無意識日記
宇多田光 word:i_
 



で『Face My Fears』のCDの売上が大したことないんだって? 折角10年振りにフィジカルシングル出したってのに勿体ない…って言うべきなのかなこれはな。

私は欲しかったから買ったので何の問題もないのだけれど、これで1400円というのは何なのかと改めて思う。サプスクリプトしていない人にとっては勿論有益なのだが、どのサブスクも月額1000円弱だったりする訳でそれよりずっと高いというのは感覚的によくわからなくなる。

物質として手許に置きたい、という感覚。よくよく馴染みの深い感覚だ。そこでちらっと阿呆な思考実験をしてみる。ピクチャーレーベルがただの板。しかしそこにはプレイパス同様ダウンロードコードが書いてあってアクセスするとコピー無制限の非圧縮WAV音源が手に入る。それでもいいのかな? 実質、普通のCDを買った時に手に入るものが手に入る。車載用にCDが欲しいとかでない限りこれでいいような気がするのだけれど…どうなんだか?

現実の商品に戻ろう。歌詞カードが物凄く読みにくい。今回立ち上がったグローバルサイトも同様だ。お金を取ろうが取るまいが、「一体何をしているのだろう?」という感覚が勝る。私個人でいえば、音がすぐ聴けて歌詞も普通のフォントで読めるストリーミングの方が今や「リアル」になっていて、昔フィジカルを手に入れた時に得ていた満足感充足感達成感みたいなものは、もうフィジカルからは得られていないように感じる。思い出の残滓とリンクさせてなんとかフィジカルのよさだったものを引き出しているような。

ちと言い過ぎたか。でも、その意味でグローバルサイトのウェブデザインは「古臭い」と感じた。技術は大したものなのだろうが、この感覚は古い。リアリティの在処は遷移している。少し考えた方がいいのかもしれない。

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『Face My Fears』のグローバルサイトなるものが公開された。24ヶ国でダウンロードかな?1位を獲ったということで各国の好反応を可視化する企画である。相変わらずデザイン重視のユースレスな方向性だが特に前から変化がなさそうなのはこういうヤツがそれなり以上に好評なのだろう。「なんだかよくわからないけど凄い。新しい。」と思って貰えればそれでいいのだろうかな。

それに関連して、恐らく新曲を中心としたリミックスや踊ってみた動画なども募集しているようだ。プラットフォームだけを整備しユーザーにコンテンツを提供させるこれまた今風な方向性。相変わらずというか何というか…ハッシュタグ一個決めるだけで済む企画に大掛かりなことだが、ここから何か展開があるのかもしれないな。

それにしたって隔世の感である。公式自ら“二次創作”を奨励するとは。2005年のYouTube発進以来各国の法整備の網を掻い潜っていやさ時には突き破って二次利用・二次創作の分野は市民権を獲るに至った。随分強引な手法だったとは思うが、この「なし崩し戦略」のお陰でかなりのスピードで意識改革開放が進んだ。功罪を言い始めたらキリがないけれど、兎も角現在の世情は形成されたのだ。

それ以前は掲示板に『Simple And Clean』の訳詞を載せただけでスタッフから直々に電話が掛かってくるような状況だったのだ。権利上マズい、と。それが今や向こうから「是非書いて投稿してくれ」と言ってきてるのだと思ったら何か面映ゆくなるわな。このおかしみを味わえるのも長年アーティスト活動をやってくれてるお陰である。今妥当で無いと見做される活動も20年経ったら称賛されているかもしれない。どんぶらこっこ 世の中浮き沈みが激しいな どんな時でも価値が変わらないのはただあなた ─とはよく歌ったものである。こうやって歌詞を引用しようが何ら問題が起こらないんだからね…いやこれは昔から問題無いか。ただの引用たからな。

歴史は具に観測しておくものである。今ここにこうして書いている内容もまた古びていくだろうことを、今から楽しみにしていますよっと。

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