ジュゼッペ・トルナトーレ『鑑定士と顔のない依頼人』は後味がものすごく悪い映画である。
知人は「人間不信になる」と言っていた。
家に帰ってからチラシを見たら、「バッドエンドなのか。ハッピーエンドなのか」とある。
どういうことかと思い、ネットで映画評をあれこれ見ていたら、最後のいくつかのモンタージュがどういう時系列なのかが気になった。
1,ベッドシーン
2,プラハ
3,施設で車イスに乗り、表情のない顔をしている
4,回転する機械
1→2→3・4という順番だと最初は思った。
しかし考えてみると、女は15歳から家に閉じこもり、人と会わない生活をしていたにもかかわらず、ずいぶん積極的で激しいベッドシーンである。
いくら童貞老人とはいえ、疑問を感じないのかと思った。
ひょっとしたら3→4→2→1なのかもしれない。
回転する機械で回復し、女と再会して……。
これならハッピーエンドである。
そこで原作を読んでみました。
といっても、映画の原作小説ではないし、脚本でもないし、ノベライズでもない。
アイデアを思いついて、それを短編小説という形でまとめたもので、それが脚本に発展したのだという。
最後はどういう順番かというと以下の通り。
入院→退院→警察の前→プラハ→ナイト・アンド・デイ
女が仮に主人公と会いたいと思ったとしても、異国の店にいるとは思いもしないだろう。
「あなたを愛しているの。どんなことがあっても、忘れないでね」という女の言葉を信じ、女がよく話していたレストランで待ち続けるなんて、精神に異常を来しているとしか思えず、これはまたこれで後味が悪くて、バッドエンディングでした。
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