「ヒ素及びその化合物」の測定調査地点は、どうやら、この4月より宇野港管理事務所から元の場所の日比市民センターに戻るようだ。
3月7日の私の代表質問で、この問題を取り上げ、14日には県議会の関係委員会で日本共産党・氏平みほこ県議が取り上げた。
当然のことである。平成22年10月に優先取組物質に指定され、「健康リスクの低減を図るための指針」として指針値が年平均6ngが示された翌年の平成23年度に、調査地点を移動し、指針値をオーバーする数値が出ない宇野管理事務所に移すなど許されないことだ。
4月から毎月1回の調査をきちんと実施し、指針値超過の場合は、発生源企業に十分な対策を求めるよう、強く要請し、大気環境を抜本的に改善してほしい。
日比市民センターの道路を隔てた東側には第二日比小学校があり、周辺には住宅地が広がっている。
中央環境審議会大気環境部会・健康リスク総合専門委員会の「ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について」の資料では、「高濃度の吸入曝露の条件下では肺がんの発症が疫学的に明らかである、有害大気汚染物質の健康リスクを低減する観点から」、「年平均値6ng As/㎥以下とすることを提案」。「この指針値案については、現時点で収集可能な知見を総合的に判断した結果」としている。
この第9次答申を受けて優先取組物質に指定され指針値が設定された。
県及び市環境保全課は、この指針値をもとに、発生源企業に対してこれまで以上に厳重に抑制対策を指導し、安全で安心して暮らせる大気環境を取り戻してほしい。
「いつの間にか発生源周辺の測定調査地点を移動する」姿勢は、結果として住民の健康や命を軽視した環境行政の問題点を浮き彫りにした。
県等の担当部署・職員は、もう一度原点に立ち戻り、住民の健康最優先の環境行政を推進するよう強く望むものである。