無意識日記
宇多田光 word:i_
 



さてさて今週はあれやこれやが何周年週間である。デビュー13周年は言うに及ばずWild Life 1周年でもある。早いもんだ、というのがしっくり来るんだか来ないんだかわからない不可思議な感覚だ。取り敢えずCan't Wait 'Til Christmasを聞こう。

何度も繰り返しているのにしつこく何度も繰り返すが、この曲が最後の最後に出てきた意義は私には本当に大きかった。人によるとは思うが私にとってCWTCは宇多田ヒカルのベストソングのひとつである。いやお前のベストソング何曲あるんだと訊かれると答えに窮するが、つまり気分的に最高潮で人間活動を迎えた、という話だ。負け惜しみでも何でもなく、音楽的才能が下り坂になってきたからここでアーティスト活動休止という雰囲気をこれっぽっちも感じない。その完璧な露払いを務めたのがこのCWTCという訳だ。

実際、"ラスト・ソング"としてのこの曲の扱いは別格であった。勿論SC2では曲順的に全18曲中最後の楽曲、大トリである。ただのアルバムのラストというだけでない、宇多田ヒカル6年間の、2004年から2010年の間の楽曲の締めを託された楽曲なのだ。

そしてWild Lifeではアンコール2曲目という位置である。1曲目のカバーはスペシャルサプライズという位置付けだし、更に基本的にヒカルのフルサイズのショウはバラードで終わらないので、CWTCが最後の最後のハイライトだったと言っていいだろう。この、最も新しい成果であるCWTCから最も年月を経たtime will tellへの流れは、1998年12月9日と2010年12月9日を一瞬にして繋げてみせた。最新と最古の淀みないメドレー(ってMC挟んだけどな)が成立する事で、宇多田ヒカルという稀代の、唯一無二のアーティストシップが12年間全く揺るぎなかった事をさりげなく伝えたのである。

勿論、クリスマス2週間前というシチュエーションも最高だった。この時このタイミングで最新曲としてCWTCをナマで聴けたのは掛け替えのない一生の思い出である。ちゃんと自分でチケット当てて行ったんだぞ。(だからどうした)

しかし、この曲の世間への浸透度というのは何とも心許ない。ペプCMが流れる度にTwitter検索流が「かわいい」で埋め尽くされるのを見て、「(もう来年で28なのに)」と余計な一言をつけ加えながら評判自体は頗る良好という感触は得られていたのに、なんというかまだまだこの曲自体が知られていないようだ。SC2の2枚目の存在自体を知らなかった人やらこれがヒカルの歌だと知らなかった人やら様々である。こんな事ではいけない。出来るだけ毎年12月はCWTCをラジオ等にリクエストして盛り上げていきたい所、なのだなぁ。

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EVAQがどうなるか。11年末の今の時点でもまだまだ何の情報も現れない。8月に来年12年秋公開予定と発表になったが、大半のファンは「急いで作るより質の高いものを」というスタンスのようだ。つまり、少々なら遅れても構わない、興行には影響がないとみるべきだろう。

こういう態度が表面化するのは、序破の作風に原因があると思われる。前世紀のEVAは、あの時代の閉塞感、とりわけあのアニメを観るような若年層の不安感のようなものを捉えたというか受け皿になったというか、切実な思いの数々を乗せて迷走暴走しまくった事が魅力だった。

それに較べ、今世紀のEVAは一大エンターテインメント作品である。勿論前世紀からの重々しいテーマ性も引き継いではいるものの、何よりもまずアニメーション映画作品としての娯楽性、カタルシスに重点を置いている。

こういう軸足の移動があっても作品の世界観が揺るぎないのがこのアニメの凄い所だが、ともかくそうなってくると確立したブランドとして特に時代の空気に乗り遅れるとかそんな事は考えなくてもいい立場になったといえる。娯楽の本質が、一年や二年のズレで薄れるなんて事は気にしなくていいのである。寧ろ業界全体を代表して時代を切り開き牽引する役割を担っているといえる。

その前提に立っていえば、やはり結局主題歌は宇多田ヒカルが相応しい。彼女の立場はもはや、少なくとも日本市場においては確立されており、時代性云々をいわれるキャリア、年齢ではない。堂々と娯楽性を追求した楽曲を提供すればよい。尤も、それならBeautiful Worldで事足りる為、来年秋の復帰のキッカケになるかというと微妙な所だが。

加えて考えたいのは、Utada Hikaruの海外展開である。アジアで宇多田ヒカルの国内盤が出ている地域はそうでもなさそうだが、英語圏での知名度の高さはかなりの程度においてKingdom Heartsが担っている。つまり、海外に輸出できるコンテンツとタイアップするかどうか、だ。EVAの海外展開については詳しく知らないが、光なら英語版のBeautiful Worldを提供する事もできるかもしれない。実現可能性は薄いが、僅かばかり頭の片隅に入れておいてもいいだろう。何しろ、2012年のアニメーション映画は例年にない激戦区になりそうだし、もしかしたらシーン全体が伝説化するかもしれないのだから光がそれに関わるか否かは否応なく注視しなくてはならなくなるだろうから。

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