日本共産党 前玉野市議会議員 松田たつおのブログ ニュース

岡山県・玉野市 日本共産党の前市議会議員 松田達雄の活動ニュース

ハローズ大型店出店問題を改めて掲載

2022年08月31日 | 市議会
このブログ記事のハローズ大型店問題へのアクセスが多くあり、当時の私の主張を何回かに分けて記載していることから、
長文になるが、改めてこの問題をまとめて記載した。すでに13年が経過している。

大型店出店計画─誘導した開発許可行政①
2009年01月08日 | 玉野市政

 昨年12月議会の質問で取り上げた荘内槌ケ原地区への大型店出店計画。この問題点について、何回かに分けて明らかにしたい。
 出店計画内容は、昨年11月10日付の玉野市農業委員会資料で明らかになった。㈱ハローズと㈱ジュンテンドーが事業主体で、店舗面積9900㎡、駐車場10000㎡(546台)、総面積36,600㎡(開発面積)という転用計画である。当該地域は主に農振農用地であり、農業委員会はこの農振地域からの除外を認めたようである。
 なぜ、このような大規模店出店が可能な開発行為ができるのか。それは07年9月議会で「玉野市都市計画に係る開発行為の許可の基準に関する条例の一部を改正する条例」が議会で可決され、施行されたためである。当時の建設部長の議案説明の主旨は、「県道境界から50メートルの区域を開発許可区域」とし、「この区域を超える開発行為であっても、一体的な開発が適当と認められる場合は、この超える部分の土地の区域も開発許可対象地域とみなす」というものである。
 大規模店出店計画の資料では、県道境界から東側に約200mも開発区域が延びている。こんな「一体的な開発」が可能なら、「県道境界から50メートル」の開発許可基準は「あって無きがごときもの」。まさに、人をバカにしたようなもので、「50m」は「20m」でもよかったということになる。



槌ケ原地区のハローズ等大型店開発の問題点─1
2010年02月11日 | 玉野市政

 玉野市槌ケ原地区のハローズとジュンテンドウーを核とする複合店舗・大型店開発計画をめぐって、開発業者・地権者等の計画推進側と、利権に関わりなく、できれば「歩いて買い物ができる商店が近くにあれば・・・」と望む開発予定地域周辺の住民、その一方で、開発予定地域に隣接し、住環境の悪化を懸念して開発計画の「規模縮小、見直し」などを求める「ハイライフ秀天橋町内会」(隣接団地)、さらに、深刻な影響をうける市内中小商店・商店街などの計画の「規模縮小」を求める側など、まさに、この大型店開発計画は市民の間に大きな問題を生じている。
 発端は市開発条例「改正」によって、この槌ケ原地区の市街化調整区域での「沿道利用を目的とした開発」を可能にしたことから生じている。
 論点整理のため、議会等でのこの市条例開発「改正」をめぐる動きがどうであったのか、何回かに分けて記述してみる。

 平成19年9月議会が市開発条例「改正」議案が可決された議会である。この議会の会議録のみると、地元議員から「玉野市都市計画法に係る開発行為の許可の基準に関する条例の一部改正」に関する一般質問が行われている。「このたび国道、県道沿いの農振地でも沿道利用として商業系の店舗をつくることができる内容のようであります。すばらしいことだと思います。」と開発条例「改正」を高く評価する発言がなされている。
 これに対して当時の建設部長は答弁で、「開発許可権限につきまして、昨年度までは都市計画法と県条例の規定に従い県が行っておりましたが、本年4月から中核市である岡山市、倉敷市を除き他市に先駆けて開発許可の権限委譲を受け、市の開発条例を制定し、この条例に基づき開発許可をおこなっております。」と発言。
 地元議員はこれを受けて、「今後は、地元、行政、開発業者が手を取り合って、実現に向けた努力をしていかなければならないと思っております。」と発言している。
※他市に先駆けて権限委譲を受けているが、他市の状況はどうか。
※この時点で開発に向けた何らかの動きがあったと推察できる。
 



槌ケ原地区のハローズ等大型店開発の問題点─2
2010年02月11日 | 玉野市政

 平成19年9月議会での市開発条例「改正」の議案質疑に関して
 宇野俊市議員が、最初に質疑し、「住民の自由がどの程度制約を受けるのか。違法な点はないのか。現行条例より住民にメリットはあるのか。」などを質問している。建設部長は「開発許可の対象となる区域と用途を単に追加するだけのものであります。・・・住民に不利益になるような性格のものではございません。」「この条例は、都市計画法第34条第8号の3の規定に基づきも事務処理市町村である玉野市が制定したものでございます。今回の改正に当たりましても、都市計画法、政令、開発制度運用指針等に従い改正を行っております。」「指定区域内ではございますが、条件が整えば物品販売業などの立地が可能になりますので、利便性の向上につながるものと考えております。」と答弁している。
 宇野議員は「所管の委員会で慎重な審査をお願い」して一回の質疑で終わっている。

 私の同議案質疑の要旨は、「開発許可する3区域(槌ケ原地区を含む3地区)の区域を指定したそれぞれの理由と根拠、その背景は」「指定に至るまでの、例えばその地元地域の要望などが上がってきたのかということを含めて、担当部課でこの区域を定めることについての協議検討状況など、その経緯も、もう少し詳細にお聞かせ下さい。これによって(開発条例改正によって)どのようなまちづくりを進めようと考えているのかという点も、ちょうと私不明なんでお聞かせいただきたいと。特に県道槌ケ原日比線の沿道区域、そして、国道30号線の深山周辺の沿線区域、そして、東野崎地区(以上3地区)ということが指定をされるわけですけれども、そのまちづくりを目指そうとする方向性について、当然ご検討されると思いますので、お聞かせ下さい。」と第1回目の質疑で問うている。
 これにたいして建設部長の答弁要旨は「槌ケ原地区につきましては、地区内に商業施設がないため、これらの要望がこざいました。国道30号沿線、東野崎地区につきましては、特に要望等はございませんでした。」「この条例は開発許可の基準等について定めるものでありまして、それぞれの地区ごとに目指すべき方向性を定めるものではございませんが、本年(平成19年)4月に策定いたしました玉野市総合計画において、未利用地の有効利用、地域の生活利便性の確保を課題として挙げておりますので、これらの解決の一助になるのではないかと考えております。」と答えている。

槌ケ原地区のハローズ等大型店開発の問題点─3
2010年02月11日 | 玉野市政

 前述しているように、第1回目の私の質疑に対する建設部長の答弁では、依然として不明点が多く、再度2回目の質疑をした。その要旨は「道路沿線に店舗等を開発できる。開発許可を認めたら、そこへ店舗類を誘導する。全部利権が絡む、地主さんは利権の拡大になる。秀天橋からの県道の(開発区域)ここでも、ものすごい段差がある。地域から要望があったんでしょうけれども、このへんの論議の過程としてよくわからない。ここへ店舗をもって持ってくるとして、その店舗が仮に大資本の店舗が来る可能性もあるのか。50メートル(道路境界から)だから大きいのできんけど、まあ2000平米ぐらい、よくわからないけど、何を想定されているのか。・・・地域の人が要望して店がない。確かに歩いていく店は近くにないけれども、跨線橋を超えたところには大型店が3つも4つも並んどるし、それに逆に長尾の方へ向ければまた店舗がありますよね、ショッピングセンター。だからそういう意味で、この出されている中身の想定されていることが、ちょっと理解に苦しむんで、質疑させていただいている。・・・詳細な内部検討のことを教えていただきたいとお願いしたけれど、今の説明ではよくわからないんです。その点をお聞かせ下さい」と再度ただした。
 これに対する建設部長の答弁は、「・・・それから槌ケ原日比線の段差がある問題もいろいろあります。まとめてちょっとお答えになるかどうかわかりませんが、・・・まず、今回の開発の条例の変更ですが、すべてできるというものじゃなく、今回の変更によります認められる用途というのは、・・・地域の利便性の向上を図るような用途をもった店となっております。例えば、理髪店、美容院、クリーニング、質屋、貸衣装、貸本屋、その他類するサービス業、洋服店、畳屋、建具店、自転車店、家庭電器用品店、その他これに類するサービス業、それから自家販売のための食品衛生業を営むパン屋さん、米屋さん、豆腐屋さん、菓子屋さん、これに類する作業所を持った店舗、それから学習塾、華道教室、囲碁教室、これに類する施設と、それから、物品販売業を営む店舗、それから銀行の支店、損害保険代理店、宅地建物取引業を営む店舗、その他これに類するサービス業というように、生活に密着した用途、市街化調整区域というのは今までできるのは沿道利用なんで、車の修理とか、ガソリンスタンドとか、それから飲食店、ドライブインのような形はもともとできます。・・・・」と次々と用途の類例をあげて、「市街化区域に隣接しとるものという今度、今言う生活に密着しておりますから、市街化区域より離れますと今度は違う用途になりますんで、そういう中で残ったのがこの3地域で、ほかに大きなことは何も考えておりません。」と発言している。
 長い引用になったが、私の「大資本の店舗がくる可能性もあるのか。」「50メートルだから大きいのはできんけど、2000平米ぐらい」の店舗ができるのかの質疑に、明確には答えず、「利便性の向上を図るような用途を持った店」を次々とあげて、「ほかに大きなことは何も考えておりません」と小規模店舗開発を印象づけた発言となっている。
 これに対して、私は「もう一つちょっとようわからないんですけど、所管委員会で十分議論していただきたい。」と質疑を終えている


槌ケ原地区のハローズ等大型店開発の問題点─4
2010年02月11日 | 玉野市政

 この議案質疑をうけた後に、この「議案第68号 玉野市都市計画法に係る開発行為の許可基準に関する条例の一部を改正する条例」は、建設消防委員会に審査を付託され、平成19年9月18日に委員会が開催されて審査を行っている。そして、同年9月25日の9月議会最終日に建設消防委員長が審査結果を本会議で報告している。
 その報告の主旨は、「次に、開発の区域及び規模は玉野市開発審議会の議を経れば拡大できるとなっているが、どれだけ拡大可能なのか基準の設置についてただしました。当局の説明によりますと、区域及び規模の拡大については市街化調整区域であるとともに、沿道利用を目的とする性格上、スーパー程度の規模であれば開発可能と考えるが、大規模店舗については開発は難しいと考えている。開発に際しては、玉野市開発審議会において地権者や地区住民の意向、必要性、妥当性等を考慮して決めたいと考えており、一定の基準は設けないとのことでありました。」・・・「委員会といたしましては、開発区域及び規模の拡大については、開発区域は利用しやすい環境づくりに努めるとともに、周辺住民の現況を十分に調査した上で、開発許可の対象区域を追加することを要請し、本委員会といたしましては可決すべきものと決定いたしました。」と委員長報告を行っている。
 この市民の代表機関である議会本会議での議案付託・審査結果における委員長報告は、それだけの大きな重みがあることは言うまでもない。
 ここでいう「スーパー程度」とは、当然、近隣のニシナ長尾店(1350㎡)やタマヤ宇野店(1485㎡)などと同規模のスーパー店舗規模を指し、そのように理解するのが通常の感覚であろう。「開発が難しい」と報告した「大規模店舗」とは、すでに「まちづくり3法」改正で床面積1万㎡超える大規模集客施設の郊外出店が原則規制されているもとで、今回のハローズ等の複合店舗9000㎡を超える大型店出店計画は、この委員長報告が示す「開発が難しいと考えている」、「大規模店舗」に該当することは当然である。この「ハローズ等の大型店開発計画は、大規模店舗ではなく、スーパー程度の開発である」と強弁し、この大型店開発を正当化しようとする一部の市職員がいるようだが、私の前述の「50メートルだからそう大きいのはできんけど、2000平米ぐらいか・・・」の議案質疑をうけ、当時の建設部長の「理髪店、美容院、クリーニング・・・」の質疑に対する答弁からみても、「スーパー程度の規模であれば開発可能と考える」とは、せいぜい「地域の方の利便性を図るような店」であり、市内中小商店に甚大な影響を及ぼすような、「住民に不利益になるような性格のものではない」規模ということになる。

槌ケ原地区のハローズ等大型店開発の問題点─5
2010年02月11日 | 玉野市政

 この市開発条例「改正」に伴う議案第68号の提案説明は、平成19年9月議会の初日9月6日に当時の建設部長がおこなっている。その説明主旨は「本年4月からの開発許可等の権限委譲に伴いまして、都市計画法第34条第8号の3の規定に基づき、市街化調整区域における開発行為の許可基準等について定めているものでございますが、今回の改正はこの許可基準を改正するとともに・・・」として「県道槌ケ原日比線の市街化区域との境界から、大字迫間の区域境界までの間の区域のうち、道路境界から50メートルの区域」と説明。
 ただし「道路境界から50メートルの区域といたしておりますが、この区域を越える開発行為であっても、一体的な開発が適当と認められる場合については、この越える部分の土地の区域については・・・開発許可対象区域に含まれるものとみなす規定でございます。」として「玉野市開発審議会条例に基き設置する、玉野市開発審議会の議を経ることを要件といたしております。これは一体的な開発が適当かどうかの判断をこの審議会に委ねることにより、より適正で的確な開発行政の執行を図ろうとするものでございます。」と議案提案説明をしている。

 さらに、「予定建設物の用途を追加するもので・・・建築基準法別表第二(は)項の第5号に規定されております用途の建築物、具体的には一定の規模以下の物品販売を営む店舗、飲食店などの用途を開発許可対象用途として追加するものでございます。」と説明している。ただし「第1号で許可対象となった用途の建築物のうち、開発区域の環境保全上、支障がなく、また公益的見地から立地が望ましい場合は一定規模を越えるものについても許可の対象とする規定でございます。この規定でも、先ほどの一体的開発の趣旨から、あらかじめ玉野市開発審議会の議を経ることを要件といたしております。」と説明している。
 この予定建築物の用途の追加─建築基準法別表第二(は)項の第5号の規定とは、
 「店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床の面積の合計が五百平方メートル以内のもの(三階以上の部分をその用途に供するものを除く。)と規定している。
 つまり条例の規定する開発許可対象区域の基本・趣旨は、道路境界から50メートル区域だが、「一体的な開発が適当と認められる場合は、この基準(50m)をこえる土地の区域も開発許可対象区域とみなす、特例的(例外)な規定を作っている。
 また、建築物についても、床面積500㎡以内の店舗、飲食店等が建築できる許可基準だが、公益的見地から立地が望ましい場合には、一定規模をこえるものについても許可の対象とするもので、市長がこれらの条例規定をふまえ、開発審議会の議を経て決定できる、という条例「改正」である。

 議案の提案説明を長々と引用したが、今回のハローズ等の大型店開発規模は、許可基準の500平米を「一定規模を越えるもの」以上の、基準の18倍、9000㎡の開発であり、50メートルの区域から、その4倍の約200メートルも基準をこえる開発である。
 これが特例(例外)規定として、法律、条例上で許されるだろうか。都市計画法と市開発条例に違反する開発行為と考えるが・・・。

槌ケ原地区のハローズ等大型店開発の問題点─6
2010年02月12日 | 玉野市政

 私は、私の当局への議案質疑をうけて、議案審査をした建設消防委員長の報告に述べられた「当局の説明によりますと、・・・沿道利用を目的とする性格上、スーパー程度の規模であれば開発可能と考えるが、大規模店舗については開発は難しいと考えている。」という報告から、槌ケ原地域からの商業施設の要望にも応え、買い物の利便性を図るため、スーパー程度の規模の開発なら、と委員長報告に対して質疑もせず、開発条例「改正」議案に賛成した。

槌ケ原地区のハローズ等大型店開発計画─
2010年02月27日 | 玉野市政

 玉野市開発条例「改正」が、平成19年9月(07年)議会で成立。この大型店開発計画が表面化したのは平成20年11月10日開催の玉野市農業委員会での農振解除を求める協議です。農業委員会資料が手に入り、早速直近の12月議会でこの大型開発問題を取り上げた。「事業主体は大手小売業者2者(㈱ハローズと㈱ジュンテンドー)を核とする複合型大規模商業施設で、店舗面積は約9,900平方メートル、駐車場台数546台、敷地面積3万6,600平方メートルを予定」。市は「平成18年9月に本件地域の代表者から、当該農地が水はけの悪い特殊な地形であり、荒廃がすすみ、農地として利用することができないため開発をしてほしいとの嘆願書の提出」があった。
 「平成19年4月からは開発行為に関する権限が県から市に委譲され、それに基づき開発行為の許可基準に関する条例を制定し、さらに同年12月には具体的な許可基準を設け」「この基準の中で、市街化調整区域のうち開発可能な地区を3地区選定し、当該槌ケ原地区もこれに含める」こととした。
 「平成20年3月に本件農地への出店意思のある大手小売業者から約4ヘクタールの商業施設の出店を予定していることの市への説明」があった。「この後、開発許可、農地転用許可に先立って、農業振興地域からの除外手続きが必要であるため、平成20年10月に商業施設建設に係る農用地区からの除外申請が提出された」
 次に、「農業委員会での協議状況は、農地転用許可権者である農業委員会では、本年11月の農業委員会において現在の農業の状況を確認し、農地の転用により付近の営農環境の妨げにならないかなどを検討し、この申し出を引き続き国へ協議していくことに決定」した。
 また、「農業振興地域からの除外手続きの諮問機関である農政審議会では、地域の農業を支える兼業農家の雇用の場の確保、生活の利便性の向上を考慮し、検討が行われ、引き続き県との協議を進めていくことを決定」した、という説明答弁であった。

 建設部長は、「敷地面積は・・・200掛ける200というふうな大規模になると思いますが・・・今のとこはまだうちのほうについては事前協議ということですから・・・」「農振解除になってからうちのほうで協議するということになろうかと思いますが、50メートルを超える部分については審議会にかけるという議案の説明はしているように思われます。」と答弁している。

最期に2023年5月31日付けでこのブログに掲載した「ハローズ出店問題、市は責任を持てるのか」と題し、「この大型開発の現状での本質的な問題点」について、掲載日が前後するが、ブログ記事をコピーして再度掲載する。

玉野市の荘内・槌ケ原地域へのハローズ出店問題。すでに開発計画が持ち上がって13年が過ぎた。いまだに、この9,000㎡もの大型店開発はくすぶっているようだ。
市議時代にこの問題に関わってきただけに、この大型店開発の現状での本質的な問題点についてふれてみたい。
  
槌ケ原地区の大型店開発予定地は、「昔からザブ田(湿田)と言われていた」と以前に地域の人から聞いたことがある。大雨の時などは浸水する危険がある。以前のハローズ出店計画の説明では、広大な開発敷地を埋め立て、舗装することになるため、浸水対策として事業者側は、「排水ポンプ等を設置し、敷地北側の加茂川に排水する計画」という話しがあった。また、「もしハローズ側が閉店・撤退するような場合は、市にその排水ポンプを引き受けてもらう」という話しも聞いた。
 つまり、この大型店開発予定地は、それほどに大雨、台風などによる浸水、水害のリスクが大きい土地である。また、大規模な埋め立て舗装による隣接団地の地盤沈下等のリスクも否定できない。
 最近は線状降水帯による豪雨や、地球温暖化に伴う気候変動により、想定外の自然災害が毎年のように発生している。倉敷市真備町の災害はそれを物語っている。真備町水害では、ダム放水や河川管理の問題で、国・県等への住民訴訟が行われている。
 「ハイライフ秀天橋町内会」の団地住民の多くは、住環境の悪化や、自然災害など防災上の問題から反対しているのは当然である。

玉野市・行政が、隣接団地の住民の反対を押し切り、この開発を許可した場合、「もし、排水ポンプ能力が十分でなく、経験したことのない大雨に見舞われ、住民に浸水被害が発生したら…」。「もし、開発埋め立てにより地盤沈下等で家屋に被害が出たら…」、誰が補償するのか。言うまでもなく、開発を許可した玉野市が責任を負わなければならないだろう。
しかもこの開発は、市街化調整区域内での一定の条件付きでの開発である。「道路境界から50メートルの区域」「床面積500㎡以内の店舗」を原則とし、「一体的な開発が適当と認められる場合は、この基準(50m)をこえる土地の区域も開発許可対象区域とみなす」としている。このように原則を大きく逸脱した開発を認める場合、当然、地域住民の「積極的な賛成があること」と同時に、自然災害等への防災、安全対策が万全であることは最低の条件である。
巨大地震が発生しての災害は、防ぎようのない自然災害である。槌ケ原の大型店開発予定地で、現状のまま大雨等で水害が発生した場合、市が責任を問われることはないと思う。しかし、住民の反対があるにもかかわらず、浸水被害が想定されている地域での大型開発を市が許可をした場合、発生する浸水被害の責任を、市・行政は厳しく問われ、責任を免れることはできまい。

大型店開発で地域住民の安全を守れるのか。市・行政の責任が厳しく問われる問題である。

住民の安全、財産を守るべき地方自治体が、このようなリスクある開発を許可することが果たしてできるだろうか。問題の本質はここにあると考える。