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てらまち・ねっと



 昨日は、名古屋高裁で県営渡船の住民訴訟の控訴審。4回目。結審予定。
 昨年11月ごろに、担当裁判官も裁判長も替わった。

 2回目から控訴人(第一審被告)から「和解」の誘いがあった。
 こちらは、第一審でも2回の和解の提案を拒否したし、地裁判決が無しになるような和解はしないと話しておいた。もともと、自分たちにお金が入るわけではないし、返還する金額をいくらにするかが重要ではないと答えた。

 彼ら、県や市の職員、船頭らがやったこと(何もやらないの委託料を払い続け、もらい続けたこと=「カラ」委託=カラ渡船)がいけないという認定とともに、住民訴訟は「過去1年の支出が対象」という原則があるなかで、談合やこの種の不法行為に基づく損害は1年の制限は適用されなれと主張し、判決がそれを全部認定してくれたから、その判決を無しにするつもりはない、と伝えた。

 それでも、3回目の12月末でも「和解を」という。裁判官も最後は諦めてか、「じゃ次回結審ということで」として開かれた昨日の法廷。
 
 それがまた、新しく来た裁判長から、「相手方の和解内容はいいないじゃないですが。今でも、和解する気はありませんか」と、何度も問われた。
 「相手方の和解内容は聞いていませんが、前回も話したように、地裁判決はそのままで」ということです。

 裁判長「その判決の内容を反映させた和解だって出来ますよ。それに、判決では書けないけど、和解なら『県は今後・・』とすることだって出来るし」
 寺町「たとえば、何年か前、裏金の問題で岐阜地裁で和解し、『今後、岐阜県は2度とないようにすること』と書かれたけど、その後に裏金が発覚した」
   (控訴人側から笑いが聞こえた)

 裁判長「ここの判決が同じとは限らないし」
 寺町「はい、結構です」

 結局、こちらは和解を「頑なに」蹴り続けた。

で、「和解の余地があると思ったのでお訊ねしましたが無理なようなので、じゃぁ、結審しましょう。・・判決は・・」

名古屋高裁民事2部の判決言渡しは3月14日(金)午後1時10分から


 廊下に出たら、相手方らは弁護士や関係者らとかたまっていて「上告してから和解ということもあるし」という声まで聞こえた。

 地裁判決がとてもすっきりと、おまけに主張した部分はともかく、実質はほとんどすべてこちらの言い分どおりに認められているから、第一審被告らは、高裁でも、その先でも展望は暗いのだろう。

 地裁判決の情報は、
 2007.6.1ブログ ⇒ ◆海津の渡船の岐阜地裁の判決の報道から
 2007.9.29ブログ ⇒ ◆海津と県職員は控訴。県営カラ渡船の住民訴訟。控訴審が開かれた。

 判決全体は80ページもあるので、今日は、争点整理表に地裁判決を入れ込んで控訴審でこちらが提出した書面、その中にある地裁判決を抜き出して、文字化しておく。
  ●はこちらの主張が認められなかった部分、
  ○はこちらの主張が認められた部分。 
 具体的な認容額は  2007.5.31ブログに掲載

 私が、もっとも評価するのは、
 A「財産の管理を怠る事実は期間制限は及ばない」
 B出先機関の職務だけど「知事の責任を認め『違法である』と認定したこと」(昨日で確定)
 C「損害額の推定」のところ。


 A・・「争点② 法242条2項の監査請求期間の規定の適用の有無
○損害賠償請求権の不行使が違法、不当であるという財産の管理を怠る事実について・・期間制限は及ばない」

 B・・「争点②の後半:被告梶原が損害賠償請求を違法に怠っているか
  ○組合長らに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているのに行使しないことに、正当な理由もなく、不行使は違法である」

 C・・「市及び組合長らの不法行為等によって県は損害を被っている。もっとも、・・具体的に認定することは困難である。したがつて、民事訴訟法248条を適用して相当な損害額を認定する」

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  控訴審で原告が提出した  第一審判決、原告、被告の主張の整理/印刷用PDF版147KB
印刷用PDFは縮小・PDF化に無理があるみたいで一部罫線が未変換のよう


 第一審 判決
《本案前の争点》
争点①県道管理は財務会計上か
●財務会計行為ではなく、対象にならない(39頁中段のウ及び(2))

争点② 法242条2項の監査請求期間の規定の適用の有無
実体法上の債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償請求権の不行使が違法、不当であるという財産の管理を怠る事実についての監査請求も含んでいる。県の損害を確定しさえすれば足りる。委託契約の締結や支出の違法であるかを判断しなければならない関係ではないから期間制限は及ばない(40頁(3)から42ページ)

争点③ 法242条2項ただし書所定の「正当な理由」の有無
○ (前記(2)のとおりだから)判断するまでもない(42頁の(4))  

争点④ 監査請求前置の有無
○相手方についても期間制限の適用はないから誤って却下されたもの(42頁3から43頁)

《本案の争点》
争点①の前半:被告市に不法行為ないし債務不履行があるか
ア.総額方式時代
  (ア)船頭常駐条項違反
○ 県は船頭が常駐していることを前提としていた。県市間契約書の条項違反は明らで、債務不履行に当たる(45頁アから47頁)

(イ)一括委託禁止条項違反
○ 市の業務は委託の構造から来ている派生的業務で、組合を指導監督していない。一括委託禁止に違反する債務不履行(47頁イから48頁)

(ウ)虚偽報告
○ 委託精算書や業務日誌の記載内容の不自然さや体裁のずさんさにかんがみると、その記載内容は正確ではないといわざるを得ない。実情を反映した正確な記載をしていない精算書や日誌を提出して委託料を受領した被告市の行為は不法行為に当たる(48頁ウから49頁)

(エ)保険料受領行為
○ 保険料が保険契約を前提にすることは常識で、契約締結事実を確認せず、漫然と県から保険料を受領していた行為は不法行為を構成する(49頁エから50頁)

(オ)管理の怠り
● 着船場が危険、債務不履行、不法行為に該当するような管理の怠りがあつた証拠はない(50頁オ)

イ.実績方式時代
(ア)虚偽報告
● 船を出して運行した限り県の調査の運行を除く必要はない。記載虚偽の証拠はない(51頁(ア))
○ 船外機カバーについて、清算書に記載はないし、誤記である証拠はない。(51頁(イ))
● 写真フィルムは格別不合理とはいえない(52頁(ウ))

(イ)保険料受領行為
○ 契約を締結していないのに県から保険料の支払いを受けていたから不法行為(52頁イ)

(ウ)水増し報告行為
○ 市職員の職務行為は別途給料が支払われているから、市職員の人数を加えて報告しその分の委託料を取得することは契約において想定されているは考え難く、職員分を多く受け取ったことは不法行為に当たる(52頁ウから53頁)

(エ)管理の怠り
●着船場が危険であった、債務不履行ないし不法行為に該当する管理の怠りがあった、と認める証拠はない(53頁エから54頁)

争点①の後半: 被告梶原がその損害賠償請求を違法に怠っているといえるか
○客観的に存在する債権につき地方公共団体の長にその行使又は不行使について裁量はない。よって、損害賠償請求権を行使しないことは違法である。市への不行使に正当な理由もない。不当利得返還請求権も怠る事実の対象である。(54頁(4)から55頁)

争点②の前半 :被告組合長らに不法行為があるか
(1) 総額方式時代
  実態と違う、虚偽報告・管理の怠り
○ 県と市との契約で船頭が常駐していることが前提であることを認識した上で県から市に委託料を支出させ、さらに市から受け取っていた。信用性の欠ける日誌を提出、保険契約していないにもかかわらず保険料が発生している旨の報告をして保険料を受領していた。これらは組合長自身の不法行為に該当する(56頁(1))
● 管理の怠りがあった、と認めるに足りない(56頁(1))

(2) 実績方式時代
○ 保険契約していないにもかかわらず保険料を受領していたことは組合長らの不法行為に該当する(56頁(2)から57頁) 
●船外機カバーについて虚偽と認めるに足りない(56頁(1))清算書に記載はないし、誤記である証拠はない。(57頁(2))

争点②の後半:被告梶原が損害賠償請求を違法に怠っているか
○組合長らに対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有しているのに行使しないことに、正当な理由もなく、不行使は違法である
(57頁(3))

争点③被告所長らが県道の維持管理を、争点④被告梶原が県道の維持管理につき、被告所長らの指導監督を怠っているか いずれも不適法であるから却下(66頁第4)

争点⑤被告土木事務所長らが法234条の2第1項の監督又は検査を怠っているといえるか
○法243条の2第1項4号、234条の2第1項の監督又は検査の権限を有している。被告市は契約条項を遵守しておらず,委託料精算書や業務日誌は信用性を欠き、市精算書に経費と認められない記載があり、さらに、保険契約を組合が締結していないにもかかわらず県に保険料が発生している旨の報告をするなど認定の各事実を総合すれば、被告市の債務不履行ないし不法行為を漫然と見逃していた被告所長らは、重大なる過失をもって監督又は検査を怠った(57頁6から58頁)

争点⑥損害の発生の有無及び額
(1) 被告市に対して
 ア 総額方式時代  市及び組合長ら
○ 諸点の不法行為ないし債務不履行が認められる。県と市の契約では船頭を常時拘束することを前提に、運営実績にかかわらず1年365日の日当と固定経費を基礎に1年間の委託料を決定していたから、市及び組合長らの船頭常駐義務違反によって、日当の支払根拠自体が覆されている。市及び組合長らの不法行為等によって県は損害を被っている。もっとも、若干は運行がなされていると認められるが、日誌は正確ではないから実績を具体的に認定することは困難である。したがつて、民事訴訟法248条を適用して相当な損害額を認定すると、少なくとも実績方式(平成11年度)と同程度の運行業務がなされていたとして損害を認定する(58頁(1)から62頁)

イ 実績方式時代 市について、組合長ら
○ 市の債務不履行ないし不法行為等によって県に損害が生じている(62頁
(ア)から63頁)
○ 組合長らには保険料に関する虚偽報告の不法行為が認められ県に損害が生じている(63頁(イ))(2) 被告梶原に対して

(2) 被告梶原に対して
● この損害は本訴を通じて、市と船頭らに損害賠償請求権を代位行使することによって回復できる。この債権の行使ができる以上、梶原の債権の不行使を原因として損害が県に発生しているとはいえない(63頁(2)から64頁)

(3) 所長ら
○ 重大な過失をもって監督又は検査を怠たり、市を介して損害を発生させた(64頁(3)から65頁)

(4) まとめ
 なお、認容一覧表の◎が付された被告らにおいて、不真正連帯債務関係にある(66頁)

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(訴状添付の別紙の一部は以下)





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 平成19年5月31日判決言波・同日原本領収 裁判所書記官
平成11年(行ウ)第16号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成18年10月2日

        判            決

   岐阜県山県市西深瀬208番地の1
      原告(選定当事者)   寺   町   知   正
   岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲岐礼1048の1
      原告(選定当事者)   山   本   好   行
       (上記選定当事者両名の選定者は別紙選定者目録記載のとおり)

   岐阜市御手洗390―20
      被告   梶   原        拓
   岐阜県各務原市・・
      被告   伊   藤   俊   樹

   岐阜県美濃加筏市・・
      被告   内   田   鉄   男
   岐阜市・・
      被告   大   杉   幸   靖
   岐阜県美濃加茂市・・
      被告   渡   辺   武   彦
   岐阜市・・
      被告   渡   辺   建   蔵

      上記6名訴訟代理人弁護士
         端   元   博   保
      同  伊   藤   公   郎
      同  池   田   智   洋


   岐阜県海津市海津町高須515番地
      被告   海     津     市
        同代表者市長 松   永   清   彦
   岐阜県海津市海津町・・
      被告   福   島   春   雄
   岐阜県海津市海津町・・
      被告   瀬   古        章
    上記3名訴訟代理人弁護士
         瀬   古   賢   二

         主            文

1 本件訴えのうち,被告伊藤俊樹,同内田鉄男,同大杉幸靖,同渡辺武彦及び同渡辺建蔵が日原波船及び森下波船の維持管理を怠っていることが違法であるとして,岐阜県に代位して,上記被告ら,被告海津市,同福島春雄及び同瀬古章に対し,損害賠償を求める部分を,いずれも却下する。

2 本件訴えのうち,被告梶原拓が日原渡船及び森下渡船の維持管理について,被告伊藤俊樹,同内田鉄男,同大杉幸靖,同渡辺武彦及び同渡辺建蔵の指導監督を怠っていることが違法であるとして,岐阜県に代位して,被告梶原拓に対し,損害賠償を求める部分を却下する。

3 被告海津市は,岐阜県に対し,1910万6750円及びこれに対する平成12年2月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

4 被告伊藤俊樹は,岐阜県に対し,483万8365円及びこれに対する平成11年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

5 被告内田鉄男は,岐阜県に対し,488万5365円及びこれに対する平成11年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

6 被告大杉幸靖は,岐阜県に対し,508万2365円及びこれに対する平成11年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

7 被告渡辺武彦は,岐阜県に対し,381万9263円及びこれに対する平成11年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

8 被告渡辺建蔵は,岐阜県に対し,48万1392円及びこれに対する平成11年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

9 被告福島春雄は,岐阜県に対し,933万1921円及びこれに対する平成12年2月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

10 被告瀬古章は,岐阜県に対し,931万0069円及び平成11年9月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

11原告(選定当事者)らのその余の請求をいずれも棄却する。

12 訴訟費用は,・・・



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