5月8日は「ゴーヤーの日」だそうだ。いわゆる語呂合わせ的な記念日かと思ったら、ちゃんと所以があるらしい。ゴーヤーは初夏の時期が走りで、暑くなるに連れどんどん出荷量が増えていく。初夏、といっても、沖縄の5月の平均最高気温は28.6度。3月下旬から普通に海で泳げる土地柄、ゴーヤーの日は地元ではすっかり夏の記念日である。
ゴーヤーの旬は6〜8月といわれるが、沖縄では年中収穫されている。そのたも常夏の沖縄の人たちにとって、暑さ対策の栄養補給を担う大事な野菜でもある。豊富なビタミンCに始まり、コレステロールを抑える水溶性の食物繊維、血糖値を安定させる植物インシュリンなど。まさに快活かつ長寿の源である、ウチナンチュのローカル野菜。良薬は何とやら、と思えば、口内に鈍く広がる青臭い苦味に、ありがたみを感じずにいられない。
ゴーヤーを薄い半月切りにして、豆腐や豚肉と一緒にざっと油炒めし、仕上げに溶き卵をからめてできあがり。さっくり軽い歯ごたえに、ほの甘さ混じりの柔らかな苦味。それをまとめる、半熟卵の包容力。家庭の食卓に、居酒屋の一品に、東京でもゴーヤーチャンプルーが出始めたら、こちらも夏の足音が高まってくる。今日は今年一番の暑さ、初物のゴーヤー記念日にピッタリの陽気のようだ。(130510)