日本共産党 前玉野市議会議員 松田たつおのブログ ニュース

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玉野市中心市街地活性化計画─匿名のハガキに答えて

2011年08月21日 | 玉野市政
 先日、私のところに匿名のハガキが届いた。
 内容は、市長が宇野駅東側(旧スペイン村跡地)に温泉施設とホテル建設を発表したことに関して、「直島の観光をもくろんでホテルの建設をするそうですが、そう世の中甘くはありません。」「これからは増税、人口減少、高齢者の増加と玉野は施設建設の条件はととのっておりません。」「施設を造るなら介護施設を造るべきです。沢山の方が介護施設の空きを待っておられます。政務調査費を使って調べて下さい。岡山テレサ、朝霧温泉、沢山失敗があります。もしホテルを建設したら市の財政は逼迫します。赤字は間違いありません。市民の代表です。よく考えて行動してください、お願いします。」というもの。

 匿名のため発信された市民の方に直接返答ができないので、プログでお答えする。
 
 まず第一に、8月15日(月)に開催された市議会全員協議会で市長・執行部より、全議員に対して、初めて「中心市街地活性化計画」(素案)の全体的な説明・報告がなされ、それをメディアが報道したことで、このような匿名はがきが寄せられたものと思う。

 「中心市街地活性化計画」は、商工会議所や地権者である宇野港土地㈱、築港・宇野商店街や玉野市などで構成される「玉野市中心市街地活性化協議会」(法定協議会)で計画が練られ、最終的には市が策定する計画である。当然、市議会がこの計画を、市民の代表機関としてチェックしなければならない。しかし、主には民間主導で民間の事業(温浴施設・ホテルなど)が中心となる計画のため、また、国との調整等が必要であるため、議会への資料提出や計画素案の提出が後回しとなったことは否めない。
 私は、議会の一般質問等で「法定協議会に提出された資料等のすべてを市議会にその都度提出すべきだ」と発言し、議会への情報公開の遅れを批判した。

第二に、市側の計画説明では、温泉施設の建設費約7億5千万円に対して、民間事業者は計画の認定後、国からの施設整備費への補助として約2億5千万円を見込んでいる。玉野市は一切財政的援助、補助はしません。また、ホテル建設は平成26年度以降の整備で約8億円。国から2億5千万円ほどの補助を見込んでいる。しかし、東日本大震災をうけて、国からの補助は見込みよりも、かなり減額になる見通しであるとのこと。

 「匿名はがき」の市民の方が危惧されている、「もしホテルを建設したら市の財政は逼迫します。」という点では、その心配はないと考えている。温泉とホテル事業の成否については、建設事業者である「宇野港土地㈱」がすべての責任を持つもので、経営が仮に赤字になっても、市には直接的な被害、財政的なリスクは無いといえる。

第三に、計画における市の関わりは、市役所前の中央公園整備に6千5百万円、歩行者用サイン設置(案内表示等)事業に5百万円、カラー舗装・歩道側溝等の整備事業(10路線)に1億9千5百万円、中心市街地の回遊性を高める巡回バス停留所や照明施設整備等に3千5百万円の合計約3億円を、4年間にわたって宇野・築港地域の活性化のために整備する計画で、これは国からの支援があり、総費用の40%から45%の補助が出るとのことである。これ以外に、「空き店舗対策」や「魅力ある個店づくり」事業など、従来からの事業の拡大などが計画されている。

第四に、総務文教委員会や議員全員協議会などで発言してきたが、市民の収入減や介護・医療・税金の負担増など、深刻な不況のもとで、この計画の達成は極めて厳しいこと。
また、玉野市の地域・地形上から宇野・築港地域の中心市街地活性化だけでなく、和田、日比、田井、荘内、八浜、東児地区などに対しても、つりあいのたれたまちづくりを総合的に進めること。さらに、国の補助があるにしても、財政が厳しい時期に、3億円を超える整備費を投入する計画は、もっと精査する必要があることなど、問題点を指摘してきた。また、カラー舗装・道路整備等に市費を約1億円もかける必要があるのか、他地区では相当痛んだ道路がそのままになっているところもある。この点では道路・公園整備も、今後、議会でよく検討、精査し、無駄遣いにならないよう適正な費用に改善、改めることが求められる。

 最後に、これも全員協議会で問題提起したのだが、民間事業者が進める温浴施設やホテル建設に、「中心市街地活性化」を理由に国費を投入するなど、これこそ問題ではないのか、という思いがある。
 もともと、国は、米国等の要求にそって大店法を廃止し、大型店の無秩序な出店を野放しにしてきた。このことが中心市街地や商店街等を疲弊させてきた主な原因の一つである。この国の失政を取り繕うため、中心市街地活性化法によって、あれこれの理屈をつけて国費を投入し、中心地の活性化政策を進めようとしている。そして、国の計画認定をうけ地方自治体は、これに税金投入する。まさに地方は国策に翻弄され、国レベルでの税金の無駄遣いをすすめている姿が、ここにあるのではないか。

 だが、玉野市としては、スペイン村の失敗から、その跡地利用も無視はできないため、民間事業者の開発を後押しするなどの根拠で、この計画を策定し、9月にも国から計画の認定を受けようと、走り出している。

 日本共産党市議団は、こうした国策に振り回され、国レベルでの税金投入に問題はあるものの、市費の投入を最小限に抑え、スペイン村跡地を民間事業で活用し、宇野・築港地域の中心市街地の活性化につなげようとする取り組みそのものを否定するものではない、という視点から、この計画に反対しませんでした。今後、計画推進には十分にチェック機能を果たさなければならないと考えている。

 ただ、中心市街地活性化の一方の核となる、メルカ(まちづくり会社)は、市が1億円を出資している第三セクターである。この「まちづくり会社」の経営難の問題、この建物を宇野港土地から借用している天満屋の今後の方向など、さまざまな課題がある。市として、これらをいっそう透明化し、健全化をはかる必要がある点も指摘した。

 かつてスペイン村計画や宇野港第一突堤の10階建てツインタワービル構想、王子が岳のアルカディアホテル計画にも、議会の中で唯一、そのズサンな計画に警鐘を鳴らし、反対してきた実績をもつ日本共産党市議団。匿名ハガキを送付された市民の方の心配はよくわかる。
 「市民の代表」として、いっそう監視機能を強めつつ、誰もが安心して暮らせる玉野市づくりに、市民目線でがんばること、同時に、国のこうした悪政、失政は、本当にひどいものがあるだけに、地方から国政をよくするため、市民の皆さんと共に声をあげ、政治を善くするために奮闘すること、このことを肝に銘じ、その決意をのべ、匿名ハガキへの返答にかえるものです。