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巻き添え食ってたまるかよ

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2024-03-28 16:11:26 | 音楽
Eluviumはアンビエント界の数少ないビッグネームの1つだが、これまでチェックしたことがなかった。そして今チェックしてみて、このバンドがこれほどまでに評価されていることに率直に驚いている。これはアンビエントとしては基本中の基本で、文字通り高校生がサウンドクラウドに投稿する習作レベルのものだ。ほとんどの場合、基本的なオーケストラの楽器がかわいらしいトイ・ピアノの曲を演奏しているだけで、バックのノイズのようなざわめきは次第に大きくなっていく。ときおり間抜けなボーカルの断片や退屈な工業音がループし始める。空間と時間に関わる遊びの要素は最低限で、音のレイヤーに深みはまったくなく、トータル1時間以上の演奏時間があるがバラエティ的には10分くらいの1曲で済ませられる筈だ。Washer Logistics(洗濯機の物流)というトラックを収めるこのアルバムは、ラジオのクラシック音楽をBGMにして真っ白な洗濯機を眺めるのと同じくらい刺激的だ。無難なBGMと言えるかもしれないが、同じジャンルにはもっといい選択肢が何百とあるだろう。

以上はエルビウムの2016年のアルバムFalse Readings Onに対してRate Your Musicに寄せられた酷評。気になるのが「短い時間で済ませられる筈」という、音楽を聞くことのみならず人生すべてにわたる根本的な問題。会社員時代の若いころ、睡眠に充てる7時間ほどをカウントせず若いままで後で自由に使えるよう返してくれないかなどと妄想したことがある。



松本人志は私より2歳上かな。彼が40歳くらいのころ、もう人生を半分生きたという前提で「これからの半分は薄いですよォ~」と語ったのが印象的だった。年寄りの時間は薄いと決めつけ、カリスマとしていつまでも濃い時間を生きなければという強迫的な考えも、筋トレと悪い遊び、彼を失墜させて惨めな余生を送る結果に導いたのではないだろうか。あるいは老害がのさばって若者を搾取しているというような、世代や男女の対立、偏見や差別を煽る発言がメディアでことさら取り上げられる傾向。

そう考えると、先ほどの「トイピアノの曲を演奏するだけで、バックのノイズのようなざわめきは次第に大きくなっていく。ときおり間抜けなボーカルの断片や退屈な工業音がループし始める」が賛辞に変わる。生き急ぐ現代人の睡眠を助ける。



Loscil / Endless Falls (2010 - Endless Falls)
アンビエント/ドローンのビッグネームながら最近まで知らなかったロスキル。雨の音で始まるのが良い。



John Abercrombie / Night (1984 - Night)



Brian Eno / Dunwich Beach, Autumn, 1960 (1982 - Ambient 4: On Land)



Robin Guthrie & Harold Budd / A Minute, a Day, No More (2007 - Before the Day Breaks)



Marconi Union / Weightless Part 1 (2012 - Weightless: Ambient Transmissions Vol. 2)
英マンチェスターのアンビエント/ミニマルテクノ系グループ。前段で述べたことと矛盾するが8分ほどのこの曲を半分に縮めたバージョンがある。



Steve Roach / Quiet Friend (1984 - Structures From Silence)



Harold Budd & Brian Eno / The Plateaux of Mirror (1980 - Ambient 2: The Plateaux of Mirror)



Darshan Ambient / The Dreamer Slept but Did Not Dream (2010 - A Day Within Days)



Robin Guthrie & Harold Budd / Seven Thousand Sunny Years (2007 - After the Night Falls)



Harold Budd / Bismillahi 'Rrahman 'Rrahim (1978 - The Pavilion of Dreams)
「私は高校一年生で、家庭の問題が原因でうつ病がひどくなり、学校でも社会的にもうまくいきませんでした。(中略)これを聞くと、かなりの時間を費やしたことがわかります。 きらめくグロックから、はためくピアノの鍵盤、静かで優しいハープ、そして美しい合唱団までここではすべてが独自の調和のとれた方法で機能します。(中略)このアルバムはうつ病だった時期の私の避難所でしたが、音楽的に自分の快適ゾーンから抜け出すよう導いてくれたアルバムでもありました。 素晴らしい仕事、そしてハロルド、安らかに眠ってください。 ありがとう」。RYMレビュー

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