若々しく上品な美しさで親しまれた名女優八千草薫さんが静かに逝ったそうです。
十数年前の事、監督だった御主人に『いい加減に生きなさい』という言葉をかけられ、『良い加減』と受け止めて気が楽になった」と話されたことが伝えられました。
「落語とは業の肯定だ」と言ったのは立川談志師匠だそうで、実際に落語にはいいかげんな人がたくさん出てくる。
煩悩が大活躍するのが、落語。
煩悩を愛するいいかげんな人たちの話はなにか心地よいものです。
寝ないでいようとするのに、いつも寝ちゃう人、酒を呑むのをやめようとするのに呑んじゃう人、女好きな人、人から聞いたことをちゃんと覚えていられない人、何十日もさぼって仕事に出ない旦那。都合のいいことだけ言って論理がちぐはぐな人・・・。
煩悩はできれば消したいと思うものだからこそ、誰にでもある、生理的な欲求でネタとしても共感できる。
このように「いい加減」という言葉は、一つに、自分のことは棚に上げて物を申すタイプが多く、非常に自己中心的。場合によっては感情をむき出しにして自分の意見を通そうとするので、ワガママな人と捉えられることもあるようで、「いい加減」は」物事を最後まで行わないで途中で断念したり、無責任に放り出すことを表す場合に使う。
しかし、行いのすべてに悪気がなく、故意ではないようです。
続いて、「いい加減疲れてしまった。」こうした「かなり、とても」という意味で使う場合は、不満な気持ちを込めて使います。
この場合は「限度を超えていて、気持ち的にギリギリだ」という心情を表したい場合だという事。
最後に「適度」ちょうど良いという事を表したいときに意味で「良い加減」を使う場合は、良いイメージを伴います。
「良い加減」というのは、人との距離感ももちろん、人に過度な期待をしない、自分の能力がわかっていて、さらに、ストレスを解消することができる時間を持っている人。
八千草さんのモットーだったのでしょうか?
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