マガジンひとり

自分なりの記録

兵隊の位でいうと

2022-03-03 17:41:10 | 亡国クロニクル
米国出身で長く日本の大学で教え、居酒屋マニアとしても知られ、ジャズ・小説など戦後日本文化論の著書があるマイク・モラスキーという人物。その居酒屋での体験談の一つとして私の印象に残っているのが、居合わせた2人連れの客の男が文科省の役人であるらしく、外国人の大学教授と聞きつけ、「私たちは東京大学卒なんですよ」と話しかけてきたので、彼は「分りました、今度だけは許してあげますから次からはもっと面白い話をしてください」と応答。男たちは「ナニッ!!」と不穏な空気に。

カッペ・チョン・チャンコロ・ヤンキー・根暗・オタク・ガテン系・DQN・ガラケー・ニート・ネトウヨ・パヨク・民度・底辺・情弱・陰キャ・パパ活・池沼・ガイジ・こどおじ(子ども部屋おじさん)・etc・etc… 人を見下す・蔑む言葉が短期間で全国区になる。集団で連携し、よそ者や少数派を見つけて叩くことが好き。下町の不良少年。居酒屋って、そういう子どものようなおじさんの遊び場として万国共通だと思うので、モラスキー氏は一種の異文化交流として、東大卒のおじさん2人をスマートに見下してあげたのだろう。

個々は弱い存在だから、集団を形成して秩序を守り、安心する。狭い世間の中だけで、お互い遠慮し、共通の知識・価値観からはみ出さないように馴れ合っていると、人の脳は急激に退化する。どこかの経済誌のサイトで、オリンピックの悲惨な開会式の様子を「あちこちに遠慮した結果、小劇場の芝居みたいな内輪受けに」と評していたが、そもそも経済誌なんてのがそういう傾向の元凶でしょ。先の文科省のおじさんをベネッセのような教育産業が接待するとすれば、モラスキー氏と逆にチヤホヤおだてて癒着して税金泥棒するに違いない。

くりぃむしちゅーが2006~09年ころにやっていたオールナイトニッポンで語るところによると、後に彼らを連れ独立し社長になった大橋由佳(愛称:ババア)をはじめ、芸能プロのマネジャーたちは24時間制を「16時でお願いします、あれ?…夕方6時…18…時…ですかね?」のように何度も間違えるという、致命的な感じもするのだが、ヤクザ商売ということでタレントもマネジャーもビシバシした企業ではやっていけないようなはみ出し者をうまく使って利潤を挙げている面があるのかなと。くりぃむのANNにオリエンタルラジオの2人がゲストにやって来て、東京以外から東京の名門私大を経て売れっ子芸人になった4人が揃うということで、興味深いトークが繰り広げられたのだが、やはりオリラジの2人は本来の不良少年というよりは、優秀ではあるが価値観が狭く、文科省のおじさんに通じるひ弱な内向き志向をかもし出していた。

アマゾンのベゾスとテスラのマスクは共に一代で帝国を築き上げたカリスマ起業家であるが、内実は隔たりがある。マスクのカリスマ性、テスラ車のブランド・イメージ、テスラの株価・時価総額の3つは密接につながってファンタジーを成し、ひとたび逆境におちいれば急激に全体が崩れてしまいかねない脆さがある。ベゾスはAWSのように、むしろそういうイメージやファンタジー、人の心の弱さを利用して着々と現実を固めている印象だ。中国政府はアマゾンであり、安倍・トランプ・プーチンはテスラであり文科省である。



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