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てらまち・ねっと



 2月21日の午前中、突然の停電があった。30分ほど後に復旧。(「岐阜、三重、長野の計11万6千戸で一時停電 送電線に異常/中日、2月21日)
 こんな時は、宅内のパソコンシステムが一番心配。
 まずルーターの確認。ルーターには「無停電電源(バッテリー)」がセットしてある。それでルーターだけは停電中も無事に動いていたので、ホッとした。ルーターが止まると、全部の設定が狂う可能性があるから。

 次は、パソコンの前にサーバー。うちは、トリプルバックアップのために3台の外付けハードディスクがあり、容量は3つの計「7テラバイト」。これをきちっと立ち上げさせてから、4台のパソコンを順にオンにしていく。
 今回、トラブルも感じなくて、難なく復帰した。

 ところが、後日、「ファックス・コピー・A3カラースキャナー」の機械が動かないことに気づいた。
 ボタン操作では動かないので、電源を入れなおしてみた。そしいた、ウンともスンとも言わなくなってしまい、同時に、初めての「サービスマン(コール)」の表示。

 「東芝」の機器。連絡したら、すぐに代理店のサービスマンが来てくれて、「ハードディスクが壊れてますね」。
 「これに合うディスクの在庫がないので、取り寄せる。来るのに、東芝は1週間から、どうかすると1カ月かかる」という。
 今時、そんなノンビリ業務は信じられない話。

 約一週間後、「ハードディスクが届きました」と交換に来てくれた。
 ところが、初期化してソフトを入れるのに、何度かやってみてくれたけど「機種の型に合わない」という。
 今度はソフトの取り寄せ。

 今時(いまどき)、ソフトや「ファームウェア」(物体としての電子機器に具体的な仕事をさせるために組み込む、制御用のプログラム/google)など、パソコンを通じてネットで取れそうに思う。実際、うちのネットワークシステム内の各種機器もネットでインストール、更新できる。 しかし、東芝はそんなこともやっていないのか、と呆れる。

 そんな東芝が実質的に、2本の主力事業「原発」と「半導体」を手放すしかなくなった。
 その原発問題は、経営者の方針の選択間違い、との指摘もされている。
 「東芝は特別」もしくは「特別でなければいけない」「特別を続けなければいけない」そんな意識を感じる。
 先の、トノサマ商法も同じステージだろう。 

 ということで、今日は原発大失敗の要因などの指摘を見て記録。

★nippon.com 2017.02.18★≪米原発事業で巨額損失:実力以上の賭けに失敗した東芝/日本を代表する企業である東芝が、2006年に買収した米国の原発事業の巨額損失により経営危機に陥った。債務超過を回避するための主力事業売却で「解体」の可能性もある。なぜこのような事態になったのか。≫

★マイナビ 2/21★≪東芝は毒まんじゅうを買った? 見抜けなかった原発リスクの正体/2009年8月発表の中期経営計画では、2015年までに39基の受注を見込み、売上高1兆円を目指すことを示した/米国では32基以上の新設計画があり、中国では50基以上の新設計画があること、そして、日本でも12基の原発計画がある≫

●「撤退なら違約金8000億円」米原発やめられない東芝/毎日 2月17日
●売るものがなくなった東芝 原発とともに心中か/朝日 3/2 

★週刊ダイヤモンド 2.7★≪なぜ東芝は無謀な原発建設会社買収に踏み切ったか/ある東芝の関係者は「もともと東芝には建設事業参入の野心があった」と証言する。一般的に原発の新設プロジェクトは、EPC(設計・調達・建設)契約額のうち、建設会社が7割の取り分を確保するため、原子炉を設計して納入するだけではうまみが少ない。≫

★日経 2月27日★≪東芝の失敗は福島第1原発事故の前から/東芝が巨額損失を発表し、原子力ビジネスのリスクが改めて浮き彫りになった。多くの業界関係者は福島第1原子力発電所の事故が転機になったとの見方を示すが、その意見に真っ向から反論する専門家がいる。/ほとんどの問題は事故以前から顕在化していました。業界関係者の多くは福島の事故のせいで原発ビジネスが傾いたと言いますが、非常に都合のいい責任転嫁/発電コストが高いのなら、電力会社が原発を建設する合理的な理由はなくなります。
/原発の建設コストは2005年比で3~5倍/福島第1原発事故が起きる前から、米国内での原発新設には強い逆風が吹いていた。/東芝は逆に、原発新設に関して「バラ色」の計画を打ち出しています。≫

★時事 ‎3月3日★≪東芝・大物「社外取締役」は何をしていた?「辻褄合わせ」体質の無残な末路≫

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●米原発事業で巨額損失:実力以上の賭けに失敗した東芝
           nippon.com [2017.02.18 森 一夫
日本を代表する企業である東芝が、2006年に買収した米国の原発事業の巨額損失により経営危機に陥った。債務超過を回避するための主力事業売却で「解体」の可能性もある。なぜこのような事態になったのか。

米ウェスチングハウス買収に潜んでいた落とし穴
日本の電機産業をけん引してきた名門企業、東芝が存亡の機に立っている。世界最大の原子力発電機器メーカーを夢見て、米国ウェスチングハウス(WEC)を買収した投資に失敗したからだ。・・・(略)・・・なぜ東芝は業績をここまで悪化させたのか。原因の種は・・・・・(略)・・・実力以上の「賭け」だった点に落とし穴があった。企業は「ハイリスク、ハイリターン」を避けていたら、成長機会を失う。ただしハイリスクを受け止められる財務力、経営力がなければ、運任せになってしまう。

名門企業のプライドをかけた拡大路線
身の丈を超えた賭けに依存する戦略は、いったんほころびると、戦術では補えない。そもそも東芝の自己資本は、大きな賭けに耐えられるほどの厚みが無かった。・・・・・・(略)・・・名門企業のプライドをかけて拡大路線に走りだした。従来の停滞から一気に抜け出すために選んだ重点事業が、原発とフラッシュメモリーである。

一時は当たったかに見えた買収戦略・・・(略)・・・
トラブルの伏線は01年の同時多発テロに・・・(略)・・・
ずさんだったコーポレートガバナンス・・・(略)・・・

●東芝は毒まんじゅうを買った? 見抜けなかった原発リスクの正体  ウェスチングハウス買収は間違いだったのか
         マイナビ 2017/02/21 大河原克行
・・・(略)・・・
佐々木氏が社長に就任後、2009年8月に初めて発表した東芝の中期経営計画では、「原子力事業のさらなる強化」を社会インフラ事業グループの基本戦略のトップ項目に掲げ、2015年までに、全世界で39基の受注を見込む方針を示し、同事業だけで1兆円の売上高を目標に掲げていた。

2009年8月発表の中期経営計画では、2015年までに39基の受注を見込み、売上高1兆円を目指すことを示した

当時の資料では、米国では32基以上の新設計画があり、中国では50基以上の新設計画があること、そして、日本でも12基の原発計画があるとしており、旺盛な原子力発電所の建設計画が、東芝の業績を引き上げるものとみられていた。日本の政府も、2006年に原子力立国計画を発表するなど、原子力事業を後押しする姿勢があっただけに、東芝にとっては、ウェスチングハウスは、今後の成長に向けて、なんとしてでも手に入れたい会社のひとつだったといえる。
・・・(略)・・・

東芝は、福島第一原発の処理もあり、「社会的責任を継続して果たしていく」(綱川社長)というが、もはや東芝が原子力事業を担うだけの体力が残されていないとの指摘もある。だが、その一方で、原子力事業の最適な売却先が現れるのかどうかも不確かだ。

東芝は原子力事業にどんな決着をつけるのだろうか。

●「撤退なら違約金8000億円」米原発やめられない東芝
         毎日 2017年2月17日
債務超過に転落(3)
 東芝は2月14日、2016年4~12月期連結決算で、ウェスチングハウスなど原子力事業に関して7125億円の損失を計上すると発表した。15年3月期にもウェスチングハウスで2476億円の損失を計上しており、原子力事業は2年間で9601億円もの損失を出したことになる。
 ほぼ1兆円という莫大(ばくだい)な損失。2011年の福島第1原発事故以降、原発をめぐる社会環境が一変したことに、東芝の経営陣は目をつぶってきた。そのツケが一気に噴出したのだ。急激な環境変化にもっと早く対応していれば、ここまで大きな損失にはならなかったのではないか。

●売るものがなくなった東芝 原発とともに心中か
        朝日 2017/3/2 ※週刊朝日  2017年3月10日号
 タケノコのように皮を剥いでいったら身がなくなった──。名門・東芝は、そんな状態に陥りつつある。

 東芝は2月24日、取締役会で半導体事業の大部分を売ることを決めた。発表文に明記された「マジョリティ譲渡」。これは、年間1千億円以上を稼ぐ事業を失うことを意味する。

 すでに資産はあらかた整理した。豪華な迎賓施設「東芝山口記念会館」(東京・高輪)は昨年手放し、東芝病院(東京・品川)の売却も検討中。家電や医療機器事業は切り離され、従業員は2016年9月末までの1年半で約3万人が去り、約16万7千人に。半導体事業の売却で、さらに約9千人減るとみられ、若手の人材流出も懸念されている。

 個人投資家向け情報サービス「ロンジン」の和泉美治アナリストは指摘する。

「銀行が資金繰りを支えているので当面は経営は続けられるが、収益力や将来性はかなり厳しい。株式市場的には存在価値がない企業になってしまう」

 こんな状況に至っても、会社を傾かせた“元凶”の原発事業に、経営資源を集中させる方針だ。米国の原発子会社ウェスチングハウス(WH)に絡み、15年度、16年度で計1兆円近い損失が出る見通し。「(WHの買収は)正しいとは言いにくい」(綱川智社長)と過去の経営判断の誤りを認めており、社内からも疑問の声があがるが、全面撤退できない事情があるという。

 東芝がWHを買収したのは06年。約41億ドル(約5千億円)でWHの株式の大半を握った。現在、東芝の出資比率は87%だ。

 実は東芝も、事実上1社で担うことに大きなリスクが伴うのは、買収時から気づいていた。しかし、お金を出してくれるはずだった総合商社「丸紅」がドタキャン。東芝の西田厚聡社長(当時)は「突如、投資できないと連絡を受けた」と不快感を示していた。

 11年の福島の事故で原発をめぐる環境は一変。軌道修正できないまま、13年に米エンジニアリング大手ショー・グループから、WHの株式20%分を約1250億円で買い取った。同グループはいち早く、買い取りを求める権利を行使して、手を引いたのだ。

そして、今回の経営危機。

「ご興味を持ってくださるパートナーがいれば……」

 綱川社長は2月14日の会見で、出資比率を下げてリスクを減らしたい考えを示したが、現実は逆の方向に進みつつある。

 WHに3%出資するIHIから株式の買い取りを求められたのだ。IHIは東芝に発電用機器などを納入。原発事業で協力関係にあり、いわば「盟友」だ。

「福島の事故後もWHへの出資を続けてきたが、これ以上株式を持ち続けると損失が生じる恐れがあり、売却に踏み切ったのでしょう」(原発メーカー幹部)

 東芝は5月に約189億円で買い取り、出資比率は90%まで高まる。残る株主は、カザフスタン共和国の国営企業である「カザトムプロム」(出資比率10%)。そこにも、同様に買い取りを求める権利がある。

「いまWHの株を引き取ってくれる企業はない。東芝が100%抱えるしかない」(同)

 原発関係の採算を少しでも改善すべく、ライバルの日立製作所や三菱重工業と交渉している核燃料事業の統合も、足踏みしている。

 原発建設をWHが完了できなかった場合、親会社として米国の電力会社側などに約7千億円を支払わなければいけない。全面撤退すれば巨額の追加損失は避けられない。中国や英国の原発建設で追加の損失が生じる危険もはらむ。

「WHを法的に整理し、原発事業の大幅縮小も選択肢となる。そうした場合、半導体も原発も失い、後には何も残らないこともあるでしょう」(金融関係者)

 進むも地獄、退くも地獄だ。

●なぜ東芝は無謀な原発建設会社買収に踏み切ったか
        週刊ダイヤモンド 2017.2.7  編集部
 東芝は、原発子会社ウエスチングハウス(WH)を通じて、巨額損失の元凶となる無謀なS&W買収になぜ踏み切ったのか。

 東芝の説明によると、米国の原発4基の建設コストの増加で電力会社やパートナーのCB&Iとトラブルが発生したため、CB&I傘下の建設会社S&Wを直接管理下に置き、残りの工事をスムーズに進める狙いがあったとする。

 この一方で、ある東芝の関係者は「もともと東芝には建設事業参入の野心があった」と証言する。一般的に原発の新設プロジェクトは、EPC(設計・調達・建設)契約額のうち、建設会社が7割の取り分を確保するため、原子炉を設計して納入するだけではうまみが少ない。

 そこで東芝が進めていたのが、S&Wの親会社だった米建設会社ショー・グループの買収構想だ。佐々木則夫社長時代の遅くとも2012年にはプロジェクトチームが発足していたが、結局、この構想は実現せず、ショーは13年にS&Wもろとも、CB&Iに買収される。だが、その後に東芝が踏み切ったS&W買収は、建設会社買収構想そのものだったのではないか。東芝には「建設・土木会社のリスクを評価できる人材は皆無」(東芝内部関係者)。知見のない中でのS&W買収は無謀だった。

 東芝とショーには因縁がある。ショーはかつてWH株の20%を保有する共同出資者だったが、12年秋に東芝に買い取りオプションを行使して出資から離脱。そのショーを買収したCB&Iも、S&Wを東芝に売り抜けて原発から距離を置いた。

 反対に原発リスクを一挙に抱え込んだのが東芝だ。米原発4基は13年の建設と同時にコスト増が発生したが、それを無視してリスクの高い建設会社の買収に「チャレンジ」したなら罪は重い。

●キーパーソンに聞く 東芝の失敗は福島第1原発事故の前から
         日本エネルギー経済研究所の村上朋子氏に聞く/小笠原啓
   日経 2017年2月27日
 東芝が巨額損失を発表し、原子力ビジネスのリスクが改めて浮き彫りになった。多くの業界関係者は福島第1原子力発電所の事故が転機になったとの見方を示すが、その意見に真っ向から反論する専門家がいる。日本エネルギー経済研究所の村上朋子・研究主幹は「原子力業界が直面する苦境のほとんどは、事故以前から顕在化していた」と指摘する。いつが転機だったのか、話を聞いた

村上 朋子(むらかみ・ともこ)氏
日本エネルギー経済研究所 戦略研究ユニット 原子力グループ マネージャー 研究主幹
1992年東京大学大学院工学系研究科原子力工学専攻修士課程修了。日本原子力発電などを経て、2005年に日本エネルギー経済研究所に入所。2011年から現職。専門は原子力工学(炉心・燃料設計及び安全解析)、原子力産業動向など
東芝が2月14日、米国の原子力事業に関して7125億円の減損損失を計上すると発表しました。同社の原子力事業は4期連続で営業赤字に陥る見通しで、この間の累積赤字は1兆円近くに達します。東芝はどこでつまずいたのでしょうか。

村上:世界各国の原発建設計画は2011年までは順調だったが、福島第1原発の事故により情勢が一変。規制の強化などでコスト競争力を失い、東芝を始めとしたプラントメーカーが苦しんでいる……。

 原子力業界が直面する苦境について一般的に語られるストーリーですが、私の考えは違います。

 もちろん、原発事故の影響があることは否定しません。しかし、ほとんどの問題は事故以前から顕在化していました。業界関係者の多くは福島の事故のせいで原発ビジネスが傾いたと言いますが、非常に都合のいい責任転嫁と言わざるを得ません。

原発事故でないなら、どこで道を間違えたのでしょうか。

村上:今回、東芝が巨額の損失を出した米国を例に考えてみましょう。

 米国で原発新設の気運が高まったきっかけは、2005年に「包括エネルギー法」が成立したこと。米政府が融資保証などの優遇策を掲げたため、多くの事業者が新規建設計画を検討し始めます。東芝が米ウエスチングハウス(WH)を買収したのはその翌年、2006年のことです。

 原発を建設するには、NRC(米原子力規制委員会)の審査をクリアして「COL(建設運転一括許可)」の承認を受けなければなりません。米国では航空機が突っ込んでも問題が発生しないよう安全対策を考慮する必要があり、NRCは厳しい審査をすることで有名でした。福島の事故が起きる前から、厳しい審査に対する懸念の声があったのは事実です。

 2007年ごろから、原油価格の上昇に伴い資機材価格の高騰が目立ってきました。多くのプラントメーカーにとっては、原発建設に必要な資材の調達が課題になっていました。

 そこに追い打ちを掛けたのが2010年の「シェール革命」です。米国内で天然ガス価格が急落したことで、原発のコスト優位性が失われてしまったのです。米国では2010年時点で既に、原子力の発電コストはガス火力と石炭火力、陸上風力に負けていました。

発電コストが高いのなら、電力会社が原発を建設する合理的な理由はなくなります。

村上:そこで電力会社は、COL承認を受けた後で実際に投資するか判断する方針に転換しました。許認可の取得には時間がかかり、その間にビジネス環境が変わってしまうからです。実際に、多くの電力会社が投資判断を先延ばししています。

 こうした傾向も、2010年の段階で既に見えていました。福島第1原発事故が起きる前から、米国内での原発新設には強い逆風が吹いていたのです。

東芝は逆に、原発新設に関して「バラ色」の計画を打ち出しています。
2008年には当時の西田厚聰社長が「2015年までに33基の受注を見込む」と宣言し、翌2009年には佐々木則夫社長が受注計画を「39基」へと上方修正します。

村上:米国で原発プロジェクトが相次いで立ち上がると本気で思っていたなら、かなり甘い判断ですね。米エネルギー省は長期見通しの中で、原発の新規建設が数機にとどまる可能性を示していました。一方で東芝は株主や投資家に対し、市場が急に伸びるともっともらしく説明していました。

原発の建設コストは2005年比で3~5倍

WHは2008年に米国で、「ボーグル3・4号機」と「VCサマー2・3号機」の4基の原発新設を受注しました。中国でも2007年に4基の建設を受注しており、勢いに乗っていた印象があります。

村上:ところが、ボーグルとVCサマーの4基についてCOLを取得できたのは2012年です(注:建屋建設工事が始まったのは2013年)。その頃には、原発の建設コストは以前と比べて急騰していました。

 WHや米ゼネラル・エレクトリック(GE)などプラントメーカーの「セールストーク」によると、原発の建設コストが底値をつけたのは、2005年頃だったと推定できます。1キロワット当たり15万円程度とされていました。

ボーグルが採用した110万キロワット級の原発であれば、1基2000億~3000億円程度で建設できる計算です。

村上:日本の原発で最も安く建設できたのは、東京電力の柏崎刈羽原発の6号機もしくは7号機で、1キロワット当たり25万円程度とされています。(2009年12月に運転開始した)北海道電力の泊3号機は、同32万円と言われていますから、メーカーのセールストークもそれほど外れた数字ではないでしょう。

 ただし今では、原発の建設コストは2005年の底値と比較して3倍から5倍ぐらいになっています。一方でガス火力発電所なら、1キロワット当たり10万円程度で建設できるはずです。

 東芝とWHも、簡単な戦いでないことは承知していたはずです。今から考えれば、コスト削減の方法をもっと真剣に考えておくべきでした。
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●東芝・大物「社外取締役」は何をしていた?「辻褄合わせ」体質の無残な末路
      時事 ‎2017年3月3日 フォーサイト-新潮社ニュースマガジン 磯山友幸
巧妙に抜かれた「魂」・・・(略)・・・
 東芝はこの時、「形」は作ったものの、巧妙に「魂」を抜いていたのである。委員会設置会社の「肝」は指名委員会だが、これを東芝は見事に骨抜きにしたのだ。東芝の指名委員会は取締役会長と社外取締役2人が務める形にしたが、社外の委員には学者や官僚OBなどを据えたのである。社外が過半数の形ではあるが、社長経験者の会長が人事を牛耳ることになるのは明らかだった。西室氏はこれで社長から権限を奪う「会長支配」を確立したのである。

 実は2015年9月の「体制一新」に見えた布陣も、当初から「骨抜き」が懸念された。大物をズラリと並べ、「形」だけは整えたものの、取締役会の機能を本気で高めようとしたのかどうか。どの程度の情報が社外取締役に上げられ、米国の原子力事業などに関する重要な決定にどれだけ関与したのか。

 東芝という会社には「辻褄合わせ」の文化が根付いているのではないか。会社を生き残らせるためには、期末の決算数字を作らなければならない。経営者がそう信じてきたのではないか、と疑ってしまう。結局、あれだけの巨額粉飾決算を行っておきながら、「不適切会計」という言葉を最後まで使い続けた。「会社を守るための数字合わせをして何が悪い」と開き直っているようにすら見える。

その場しのぎ
 2016年3月末の決算も、いま振り返れば「辻褄合わせ」だった。期末に債務超過にしないために、東芝メディカルを売却し、何とか決算書を繕った。売却が決まるとWHの減損も行っている。債務超過を回避できるメドが立ったからだろう。

 債務超過になると銀行から融資の引きあげを迫られるという事情もあったのだろう。だが、実態を示すことよりも、債務超過にしないことが目的化していたように見える。虎の子の医療事業を売却して東芝が将来やっていけるのかどうか、という経営判断は度外視された。

 今年の3月決算も同様だ。現時点での稼ぎ頭である半導体事業を売却する方針を決めている。当初は別会社にしたうえで20%程度の株式を売却するとしていたが、直近では過半数を売却するとしている。

 20%の売却ならば連結決算で売り上げも利益も資産もそのまま合算することができる、と当初は考えたに違いない。だが、それでは債務超過が回避できないとなると、経営権を手離してでも必要な資金を手に入れるとしている。経営というよりもその場しのぎの「辻褄合わせ」だろう。

 目先の「辻褄合わせ」が結局は社内に粉飾体質を広め、その場しのぎの重大な契約変更を許して、会社の存続自体を危うくしている。この体質が残っている限り、本当の再生は難しいだろう。


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