ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

草木國土

2012年05月21日 | 文学

 島田修二という平成16年頃に亡くなった歌人がいます。

 若い頃広島で被爆し、反戦めいた歌や反政府的な歌を多く作りながら、晩年は歌会始の選者になったりした、破天荒な人です。
 家庭では問題のある父親であったらしく、両足が不自由であった息子を、大金を積んで中国人女性と結婚させ、大連に住まわせたり、息子の結婚に反対していた妻と離婚訴訟を三年も続けたり、歌の才はあっても、いやあったからこそ、困った人であったろうと推測します。

 西行も妻と幼い娘を捨てて出家しました。
 その際幼い娘を足下にしたというのは本当でしょうか。

 お釈迦様も釈迦族の皇太子でありながら、王の務めを嫌い、おのれ一人真理を悟らんと、出家してしまいます。
 悟りを開いて後も、しばらくは悟りの境地があまりに深遠であり、人々には理解不能であろうと考え、教えを説くことはありませんでした。
 三度請われて、やっと悟りについて語り始めますが、最初のうちは本当に難解な説教だったと聞きます。
 それが年を取るごとに分かりやすく、面白い話になっていったんだとか。

 亀の甲より年の効ですねぇ。

 島田修二もまた、年老いて力が抜けたのか、晩年、悟りを開いたのでは、とさえ思わせる秀歌を残しています。

 来世より 見渡すごとく一筋の 道を歩めり ひと息の後

 あらはなる 生おもむろに しづめつつ 草木國土 冬に入りゆく

 どちらもスケールの大きい歌ですねぇ。

 来世から今生の自分を照らす一筋の光の中で生きてきた、というのですねぇ。
 私のような中年には、まだたどり着けない境地です。

 
次の歌は、登場人物がいませんね。
 草木国土が生を鎮めつつ死の象徴である冬を迎える、というわけです。
 
草木國土
は仏教用語の草木國土悉皆成仏(そうもくこくどしつかいじようぶつ)から採ったことは明らかでしょう。

 草木や国土など、心を持たない無機物までもが成仏できる、存在する全てのものが仏性を有し、悟りを開ける、という考え方ですね。

 惚れたのはれたのを詠む和歌とはかけ離れた、哲学的と言おうか、仏教的な和歌です。

 あるいは和歌らしい和歌ではないかもしれませんが、人の心を打つことはなはだしい、極めて優れた和歌ですねぇ。

 私は歌作をよくしませんが、老境に入り、死期を悟ったなら、歌作に挑戦してみたいものです。 

島田修二歌集 (現代歌人文庫 16)
島田修二
国文社

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寒い

2012年05月21日 | 精神障害

 ギャグのことではありません。
 体感気温のことです。

 3月5日に父が亡くなってから、食欲不振が原因で急速に体重が落ちていることはこのブログに何度も書きました。
 3月5日時点では73キロあった体重は、今、65キロになりました。

 かねてから内科医から減量するように指導されていたのでそれは良いのですが、寒くてかないません。

 土曜日に近所を14,000歩歩いた時も、強い日差しで道行く人が軒並みTシャツ 1枚なのに、私は下着の上に長袖のシャツを着て、さらに薄手のジャケットを羽織って散歩しました。
 それでもぜんぜん汗をかかないのです。
 職場では、未だにYシャツの上にフリースを着ています。

 思い起こしてみれば、35歳くらいまで、私の体重は53キロくらいで、いつも手先や足先が氷のように冷たい、冷え性でした。
 それが36歳で精神障害を発症し、長期病気休暇の間に見る見る太って、今度は暑がりになってしまいました。

 元に戻りつつあるのでしょうが、寒いのはやれませんねぇ。
 しかももう5月も下旬ですよ。
 この時季に寒がっていては、本格的な冬が来る頃はどうなってしまうのでしょう。

 太ることを悪のようにとらえる風潮がわが国を覆っていますが、少なくとも寒さに強くなる、という効能はあるように思いますねぇ。

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旭天鵬 

2012年05月21日 | その他

 昨日の大相撲夏場所千秋楽は意外な展開になりましたね。

 まず、琴欧洲が突然休場し、栃煌山の12勝3敗が決定。
 続いて旭天鵬が豪栄道を破って12勝3敗とし、優勝決定戦が行われることが確定。
 今場所の優勝争いを引っ張ってきた稀勢の里は把瑠都に敗れ、巴戦はなくなりました。

 平幕同士の優勝決定戦という締まらない展開を盛り上げたのが、旭天鵬の年齢。

 37歳9カ月、キャリア20年の大ベテランが、まさかの平幕優勝を果たしました。

ボロ泣きですねぇ。

 また、モンゴル出身ではありますが、すでに日本国籍を取っているため、何年ぶりかの日本人力士の優勝と、モンゴル出身力士50回目の優勝というおまけまでつきました。

 なんだか落語の人情噺を聞くような、旭天鵬のこれまで。
 新弟子の頃はつらくてモンゴルに逃げ帰ったこともあるとか。
 師匠がモンゴルまで説得に行き、泣く泣く日本に戻り、その後は稽古に精進し、地道に出世していきました。
 旭鷲山などと並ぶモンゴル勢1期生で、初土俵が私が就職した年ということで、私とも社会人同期です。
 大島親方の娘と結婚し、大島親方株を譲られることが確定しており、モンゴル出身力士として初めての親方となりますね。
 同期の旭鷲山はモンゴルで国会議員になりましたし、朝青龍も実業家みたいになっていますね。
 相撲界に骨をうずめる覚悟を示していることも、人情噺っぽいですねぇ。

 今後大関挑戦ということはないんでしょうけれど、もう少し、おじさんの星として頑張って欲しいものですねぇ。

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