絵門ゆう子さんがガンの宣告を受けたのが2000年10月、聖路加病院に行ったのが2002年12月、『がんと一緒にゆっくりと』を出版したのが2003年5月、死亡が2006年4月。
『がんと一緒にゆっくりと』を書いたころには冷静に振り返っているように思われます。
批判的なことを書いています。
民間療法で良くなっている人たちは、基本的に病院に行きたがらない人たちである。
本人は「治ったみたい」と思ってしまうし、周りもそのように言う。
そして、このように述懐します。
ところが、なぜか民間療法を否定しないのです。
入院中には、入院直前に教わった西式健康法の一つである裸療法をしたそうです。
服を脱いだり着たりすることで、毛穴から毒素が出て皮膚呼吸を促進させ血行を良くし、免疫力を上げていくというもの。
ウィキペディアによると、西式健康法は、生野菜食を中心に摂取し、暖衣飽食を退け、断食、生食療法などをします。
毒素を排出して免疫力を高める健康法のようです。
これまたデトックスです。
民間療法は大した効果はないわけですから、希望ではなくて気休めにすぎないと思います。
散々な目に遭ったのに、まだこんなものを信じているのかとタメイキが出ます。
盲学校で鍼灸を教えていた人に東洋医学について話を聞いたことがありますが、がんやインフルエンザなどは東洋医学では治らないと言われてました。
どんな病気にも効く万能の薬や治療法はありません。
簡単に「治る」と断言する人は信用しないほうがいいようです。
絵門ゆう子さんは「占いや霊能力関係が大好きである」と書いています。
西洋医学を拒否したのは母親のガンや、出会った医師との関係がうまくいかなかったこともあるかもしれませんが、そもそも疑似科学のようなアヤシいものが好きなのでしょう。
絵門ゆう子さんが行なった民間療法と健康器具・食品は人の弱みにつけ込む悪質な詐欺だと思います。
糖尿病なのに代替療法の「先生」の言うがままにインシュリン投与をせずに死んだ人もいます。
医者ではない「先生」が医療行為をするのは法に触れています。
絵門ゆう子さんはMRI検査で骨転移が疑われた時、栄養が足りないからだとか、MRIで心臓が悪くなったんだと言われましたが、医者でもない人間がそんなことを言っていいものかと思います。
それなのに、絵門ゆう子さんはがん患者仲間に草の粉療法などを紹介しているのです。
これは、だまされてカルトに入信した人が、今度はだます側になって勧誘を行う、つまり被害者が加害者になって新たな被害者を生むのと同じ構図です。
絵門ゆう子さんが民間療法、健康器具・食品にはまったことは個人の自由だとは言えないように思います。
だからといって、無理矢理に手術を受けさせることはできません。
これまた難しい問題です。
もしも絵門ゆう子さんが最初の医者の言葉に従って手術と抗がん剤治療をしていればどうなっていただろうと思います。