三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

民間療法と健康器具・食品のアヤシさ(2)

2023年02月20日 | 問題のある考え

乳がんになった絵門ゆう子さんの民間療法と健康器具・食品体験記である『がんと一緒にゆっくりと』を読むと驚くことばかりです。

がんに良いというものに対して、湯水のごとく使うようになった。
買ったグッズの中で最も高価だったのは100万円の布団。
宇宙エネルギーを取り込むことができるという触れ込みだった。
宇宙エネルギーとは何か、それが布団を通してどう体に取り込まれるのかを勧めてくれた女性に質問した。
すると、「詳しいことは私も難しくてよく分からないの。だからセミナーに行ってみて」と誘われ、布団を販売している会社のセミナーに行った。
開発者の講演、体験者のスピーチ、ビデオ上映が行われた。
布団のパワーについての開発者の講演は、素人には分からない専門用語が多用され、結局「すごいものだ」としか分からなかった。

科学で証明しにくい話は、いつも私に対して妙に説得力を持ってしまう。(略)分からないぶん、いつまでも魅惑され続けてしまうのだ


がんを治すグッズには宇宙エネルギー、ピラミッドパワー、波動など、いろいろなパワーが使われる。
1.5mほどのステンレス・パイプ8本を組み合わせて作るピラミッドは15万円。
中に布団を敷いて北枕にして寝ると、寝ている間にそのパワーががんを治す。

座ると体に良い波動を出すという5百円玉くらいの大きさのメダルが頭の部分に埋め込まれている電動マッサージャーは、手で振るよりはるかに強力な波動を出す。
このマッサージャーをピラミッドの中心にぶらさげて、先端が乳がんの真上10cmのところにくるようにして、仰向けにして寝る波動療法。
波動のメダルが十数枚も縫い込まれているランチョン・マットくらいの大きさの波動マットは17万円。
寝る前に乳がんの上に置くだけで威力を発揮する。

びわの葉に含まれているアミグダリンという成分が染み込んでいるシルクの掛け布団は20万円。
寝ているうちに体の悪いものを出して治していく。

布団の下に敷く遠赤外線のマットは17万円。
ピラミッドパワーの温灸器は15万円。
寝ている時に乗せておけば、ビワ温灸の7倍の効果がある。

宇宙エネルギーを取り込める戸棚は普通の戸棚の十倍は超える値段。
この戸棚の中に入れた食べ物は体に良いものに変わる。

マイナスイオン清浄機は30万円。
普通の空気清浄機の数百倍のマイナスイオンが出る。

浄水器は浄水の方法がいろいろあり、次々と買い換えた。
他に、遠赤外線のサウナハウス、電気足湯器、黒田式光線機など。

健康食品は勧められる時、「副作用は全くない。良い食事を摂ることと同じ」という説明を受ける。
健康食品は天然の原材料で、化学物質が一切含まれていないので安全。
多く摂り過ぎた場合は尿から排出されてしまうので大丈夫。

しかし、飲んでみて結果を実感できなかったら、飲み方が足りないと言われる。
飲みすぎて肝臓が腫れるといった副作用が起きたこともある。
「それは好転反応なのだから、もっと続けていれば効果が出てくる」と言われた。
好転反応とは、症状がよいほうに変わる前に一時的に悪化することです。
それで、続けていればよくなると言われるわけです。

健康器具は一度買えばいいですが、健康食品はなくなれば買い続けないといけません。
健康食品は1か月分が10万円以上するものがざらにあった。
がん患者は「値段が高いから良い結果が出るかもしれない」という思考回路がある。

絵門ゆう子さんは乳がんの告知から9か月後の2001年5月、ある民間療法に出会いました。
これがなんともすさまじい。

天然の草(薬草)の粉をお湯で溶いたものをリンパ腺上に貼り付け、それを毎日取り替える。
草の粉療法の「先生」は初めての面談の時、「がんは簡単ですよ」と言った。

何日かすると草の粉を貼っているところに点々とニキビのようなものができてくる。
さらに続けると、ニキビのようなものから白い膿が出てくる。
膿が出る穴は日を追うごとに大きくなり、膿の量も増え、膿が全て出切ってがんは完治するというもの。

草の粉を貼るだけでなく、薬草のジュースや粉、野草茶などを飲まないと成果は出ない。
個人差はあるが、指示されたとおりにすると、だいたい4か月で結果が出る。

悪いものを出していくためには、タンパク質をどんどん摂取して新しい筋肉を作っていかなければならないという考えのため、動物性の食品をたくさん食べるように指示される。
つまり、これも毒素を出すというデトックスです。

玄米菜食は徹底的に否定する。
絵門ゆう子さんは断食、玄米菜食をしていたのに、それを否定されてもおかしいとは思わなかったようです。
つまり、考え方が違っていても、民間療法なら何でも信じるわけです。

膿が出るために、あちこちに開いた穴は大きいもので直径1.5cmになり、とにかく痛かった。
痛みが強いのを治っていく手応えのように思う。
草の粉療法を始めてから4か月、「もう、がんは心配ありませんよ。完治してます」と言われた。
しかし、胸のしこりは残っていた。

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