縄文土器の中でも特に有名な火焔土器について
私は独自の解釈を持っています
以前にも、このブログで発表しています
それに付け加えたいことがあるので
今回、また、火焔土器について論じます
まず、その形です
炎に見えるから火焔土器と呼ばれているわけですが
私の尊敬する東北大学名教授の田中英道先生は
火焔ではなく水紋であると主張されています
そう言われてみれば、火焔よりも水紋に見えてきます
先生の主張の根拠は形だけでなく、出土地域も考慮しています
信濃川流域から出土している事実を指摘しているのです
私は現地を知りませんが
山岳地帯で、谷川の水の流れを日常的に観られる地域でしょう
そうであれば、水紋を造形するのは自然です
ただ、そうは言っても
火焔土器の全体像から受ける印象は水紋ではなく火焔です
水も噴水のように噴き上げることはありますが
普通は、上から下に流れるものです
下から上に吹き上げ広がるのは火焔です
そこで私は、これは炎と水を合成した造形であると考えました
火焔土器でもなく水紋土器でもなく、あえて言えば「水紋火焔土器」なのです
なんだか、ただの折衷案の様な感じですが違います
私には、そう考える根拠があるのです
ここで生命について考えてみます
人間の体は、多くの水分で成り立っています
人間の肉体を構成する物質の内、最大の要素が水です
生命体の多くは、人体に限らず、水が重要な構成要素です
つまり、生命は水で出来ているのです
大部分の生物は、動物植物を問わず、水と有機物で出来ています
水を蒸発させた後の生物は、有機物だけが残ります
縄文人達は、保存食品を作る過程で、そのことは良く承知していたはずです
そして有機物は、火を付けると燃えて消えてしまいます
炭酸ガスや煙になって空中に消えてしまうのです
つまり
生命は水と火で出来ているのです
それは、縄文人にとって、経験的真実だったのです
すなわち、火と水を象徴する造形こそ生命を象徴する造形だったのです
火焔土器は生命を象徴する造形であり
その形象から名を付けるとするならば「水紋火焔土器」とするのが正しいのです