ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

日々是好食…ゴーヤー記念日が夏へいざなう

2013年05月10日 | ◆日々是好食

5月8日は「ゴーヤーの日」だそうだ。いわゆる語呂合わせ的な記念日かと思ったら、ちゃんと所以があるらしい。ゴーヤーは初夏の時期が走りで、暑くなるに連れどんどん出荷量が増えていく。初夏、といっても、沖縄の5月の平均最高気温は28.6度。3月下旬から普通に海で泳げる土地柄、ゴーヤーの日は地元ではすっかり夏の記念日である。

ゴーヤーの旬は6〜8月といわれるが、沖縄では年中収穫されている。そのたも常夏の沖縄の人たちにとって、暑さ対策の栄養補給を担う大事な野菜でもある。豊富なビタミンCに始まり、コレステロールを抑える水溶性の食物繊維、血糖値を安定させる植物インシュリンなど。まさに快活かつ長寿の源である、ウチナンチュのローカル野菜。良薬は何とやら、と思えば、口内に鈍く広がる青臭い苦味に、ありがたみを感じずにいられない。

ゴーヤーを薄い半月切りにして、豆腐や豚肉と一緒にざっと油炒めし、仕上げに溶き卵をからめてできあがり。さっくり軽い歯ごたえに、ほの甘さ混じりの柔らかな苦味。それをまとめる、半熟卵の包容力。家庭の食卓に、居酒屋の一品に、東京でもゴーヤーチャンプルーが出始めたら、こちらも夏の足音が高まってくる。今日は今年一番の暑さ、初物のゴーヤー記念日にピッタリの陽気のようだ。(130510)


ローカル魚でとれたてごはんbyFb…静岡 『天文本店』の、桜エビかき揚げとシラスごはん

2013年05月10日 | ◆ローカル魚でとれたてごはん

 漁港や市場、魚料理の店を巡るのがライフワークな私、縁あって『魚どころの特上ごはん』(光文社知恵の森文庫)『ローカル魚で絶品ごはん』(エイ文庫)の、二冊の魚食紀行を出すことができた。まだ30代半ばで、食紀行を志して現場を見始め、食べ歩きを始めたばかりの頃。新たな店をどんどん訪ね、当たり外れもありながら勢力的に取材したことは、今の自分の下地になっているように思える。

 そんな意向から、どこへ出かけても店はかならず新規開拓、が鉄則だっだが、最近は紹介した店のリピート率が上がる傾向にある。静岡を訪れた昼食も、シネマ通りにある天ぷら屋「天文本店」に、久々に足が向く。元気良くカウンターに案内してくれるおばちゃん、白衣にネクタイ姿で目の前で黙々と揚げるご主人。居心地の良さと適度な緊張感が、かつてのままでうれしくなる。

 「ローカル魚で…」で紹介した、桜エビのかき揚げは、さっくり軽やかな歯ごたえに、エビの身がプチッ。殻やひげは香ばしさが立ち上がるぐらいで、口に触らない食感の心地よさが真骨頂だ。シラスごはんは、太めでホコホコの釜揚げシラスがたっぷりで、醤油はなくてもほのかな潮味が海ごはんらしい。以前の取材時はこれでごちそうさま、だっだが、懐かしさとうまさにシラスごはんとキス天イカ天を追加。

 思えば二冊を出してから5年以上経ち、どうしているかな、と気になる店も数多い。再訪することで、駆け出し時に感激した味への再会に加え、今だから気付く新たな魅力もあるかもしれない。そういえば、本に紹介された店を読者が訪れるのを「聖地巡礼」と称するとか。感激と再発見のため、これからは著者自らの巡礼も、意識してやっていこうか。