飯炊いても仕方ないでしょ。刺青調べてどうするんでしょ?前にも書きましたが、今は一見してやくざさんとわかるような身なりの方少ないみたいなのです。やくざ、なことをしている人がやくざさんなのでは?
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法律と庶民感情 ()
2012-08-29 17:38:52
入れ墨回答拒否で戒告処分=4人が取り消し求め提訴へ―大阪市
提訴した人は入れ墨をしていないそうですが、拒否するのはまっとうな考えだと思います。
ところが、↓の記事の下のほうにコメントがあって、ぼろくそ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120828-00000065-jij-soci
刺青のあるなしが採用の条件だったのならともかく、根拠もなく入れ墨調査をすることを問題視する人はほとんどいません。

ネットではこんなものだとは思いますが、それにしても
「社長の命令聞けなければ退職・転職するのが民間企業。」
「選挙で選ばれた橋本の命令を拒否するのは、大阪市民の要望を無視するのと同じ事。」
というコメントにはため息です。
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王陽明 (となりのみよちゃん)
2012-08-29 23:43:36
晩年には「非違は指摘すれば、かえって自己正当化して反発してますます悪くなると」と考えたとか。こういうのって、人間の理解が深まったということになるのでしょうか?

わたしがその立場でしたら、やはり、拒否しますね。我慢できないです。痛くもない腹を・・・みたいで。
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流されて ()
2012-08-31 11:49:40
みんなが右にならえとなっている状態の時に、それはおかしいとは言いにくいですよ。
陰ではぶつくさ言いますけど。
どういう理由で回答を拒否したのかは知りませんが、根性のある人たちだと思います。
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だったら、私たち母娘も (となりのみよちゃん)
2012-08-31 22:03:50
根性あるかも。
私は中学3年生のとき、どうしても、家庭科の先生の考えに賛同できなくて、反旗を翻し一人逆らっていました。そのときの先生のお言葉が、フルっていました。
「どんなに英数国ができても、家庭科に2がついたらお嫁にいけませんよ。結婚を決めるとき、相手のご両親は家庭科の成績はどうだったかと学校に聞きに来るんです」

娘は小学3年生のとき、どうしても担任の先生のやり方がいやで、たたかれてもいうこと聞きませんでした。娘は覚悟のうえなので、ほっておきましたが、それを見ていた他の児童が先生がこわくて登校拒否に。私の場合は、一人の問題でしたが、娘のときはクラス全体の問題に発展してしまい、大変でした。
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根性なくてごめんなさい ()
2012-09-01 20:04:47
家庭科の先生、明治生まれの方なんでしょうか。

以前、点訳を教えに何人かで小学校に行ったことがあります。
私は何もしなかったのですが、思ったのは、先生は大変だということ。
すぐにわかって、さっさと自分の名前を点字にできる子がいれば、つきっきりで教えてもわからない子、ごそごそする子などなど。
私にはとてもじゃないけどできないと思いました。
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