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オリンピック? 統一教会? ジャニーズ事務所?
巻き添え食ってたまるかよ

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2024-03-10 18:54:25 | 音楽
大きな影響力を誇った歌番組ザ・ベストテンが終了するとき、一貫して司会を務めた黒柳徹子は「長い曲が増えて1時間に収めることが難しくなった」ことを終る理由として挙げた。視聴率やスポンサーの意向など大人の事情に触れられない、いかにも苦しい言い訳と思うが、80年代後半から90年代にかけ日本の商業的に主流の楽曲は5~6分と長いものが多くなっていたのも事実。

逆に現在各国で主流になってきているストリーミング・サービスによる再生では、30秒以上で1再生とカウントされ、未満はスキップとみなされてその比率も記録されるため、再生数イコール報酬であるインセンティブがはたらいて最初の30秒にフックを多くして全体でも3分台前半に収まる曲が大勢になってきている。日本では依然としてCDをはじめフィジカル再生が過半であるため、以前の「分断と囲い込み」記事で触れたような、あいみょん・髭男といった一部の売れ筋アーティストに人気が集中して多様性や新陳代謝が不活発になる現象は、それらがいち早くストリーミングに合せた曲作りを行った結果、それらを好む日本の若者層が各国に比べ怠惰・受動的・思考停止のように見えてしまうが、実際はどの世代においても日本人はその傾向が強いのだろうと想像できる。


自分をかえりみて、こうすればああすればと考えるような者はストレスから逃れることはできない。常に保険を探し、心安らぐことはない。行列に並べば必ずご馳走にありつけると信じて疑わず、1時間でも2時間でも並んでいられるような者が多いから日本人、特に女は人口の多い種族としては世界一長命になったのだろう。

青木病院に入院していたころ(1999~2001年)、私と世代の近い入院患者にはクラシック音楽の愛好者が多かったことを思い出す。やたら長い曲もあれば、1~2分の短い曲もあり、歌詞のないインスト曲が大半で、作曲者は遠い過去に死去しているクラシック。主流のポピュラー音楽が突き付けてくる「みな同じように感じ、考えてください、そうすればわたしは都合いいです」というエゴから自由でいられる。

タラちゃんは永久にでちゅーとか言ってるのか。みんな一緒がいいね!と思考停止を求めてくる番組が日曜は多いのかな。武家政権の支配を補完する、日本の〝世間〟によるヨコの監視は、欧米列強に先んじる監視資本主義として繁栄と長寿を保障してきたが、スマホとSNSによってグローバルな監視と利潤追求が制度化した今日、日本人の均質性と〝保険のなさ〟は文明の終着駅とでも言いたくなるディストピアの様相。今さら洗脳を解くのはかえってかわいそう。70の老人から生きるよすがを奪うべきでない(山上母)。3分台前半の、アーティストのキャラによってしか認知できない同じような曲は世界の日本化を示しているのではないか。



J.S. Bach: Orchestral Suite #2 in B minor, BWV 1067 - 7. Badinerie (Arr. for Four Hands) (1739) 1:19



Cimarosa: Sonata #42 in D minor (Late 18c) 2:24



Beethoven: Piano Sonata #30 in E, Op. 109 - 2. Prestissimo (1820) 2:16



Schumann: Carnaval, Op. 9 - 12. Chopin (1835) 1:27



Chopin: Waltz #6 in D-flat, Op. 64/1, "Minute" (1847) 1:55
人生どん底の20~25年前はショパンのピアノ曲をこのアシュケナージのCDで聞いていた。今はクラシックも商品として洗練されてきているけれども逆にこういう昔のジャケの感じにほっこりします。



Saint-Saëns: Le carnaval des animaux, R. 125 - 7. Aquarium (1886) 2:31



Scriabin: Prélude in E-flat minor, Op.16/4 (1895) 1:14



MacDowell: Woodland Sketches, Op. 51 - 1. To a Wild Rose (1896) 1:31



Khachaturian: Gayaneh - Sabre Dance (1942) 2:33



Herbie Hancock / Main Title (Blow-Up) (1967) 1:33



The Beatles / I Will (1968) 1:46



Soft Machine / Priscilla (1969) 1:03


水原弘 / 忍のテーマ (1969) 1:56



Tyrannosaurus Rex / The Misty Coast of Albany (1969) 1:40



Jethro Tull / Cheap Day Return (1971) 1:19



Billy Cobham / The Moon Ain't Made of Green Cheese (1974) 0:58



Todd Rundgren / Izzat Love? (1974) 1:55



Brian Eno / In Dark Trees (1975) 2:29



Van Halen / Eruption (1978) 1:43



Pixies / The Thing (1990) 1:58



Glass: Orphée - Act 1: 3. La chambre d'Orphée (Arr. for Piano duet) (1991, 2024) 1:59



µ-Ziq / 27 (1994) 1:18



Boards of Canada / Rodox Video (demo) (1996) 1:09



Björk / Frosti (2001) 1:42


Burial / Night Bus (2006) 2:13
このHYPERDUB 10.3というコンピレーション(2014年)には同レーベルの短い電子音楽がたくさん収められているがやはりベリアルの2曲が多く聞かれているようだ。



Anat Fort Trio / If (2010) 1:18



The Beach Boys / Our Prayer (2011) 1:04



Hilary Hahn & Hauschka / Stillness (2012) 1:43


A Winged Victory for the Sullen / The Haunted Victorian Pencil (2019) 1:29


Slow Attack Ensemble / Ninety Seconds for Celeste (2020) 1:31

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