島根あさひ社会復帰促進センターでのTC(回復共同体)のドキュメンタリーの書籍化。
島根あさひ社会復帰促進センターの受刑者は、刑務所への収容が初めてで、犯罪傾向が進んでおらず、集団生活に順応できる者が収容の対象者とされる。
TCの内容は、アミティの実践をモデルとするTCカリキュラムと、認知行動療法カリキュラムの2種類がある。
アミティは1981年に誕生した、依存症や暴力の問題を抱える人々の回復施設。
共同生活を通して、各々に備わった能力や互いの関係性を生かし、全人的な成長を目指す場である。
坂上香さんはアミティのドキュメンタリー『Lifers ライファーズ 終身刑を超えて』を撮り、本にしています。
日本でも受刑者の多くは虐待経験者です。
若年受刑者(20~39歳)500名の5割が家族からの虐待被害が確認された。
家族以外の第三者からの被害が6割にのぼる。
そのうち、最も多かったのはイジメ(悪口や無視)、身体的暴力と暴力の目撃が続く。
訓練生の暴力やイジメ(加害と被害の両方)の語りには圧倒されます。
語ることができるようになるまでには、支援員やTC仲間の存在が大きいです。
『プリズン・サークル』では4人の主人公がいます。
主人公の一人の事件は裁判員裁判でした。
揚げ足を取られないように立ち振る舞う。
余計なことは喋らない。
感情を出してはならない。
傷害致死罪で7年の求刑のところ、判決は8年だった。
反省とはどうすることなのか、どういうことをすれば反省になるのかと思います。
「ごめんなさい」と言えば、「それですむのか」とか「反省してるとは思えない」と言われそうだし、かといって黙っていれば「謝罪がなかった」ととがめられるだろうし。
ある研修会で講師の弁護士が裁判員裁判について少し話をされました。
裁判員裁判で扱う事件は新聞などですでに報道されていることが多く、裁判員は事件について予備知識を持っている。
裁判員になる人はそれまで犯罪とは関係のない生活を送ってきた人たちのためか、正義感をひしひしと感じる。
頭から被告を有罪と信じ、罰してやらなくてはいけないと思っている雰囲気がある。
起訴されて裁判が始まるまで1年ぐらいかかる。
その間、被告はずっと拘束されている。
なぜ時間がかかるかというと、公判前整理手続を裁判官、検事、弁護士が行うから。
裁判員裁判は集中審理で、数日間つづけて行う。
その緊張感は弁護士でも大変なものがある。
まして被告にとっては大きな負担となる。
しかも、検事の中にはわざと被告を煽るような質問をする人がいる。
若い被告だと言わなくてもいいことを言ってしまうことがある。
それがマスコミに取り上げられ、悪印象を与えてしまう。
少年法改正で少年の実名報道が認められるようになった。
実名報道は犯罪の抑止にはならない。
少年の多くは事件を起こした時、こんな大騒ぎになるとは思っていない。
そもそも少年犯罪は犯罪件数も犯罪率も減少しており、廃院になる少年院もある。
ところが、裁判員裁判では刑が重たくなっている。
厳罰は犯罪の抑止、減少にはつながらない。
島根あさひ社会復帰促進センターのTC修了生と一般受刑者を比較した調査によると、TC修了生の再入所率は9.5%、一般受刑者は19.8%。
再入所したとしてもTC修了生のほうがより長く社会にとどまる傾向がある。
2014年8月からから2年間の撮影されました。
2019年9月に坂上香さんが再訪した時、TC以外でも行われていたユニットミーティングは大幅に縮小され、制約が増えた。
余暇時間も違反行為が多いとの理由でどんどん削減されていた。
再犯率が低いのに制約や削減がされるのでしょうか。
他の刑務所でもTCを行えばいいのにと思います。
坂上香さんの弟が睡眠薬を過剰摂取し、その影響で意識がもうろうとし、幻聴が聞こえ、CD2枚を盗んで逮捕された時のことが書かれています。
2回目の面会でのこと。
大阪と愛知の警察で、勾留中の被疑者が死亡する事件がありました。
入国管理局で被収容者を入国警備官が押さえつけている映像を見ると、あれではケガをさせたり死亡したりということもあるのも当然だと思いました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます