漆原友紀『蟲師』を読んでいて、漆原友紀のひいおじいさんの名前が「清槌(せいづち)」だということにいささかびっくりした。
どうしてかというと、以前、うちの過去帳を見ていて、「岩槌」とか「百槌」といった「○槌」という名前が、多くはないが、何人かおられたことを発見したことがある。
それまで小説などで「○槌」という名前を見たことがないので、「○槌」という名前には何だか違和感を感じた。
うちの過去帳に載っている「○槌」さんたちは、行年から逆算すると明治生まれである。
ひょっとしたら、そのころ広島では、「○槌」という名前がささやかなブームだったのかもしれないと思った。
そういうことがあったので、「清槌」という名前にびっくりしたわけである。
漆原友紀は山口の出身だし、ひいおじいさんだから明治生まれだろう。
となると、広島、山口あたりでは明治の一時期に「○槌」という名前をつけることがはやったということはあり得る。
そう考えると、「○槌」は語感からすると「×吉」と似ているので、そう奇抜なわけもないかと思えてくる。
で、さらに考えると、沖縄の人の名前には沖縄特有のものがある。
となると、昔は全国各地で特色のある名前があってもおかしくはない。
それと、「△子」という名前は大正ごろ、子供に教育をさせる余裕のある家庭から一般的になったと、どこかで読んだ。
つまりは名前は時代限定、地域限定ということなのだから、あまり目くじらを立てるべきではないのかもしれませんな。