アラン・レヴィノヴィッツ『さらば健康食神話 フードファディズムの罠』の原題は「The Gluten Lie(グルテンの嘘)」です。
副題のフードファディズムの意味がわからないのでネットで調べました。
過去に多くの人がフードファディズムに翻弄された例として、以下のような食品がある。
「これを食べると痩せる」とされた食品:寒天、納豆、バナナ
「これを飲むと体に悪い」とされた食品:牛乳
「これを飲むと体に良い」とされた食品:水素水
https://ideasforgood.jp/glossary/food-faddism/
水素水については左巻健男『陰謀論とニセ科学』に書かれています。
ニセ科学的な水ビジネス商品として水素水以外に、アルカリイオン水、πウォーター、磁化水、創生水、酸素水、シリカ水、電子水、酵素ジュース、波動共鳴水などがあげられています。
いずれももっともらしい名称ですが、イオンや波動などはインチキ商品によく使われる言葉です。
『さらば健康食神話』は、まずグルテンやグルタミン酸ソーダは危険だという嘘について書かれています。
グルテンとは何か知らなかったですが、小麦粉に水を加えてこねることでできる成分のことだそうです。
グルテンを含まない製品がグルテンフリー。
アメリカ人はウイリアム・デイビス『小麦はたべるな』とデイビッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』の2冊によってグルテンを恐れるようになった。
グルテンはごくわずかな量でも依存と肥満を呼び、脳を傷つける。
そして、グルテンを含む小麦は、ADHD、アルツハイマー病、関節炎、自閉症、がん、心臓病、肥満、統合失調症などの病気を引き起こすか症状を悪化させる。
人間は何千年も前からパンや麺類などの小麦製品を食べてきたわけです。
なのに、こんな脅しを大勢が信じているのですから不思議です。
グルテンによってセリアック病やグルテン過敏症になる人はいます。
しかし、多くは思い込み。
グルテンフリー食品は普通の食品よりも平均で242%高価だ。
グルテンフリー食品市場は約40億ドル規模まで成長し、2019年には70億ドル近くに達するだろうと予想されている。
グルテンフリーのドッグフードまである。
かつてグルタミン酸ナトリウムは、現在のグルテンのようなスケープゴートだった。
中華料理を食べると体調が悪くなると言う人が現れたのが1968年。
化学調味料がひどい偏頭痛、過敏性大腸症候群、胃もたれ、関節痛、冷や汗、乳幼児の急な腹痛などの原因とされた。
メディアは「中華料理でおかしくなる? 一番疑わしいのはグルタミン酸ナトリウム」といった誇張した見出しを使った。
グルタミン酸ナトリウムは食の大物悪役に変身した。
1988年、シュワルツ博士は著書で、化学調味料はADHD、エイズ、筋萎縮症、アルツハイマー病、喘息、がん、下痢、ウツ病、胃食道逆流症、ハンチントン氏病、高血圧、肥満、パーキンソン病、月経前症候群の原因だと書いた。
8年後、プレイロック医師が出した本には、病気のリストに自閉症が加えられている。
シュワルツ博士はその本の序文で親たちに、子供に毒を与えるのはやめましょうと呼びかけた。
現在では、アレルギーの専門家はグルタミン酸ナトリウムへの反応のほとんどは心理的なもので、身体的なものではないと考えている。
しかし、今も化学調味料過敏症の神話は生き続けている。
2014年、健康情報のサイトに掲載された「グルタミン酸ナトリウムは誤解されている?」という記事に対するコメント。
「これはまるで悪魔が良い奴だと言ってるようなものです。息子のお誕生日祝いに中華料理屋に行って食事をしたあと店を出ると、息子がすっかりおかしくなって、バックミラーを壊してしまいました。化学調味料に慣れることなどできません」
気分が悪くなったり頭痛やめまいが、薬や食べ物ではなく、本や記事によって起こっている。
歪曲された情報やまったくの嘘に繰り返し触れることで、さらに症状が悪化している可能性がある。
アラン・レヴィノヴィッツはこう書いています。
いろんなものをバランスよく、ほどほどの量を食べ、適度な運動をするのが一番というのが結論でした。
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