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歌謡曲50選

2023-06-19 17:34:06 | 音楽
当ブログ初期の2007年末に歌謡曲100選という企画を投稿、十数年を経て前回選ばなかった、あるいは知らなかった曲を中心に50曲を選んでみました。前回と重ねて選んだ曲を赤数字で示しています。

1) ディック・ミネ / 旅姿三人男 (1938)
2) 伊藤久男, 二葉あき子. 霧島昇, 松原操 / 父よあなたは強かった (1939)
3) 霧島昇, 渡辺はま子 / 蘇州夜曲 (1940)
4) 小夜福子 / 小雨の丘 (1940)
5) 菊池章子 / 星の流れに (1947)
♪敵の屍(かばね)と共に寝て 泥水すすり草を噛み~
実際過半が餓死だ 。さらに大量のアジア太平洋の犠牲者。そうまでして無条件降伏。連合軍の占領は、マッカーサー元帥が最高司令官に就いたのをはじめ実質アメリカによる占領となり、それまで敵性文化として禁じられていたアメリカの大衆文化・娯楽の類もなだれ込んでくる。

戦後なだれ込んできたこの異文化に最も身近に晒され、そしていち早く摂取したのは「パンパン」と呼ばれる女性たちだった。はからずも、彼女たちは戦後社会での「アメリカ的なもの」の受容と普及の担い手となった。米兵客からもらったタバコやチョコレートや缶詰などが彼女たちの手から闇市に流れ、一般市民の手に行き渡った。物資だけではない、彼女たちはアメリカの派手なファッションを最初に取り入れ、流行歌のメロディを口ずさみ、当時米軍の間で流行っていた俗語やゼスチュアを含む「生きた英語」を必死にまねしようとして、「パングリッシュ」のような独自の表現をも生み出した。 ─(マイク・モラスキー/紙礫2 街娼/皓星社2015)

♪星の流れに身を占って どこをねぐらの今日の宿
荒む心でいるのじゃないか 泣けて涙も枯れ果てた
こんな女に誰がした

6) 笠置シヅ子 / 東京ブギウギ (1948)
7) 小畑実 / 星影の小径 (1949)
8) 美空ひばり / お祭りマンボ (1952)
9) 高英男 / 雪の降る町を (1953)
10) 菅原都々子 / 月がとっても青いから (1955)
11) 春日八郎 / 山の吊橋 (1959)
よくこんな地味な歌がはやったなとお思いかもしれませんが、しかしこの歌、地味なのは歌詞だけなんです。この歌詞が歌われるメロディというのがなんと、軽やかなラテンのリズムに乗ってたりするんです。(中略)この歌は山の奥に暮らす人達の人生を軽くスケッチしちゃったんです。安藤広重の浮世絵の世界が歌謡曲にあるとしたらここにあるという、そういう世界で、ここには〝他人の人生〟がある。(中略)最早〝自己表現の芸術家〟ばかりになってしまった現代では忘れられてしまった〝実直な職人の真心〟というのがここにはある。 ─(橋本治/恋の花詞集/ちくま文庫2000・原著1990)

12) 三橋美智也 / 古城 (1959)
13) ザ・ピーナッツ / 東京たそがれ (1963)
14) 北島三郎 / 函館の女 (1965)
15) 都はるみ / アラ見てたのね (1966)
16) ジャッキー吉川とブルー・コメッツ / ブルー・シャトウ (1967)
17) 青江三奈 / 伊勢佐木町ブルース (1968)
18) 島倉千代子 / 愛のさざなみ (1968)
19) 和田アキ子 / 星空の孤独 (1968)
20) 高田恭子 / みんな夢の中 (1969)
21) 森山加代子 / 白い蝶のサンバ (1970)
22) 五木ひろし / よこはま・たそがれ (1971)
23) 森進一 / おふくろさん (1971)
24) ちあきなおみ / 喝采 (1972)
25) 勝彩也 / まぼろしのブルース (1972)
26) フィンガー5 / 個人授業 (1973)
フィンガー5の中央で歌う玉元晃の声質は普通のボーイソプラノとは異なるキンキン声で、彼のトンボメガネと、ソウルミュージックを模倣したダンスやコスチュームと合せ、官能的な魅力があったと思う。最初の同性愛発露だったかも。 

27) 八代亜紀 / なみだ恋 (1973)
28) 西城秀樹 / 激しい恋 (1974)
29) ダウン・タウン・ブギウギ・バンド / 港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ (1975)
30) 長谷川きよし / 黒の舟唄 (1975)
31) 太田裕美 / 木綿のハンカチーフ (1975)
32) 沢田研二 / 時の過ぎゆくままに (1975)
33) あおい輝彦 / あなただけを (1976)
34) キャンディーズ / 哀愁のシンフォニー (1976)
35) 桜田淳子 / しあわせ芝居 (1977)
36) 山口百恵 / いい日旅立ち (1978)
37) クリスタルキング / 大都会 (1979)
38) SHŌGUN / 男達のメロディー (1979)
39) サザンオールスターズ / C調言葉に御用心 (1979)
40) 尾崎亜美 / 純情 (1981)
41) あみん / 待つわ (1982)
42) 中森明菜 / 少女A (1982)
43) ラッツ & スター / め組のひと (1983)
44) 光GENJI / ガラスの十代 (1987)
45) 浅香唯 / セシル (1988)
46) 石川さゆり / 東京ドドンパ娘 (1993)
金鳥のCMに使われ、たいへん印象的で、これを含むカバー曲集アルバムを購入。ところがCDを買ったと会社で話したところ、女の同僚が「え? マジで?」のような反応。おそらく彼女にとって石川さゆりはジジババ向け演歌キャラでしかなく、「曲の良さ」「歌唱力」で音楽を選ぶという発想がないのだろう。90年代の若者は既にそうなっており、そして「キャラ」なんて業界で談合すればいくらでも捏造できますよと示したのがジャニー喜多川と秋元康といえるだろう。国民も悪いのである。

47) Black Biscuits / Timing (1998)
48) Salyu / VALON-1 (2004)
49) ゆらゆら帝国 / 空洞です (2007)
50) 宇多田ヒカル / Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー (2022)


ヘッダー画像:こうの史代/夕凪の街(2003、『夕凪の街 桜の国』双葉社2004)
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