そうか~、デビュー13周年か~。だからといって特に書く事もないな。光の曲聴いてたら毎日が記念日みたいなもんだ。
ただ、やっぱりLIVEとなると特別だ。実際に目の前に居たんだから。これはある種裏切り行為ともいえる。
有名人とそのファンの関係は思いっ切り非対称だ。こちらがメールを送っても、向こうが返信する義務はない。こちらも当然そのつもりでメールを書いている。これは通常の人間関係とはいえない。メディアを通して、有名人が一旦"商品化"されて初めて成り立つ関係性なのだ。有名人はその点において、ファンにしてみれば生身の人間ではない。だからこそ道端で見かけてもこちらはおいそれとは声をかけない。知ってる人がそばを通ったら普通挨拶くらいはするだろう。有名人はこちらの事を知らないのだから。一方通行のメディアが形作る非対称の関係が基本なのだ。
然るに、LIVEはこの非対称をほんの少し破る。多対一である事に変わりはないし、向こうは相変わらずこちらの名前を知らないが、こちらからのはたらきかけに応えてくれたりするようになる。"I love you, too."と返された彼女はその時大丈夫だったのだろうか。非対称は残るにしても、LIVEは有名人とファンの間に生身の関係性を持ち込む。これは普段歪な一方通行を遵守している我々に対する素敵な裏切り行為に他ならないだろう。
そこに目をつけたのが秋元康で、見事に成功したのがAKB48、という話は私より読者の方が詳しいだろうから置くとして、ネット世代は"実際に会う"事の意義を前の世代より的確に把握している感がある。普段、書き文字や声(スカイプとかね)を駆使してコミュニケーションをはかっているお陰で、実際に会った時に言葉以外で伝わる事は何かを把握する事が出来るのだ。言葉じゃ半分も伝わらない、という嘆きは、チャンネルが増えた今何がどこで伝わって何がどう伝わらないかを確実に把握する事を約束する。ネット世代は、前の世代より確実にLIVEの意義を把握可能なのだ。
そういう意味では、記念日としてはデビュー13周年よりWild Life最終日一周年の方が感慨深い、ともいえる。
しかし、やっぱり《宇多田ヒカルの誕生日》という解釈をすればこの日が如何に尊いかという事も思い知らされる。いずれにせよ、12月9日は私にとって自分の誕生日以外では最も重要な、"生まれてきたことを祝福する日"なのは、間違いない。ですよねー。
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