◇解説 二つの法律に隙間
竹富町教委の教科書問題では、教科書の採択権を定めた「地方教育行政法」と、無償配布の根拠となる「教科書無償措置法」の二つの法律間に「隙間(すきま)」があることが、事態を泥沼化させた。
地教行法は、教委の職務権限として「教科書の取り扱い」を定め、採択権があることを定義している。
ところが、教科書無償措置法は、採択地区が八重山のように複数の市町村で構成される場合、協議して同一の教科書を採択するよう求めている。地域の教員が共同研究をしやすいことや子供が地区内で転校しても教科書が変わらないことなどが理由とされる。
だが、教委の意見が食い違った場合の解決ルールはない。
二つの法律は一体的に運用されることが前提で、今回の竹富町のような対応は想定外だった。
地方自治法上の是正要求に罰則規定はない。応じない場合、手続き上は違法確認訴訟を起こすことができるが「国による地方教育への過度な介入」との批判が出る可能性もある。今後も文科省、沖縄県教委、竹富町教委の協議が続くとみられるが、法律のちぐはぐさを解決しない限り同じ問題が起きる可能性がある。【福田隆】
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