●2017年に提出する「所得税の確定申告書」からスタート マイナンバーで今回の確定申告はこう変わる、10の疑問を解決
ASCII 2017年01月13日 文● 小堀真子 編集●飯島恵里子
弥生マーケティング本部 菊池 龍信さん。弥生のマーケティング本部で、主に給与計算やマイナンバー関連サービスのディレクションやマーケティング活動をリードしています。仕事で培われた膨大な知識で、確定申告やマイナンバーのさまざまな疑問点を解説していただきます
平成28年分の確定申告、つまり2017年に提出する「所得税の確定申告書」から、マイナンバー(個人番号)の導入がスタート! 大半のフリーランサーの元には、昨年暮れあたりに、取引先から「マイナンバーを提供してください」と記された書類が届いたはず。しかし、それが一体どういうことを意味するのか全く分からない……と不安に思っている人も少なくないのでは……?
そこで今回は、個人事業主&フリーランスの確定申告が、マイナンバー導入によってどう変わるのか、今さら人に聞けないギモンを解決! 答えてくれるのは、クラウド会計ソフトなどでおなじみ弥生のマーケティング部・菊池さんです。
所得税等の確定申告書B様式第一表に「個人番号」の記入欄が登場!
平成28年分の確定申告から、個人が税務署に提出する確定申告書類にマイナンバーの記載欄が設けられました。同時に、その取引先企業が税務署に提出する支払調書には、報酬の支払い先である個人のマイナンバーを記載することが義務付けられます。
「個人事業主やフリーランスは、多くの場合、複数の企業等と取引をしていますよね。マイナンバーが導入されると、その全ての取引によって得た所得を、マイナンバーで簡単にひも付けできるようになる。これによって申告漏れを防ぎやすくなるのです。ただし、主に支払いを受ける側である個人事業主にとっては、マイナンバーが導入されたからといって、手続きに大きな変更点はありません。例年通り正しく申告を行っていれば、何も不安に思う必要はないのです(菊池さん)」
ここから先は、その上で「なぜ?」「分からない!」と感じるギモンについて答えていただきます!
ココが知りたい!Part1
取引先からマイナンバーを提供して欲しいといわれたけれど……?
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Q3.マイナンバーを教えないと何かマズいことってある?
A3. 「現時点の法律では、個人事業主側にペナルティは課されません。実をいうと、マイナンバー提供拒否を通知する義務さえないのです。ただしQ2でもいったように、取引先企業が税務署にマイナンバー無記載で支払調書を提出するときは、その正当な理由を証明する書類を添付する必要があります」
つまり提供を拒否した場合は、取引先の余計な負担を増やしてしまうということ。本制度が今後もずっと継続していくとなると、今は法律上の問題がなくても、その心象はあまりよくないといえそう。
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ココが知りたい!Part3
実際、所得に関するどんな情報が税務署に把握されるの?
Q1.マイナンバーで個人の所得はすべて国に分かってしまう?
A1. 取引先企業・事業者が税務署に支払調書を提出している分の報酬・収入には、今後すべてマイナンバーがひも付けられます。これは年間50万円以上のアルバイトや副業も同様。株で得た利益も、証券会社経由でマイナンバーとともに税務署へ情報が流れる仕組みになっています。
「一方ネットオークションやフリマなど、個人同士のやりとりで得た雑所得は、従来と同様に今後もマイナンバーにひもづけされることがありません。ただし雑所得は、そもそも年間20万円を超えたら自己申告する義務があります。また近い将来には、銀行口座にもマイナンバーが導入されていく見込みです。
そうなると雑所得はもちろん、預貯金額まですべて国に把握されることに。最近は国税庁が電子商取引専門調査チームを作り、オークションで脱税を行っている個人などに対する監視を強めていますから、うっかり申告漏れがないよう十分に注意しておく必要はあるでしょう」
Q2.マイナンバーによって過去の無申告収入も明らかになる……?
A2. 無申告による脱税はそもそもあってはならないこと。でも、万一うっかり……という覚えがある場合、過去の無申告所得が、マイナンバーによって容易に暴かれてしまうことはあるのでしょうか?
「過去の所得はマイナンバーにひも付けされていないので、マイナンバーが導入されたからといって、直ちに過去の無申告が判明するわけではありません。ただし、虚偽の申告はマイナンバー導入に関係なく調査すれば分かることですし、絶対にあってはならないこと。逆を言えば、正しい申告さえ行っていれば、マイナンバーが導入されたところで何も不安になる必要はないのです」
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