ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

ローカルミートでスタミナごはんbyFb…鶴橋 『アジヨシ』の、ボリュームセットなど焼肉

2012年05月29日 | ◆ローカルミートでスタミナごはん

 ローカルフードを売りにする街の観光案内で、「駅を降りたとたん、○○の香りが漂ってくる」というくだりを見かけることがある。目にするたびにこれはさすがに大げさ、街中でローカルフードが香っているなど考えられない、などと懐疑的に感じていた。ところが、大阪でそんな街に出くわすことに。近鉄の鶴橋駅に降り立った途端、あたりに漂う焼肉の香り。高架下や周辺に密集する、焼肉屋の換気扇から、何とも香ばしい匂いが漂ってくる。

 
鶴橋がある生野区は、明治から昭和期に大阪の工業化政策で労働力が必要となった際、半島から移住してきた人が多い土地柄で、駅周辺に形成された鶴橋の市場街は、大阪屈指のコリアタウンとして名高い。駅改札から延びる鶴橋西商店街が、今や大阪の観光名所にもなった焼肉屋街。狭い路地に赤やオレンジなど原色系の看板があふれ、若い兄さん姉さんの呼び声も賑やかで、大阪の活気とソウルの街並みを足して2で割ったような、アジア的だが無国籍な雰囲気が漂う。

 
「A5ランクの和牛」「当日さばいた新鮮なホルモン」など、店頭のうまそうな宣伝文句が何ともそそる中、通りの活気に押されて奥まで行ってしまい、突き当たりにあった大きな店「アジヨシ」で足が止まる。300gのボリュームセットにひかれたほか、半人前の小盛りで肉をオーダーできるのが、ひとり焼肉にはありがたい。

 
まずはセットのロースとハラミから鉄板にのせ、まだジューシーなのをタレをつけていただく。しゃっくりと歯ごたえほどほど、脂は控えめで赤身の味が楽しめる。テッチャンはかなりしっかり焼いてからグリグリかむと、豚の独特な香りがいかにもホルモン。心臓はこれに厚みをつけた感じで、グシグシとかむと同様な香りが強い。レバーはホコホコでふっくら甘みがある。

 
5種のセットに内臓系が3種というのもすごいが、各種内蔵をしっかり味わうのが韓国の肉食文化の真骨頂。なのでもう少し内蔵系を、とレバ刺しも追加。エッジの効いたのが口の中でトロリ、生の内臓のシャクシャク感がいい。さらに半人前の小盛りで頼んだミノは、舌触りとシャクシャクした歯ごたえ。ごま油で煮たニンニク粒を巻きつけて食べると、程よく潰れて格好の付け合わせだ。

 
ひとり焼肉はついつい肉ばかりに行きがちだが、キムチやキャベツもたっぷり摂り、内蔵オンパレードとこの量にしては、割と軽くいただけた。ランチタイムの後だからか、店を出ると食後らしい客たちが、続々と鶴橋駅へと向かって行く。ブレスケアの飴は皆さんもらっているだろうが、これでは大阪環状線の車内まで○○の香りが漂いそう(笑)。