音楽療法とは音楽を聴いたり演奏したりしたら症状が軽減されるとか、そういったものだと思ってましたが、佐藤正之『音楽療法はどれだけ有効か』によると全然違います。
エビデンスとは何か。
明白に証明された証拠で、他の人もあとで形跡を追えるものを意味する。
追試が可能、すなわち客観性と普遍性をもつ証拠。
ある研究がエビデンスとみなされるための最低条件は、専門家による査読を経た論文として国際誌に公表されること。
しかし、それでエビデンスとして確立したことにはならない。
ある研究によると、100件のシステマティック・レビューのうち、23件が2年以内に覆される。
システマティック・レビューとは、単なる過去の報告の羅列とは異なり、それぞれの報告の質的評価と統計解剖を行うもの。
現在行われている医療行為で、エビデンスが確立しているのは約20%にすぎない。
メロディック・イントネーション・セラピー(MIT)は失語症患者の発話改善に有効性が確認されている。
ところが、MIT日本語版は方法が文面で説明しにくい。
実際に行なっている施設で習うのが本来だが、自分のわかる範囲で適当にやろうと考える人がいる。
こうした人は、自分の方法と原法のどこがどのように異なるかを把握していない。
中には、自分の手法で効果がなかったことから、「MITは○○には無効」と発表したりし、MITに対する誤ったイメージを患者、家族、医療者に与えてしまう。
ボストンの病院の救急医である大内啓さんが、新型コロナウイルスの流行が始まった2020年2~3月ころの病院を『医療現場は地獄の戦場だった!』で書いています。
2020年5月、トランプ大統領が「ヒドロキシクロロキンを多くの医療従事者が服用している。私も一週間半前から服用している」と口にし、大混乱を招いた。
ヒドロキシクロロキンは抗マラリア薬である。
これより前、トランプ大統領はおそらく思いつきで、もう一種の抗マラリア薬とともに新型コロナウイルスの治療に有効だと主張し、米食品医薬品局にコロナ感染者への使用を承認させた。
6月、抗マラリア薬の使用許可が撤回された。
吉村洋文大阪府知事が「ポピドンヨードの含まれたうがい薬を使うことで、重症化を抑制できる可能性がある」と発表して非難された。
これらは科学を軽視し、科学と対立する発言だったと、大内啓さんは批判します。
トランプはコロナの治療として消毒剤を注射するのはどうだと言ってますから、
この2人の発言は思いつきなんでしょうが、金儲けがからんでいるかもしれません。
佐藤正之さんは以前勤めていたホスピスでの出来事を書いています。
60代の男性は診察を受けた時、すでに末期ガンで余命半年と診断され、ホスピスに入った。
この男性は週に1回仕事で出かける。
ある時、嘘を言っていたと告白した。
〝どんな癌でも必ず治る〟と標榜するマッサージの施療院を友人から紹介されたので行ってみると、病気の経過や診断を聞いたあと、その施療士は「私のマッサージを受ければ、必ず癌は治ります」と言った。
入会金が200万円、週1回30分のマッサージが1回7万円。
「3か月続ければ、必ず癌はよくなる」とのことだった。
3か月が経ったが一向によくならないどころか、悪化したと感じて、施療士に「3か月経ちましたが、さらに悪くなった気がするのですが」と質問すると、施療士は「今、3か月間の効果が蓄積され、まさによくなろうとしているところだ。もう3か月すれば必ずよくなる」と答えた。
しかし、容態はさらに悪化し、ふたたび「あれから3か月が経ちましたが、とてもよくなっているとは思えないのです」と質問したら、施療士は「もう半年続ければきっとよくなる」と答えた。
それが昨日のことで、どうしたらいいかという相談だった。
そして、小指くらいの太さで高さ数センチの入れ物に、茶色の液体が半分くらい入ったものを取り出した。
施療士から毎食後に飲むように言われた〝体調をよくする水〟で、1本3000円する。
この施療院に合計500万円ほどつぎこんだと言う。
男性はこの会話の1週間後に亡くなった。
絵門ゆう子さんをだました「先生」たちは全国あちこちにいるわけです。
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