ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

旅で出会ったローカルごはんbyFB…岡山 『レストランSUN』の、えびめし

2012年05月15日 | ◆旅で出会ったローカルごはん

 究極のグルメマンガ「美味しんぼ」で取り上げられている料理は、高価な美食ばかりではない。低予算の貧乏料理や私的恥ずかしグルメも多く、とある篇では白飯にソースをかけただけの、ソーライスなるものが紹介されていた。
 
これとかマヨケチャかけごはんとか、家庭でやるのは禁断だろうが、それだけに背徳のうまさが心をひくような。近頃は別の食漫の影響で、こんな「ズボ飯」もレシピになるぐらいで、食文化のひとつ変位なのかもしれない。

 
ご当地B級グルメも、調理や味付けの禁じ手をあえて用いることで、常識を超える病みつき料理になったものが多い。さっきのソーライスで思い出した料理があり、岡山で途中下車。百花繚乱の岡山グルメで、まだ試していない「えびめし」を食べようと、駅ビル1階の洋食屋「SUN」へ足を向けた。
 
名前からはエビピラフとか、エビ入り炊き込みご飯を想像するかも知れないが、出てきたのは真っ黒な炒めたライス。件のソーライスを思わせるような、しっかりソース色の炒め飯である。

 
濃い色からして辛そうだが、ひと口いくと見た目の印象ほどではない。もちろん名の通り、具にはソースにからんだ小エビがたっぷり入っていて、プリプリのエビ甘さにウスターソースの蜜甘さ、さらに刻み玉ねぎを炒めた甘さにトッピングの錦糸玉子の砂糖甘さと、洋食系の甘さの四重奏。禁断のソースめしというより、町の喫茶店のピラフの変型版のような、どこか懐かしさを感じる味だ。
 
えびめしの具は玉ねぎとエビ、店によってはマッシュルームを加えるぐらいとシンプルで、フライパンで強火でバラリと炒め、ご飯を加えて塩コショウをして、仕上げにウスターソースベースのソースをからめてできあがり。

 
もとは岡山市内の喫茶店のメニューがルーツで、最近は取り扱う市街の喫茶店やレストランも増えてきた。デミカツ丼や祭り寿司などと並ぶ、岡山のローカルごはんとして売り出し中で、この店も改札口から1分と、乗り換えの時間で食べられるのがうれしい。ご当地グルメのえびめしを、私的恥ずかし料理のソーライスと並べて論じるのは失礼かも知れないが、ソースの味は庶民にとって、病みつきになる魔力がある。
 
マンガではソーライス愛好家の男性の恋人も、実はバターをのせ醤油をかけた熱々ご飯が好物だった、というオチ。この流れのご当地グルメも、あればうまそう?