ワクチンによって子供の命が助かるようになったんから、親はワクチンを信用していいはずです。
ところが、ポール・オフェット『反ワクチン運動の真実』によると、子供にワクチンを打たないという選択をする親が増えており、防げるはずの感染症のアウトブレイクが起き始めています。
テレビの司会者、俳優、コメディアン、記者、議員、研究者、医師、弁護士たちが、ワクチンによって自閉症、糖尿病、多発性硬化症、注意欠陥障害、学習障害、知的障害、発達障害などになると脅し、それを信じた親がワクチンを拒む。
大卒か大学院卒の上層中産階級で、情報化社会で自分もインターネットを使えば専門家になれると思い、自分の健康については自分で決めると考える親たちだ。
1973年、イギリスで小児神経科医のジョン・ウィルソンはロンドン王立医学協会で、百日咳ワクチンは脳に損傷を与え、健康被害を引き起すと発表した。
その半年後、ジョン・ウィルソンはテレビに出演して、百日咳ワクチンが生涯にわたる健康被害を引き起こすと語った。
1972年にイギリスの子供の79%が百日咳ワクチンの予防接種を受けていたが、1977年には31%に減った。
ある調査では、47%の一般医が自分の患者に百日咳ワクチンを勧めないと答えた。
その結果、10万人以上の子供が百日咳にかかり、36人が死亡した。
日本でも1975年に厚生省が百日咳ワクチンの接種を一時停止したため、それ以前の3年間に400件の百日咳感染が起こり、10名が死亡したが、ワクチン中止後の3年間で百日咳の感染は1万3000件となり、113名が死亡した。
イギリス保健省は百日咳ワクチンのリスク調査をデイビッド・ミラーに依頼した。
調査チームは1976年から1979年にかけて調べ、DTPワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風の三種混合ワクチン)を3回接種した子どもの1万人に1人が永久的な脳損傷を起こしていると報告した。
1982年、アメリカで「DTP ワクチン・ルーレット」というテレビ番組が、百日咳のワクチンのために子供が自閉症、知的障害、てんかんなどになり、死亡する子供もいると主張した。
人身被害を専門にする弁護士たちは、ワクチンによって子どもが被害を受けたと信じている親に、正義の裁きと賠償を受けるように促した。
「ワクチン・ルーレット」が放映される1年前の1981年にワクチン製造会社を相手取った訴訟は3件だったが、1986年には255件となった。
原告が求める金額の総額は、1981年の2500万ドルから1985年には32億ドルに増えた。
製薬会社はワクチンの値段を上げ、そしてワクチン製造から撤退した。
1960年に7社がDTPワクチンを製造していたが、1986年には製造供給する会社がなくなった。
麻疹ワクチンを製造する会社も6社から1社に、ポリオワクチンは3社から1社になった。
1986年、アメリカで小児予防接種被害法が成立した。
ワクチン被害を訴える人が訴訟を経ることなく補償金を受け取ることができる、製薬会社を訴訟から守る、ワクチンの研究と製造を続けるよう助成することが目的だった。
1988年、DTPワクチンによって子供が知的障害になったとして損害賠償を請求した訴訟で、イギリスの法廷はジョン・ウィルソンの論文やデイビッド・ミラーの研究の誤りを指摘し、百日咳ワクチンが乳幼児に永続的な脳損傷を引き起こす可能性を否定した。
1989年にイギリス小児科学会とカナダ国立予防接種勧告委員会は、百日咳ワクチンが永続的障害を引き起こすという証拠はないという結論を出した。
1991年、アメリカ科学アカデミーの医学研究所が百日咳ワクチンと脳損傷の関係は証明されていないと結論を出した。
「ワクチン・ルーレット」が放映されてから現在までに、百日咳ワクチンで脳損傷も乳幼児突然死症候群も起こらないことがはっきりした。
つまり、百日咳ワクチンによって脳損傷を起こすという「ワクチン・ルーレット」の主張はでたらめだったわけです。
ところが、その後もワクチンによる健康被害が主張されています。
1998年、MMRワクチン(麻疹・風疹・おたふく風邪の混合ワクチン)を打つと自閉症などになるというアンドルー・ウェイクフィールドの論文が医学誌「ランセット」に掲載された。
アンドルー・ウェイクフィールドがMMRで自閉症になると仮設を提示した1年後の1999年、ワクチンに含まれるチメロサール(エチル水銀に由来する防腐剤)が原因で自閉症になると考える団体が現れた。
チメロサール入りワクチンを受けた子と受けなかった子の自閉症リスクを検証する大規模な疫学研究が行われ、結果はチメロサールでは自閉症にならないという結論だった。
ところが、自閉症児の親と弁護士が損害賠償の裁判を起こそうとした。
ワクチン健康被害補償制度(VICP)は数年にわたって5000件を超えるワクチンが子どもを自閉症にしたと主張する親たちの訴えを検討してきた。
5000人の子どもへの補償金のコストは45億ドルに達する。
総括的自閉症訴訟と命名された裁判では、2つの仮説が問題になった。
・MMRとワクチンの中のチメロサールの組み合わせが自閉症を引き起こすというもの。
・チメロサールだけが原因だというもの。
2009年、VICPの特別主事はMMRワクチン+チメロサールを含むワクチンが自閉症を起こすという主張を退けた。
2010年、特別主事はチメロサール自閉症原因説は科学的に認めがたいと裁定した。
アンドルー・ウェイクフィールドの論文に取り上げられた8人の子どものうち、5人の両親がMMRワクチンが自閉症を起こしたと製薬会社を訴えるところだった。
2010年、アンドルー・ウェイクフィールドは子どもたちを代表して薬害訴訟を計画する弁護士から44万ポンド(約80万ドル)をもらって論文を作成したこと、証拠の捏造や改竄などをしたため、イギリスでの医師免許を剥奪され、イギリスで医師としての診療活動は不可能になった。
しかし、アンドルー・ウェイクフィールドはその後も反ワクチンの人たちからは政府や製薬会社に立ち向かった英雄扱いされている。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は子宮頸ガン、頭部、頸部、肛門、性器のガンの共通する唯一の原因であり、ワクチンはこうしたガンの85%を防ぐ。
反ワクチン運動家がHPVワクチンで、脳卒中、血栓、心臓発作、麻痺、痙攣発作、慢性疲労症候群を起こすと主張した。
2013年、厚労省は副作用を恐れ、HPVワクチンの定期接種勧奨を差し控えた。
しかし、HPVワクチンは認可後に百万人以上を対象にして調査が行われ、主張されているような病気は起こっていない。
毎年約1万人の女性が子宮頸ガンにかかり、約3000人が死亡している。
『反ワクチン運動の真実』の日本語版は2018年発行なので、新型コロナウイルスワクチンについては触れていませんが、反ワクチン信奉者の主張は同じものです。
ところが、ポール・オフェット『反ワクチン運動の真実』によると、子供にワクチンを打たないという選択をする親が増えており、防げるはずの感染症のアウトブレイクが起き始めています。
テレビの司会者、俳優、コメディアン、記者、議員、研究者、医師、弁護士たちが、ワクチンによって自閉症、糖尿病、多発性硬化症、注意欠陥障害、学習障害、知的障害、発達障害などになると脅し、それを信じた親がワクチンを拒む。
大卒か大学院卒の上層中産階級で、情報化社会で自分もインターネットを使えば専門家になれると思い、自分の健康については自分で決めると考える親たちだ。
1973年、イギリスで小児神経科医のジョン・ウィルソンはロンドン王立医学協会で、百日咳ワクチンは脳に損傷を与え、健康被害を引き起すと発表した。
その半年後、ジョン・ウィルソンはテレビに出演して、百日咳ワクチンが生涯にわたる健康被害を引き起こすと語った。
1972年にイギリスの子供の79%が百日咳ワクチンの予防接種を受けていたが、1977年には31%に減った。
ある調査では、47%の一般医が自分の患者に百日咳ワクチンを勧めないと答えた。
その結果、10万人以上の子供が百日咳にかかり、36人が死亡した。
日本でも1975年に厚生省が百日咳ワクチンの接種を一時停止したため、それ以前の3年間に400件の百日咳感染が起こり、10名が死亡したが、ワクチン中止後の3年間で百日咳の感染は1万3000件となり、113名が死亡した。
イギリス保健省は百日咳ワクチンのリスク調査をデイビッド・ミラーに依頼した。
調査チームは1976年から1979年にかけて調べ、DTPワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風の三種混合ワクチン)を3回接種した子どもの1万人に1人が永久的な脳損傷を起こしていると報告した。
1982年、アメリカで「DTP ワクチン・ルーレット」というテレビ番組が、百日咳のワクチンのために子供が自閉症、知的障害、てんかんなどになり、死亡する子供もいると主張した。
人身被害を専門にする弁護士たちは、ワクチンによって子どもが被害を受けたと信じている親に、正義の裁きと賠償を受けるように促した。
「ワクチン・ルーレット」が放映される1年前の1981年にワクチン製造会社を相手取った訴訟は3件だったが、1986年には255件となった。
原告が求める金額の総額は、1981年の2500万ドルから1985年には32億ドルに増えた。
製薬会社はワクチンの値段を上げ、そしてワクチン製造から撤退した。
1960年に7社がDTPワクチンを製造していたが、1986年には製造供給する会社がなくなった。
麻疹ワクチンを製造する会社も6社から1社に、ポリオワクチンは3社から1社になった。
1986年、アメリカで小児予防接種被害法が成立した。
ワクチン被害を訴える人が訴訟を経ることなく補償金を受け取ることができる、製薬会社を訴訟から守る、ワクチンの研究と製造を続けるよう助成することが目的だった。
1988年、DTPワクチンによって子供が知的障害になったとして損害賠償を請求した訴訟で、イギリスの法廷はジョン・ウィルソンの論文やデイビッド・ミラーの研究の誤りを指摘し、百日咳ワクチンが乳幼児に永続的な脳損傷を引き起こす可能性を否定した。
1989年にイギリス小児科学会とカナダ国立予防接種勧告委員会は、百日咳ワクチンが永続的障害を引き起こすという証拠はないという結論を出した。
1991年、アメリカ科学アカデミーの医学研究所が百日咳ワクチンと脳損傷の関係は証明されていないと結論を出した。
「ワクチン・ルーレット」が放映されてから現在までに、百日咳ワクチンで脳損傷も乳幼児突然死症候群も起こらないことがはっきりした。
つまり、百日咳ワクチンによって脳損傷を起こすという「ワクチン・ルーレット」の主張はでたらめだったわけです。
ところが、その後もワクチンによる健康被害が主張されています。
1998年、MMRワクチン(麻疹・風疹・おたふく風邪の混合ワクチン)を打つと自閉症などになるというアンドルー・ウェイクフィールドの論文が医学誌「ランセット」に掲載された。
アンドルー・ウェイクフィールドがMMRで自閉症になると仮設を提示した1年後の1999年、ワクチンに含まれるチメロサール(エチル水銀に由来する防腐剤)が原因で自閉症になると考える団体が現れた。
チメロサール入りワクチンを受けた子と受けなかった子の自閉症リスクを検証する大規模な疫学研究が行われ、結果はチメロサールでは自閉症にならないという結論だった。
ところが、自閉症児の親と弁護士が損害賠償の裁判を起こそうとした。
ワクチン健康被害補償制度(VICP)は数年にわたって5000件を超えるワクチンが子どもを自閉症にしたと主張する親たちの訴えを検討してきた。
5000人の子どもへの補償金のコストは45億ドルに達する。
総括的自閉症訴訟と命名された裁判では、2つの仮説が問題になった。
・MMRとワクチンの中のチメロサールの組み合わせが自閉症を引き起こすというもの。
・チメロサールだけが原因だというもの。
2009年、VICPの特別主事はMMRワクチン+チメロサールを含むワクチンが自閉症を起こすという主張を退けた。
2010年、特別主事はチメロサール自閉症原因説は科学的に認めがたいと裁定した。
アンドルー・ウェイクフィールドの論文に取り上げられた8人の子どものうち、5人の両親がMMRワクチンが自閉症を起こしたと製薬会社を訴えるところだった。
2010年、アンドルー・ウェイクフィールドは子どもたちを代表して薬害訴訟を計画する弁護士から44万ポンド(約80万ドル)をもらって論文を作成したこと、証拠の捏造や改竄などをしたため、イギリスでの医師免許を剥奪され、イギリスで医師としての診療活動は不可能になった。
しかし、アンドルー・ウェイクフィールドはその後も反ワクチンの人たちからは政府や製薬会社に立ち向かった英雄扱いされている。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は子宮頸ガン、頭部、頸部、肛門、性器のガンの共通する唯一の原因であり、ワクチンはこうしたガンの85%を防ぐ。
反ワクチン運動家がHPVワクチンで、脳卒中、血栓、心臓発作、麻痺、痙攣発作、慢性疲労症候群を起こすと主張した。
2013年、厚労省は副作用を恐れ、HPVワクチンの定期接種勧奨を差し控えた。
しかし、HPVワクチンは認可後に百万人以上を対象にして調査が行われ、主張されているような病気は起こっていない。
毎年約1万人の女性が子宮頸ガンにかかり、約3000人が死亡している。
『反ワクチン運動の真実』の日本語版は2018年発行なので、新型コロナウイルスワクチンについては触れていませんが、反ワクチン信奉者の主張は同じものです。
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