goo blog サービス終了のお知らせ 

三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

平安時代の結婚

2018年04月19日 | 日記

『源氏物語』では、男が女に歌を送り、女が返し、歌のやり取りをして、そうして女の部屋に夜這いをすることが多いです。
なので、平安時代の結婚とは一夫多妻、通い婚だと思っていました。
しかし、婚礼の儀式があったり、夫婦が同居していたりで、実際はどうだったのかと思い、工藤重矩『源氏物語の結婚』、服藤早苗『平安朝の母と子』『平安朝の父と子』を読んで、その疑問はある程度氷解しました。

・平安時代の婚姻制度は一夫一妻制であった。

平安時代、結婚成立の条件は律令(養老律令)の中の戸令(こりょう)に定められている。そこには婚姻許可の年齢、婚主(保証人)のこと、婚約・婚姻解消の条件、棄妻の条件、その手続き等々が規定されている。また罰則規定である戸婚律には、重婚を犯せば男は懲役一年、女は杖刑一百とも定められていた。それゆえ、法的に妻として扱われるのは一人のみであった。

工藤重矩氏によると、平安貴族の婚姻状況の実態は、一夫一妻多妾の状態でした。
法的な妻は一人だが、妾がいても世間的には容認されるという意味であり、妾が必ずいるとか、多くいるという意味ではない。

配偶者を有する男が複数の女性と夫婦的関係を継続していても、複数の婚姻届を出さなければ重婚として罰せられることはないし、子供も男が認知すれば子としての権利が生じる。
継嗣や遺財処分等に関して、妾やその子の存在を認めた運用規定が存在していた。
その点では現在も平安時代と似ており、平安時代の婚姻制度が現代にまでつながっている。

工藤重矩氏はこのように説明しますが、服藤早苗氏によると「正式に結婚する妻は、道長のように二、三人であることが多い」し、律令の規定が実際に適用されたわけではないそうです。
一夫一妻と一夫多妻、どっちだったんでしょうか。

・最上流貴族の男の最初の結婚は、特別の事情がなければ、親が決める。
親同士が決める正式な結婚は家と家との関係になるので、離婚はきわめて困難だった。
妻は離婚されないかぎり、子の有無や夫の愛情いかんによってその座が左右されることはない。
また離婚しないまま妻が妾に落とされたり、妾が妻に昇格したりすることもない。
妾はあくまでも妾であって妻ではない。

・正式に結婚した妻とそれ以外の女性たちとの間には、妻としての立場、社会的待遇等において大きな差があった。

律令的な意味での妻とそれ以外の女性たちとの間には社会的待遇に明確な区別があり、とくにその子の扱いには、昇進速度や結婚相手等に大きな差があった。

男親の娘に対する扱いの差は、正妻の娘はより重く、妾等の娘はより軽く扱われるのが常である。
父親が気を配って結婚させる場合でも、妾等の娘は一段軽く扱われる。

同居の正妻の子供と、次妻・妾の子供とは、父親としての対応が違っていた。
藤原行成の日記である『権記』に、正妻が出産した子供たちは見えるが、他の女との間に生まれた子供は出てこない。
平安中期の貴族層にあっては、妾や数度の関係しかもたなかった女性が出産した場合、女性が強い意思表示をしないかぎり、男性は父としての自覚をもたず、認知さえしなかった。
天皇の孫でも、母の出自・血統が低いと、貴族の正式の妻になるこさえ難しかった。

・夫婦は同居し、妻以外の女性とは同居しないのが原則である。
貴族は夫が正妻の両親に婿取られ、一定期間、妻の両親と同居する「婿取婚」で、女が嫁として男の両親に嫁取られることはほとんどなかった。

ただし、「婿取婚」とは生涯にわたって夫が妻方に住み、妻の一族として生活することを指すが、平安時代の婿取婚はそのような婚姻形態ではない。
妻のほうに住んでいても、子供は父の姓を名乗る。

同居慣習が広がり、平安中期には貴族層でも夫婦同居が一般的になる。
同居といっても、夫の家にではなく、新婚当初は夫が妻の両親家に住み、一定期間たつと妻の両親と別居する。
あるいは、最初から妻の両親の援助で新婚夫婦が独立して居住する。
家屋の提供者が夫方の父母でも、同居は妻の両親とであり、夫の両親と同一屋敷で同居することは、一般的にない。
夫は妻の実家から援助を受け、妻が死んだ場合、子供は妻の実家で育てることが多かった。
その一方、妻ではない女性には、男の訪れを待つ以外に男と逢う手段がない。

『源氏物語の結婚』は、『源氏物語』など平安時代の恋愛物語の構造を説明しています。
ヒロインの母親がいかなる立場にあると設定するかで、物語の構想は制約を受ける。
妻以外の女性たちと男との関係が、恋愛物語や日記文学の主たる対象となっている。
男親の庇護がないという状態が恋愛物語のヒロインの条件。
なぜなら、両親のもとで大事に養育されている娘には、若い男が容易に近づけない。
正妻の娘を恋の相手として恋愛物語を構想するのはきわめて難しい。
だから、男の恋の相手は正妻ではなく、男親の庇護のない娘という設定になる。
そして、正妻は男に理解のない冷たい女と設定されざるを得ない。
現代の恋愛小説も同じで、相手が家族持ちというような障害があるほうが面白いです。

ちなみに、「妻」は差別語だ、「さしみのつま」は「端っこ」という意味だと言う人がいます。
しかし、「つま」という日本語は、男女を問わす「連れ合い」「パートナー」を意味する古語なんだそうです。


コンゴ民主共和国の100万コンゴフラン

2018年03月14日 | 日記

本を読んだり、映画を観てて、いつもわからんなと思うのは物の値段です。
外国や昔の話だと、高いのか安いのかわからない。

過去の貨幣の価値はネットで調べることができます。
たとえば「日本円貨幣価値換算計算機」で、1902年(明治35年)の1円調べてみます。
GDPを主として用いた物価変動をもとにすると、2016年(平成28年)の3705円
消費者物価指数をもとにすると、2016年(平成28年)の4077円
https://yaruzou.net/historical-prices-1932
外国だと為替がいくらか計算すればいいはずです。
しかし、国民の平均所得や物価が日本と違うし、正規のレートと闇のレートは異なっています。

アラン・ゴミス『わたしは、幸福(フェリシテ)』は、コンゴ民主共和国の首都キンシャサが舞台。
息子がバイクの事故で足を骨折し、手術と治療の費用が100万フランと医者に言われる。
歌手の母親はそのお金がないので、バンドの仲間が寄付してくれたり、貸した金を取り立てるために警官と一緒に金を貸した人のところに行くなど、金集めに奔走する。
それでも12万フラン足りないので、金持ちの家に入り込んで、無理矢理お金をもらう。
ここまでが前半の話。

母親は冷蔵庫(さほど大きくはない)が壊れたので、修理屋に頼んで新品の冷蔵庫を買ってもらうことにします。
修理屋は250ドルを請求し、母親は100ドルと答え、結局150ドルで手を打ち、その場で現金を渡します。
1ドル110円として、冷蔵庫は1万6500円です。
日本と値段はさほど変わらないです。
それにしても、冷蔵庫なら自分が買いに行ったほうが、手数料を払わなくてすむので安くつくように思いますが、コンゴではどういう仕組みなんでしょうか。

100万フランは日本円にするといくらなのか。
調べると、なぜか為替レートがサイトによって違います。

1コンゴフラン=0.1759円
1円=5.69コンゴフラン
1ドル=607.58コンゴフラン
http://currency7.com/ja
1コンゴフラン=0.0680183円
1円=14.7021コンゴフラン
1ドル=1570.50コンゴフラン
http://www.xe.com/ja/currencyconverter/convert/?Amount=1&From=JPY&To=CDF
1コンゴフラン=0.07円
1円=15.13コンゴフラン
1ドル=1616.00コンゴフラン
http://urx2.nu/J3cH

100万コンゴフランは約7万か約17万円となります。
「最新の為替レート計算機」だと、100万コンゴフランは68039.60円。
https://1manen.net/currency.php?amount=1000000¤cy=CDF

ちなみに、コンゴに行った人のブログによると、闇レートは正規レートと大して差はないそうです。
https://ameblo.jp/sekaihirokichi/entry-12183088646.html

キンシャサに住む人の生活実感として、100万コンゴフランはどれくらいなのか。
アメリカ国務省によると、国民1人当たりの年間所得は2010年で約189ドル。
http://urx2.nu/J398
100万コンゴフランは平均年収の数倍以上です。

「平均年収」というサイトによると、日本の平均所は得ここ数年の平均で416万円。
コンゴの平均年収は日本の約20分の1です。
http://heikinnenshu.jp/country/japan.html

フィリピン映画のブリランテ・メンドーサ『ローサは密告された』の冒頭、スーパーのレジ係がお釣りの小銭がないのでアメを渡します。
そして、スーパーで買ってきた食品をローサは自分の小さな店で売るわけです。
フィリピンではこんなことを実際にしているのかと思いました。

ローサは麻薬も売ってて、踏み込んできた警察にローサと夫は逮捕されます。
そして警官たちはローサに20万ペソを要求。
そんな大金はローサにはないので、売人を警察に売ります。
しかし、売人の妻は5万ペソ以上は無理と言うわけです。

1ペソは2.06円ですから、5万ペソは約10万円。
売人なのに10万円が手元にないのかと疑問に思いました。

しかし、フィリピンの平均年収は48万円で、日本の約10分の1です。
20万ペソはほぼ年収に近い金額です。
5万ペソは年収の約10分の1だから、日本だと数十万円になります。

フィリピンの物価は日本の4分の1で、収入は12分の1だから、フィリピン人の生活の大変さは日本の3倍だと、あるサイトにありました。
http://ur0.link/IZDm
おそらくコンゴの生活の大変さはフィリピン以上でしょう。

日本だって高度経済成長期以前は貧しかった。
湯沢雍彦『明治の結婚 明治の離婚』に、明治初年ころ、愛知県の農村に住んでいた人の手記が紹介されています。

村に283戸あるうち、風呂のある家が約30戸で、生涯、川で手足や顔を洗い、一回も湯に入らない人もたくさんいた。
足袋は正月だけはき、ふだんは裸足。
衣類は洗濯せず、破れたらそのままで、おんぼろの綿入れ胴着を着ている人もたくさんいたため、さほど目立たなかった。

戦前の農村は江戸時代と変わらない生活だったと、杉浦正健氏が『あの戦争は何だったのか』に書いていますが、実際そうだったのでしょう。

明治42年(1909)の新聞の投書も引用されています。
妻と子供2人と母の5人ぐらいの鉄工は月に16~20円の賃金を得ていたが、工場を解雇される。
子供がハシカにかかり、医者に連れて行くと、「2円の診察料を出さねば薬はをろか見ても遣らぬ」と言われたが、妻の内職しか収入がなく、2円どころか50銭もない。
明治35年の1円が現在の4000円ぐらいですから、鉄工は月に8万円ぐらいで家族を養っていたわけです。

家賃を払えず、家主から立ちのけと言われている。
「どうしたらよいか何卒御教示を願いとうあります」と、この投書を結んでいます。
この一家はどうなったのかと気になりました。

明治23年(1890)の第1回衆議院議員選挙に立候補した人は選挙費用として6000円を使っています。
衆議院議員の年棒は800円。
湯沢雍彦氏によると、華族と最下層の細民との所得差は数百倍だったそうです。
コンゴやフィリピンどころではなかったということです。


北方領土が返還されたとして

2018年01月18日 | 日記

「北方領土が返還されたとして、インフラが整備されていないところに誰が住むんだ」と北海道の人が言ってて、ええっと思いましたが、北海道だって過疎化が進み、人口が減っています。

現在、北方四島にどれくらいのインフラ整備がなされているか知りませんが、水道、電気、道路、空港、港湾などを日本並みに整備しようと思えば莫大なお金がかかるし、農地や工場を誘致するとすれば補助金が支払われることになるでしょう。
はたしてそれだけのことをして元が取れるのかと思います。

蓮池透さんは、安倍晋三首相は「拉致問題は最重要課題」と繰り返すが、1ミリも動かないと批判しています。

https://mainichi.jp/articles/20180117/dde/012/040/003000c
北方領土返還もホンネではやりたくないのかもしれません。

吉田一郎『国マニア』(2005年刊)は、香港の中国返還にともなう一国二制度について説明しながら、北方領土についても触れています。

日本がロシアに北方領土の返還を本気で要求するなら、返還後の統治形態やロシア系住民の扱いについて、具体的なビジョンを示す必要がある。


①北方領土に一国二制度を導入し、「北方領土特別自治県」に高度な自治権を与える。

②ロシア系住民の永住権や土地所有権を認める。
③日本語とロシア語を公用語とし、教育言語は日本語とロシア語の選択制とする。
④日本国憲法と抵触しない限りにおいて、現行のロシアの法律・条令を引き続き適用する。
⑤北方領土の議会は独自の立法権を有し、ロシア系住民の議席枠を設ける。
⑥北方領土は独自の入国審査を行い、日本人の移住はビザを必要とする。
⑦北方領土の公務員、警官は島民によって構成される。
⑧ロシアの医師免許、弁護士や会計士の資格、教員免許、運転免許などを認める。
こういった具体的な提案がないと、いつまで経っても現実的な交渉はできないはずだと、吉田一郎氏は書いています。

北方四島に住んでいるロシア人のことなど考えていなかったので、この提案にはびっくりしました。

無人の状態で日本に返還されるものと思っていましたから。
2016年の人口は、択捉島が約6000人、国後島約7800人、色丹島約3000人、歯舞群島0人、合計16668人だそうです。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7230a.html
北方四島で生活しているロシア人には何らかの保障が必要です。

それと、北方四島にあるロシア軍基地は、沖縄の米軍基地のように、そのままにしておくのでしょうか。

アフリカでは独立とともに白人を追放し、農地や企業を国有化して経済を壊滅させてしまうケースが多かった。

しかし、ジンバブエでは、ムガベは首相に就任すると、白人の土地を黒人に分け与える農地改革の実施の凍結し、野党と連立政権を組み、白人を大臣に起用し、軍の司令官に白人を留任させるなどして、経済成長を続けた。
ところが、政権協定が切れると、ムガベは独裁色を強め、白人の農地を接収し、白人が激減し、経済は疲弊した。
このように吉田一郎氏は書いています。

仮に北方四島が返還され、吉田一郎案が実現されたとしても、ロシア人と日本人が共存していくのは大変でしょう。

反中デモや反政府デモが起きているように、香港の一国二制度も揺らいでいますし。


強制連行

2017年11月07日 | 日記

在日は勝手に日本に来たんだから、日本が嫌いならさっさと帰れと、ネットに書き込む人がいます。

1910年の朝鮮併合のあと、1910年から1918年にかけて朝鮮総督府は土地調査による土地所有権の確認を行い、届け出のなかったことを理由に、村の共有地や全耕作地の半分以上、山林を官有地として接収しました。
そして、その一部を東洋拓殖会社(1908年設立)や日本人などに安い値段で払い下げています。
そのため、1919年には農民の約77%が自小作農・小作農になり、土地を奪われた朝鮮人の中には、職を求めて満州や日本に移る者が増えました。

強制連行によって日本に連れて来られた人も大勢います。

伊藤智永『忘却された支配』は、戦時中、日本各地の鉱山、発電所、鉄道、港湾、軍事施設の工事・作業現場に、朝鮮から強制連行して働かされた現地をレポートしたものです。

朝鮮から約80万人の朝鮮人が強制動員された。

軍人・軍属は約36万人。

朝鮮人が自分から応募した「募集」は1939年に始まった。

募集の実態は、日本政府が時期・地方ごとに「調達人数」を決め、各企業の労務担当者が現地に出張し、各地の警察組織を通じて、表向きには朝鮮人役職者たちが、集落ごとの指名や割り当てといった形で頭数をそろえ、強圧的に出頭させ、集団で内地に連れ帰った。
1940年には過酷さが知られて集まらなくなり、行政と警察が強圧的に集めた。

1942年から、朝鮮総督府が動員を受け持つ「官斡旋」という制度に切り替わり、老人や病弱者まで連行された。

1944年からが「徴用」、法律に基づく強制連行がなされた。

中国人の強制連行は1944年から本格化した。

3万8935人が連行され、鉱山、土木建設、造船、港湾荷役などで労役を課せられ、6830人が死亡した。
具体的数字が明らかなのは、敗戦後、連合国側からの追及に備え、詳細な実態調査を行なったからである。
1993年、NHKの取材で報告書が世に出たことによって、損害賠償請求訴訟が提起された。

戦後、「徴用」「雇傭」ではなく、あえて「強制連行」と呼ぶのは、有無を言わさず行かされた実態を表すためである。


国の「募集」「斡旋」とはいえ、民間会社が雇用した形だった。

民間業者が労働者を大がかりに移動させ、使い回していた。

炭坑では、女は男より賃金が安く、朝鮮人は女よりさらに安かった。

逃亡は数知れず、ほとんどは捕まって半死半生、時には殺された。

北海道の炭坑から鹿児島の万世に移動させられた朝鮮人は、一度に750人が貨車に詰め込まれ、5日がかりで運ばれた。

すし詰め状態だったため、万世駅に着いた時は、貨車から降ろされてもほとんどの人がすぐには歩けなかった。
低劣な環境で長距離を移動させられた飢えと疲労が、犠牲者を多く出した原因になった。
まるでナチスの強制収容所に送られるユダヤ人のようです。

ただし、朝鮮人戦時動員のすべてが強制連行だというわけではないそうです。

無理強いされたと思っていなかった人、日本での生活はおもしろかったと回想する人、仕方なかったと語る人もいるとのことです。
とはいっても、なぜ多くの朝鮮・韓国人が日本にやって来たのか、その歴史を知らずに「帰れ」と言うのは何なのかと思います。


「衆院選 揺れる日の丸、かき消される「アベやめろ」 首相の「アキバ演説」で見えたもの」

2017年10月29日 | 日記

衆議院選挙で自民党は284議席を獲得し、安倍内閣は信任されたことになりました。
安倍内閣の支持率より不支持率のほうが高かったのに、圧勝するのも不思議な話です。
議席を維持した原因は、麻生財務相の考えでは「明らかに北朝鮮のおかげもありましょうし」です。
投票率が戦後二番目に低い53.68%だったこともありますが、これは台風と雨のおかげかもしれません。
安倍首相は強運の持ち主です。

そして、「安倍政権を倒す」と言いながらリベラル候補を排除し、立憲民主党の候補に刺客を立てるなどして、野党勢力を分裂させた小池・希望の党のおかげ。
裏読みすれば、憲法改正をもくろむ小池百合子の深謀遠慮かもしれません。
となると、小池百合子の自民党復党はありえます。
そして、野党第1党を解体した前原・民進党のおかげ。

公明党の力も大きいです。

議席数からすれば自民党の単独政権でいいはずなのに、なぜ公明党と連立を組むのか。
公明党の比例代表の得票数は6,977,712票、得票率は12.51%です。
2014年(投票率52.66%) 7,314,236票 13.71%
2012年(投票率59.32%) 7,116,474票 11.83%
創価学会の信者数は公表されていませんが、約542万人だそうです。
確実に1割の得票を計算できる公明党支持者=創価学会信者の票がなければ自民党は議席を減らしたはずです。

かつて公明党は平和・護憲の党でした。

1988年に出版された創価学会婦人部平和委員会編『まんが・わたしたちの平和憲法』という本があります。
第6章のとびらに「いま憲法(特に第九条)が変えられる動きがあります。一人ひとりが憲法に関心を持ち、第九条の平和の心を守っていきましょう」と書かれています。
http://seoul-life.blog.jp/archives/62149212.html
今は権力という魔にとりつかれ、自民党の言いなりになっている公明党の皆さんに読んでいただきたい。

自民党の日本国憲法改正草案は大日本帝国憲法の復活を目指しています。
http://constitution.jimin.jp/draft/
すなわち、日本国憲法の三本柱の改変です。
・国民主権→天皇主権
・基本的人権の尊重→基本的人権の制限
・平和主義→軍備増強・国防軍の設置

自民党の日本国憲法改正草案についての平川正信名古屋大学名誉教授の説明をまとめました。
・立憲主義
現行憲法の前文は、「日本国民は」という言葉で始まる。
改憲案の前文は、「日本国は」で始まり、国家が憲法の主語になっている。
現行憲法では「国民が憲法で国家を縛る」ことは明確だが、改憲案は「国家が憲法によって国民を縛る」という性格が強くなっている。

・国民主権

改憲案では、前文に日本国は「天皇を戴く国家」とあり、第一条で天皇は「元首」になっている。
これは国民主権の弱体化。

・基本的人権の尊重

現在の13条は「すべて国民は、個人として尊重される」と規定している。
改憲案では「人として尊重される」という文言になっている。
「個人として尊重される」というのは、一人ひとりの人間を個性と人格を持った存在として尊重しますという意味になるが、「人として」だと個人の尊重が弱まる。
人権保障に関しては、「公益及び公の秩序に反してはならない」という制限が出てくる。
何が「公益」で、何が「公の秩序」なのか、人権を制約する法律を作るときには立法者が判断することになる。
多くの場合、法案を作るのはは内閣だから、政府がこういうことは公益に反するとして禁止する法案を作り、それを国会が認めれば、禁止できることになる。

・平和主義

9条が置かれている第2章のタイトルが、現在の「戦争の放棄」から「安全保障」に変えられている。
9条1項は現在と大きくは違わないが、2項は「戦力の不保持」と「交戦権の否認」の規定から、「自衛権の発動を妨げるものではない」という自衛戦争を認める規定に変えられている。
さらに9条の2、9条の3という、新しい条文が付け加えられている。
9条の2では「国防軍を保持する」(2項)とされている。
国防軍は自衛戦争ができるだけではなくて、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」(3項)、すなわち国際的軍事行動も行うことができるとされている。
そして、国防軍の活動のために国防軍の組織や秘密保護に関する軍事法制を整備する(4項)こととされ、それに違反した者を裁判する「審判所」という特別の裁判所を国防軍の中に置く(5項)ものとされている。
9条の3では、国は「国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」と規定されている。
国民は国に協力して国防に当たらなければならないことになり、徴兵制の根拠にもなりかねない。

フランスのル・モンド紙10月20日の電子版に「安倍晋三、受け継がれし歴史修正主義」という特集記事で、安倍首相の歴史修正主義の危うさを指摘しているそうです。

安倍氏は歴史修正主義者である。たとえば、彼の礼賛する憲法改正は、日本の帝国主義の復興を目指し、1930年代初頭から第二次世界大戦終戦までの日本軍が犯した残虐行為の数々を過小評価ないしは否定しようとする広大な企てのなかの一つだ。

http://lite-ra.com/2017/10/post-3538.html
安倍首相は大日本帝国憲法を復活しようとしているわけで、もっともな指摘です。

片山杜秀『近代日本の右翼思想』によると、右翼は現在に不満を持って現在を変えてしまいたいと考え、失われた過去(事実ではなくイメージにすぎないかもしれない)を志向するということです。

http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/fb66abb001cedb5491b84ff2407f6aa8
戦前の日本に回帰しようとする安倍首相は右翼だということになります。

「衆院選 揺れる日の丸、かき消される「アベやめろ」 首相の「アキバ演説」で見えたもの」(毎日新聞10月22日)で、10月21日夜、秋葉原での演説会の映像を見ることができます。
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20171024/dde/012/010/002000c
無数の日の丸の旗、「安倍晋三」コールをどのように感じるか。
逢坂巌駒沢大准教授は「ナチスを生んだ戦前のドイツが頭をよぎりました」と語っています。
私も不気味さを感じました。


首相、籠池被告を「詐欺働く人物」 「無罪推定」どこへ

2017年10月17日 | 日記

産経・FNN合同世論調査(10月14、15両日)
・安倍晋三内閣を支持するか(カッコ内の数字は9月16、17両日の前回調査結果)
支持する  42.5(50.3)
支持しない 46.3(40.0)
他     11.2(9.7)
・首相が衆院を解散したことを評価するか
評価する  22.7
評価しない 69.0
他     8.3
・衆院選の比例代表で、どの政党に投票するか
自民党   32.9
希望の党  15.0
立憲民主党 14.6
・選挙区で、どの候補に投票したいか
与党の候補    39.5
野党の候補    27.4
http://www.sankei.com/politics/news/171016/plt1710160071-n1.html

ところが、毎日新聞(10月16日)によると、自民党は単独で300議席を超える可能性があるとあります。
安倍内閣を支持しない人のほうが多いし、自民党候補に投票するのは比例代表で32.9%、選挙区で39.5%なのに、どうして3分の1近い議席を獲得するか不思議です。
選挙制度がおかしいとしか思えません。

毎日新聞の全候補者アンケートによると、森友・加計問題への安倍首相と内閣府、文部科学省などのこれまでの説明が十分だったという質問に、自民党候補者は65%が「十分だ」ですが、「不十分」が21%もいます。(10月14日)
安倍首相は森友問題についてどのように考えているのでしょうか。
 


10月11日の「報道ステーション」で、後藤謙次氏が「森友問題では交渉経過を総理の指示によってもう一度検証する、あるいは加計問題については認可問題をゼロに戻すというような決断をされる、そういうお考えはないんでしょうか」という質問に安倍首相がこのように答えています。(23分15秒ぐらい)

あの、まず森友学園の問題なんですが、私が一回もお目にかかっていないということは、これははっきりしています。私が一切指示していないことも明らかになっています。うちの妻が直接頼んでいないということも明らかになっていると思います。で、あと問題は松井さん(日本維新の会)が言われたようにですね。籠池さん自体が詐欺で逮捕され、起訴されました。これはまさにこれから司法の場に移っていくんだろうと思います。値段が適正であったかどうかもですね、財務省が、これは民間の方から訴えられているわけですから、捜査当局が明らかにしていくんだろうなと思います。こういう詐欺を働く人物の作った学校でですね、妻が名誉校長を引き受けたということは、やはり問題があったと。やはりこういう人だから騙されてしまったんだろうと、こう・・・。

私たち夫婦は詐欺師に騙された被害者なんだ、ということです。
ちなみに松井大阪府知事は、森友問題、加計問題、ともに問題ではないという認識です。

「騙されたんだ」という安倍首相の話が続いているのに後藤謙次氏がさえぎり、「総理。結局ね、総理がきちっと結果を出すようなけじめをつけないかぎり、また延々と続いていくんじゃないですか」と質問をするわけです。

それに対して、今度は中野正志日本のこころ代表が「選挙に利用しようとしているからだけですよ」と口をはさんで話が違う方向に流れ、後藤謙次氏の最初の質問には答えないままうやむやになりました。
後藤謙次氏がさえぎらなかったら安倍首相は籠池泰典氏についてどういうことをしゃべったんでしょうか。
聞くことができなくて残念です。

このあと、安倍昭恵氏付きだった谷査恵子さんの話になり、安倍首相が必死で説明しているのにCMとなってしまいました。
安倍首相に話をさせてあげればよかったのに。

籠池泰典氏は詐欺罪などで起訴されましたが、裁判の判決は出ておらず、安倍首相の「詐欺を働く人物」という発言は「無罪推定の原則を無視した」と批判されています。

たとえば元検察官で弁護士の郷原信郎氏は以下のようにきつく批判しています。

「籠池氏は詐欺を働く人間。昭恵も騙された。」は、“首相失格の暴言”
籠池氏は、森友学園が受給していた国土交通省の「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」の不正受給の事実についての詐欺罪で逮捕され、起訴された。しかし、刑事事件については、「推定無罪の原則」が働く。しかも、籠池氏は、その容疑事実については、完全黙秘を貫いていると報じられている。その籠池氏の公判も始まっておらず、本人に言い分を述べる機会は全く与えられていないのに、行政の長である総理大臣が、起訴事実が「確定的な事実」であるように発言する。しかも、安倍首相は、憲法の趣旨にも反する、不当極まりない解散(【“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」】)を、総理大臣として自ら行った。それによる衆議院選挙が告示された直後に、自分の選挙を有利にする目的で行ったのが昨夜の放送での発言なのである。安倍首相は「丁寧な説明をする」と言っていたが、それは、籠池氏が詐欺を働いたと決めつけることなのか。
法務大臣には、個別の刑事事件に関しても、検事総長に対する指揮権がある(検察庁法14条但し書き)。その法務大臣に対して、閣僚の任免権に基づき、指揮を行うことができるのが総理大臣だ。そのような「行政の最高責任者」が、司法の場で裁かれ、判断されるべき籠池氏の詐欺の事件について、「籠池さんは、詐欺を働いた」などとテレビの総選挙に関する党首討論で、言い放ったのである。法治国家においては、絶対に許せない「首相失格の暴言」だ。

https://nobuogohara.com/

憲法についてあまり理解していないような安倍首相は、無罪推定の原則が憲法で保障されていることをご存じないかもしれません。

それとも、第31条「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」も改正しようと考えているのでしょうか。

安倍首相の籠池泰典氏への評価ですが、2017年2月17日の衆院予算委員会の質疑によると、ちょっと違ってます。
 

安倍昭恵夫人の森友学園の小学校の名誉校長就任について承知しているか質問されたことへの答え。(19分36秒)

事実についてはですね、事実はうちの妻が名誉校長になっていることについては承知をしておりますし、妻からですね、森友学園ですか、の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いております。


「安倍晋三記念小学校」への寄付集めをしていることを知っているかという質問への答え。(24分5秒)

うちの妻が知っておりまして、その中でいわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね、その方から、小学校を作りたいんで『安倍晋三小学校』にしたいという話がございましたが、私はそこでお断りをしているんですね。


谷査恵子さんはイタリアの日本大使館の1等書記官に赴任しています。
ノンキャリアとしては異例の大出世とのこと。
佐川理財局長は国税庁長官に昇進しています。

加計問題についても似たり寄ったり。

加計文書開示請求で、内閣府と文科省が「10月23日に開示する」と回答していたそうです。
つまり、選挙の翌日です。
21日に開示したら、選挙はどういう結果になるか。
http://blogos.com/article/253000/

田中龍作ジャーナルによると、文科省の大学設置審は衆院選投票日翌日の23日にも加計学園・岡山理科大学獣医学部の設置を認可する方向で最終調整に入ったそうです。
http://tanakaryusaku.jp/2017/10/00016799

自民党が議席を維持すれば、安倍内閣は信任されたことになります。
森友・加計問題もうやむやのままになるでしょう。
それでいいのでしょうか。

もう一つ、毎日新聞の「開かれた新聞委員会」(10月17日)に池上彰氏がこういうことを言っています。

例えば差別や朝鮮半島の問題には、歴史認識の甚だしい分断がある。ある私立大の期末試験問題で「日本あるいは世界が抱える最大の問題は何か。その問題について論じなさい」と出したら「日本が在日によって支配されているのが最大の問題」とまじめに書いた学生がいた。
別の大学では授業の後、学生から「日本のメディアが在日によって支配されているのは本当ですか?」と質問された。

https://mainichi.jp/articles/20171017/ddm/010/040/065000c

いやはや、驚きです。

若い人は、憲法が改正されて国防軍ができ、徴兵制が敷かれ、そして自分が戦地に赴くことになるかもしれないと考えているのか、聞いてみたいです。 


希望の党は「希望」なのか

2017年10月04日 | 日記

「希望の党」は希望だと思っている人がいるかもしれませんが、ボロが出てきています。
ネットで拾ったニュースのあれこれです。

希望 協定書、急造の踏み絵
◇ある候補者「来ていないが、1次公認を出すと…」と
 「今回発表した方は全員、政策協定にサインした方だと理解していただいて結構だ」
 希望の党が衆院選第1次公認を発表した3日、記者会見の席上で民進党の玄葉光一郎総合選対本部長代行はこう説明した。
 だが、ある候補者は「政策協定書なんて来ていないし、公認申請書も出していない。それでも1次公認を出すと言われた」と漏らす。民進系の候補を排除するために自前の候補擁立を急いだ選挙区もあることが透ける。
 希望の党が候補者に署名を求めた政策協定書では「憲法改正論議を幅広く進める」などの政策項目のほか「党に資金提供をする」との一文も目を引く。この候補者のもとには同日、1次公認の連絡とともに立候補の供託金300万円と党への寄付金100万円を午後3時までに振り込むよう求めるファクスも届いた。「ひどいよ。振り込め詐欺に遭っているみたいだ」(毎日新聞10月4日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171004-00000003-mai-pol

しんぶん赤旗9月30日付の記事によれば、小池代表は、民進党を離党して希望の党の公認を希望する前議員に対し、公認申請料として300万円、それ以外に党への寄付金200万円の計500万円を振り込むよう求めていたという。また、日本経済新聞(10月2日付)は、1日に開かれた都内での候補予定者向けの会合で、側近の若狭勝氏が「皆さんは公認内定者だが、今後の調整次第で内定取り消しもある」と述べ、小選挙区と比例代表の重複立候補を望む新人に対し〈供託金や党への寄付金など計700万円をすぐに用意するよう要求し、出席者からは困惑の声があがった〉と報じている。(リテラ10月3日)

http://lite-ra.com/2017/10/post-3487.html

民進、希望に7.6億円か 立憲民主にも
 民進党が、希望の党への公認申請者や立憲民主党からの出馬予定者を含む衆院選全立候補予定者に対し、前職に2千万円、元職と新人に1500万円の政治活動資金を供与していたことが3日、分かった。希望の党は、公認を受ける場合は1人当たり400万~700万円の拠出を求めており、民進党への政党交付金を実質的に還流させる手法とみることができる。
 民進党には現在、100億円以上の内部留保金があるとされる。希望の党は「民進党が持っている政党交付金をもらうということは絶対にない」(若狭勝前衆院議員)としてきた。
 複数の関係者によると、民進党から2日、前職の個人口座に1500万円、支部長を務める党支部の口座に500万円が振り込まれた。元職と新人には個人口座に1千万円、支部口座に500万円が入金された。
 希望の党が衆院選の公認申請者に署名を求めている「政策協定書」には「党に資金提供をすること」という異例の規定がある。
  関係者によると、希望の党は「資金」として1人当たり100万円の提供を求めているほか、供託金(単独立候補者300万円、重複立候補者600万円)を納めることも求めているという。民進党から振り込まれた資金の一部が希望の党への移籍の「支度金」に充てられているとみることができる。
  希望の党が3日に発表した第1次公認192人のうち、民進党出身者は110人(重複立候補109人、比例単独1人)で、7億6700万円前後が“上納”されることになる。(産経新聞 9月4日)

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6256239
金目当てと思われても仕方ありません。

「安倍政権を倒す」ということでしたが、そうでもないようです。

小池氏容赦なし!枝野氏、長妻氏に続々「刺客」投入
 小池氏と対立関係にある候補者には「刺客」をぶつけた。(略)
 立憲民主党代表に就任した埼玉5区の枝野幸男氏には、弁護士の高木秀文氏(44)、同党に参加した東京7区の長妻昭氏には、小池氏の懐刀で「都民ファーストの会」代表に就任した荒木千陽都議の父、荒木章博氏(63)が投入された。(日刊スポーツ10月4日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171004-00019177-nksports-soci
野党を結集しようという気がないわけです。


「希望の党」の政策はどのようなものでしょうか。

協定書があります。(時事通信10月3日)

希望の党 小池百合子代表殿
政策協定書
 私は、希望の党の公認を受けて衆院選に立候補するに当たり、下記事項を順守すること、当選した場合には希望の党の所属する会派に所属して国会活動を行うこと、希望の党党員として政治活動を行うことを誓います。
 記
 1、希望の党の綱領を支持し、「寛容な改革保守政党」を目指すこと。
 2、現下の厳しい国際情勢に鑑み、現行の安全保障法制については、憲法にのっとり適切に運用する。その上で不断の見直しを行い、現実的な安全保障政策を支持する。
 3、税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)を徹底し、国民が納める税の恩恵が全ての国民に行き渡る仕組みを強化すること。
 4、憲法改正を支持し、憲法改正論議を幅広く進めること。
 5、国民に負担を求める前に国会議員が身を切る改革を断行する必要があること、および、いわゆる景気弾力条項の趣旨を踏まえて、2019年10月の消費税10%への引き上げを凍結すること。
 6、外国人に対する地方参政権の付与に反対すること。
 7、政党支部において企業団体献金を受け取らないこと。
 8、希望の党の公約を順守すること。
 9、希望の党の公認候補となるに当たり、党に資金提供をすること。
 10、選挙期間が終了するまで、希望の党が選挙協力の協定を交わしている政党への批判は一切行わないこと。
  年 月 日
 第48回衆院選 立候補予定者(署名欄)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017100300947&g=pol
「憲法改正」といっても、どこをどのように変えるのかわかりません。
憲法第1章「天皇」を削除するのでしょうか。
これでは金額の書いていない小切手を振り出すようなものです。
こんな文書に署名する人が政治家と自称しているわけです。

政策協定書では「原発ゼロ」には触れていません。

小池代表“原発ゼロ”に改めて言及も…
希望の党の小池代表は3日、「消費税の使い道の細かい話より、大きなテーマを国民に問うべきだ」と述べ、衆院選の重要なテーマとして改めて“原発ゼロ”を挙げた。「2030年をめどに、どうフェードアウトしていくか考える」としているが、原発の再稼働については「規制委員会が総合的に判断されている再稼働に、異存を唱えることはない」と述べた。(テレビ朝日10月4日)

https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20171003-00000051-ann-pol
「原発ゼロ」もどうなることやら。
森友・加計問題はどのように考えているのか聞きたいです。

<衆院選>民進系、選別 はや当落 希望の党が公認発表
公認されながら無所属での出馬を検討する候補者もいる。
 長野1区で希望の党公認に決まった前職、篠原孝元副農相(69)は3日、長野市内で記者会見し、「支持者と話し合い、明日までに対応を決めたい」と述べ、無所属での立候補を含め検討することを明らかにした。
 篠原氏は、希望の党から求められた政策協定書を提出していないことを説明し、「個人に『踏み絵』を踏ませるなんておかしい」と批判。公認された理由について、「僕の知るところではない」と述べた。(毎日新聞10月3日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171003-00000112-mai-pol
いったい何なのかと思います。

足元で反乱が。

<都民ファースト>離党検討2都議「国政進出理解できない」
 東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」からの離党を検討していた音喜多駿(おときた・しゅん)、上田令子両都議が3日、毎日新聞の取材に応じ「(都民ファーストの中では)都民のために働けない」と、離党することを明言した。両都議は5日の都議会定例会閉会後に離党届を提出する。
 音喜多氏は、小池氏が国政政党「希望の党」を設立したことに言及し「豊洲市場への移転や五輪・パラリンピックなどの都政課題が山積する中で、『国政進出』することは理解できない」と理由を説明。また、所属議員が個別取材に応じることを制限するなど、党内に厳しい「情報統制」があることも批判した。
 上田氏は、都民ファーストが所属都議に対して都議会での文書質問や資料要求をしないよう求めたことなどを理由に挙げ、「質問権や調査権を奪われれば都政改革は進まず、都民のための仕事もできない」と述べた。
 また、両都議は希望の党について「理念も政策も違う人たちが集まり、選挙目当ての野合としか思えない」などとして、衆院選では候補者を支援しないことを明らかにした。(毎日新聞10月3日)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171003-00000116-mai-pol

「都民ファーストの会」離党意向の音喜多都議、党の実態暴露「同じ穴のむじなに」
 音喜多氏は、都議会選後の都民ファーストの会の代表選出方法も疑問を持っていたとし「情報公開でいつどこで誰が何を決めているか分からない都政を打破すると言っていたのが我々だったんですが、同じ穴のむじなになってしまったと感じています」と批判した。
 さらに都民ファーストの会が都議のメディア出演などを規制していたことなどを問われると「私に関してはメディア出演は厳しく規制されていて、事実上、出られない状態。新人の議員とご飯を食べに行ったりしようとしたりすると、分派活動、派閥作りの行動と厳しく呼び出され叱責された」などと党の役員から呼び出されていたことを暴露していた。(スポーツ報知10月4日) 

http://www.hochi.co.jp/topics/20171004-OHT1T50054.html

米山隆一新潟県知事のツイッター

離党にお怒りとの事ですがなんと都民ファースト内部では都議同士の会食や宴会が公式には禁止されていたとの事ですから、そりゃ普通の人なら辞めるだろうと思います。そんな事は俺の自由、党から言われる事じゃないと思うのが普通の人間でしょう。5:14 - 2017年10月3日

つまりはブラック企業だった、ということです。
笑顔で「排除いたします」と言う人がトップの組織はやめといたほうがいいようです。

もちろん、やっぱり安倍・自民党がいい、というわけではありません。


安倍・自民党と小池・希望の党はどっちが最悪か

2017年10月01日 | 日記

我が家で、今度の衆議院選挙には誰に投票したらいいかという話になりました。
妻は「安倍は絶対イヤ」と言います。
私も同感ですが、希望の党なんかに投票する気はありません。
息子は「共産党候補に投票したいが、当選しないのは分かっているから、票のムダになる。だったら自民党しかない。自民党のほうが希望の党よりましだ」と言いました。
よりよい政治を求めての選択ではなく、最悪を避けるための選択です。

9月25日、NHK「ニュースウオッチ9」で安倍首相がインタビューに答えています。

 
小池百合子氏について「選挙戦では脅威になるんではないでしょうか」という質問(13分30秒あたり)

小池さんはですね、かつて第一次安倍政権の安全保障担当の補佐官を務めていました。また第一次安倍政権で初の女性の防衛大臣も務めていただいた。ということで、安全保障政策理念においてはあまり変わりがないんだろうと思います。


憲法改正について「今回の解散で目指していることが遠のいてしまうという懸念は持たれなかったですか」という質問(17分5秒あたり)

与党だけですね、発議できると私も考えてはいません。できるだけ多くの方々、多く党のですね、賛成を得たいと考えています。小池さん自体もですね、憲法改正には前向きなのではないかと、このように思いますし、維新の会もですね、憲法改正には前向きなんだろうと、このように思います。そういう面におきましては、改憲について前向きな党自体についてはもしかしたら増えていくのかもしれないと思っております。

安倍首相は小池・希望の党に対して危機感は持っていないようです。
主義主張が同じなんですから、当然と言えば当然。

小池百合子氏は、2000年、当時は保守党でしたが、衆院憲法調査会で「いったん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく」と言っています。
小池百合子氏のツイートです。

本日、サンフランシスコ講和条約発効日である4月28日を主権回復記念日として祝日とする議員立法を総務会で承認し、衆議院に提出いたしました。祝日が多すぎるというなら、借り物の憲法記念日5月3日を祝日から外します。
6:59 - 2011年8月26日

https://twitter.com/ecoyuri/status/107089711591469056?lang=ja

希望の党は原発ゼロという政策を掲げています。

しかし、「Voice」(PHP研究所)2003年3月号所収の「日本有事 三つのシナリオ」という田久保忠衛、西岡力両氏との鼎談記事で、小池百合子氏はこう発言しています。

軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうるのですが、それを明言した国会議員は、西村真悟氏だけです。わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安部晋三官房副長官も言論封殺に遭ってしまった。このあたりで、現実的議論ができるような国会にしないといけません。

http://archive.is/mNuk1#selection-37.0-37.11
核武装を考えている人が原発ゼロという主張をするなんてあり得ません。

NORI.T‏ @o_kaa
スゴイな、小池知事。希望の党 を反原発に見せかけるため『日本も核武装の選択肢は充分ある』と明記していた自身の公式サイトをキレイに消してしまってる。保守系の原発推進派の票より、無党派層の脱原発票の方が多いと計算しているのか…また騙される人が多そう。
2:55 - 2017年9月26日

https://twitter.com/i/web/status/912616626557554688
ネットを見ると、原発ゼロを評価している人もいますが、騙されていると思います。

DJ Karaage粉‏ @adisomak
小池が「脱原発」言い始めるの狡猾すぎてウオオってなる。極右の底力見た感じする。良心とか倫理観が欠落してる超タカ派ってここまでできるんだな。すごい。「脱原発」って言えばついてくる層がいるとなめられてるのだけでもしんどいのに、実際またしてもついてく人がいるらしいからしんどさ爆増。
18:39 - 2017年9月27日

https://twitter.com/adisomak/status/913216646738731008

こんな人が代表をしている希望の党と民進党は合流しました。

しかし、実質は吸収です。

「リベラル派は排除する」希望・小池百合子代表が明言
 新党「希望の党」代表の小池百合子東京都知事は29日の記者会見で、希望の党からの出馬を望む民進党の立候補予定者の絞り込みについて、「リベラル派を『大量虐殺』するのか」と問われ、「(リベラル派が)排除されないということはない。排除する」と言い切った。
 その上で、小池氏は「安全保障、憲法観といった根幹部分で一致していることが、政党構成員としての必要最低限」と重ねて強調した。(産経新聞9月29日)

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6255738

「リベラル派」とは「自由主義。転じて、進歩的な政治思想を指す場合が多い」と辞書にあります。

橘玲氏による「リベラル」の説明です。

近代というのは、政治思想的には、「自由」「平等」「人権」「民主政」などを至上の価値とする社会です。(略)
リベラル(自由主義)は「近代の理念」の実現を純粋に求める立場で、もともとは封建制(王政)への回帰を目指す反動勢力とのたたかいのなかで生まれました。その意味では、日本を含む先進諸国の政治思想はすべてリベラルです。

http://www.tachibana-akira.com/2013/10/6085
ネトウヨは「リベラル」や「人権」を嫌います。

ネットで勝手なことを書き散らすことができなくなるほうがいいのでしょうか。

小池百合子氏の「安全保障、憲法観といった根幹部分で一致していることが、政党構成員としての必要最低限」との発言ですが、だったら安保法案に反対した議員は入党させないことになります。

希望の党への合流に賛成した民進党議員は、現在、安保法案についてどう思っているんでしょうか。

布施祐仁 @yujinfuse
民進党の前原代表、両院議員総会で「安保法制は憲法違反。憲法違反の法律を認めたら国家の土台が崩れる」とはっきり言いましたね。であれば、安保法制賛成の希望の党とは一緒に政権作れないと思うのですが…。
22:15 - 2017年9月27日

https://twitter.com/yujinfuse/status/913270880494526464
私としては、恥を知れと言いたい。

「早く料亭に行ってみたい」で有名になった元衆院議員の杉村太蔵氏は、年収が1億円を超えており、1回80万円の講演会を1年間で72回もしているそうです。
現在の肩書きはタレントだそうですが、「早く料亭に行ってみたい」などの発言で注目されなければタレントにはなれなかったでしょう。

それにしても、80万円も出してまで話を聞きたいということが私には理解できません。
http://www.sanspo.com/geino/news/20170819/geo17081915460018-n1.html

小選挙区制になって、有象無象が当選するようになり、問題発言・行動をしばしば見受けます。
「大阪維新の会」不祥事リストというサイトがあります。
https://matome.naver.jp/odai/2144437261638147701?page=1

衆議院選挙の比例代表で、自民党に投票する人が24%、希望の党に投票する人が14%です。
議員になりたいだけの人が大量当選しそうです。

9条改正に反対する人、脱原発に賛成の人、北朝鮮に対して対話による外交努力を強めるべきだと考える人は、逆の人よりも多いんだから、こうした人が投票したくなる政党なり候補者があればと、いつものことですが思います。


日本は景気がいいのか

2017年09月29日 | 日記
茂木経財相、景気回復期間「いざなぎ超えた可能性高い」 
茂木敏充経済財政・再生相は25日午後の記者会見で、国内景気について「戦後2位のいざなぎ景気(1965年11月~70年7月の57カ月)を超える景気回復の長さになった可能性が高い」との認識を示した。
政府が同日にまとめた9月の月例経済報告では、国内景気の基調判断を「緩やかな回復基調が続いている」とし、3カ月連続で据え置いた。今月も回復すれば、2012年11月から58カ月と「いざなぎ景気」を上回り、戦後2番目の長期回復局面となる。(日本経済新聞2017年9月25日)

土木、建築関係の仕事をしている人の話だと、仕事はいくらでもあるそうです。
しかし、景気がいいという実感がないという人は多いと思います。
実際、賃金労働者の4割、女性は58%
が非正規だそうですし、貧困率は相変わらず高いです。
http://www.garbagenews.net/archives/1954673.html

ネットを見てたら、「各国のGDP推移(1995年を100とする)」の表がありました。
http://i.imgur.com/VVt4VL1.png

  
1995年 → 2015年
中国 100 → 2001.56
インド 100 → 766.16
ルーマニア 100 → 624.14
ロシア 100 → 507.39
韓国 100 → 322.14
アメリカ 100 → 301.71
イギリス 100 → 298.35
イタリア 100 → 199.75
フランス 100 → 193.50
ギリシャ 100 → 180.65
ドイツ 100 → 167.21
日本 100 → 99.31
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52012

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/1001/shiryou_03_1.pdf


名目GDPが20年間で下がっているわけで、これでは景気がいいとはとてもじゃないけど言えません。

ただし、名目GDPは物価の変動を受けるので、単純に諸外国は景気がいいが、日本は不景気だということでもないそうです。

それと、日本の名目GDPの推移です。
1992 3,898,138
1993 4,467,123
1994 4,907,582
1995 5,450,805
1996 4,834,019
1997 4,415,715 
 ・
 ・
 ・
2008 5,037,910
2009 5,231,384
2010 5,700,099
2011 6,157,460
2012 6,203,213
2013 5,155,716
2014 4,848,733
2015 4,382,420
2016 4,938,644
https://www.globalnote.jp/p-cotime/?dno=8860&c_code=392&post_no=1409

1995年の名目GDPはその前後よりも高かったのに対し、2015年は逆に低かったわけで、2002年と2012年を比較すれば数字は違ってきます。
1992年を100とすると、2012年は159.13です。
どの年度の数字を比較するかで違ってくるわけです。

もっとも、民主党政権は2009年9月から2012年12月までです。
民主党政権では名目GDPが増えたのに、安倍政権になってからは下がり続け、ようやく2016年に盛り返したわけです。

アベノミクスの効果があったとは言えないようです。
ところが、安倍首相はアベノミクスに自信を持っているらしく、9月19日、ニューヨークで「アベノミクス」をアピールして対日投資を呼びかけています。
http://www.sankei.com/politics/news/170920/plt1709200006-n1.html
今度の衆院選で、景気の浮揚を求める人は安倍自民党には投票しないほうがいいと思います。

(追記)
名目GDPについてはこの記事をごらんください。
http://blog.monoshirin.com/entry/2017/10/12/184218

『マガジン9条』(2017.10.11)に雨宮処凛が「安倍政権の5年間を、『生活』から振り返る」を書いています。
http://maga9.jp/karin171011/
安倍政権の5年間で、貯蓄ゼロ世帯が激増した。
「家計の金融行動に関する世論調査」を見ると、単身世帯で貯蓄ゼロは33.8%。13年は37.2%、14年38.9%、15年47.6%、そして16年が48.1%と増えている。
2人以上の世帯では、12年に26.0%だったのが、16年には30.9%まで増えた。

「金融資産保有額」の中央値も下がっている。

単身世帯では12年で100万円が、16年では20万円まで下がった。
80万円も中央値が下がっている。
2016年の国民生活基礎調査によると、「生活が苦しい」と感じている世帯は56.5%。
ちなみに母子家庭では82.7%、児童のいる世帯では61.9%が「生活が苦しい」と回答している。

2012年の全体の貧困率は16.1%、子どもの貧困率は16.3%が、今年6月に発表された2015年の貧困率は全体で15.6%、子どもの貧困率は13.9%と下がった。
しかし、貧困ラインそのものが下がったこと、つまり全体が地盤沈下したからこそ、貧困率が改善したという見方もある。

格差もより開いている。

国税庁の調査によると、2016年の平均給与の差は、正社員と非正規で315万円の差がある。
正社員の平均給与487万円に対し、非正規は172万円。
2012年には、この差は300万円だった。
非正規雇用率も安倍政権に入って上がり続け、働く人の4割、2000万人を越えている。
年収200万円以下のワーキングプアは、安倍政権になってから100万人以上増えている。
安倍首相は「雇用を増やした」とことあるごとに強調するが、安倍政権になってから正社員は27万人減り、非正規は167万人増えている。

安倍政権で増え続けているのは企業の内部留保だ。

この5年間で100兆円以上増えた。

このように雨宮処凜さんは書いています。
衆議院選挙には、アベノミクスの功罪についても考えて投票してほしいです。


佐藤喜宣「臨床法医学からみた子ども虐待」

2017年08月18日 | 日記

佐藤喜宣杏林大学医学部名誉教授の「臨床法医学からみた子ども虐待」という講演録を読みました。
佐藤喜宣氏はこの講演を「子ども虐待入門編」と言われてますが、すごく重たいです。

虐待の加害者は誰か。

一番多いのが配偶者で、これはドメスティック・バイオレンス(DV)。
次に親で、これが子ども虐待。

子ども虐待は2015年は10万件を超えた。

警察の認識が変わり、家庭にDVがあれば、その子は虐待を受けていることになった。

DVは子ども虐待の3倍で30万件だが、内閣府も厚生労働省も実数を発表していない。

DVの約8割はアルコール依存症もしくは問題飲酒者、薬物依存者の関与がある。

子ども虐待を受けて育った人が、自分の子どもに対して暴力を振るってしまう確率は65%。

つまり、加害者の3分の2が自分も虐待を受けていたことになる。
子ども虐待を受けて育った人がパートナーに暴力を振るう確率も65%。

高齢者の虐待は、内閣府の統計だと3万5000件ぐらい。
しかし、高齢者は虐待を受けても本当のことを言わない。
なぜかというと、本当のことを言うと家や施設に戻れないから我慢している。

高齢者虐待は、シングルマザーと一人息子の関係が多い。

親子の力関係が逆転して高齢者の虐待が起こる。

つまり、子ども虐待、DV、高齢者虐待は連鎖している。

どこで断ち切るのがよいのかというと、子ども虐待で対応していかなければいけない。
しかし、日本では相談窓口がそれぞれ違う。
アメリカ、カナダは家庭局という一本の柱になっている。

公園の便所で出産し、赤ん坊を放置する事件がある。

出産には、初産婦であれば12時間、経産婦で6時間かかる。
便所には母親の指紋がべたべたついているが、犯人に行き当たらない。
なぜかというと、若い人だから犯罪歴がない。
誰に助けを求めていいかわからない。
産み落とすけれど、赤ん坊を家に連れて帰れない。
なので、置いてきてしまう。

一年間に虐待で死んでいる子どもは50~55件、嬰児殺(分娩中または分娩直後の新生児に対する殺害行為)は20件。

そして、この子を遺して自分が自殺したら不憫だからと、子どもを巻き添えにする無理心中を加えると、子ども虐待で死亡しているケースは年に130~135件。
嬰児殺や無理心中を防ぐには、パニックに陥っている母親に、足りないものがあれば援助し、立ち上がる力があれば支援する。

赤ちゃんポストができてから、嬰児殺は減った。

預けられた子どもは151人で、名乗りを上げた人は80%。

熊本の赤ちゃんポストを始めた医師は熱心なキリスト教徒。

たとえば、北海道北見市から熊本の赤ちゃんポストに電話相談があれば、北見市でボランティア活動をしているキリスト教徒の仲間に寄り添ってもらう。

キリスト教徒は人口の5%だが、仏教界は大きな団体で、日々活動しているのだから、どうして援助と支援ができないのか。


体罰を肯定する人がいるが、大人の手は大きく、子どものほっぺたは小さい。

ビンタをすると、ピンポイントで当たらない。
耳にかかると鼓膜の損傷、眼にかかったら眼球損傷、口にかかると歯牙の損傷する。
後遺症を遺す可能性があるわけで、体罰はしつけではなく暴力なのである。

マンションのベランダから子どもが転落することがある。

マンションのベランダの柵の高さは決まっていて、120cm(小学校入学時の身長)の身長の子どもがよじ登れない高さを想定してある。
3歳や5歳の子どもは足元に何かなければ登れない。
だから、幼児が家にいる場合は、ベランダにものを置かない心配りが必要となるのに、それをしないのはネグレクトということになる。

アメとムチ、すなわち優しい言葉と暴力というDVのサイクルによって、マインドコントロールを受け、自分で自分の行動を決定できないし、思考も自分で決められない。

目の前で自分の子供が虐待され、殺されるのに、とめられない。
今まで検察庁は、主犯格の男の半分、懲役5年なら2年6月を母親に求刑していたが、現在はDVだとはっきりわかった場合は起訴猶予になる。

子ども虐待は、被害を受けている子どもと、加害者の両者のSOSだ。

とめてくれと言っている。
子どもを傷をつけてしまった母親のSOSをちゃんとくみ取らないといけない。
そして、1歳未満の子どもが検診や予防接種に来ない場合は、子どもの追跡をしていくシステムが必要。

2000年の統計によると、少年院に入っている少年の72%以上が虐待を受けていた。

アメリカで、虐待を受けて施設に入っていた子ども900人を追跡調査したら、施設を出た後、半分が盗み、ひったくりの軽犯罪、20%が傷害、殺人の重犯罪を犯している。

元高検検事長の講演を聞いたのですが、その中で、犯罪や虐待は社会の病理を反映しており、加害者を罰するだけでなく、社会、家族、個人のあり方に手をつけていかないといけないということがありました。

人類は共同で食事や子育てをしてきたが、今は家族が崩壊し、孤食になった。
子育てに悩む母親に親友がいればSOSを出せるが、コミュニケーションの質の低下によって、相談をすることができなくなった。
虐待は社会の病理であり、共同体の回復が必要という話でした。