ウマさ特盛り!まぜまぜごはん~おいしい日本 食紀行~

ライター&編集者&散歩の案内人・上村一真(カミムラカズマ)がいざなう、食をテーマに旅をする「食紀行」を綴るブログです。

一献一品出合い酒@上永谷

2013年05月07日 | ◆一献一品出合い酒

環状線沿いのうどん店「味の民芸」にて、一番絞りジョッキ×カツオのたたき。5月を前に初ガツオがまだなのに気がついたら、初夏の日差しにさっぱりスッキリのこのコンビが馴染む。

ジョッキの冷やし加減に定評ある店らしく、取っ手がヒヤリ、口をつければキュッと冷たさが先鋭的。なのに泡のねっとり感と麦汁の甘さがふくよかなのは、冷やし具合の見切りができている証だ。薄めのカツオは軽いヅケ、弾むような身のしなやかさで、初物ならではのイキの良さに舌が踊る。グググッと、シャキシャキッと、活力が蓄えるられような一期一会。

窓から覗く並木の木漏れ日が、もう夏を思わせるようにキラリ眩しい。目に青葉の清々しい季節は、ほんのひと時。旬も上りガツオのごとく、夏へと向けてどんどん駆けていく。一献一品の小さな酒宴、今宵も天下太平なり。(130507)


日々是好食…トロロの精

2013年05月07日 | ◆日々是好食

 太田和彦氏の著作「ニッポン居酒屋放浪記」の東北の居酒屋巡りの項で、中年になると『精がつく』とある料理に弱くなる、とあった。言われてみれば自分も、いつからか旅先の晩飯でその手の名物を、よく頼むようになった気がする。

 静岡での締めごはんのトロロ汁は、精がつく料理の代表のひとつ。郊外の東海道丸子宿で眼前にはだかる宇津谷峠を前に、旅人がパワーを充填したのがルーツという。あのネバネバのもとであるルチンは、疲労回復に効果があり、理にかなった旅の食だったようだ。

 自然薯をすり鉢でていねいにすりおろし、カツオだしに味噌を加えてできあがり。ぶっかけるのは白米より、麦飯のほうが相性よく、ダハダバにかけて茶漬けのようにザクザクかっ込むのが、地元静岡流とか。旅先で疲れの抜けがイマイチな時は、健康ドリンクよりもこんなスタミナ系ローカルごはんが、案外効くことがある。

 ちなみに太田氏、件の項を「居酒屋のカウンターにて、あてのない精をつけ続けるのだった」と締めていたが、う〜むこれも微妙に共感?