ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカル魚でとれたてごはんbyFb…宮島 『錦水別館』の、瀬戸内の魚介とカキ料理

2012年05月12日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 雨にたたられた宮島散策はどうもテンションが上がらず、早めに切り上げてこの日の宿「錦水別館」に落ち着いた。昼食が軽くあなごめしだったこともあり、桟橋を見下ろす展望浴場で長湯したら、空腹の方も早めにやってくるよう。
 この日の料理は、魚介はすべて瀬戸内のものを使っており、突き出しの蒸しアワビ、鯛の子、アナゴ一夜干し、茹で白さエビに、つくりの鯛、カンパチ、サヨリ、赤貝は盛り付けも美しい。ビールは宮島ビールのヴァイツェンで、どっしり厚く苦味が深い。

 
続く鍋には、4月なのにカキが登場。「名残り牡蠣のハリハリ鍋」との名だが、名残ながらまるまる大粒のカキがゴロゴロ入っている。お姉さんによると「牡蠣小町」というブランドで、島の近海のやや広島寄りで養殖しているという。
 潮の香りは時節柄あまりない分、甘みが深く柔らかで、名残ながらの力を振り絞った味わい。水菜のシャッキリさが牡蠣のふっくらさとコントラストで、食感のバラエティが楽しいカキ料理だ。

 
大粒なのも道理で、牡蠣小町は広島県立総合技術研究所水産海洋技術センターが開発した、3倍体のカキのブランドだ。カキは普通、夏に産卵するが、これは産卵せずに栄養素をすべて身の成長に使うため、短期間で粒が大きくなるという。
 
また広島湾のカキ養殖は普通、筏式垂下養殖法で、イカダから長さ10メートルに及ぶ連を海中に吊るして育てる。このカキは、一つ一つカゴに入れてていねいに養殖しているのも特徴で、大きく甘く仕上がるのだそうである。

 
時期的にカキ料理はもう一品だけで、宮島牡蠣の西京グラタンは白味噌とカキの甘みの相乗効果で、卵に味噌、カキの相性がベスト。ソースをパンにつけて食べるのがうれしいおまけで、西京ならぬ最強とあるのも納得だ。
 最近、広島では様々な養殖方法やブランドのおかげで、Rがつく月でなくてもカキを食べられるようになった。とは言え、味が良くなるのはやはり秋から冬場。この宿でも、シーズンにはカキ料理がこれよりさらに加わるそうで、雨の桜の宮島へのリターンマッチは、紅葉とカキの旬で返り討ちといきたい。