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てらまち・ねっと



 世界経済の大混乱。状況や要因、成り行きについて、ニュースなどを適当にふむふむと聞く。
 ネットで新しい情報なども見て、下記リストの7本をブログに記録。

 末尾に記録したのは、《エコノミスト警鐘 「アベノミクスは極限的ファシズム経済学」日刊ゲンダイ 8月23日(浜矩子・同志社大大学院教授)》。
 ★《・・しかし、安倍政権のそれ(富国強兵)は、強兵のための富国、防衛費を増やすためのアベノミクス。過去のファシストが追求した強さや力に固執するために、経済を成長させようとしている。そのためには、弱者を切り捨て、日銀の自由も取り上げた。そう米国で白状した・・異論を認めず、多様性を否定したファシズムに取りつかれた指導者たちは、国家を崩壊させています》

●中国、0.25%追加利下げ 預金準備率も下げ 景気安定を重視 /日経 2015/8/25
●中国中銀、株安阻止に動く-一段の行動求める圧力はやまず/ブルームバーグ 8/26

●米証券市場、20%の暴落もあり得る/スプートニク 8月24日
●12月までデフォルト回避か、米財政赤字予想引き下げ=議会/ロイター 8月 26日
●米15年成長見通し、2%に下方修正=議会予算局/ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 8月26日

●欧州取引所、取引開始時に2.5-3%下落、中国不振が背景、「制止不能の破局」か /スプートニク 8月24日

 ところで、今日は9月議会前の議会運営委員会の会議。
 それと、10月31日(土)に名古屋で行われる「第2回 議員と市民の勉強会」「政策実現に向けて、議員活動・市民活動をスキルアップ~直接民主主義の手法を使う」の私の担当部分について、「課題」(いわば宿題)を参加者の皆さんに、配信する作業もある。

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●中国、0.25%追加利下げ 預金準備率も下げ 景気安定を重視
        日経 2015/8/25
【北京=大越匡洋】中国人民銀行(中央銀行)は25日、追加の金融緩和を決めた。政策金利である銀行の貸し出しと預金の基準金利を0.25%下げると同時に、市中銀行から強制的に預かる資金の比率である預金準備率を0.5%下げる。中国経済の減速への懸念から世界的な株安の連鎖が続くなか、大規模な金融緩和で景気の安定を重視する姿勢を鮮明にした。

 利下げは26日、預金準備率の引き下げは9月6日から実施する。貸出金利(期間1年)は4.6%、預金金利(同)は1.75%に下がる。大手金融機関の標準の預金準備率は18%となる。利下げは6月以来、約2カ月ぶりで、昨年11月以降で5回目だ。預金準備率の引き下げの決定は4月以来、約4カ月ぶりとなる。

 中国の金融政策の主要手段である金利と預金準備率の引き下げを同時に決めるのは、リーマン・ショック後に世界的な金融危機に見舞われた2008年末以来の異例の対応だ。人民銀は25日の声明で「景気は下振れ圧力があり、国際金融市場が大きく変動している」と景気への強い危機感を示した。

 8月11日からの元切り下げが「流動性の変動を引き起こした」とも指摘した。米利上げ観測もあって海外にマネーが逃げ出す懸念が強まっており、預金準備率を下げて十分な流動性を確保し、銀行の資金繰りに支障が出ないようにする構えだ。

 人民銀は金利の自由化を進める措置も決めた。期間1年以上の定期預金に限り、基準金利の1.5倍までとしている預金金利の上限規制を外し、銀行の裁量で金利水準を決められるようにする。人民銀は年内にも預金金利の上限規制を全廃したい考えだ。

●中国中銀、株安阻止に動く-一段の行動求める圧力はやまず
       ブルームバーグ 2015/08/26
 中国人民銀行(中央銀行)の仕事はまだ終わっていない。昨年11月以降で5回目の利下げに踏み切った後も、1996年以降最悪の株式相場下落の中で経済の下支えを中銀に求める圧力は去らない。

HSBCホールディングスのアジア経済調査共同責任者のフレデリック・ニューマン氏は「過度の悲観を払拭(ふっしょく)するためのサーキットブレーカー(取引停止措置)が必要だった」とした上で、「この日の措置は必要なものだったが、今後数週間や数カ月に追加の支援措置が必要になろう」と話した。

人民銀は政策金利である1年物貸出基準金利を0.25ポイント引き下げて4.6%にし、市中銀行の預金準備率も0.5ポイント引き下げると発表した。中銀の追加緩和策を受けて、世界の株式相場は上昇した。米S&P500種株価指数は下落で終了したが、一時2.9%高となった。中国中銀は人民元切り下げから2週間後、世界的な経済成長をめぐる懸念が高まる中で追加緩和に動いた。

INGグループのアジア調査責任者、ティム・コンドン氏は「中国経済の顕著な成長鈍化をめぐる投資家の不安を軽減する前向きな展開だ。世界の市場への感染も抑えるだろう」と語った。

AMPキャピタル・インベスターズ(シドニー)の投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏らは政策金利と預金準備率の一段の引き下げを予想している。同氏は1年物貸出基準金利が年末までに4%に下がるとの予測を示し、「中国の金融政策は引き締め過ぎだ。金利と預金準備率の両方の追加引き下げが必要になろう」と話した。

●米証券市場、20%の暴落もあり得る
      スプートニク  2015年08月24日
欧州取引所、取引開始時に2.5-3%下落、中国不振が背景、「制止不能の破局」か

時価総額で米国を代表する大手企業の株価を反映した証券インデックスStandard & Poor’s 500の下げ幅は20%にもなる可能性がある。投資会社Leuthold Weeden Capital Managementのダグ・ラムシー代表が日曜、ブルームバーグによる電話インタビューで述べた。
米国の株価は先週値下げした。同氏によれば、これは世界危機以来6年半続いた成長サイクルの終わりを意味する。「恐ろしい事だ。この2日見られる傾向は警戒心を抱かせる」。

8月初頭、Leuthold Weedenは試算を示し、株価は値下げ必至であり、もし値下げが加速すれば、連邦準備制度は公定歩合引き上げを延期する見込みだ、とした。ブルームバーグは、同氏の予測は市場の成長が始まった2009年以降の期間、最も正確であったということを指摘している。

●12月までデフォルト回避か、米財政赤字予想引き下げ=議会
    ロイター 2015年 08月 26日
[ワシントン 25日 ロイター] - 米議会予算局(CBO)は25日、最新の財政見通しを公表し、2015年度の財政赤字を3月時点の予想である4860億ドルから4260億ドルに600億ドル引き下げた。歳入の力強い伸びが支援するとしている。

2016年度に関しても、前回予想から(訂正)410億ドル引き下げ4140億ドルとした。

最新の赤字見通しは2007年以来、最小の水準。国内総生産(GDP)に対する比率は2.4%と、過去50年の平均を下回る。

米国の財政赤字は2009年に1兆4000億ドルでピークをつけた後、2014年には4850億ドルまで減少した。

また米国では連邦債務の上限が3月に期限切れとなり、財務省は緊急措置を講じて対応している。CBOはこれまで、こうした財務省の借り入れ能力が10月、または11月には尽きるとの見方を示していたが、好調な税収を背景に、11月中旬か12月初旬まではデフォルトを回避できそうだと指摘した。

CBOはまた、2015年の実質GDP伸び率について2.8%から2.3%に下方修正した。

*英文の訂正により、第2段落の2016年度の財政赤字について、前回予想から410億ドル引き下げたことを明確にします。

●米15年成長見通し、2%に下方修正=議会予算局
      ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2015 年 8 月 26 日
 【ワシントン】米議会予算局(CBO)は25日、2015年の国内総生産(GDP)見通しを下方修正した。見通しの下方修正が度重なるのが足元の景気拡大期では珍しくなくなっている。

 CBOは今年の米GDP成長率予想を2%とし、1月時点の2.9%から引き下げた。一方で、16年と17年の見通しは小幅に上方修正し、16年は3.1%(前回予想は2.9%)、17年は2.7%(同2.5%)を見込むとした。

 CBOはさらに、9月30日までの2015会計年度の財政赤字が3月時点の予想を600億ドル(約7兆2000億円)下回る見通しを明らかにした。要因としては税収の予想外の増加を挙げた。

 15年度の財政赤字は4260億ドルを見込む。対GDP比率は2.4%と、07年度以来の低水準になる見通しだ。14年度は赤字額4830億ドル、対GDP比2.8%だった。15年度の歳入は8%増、歳出は5%増をそれぞれ見込む。

●欧州取引所、取引開始時に2.5-3%下落、中国不振が背景、「制止不能の破局」か
          スプートニク 2015年08月24日
欧州の主要証券インデックスは月曜の取引開始から数時間で2.5-3%下落した。中国の不振が背景にある。中国では経済への懸念から株価が急落している。

英国のFTSE 100インデックスの第1取引セッションでは、2.56%下落、6029.83ポイントをつけた。ドイツのDAX 30は3.1%下落、9811.12ポイント、フランスのCAC 40は2.7%下落、4505.1ポイントをつけた。
これまで旺盛だった中国経済の成長が鈍化していることを示す予兆が頻繁にみられるようになり、国内および世界で不安が広がっている。月曜、中国の証券市場は、経済の先行き不安と、中国金融当局による先週末の緩和策が期待外れであったことにより、8.5%も暴落した。

「まさに大破局だ。誰もこれを止めることは出来ない」。Heqitongyi Asset Managementの主任投資マネージャー、チェン・ガン氏の言葉をブルームバーグが伝えた。

●エコノミスト警鐘 「アベノミクスは極限的ファシズム経済学」
            日刊ゲンダイ 2015年8月23日 浜矩子・同志社大大学院教授
 経済政策の本来の役割は、崩れた均衡の回復と弱者の救済です。この2つは表裏一体で、切っても切れない関係にあります。例えば、ものすごいインフレになれば、たちどころに傷つくのは経済基盤が脆弱な人たちです。だから、経済の均衡を保ちながら、困っている弱者に手を差し伸べる。それが政治に与えられた使命なのです。

 ところが安倍政権は、そういうところには目が向かず、盛んに強さをプロモーションしようとしています。「再び世界の中心で輝く日本になる」などと宣言し、強者をより強くする政策を推し進めています。こうした発想は、実にファシズム的ですね。

 ムソリーニもフランコもスターリンも、歴史に名を残したファシストたちは、誇大妄想に駆られて強さを追い求め、国内外に力を誇示しようとしました。巨大建造物の建設に固執したり、世界的なスポーツイベントを誘致したりといった行動は、その表れです。実際にムソリーニはイタリアにワールドカップを誘致し、ヒトラーもベルリンでオリンピックを開催した。ヒトラーは、ベルリンを巨大な建造物が並ぶ「世界首都ゲルマニア」にしようという構想もぶち上げています。

2本の巨大アーチが目を引く新競技場を目玉にして、五輪の誘致に血道を上げていた安倍首相の姿は、過去のファシストたちと非常に似ています。

 そもそも、一枚看板のアベノミクスからして、ファシズム的な経済政策です。

 日銀のマネタリーベースは7月末で325兆円となり、GDPの6割を超えています。政府が発行する長期国債を市場からバンバン買っているためですが、GDP比の4割近くにまで達した終戦直前の異常な状態に比べても、さらに高いのです。中央銀行が通貨価値の番人としての位置づけの放棄を強いられて、国家のための通貨供給装置となるというのは、最も極限的な「ファシズムの経済学」だといえるでしょう。それを看板政策として推し進めているのが安倍政権なのです。

 今年4月に訪米した際、米国の笹川財団で「私の外交・安全保障政策は、アベノミクスと表裏一体であります」とスピーチ。その真意を記者に聞かれると、「経済を成長させ、そしてGDPを増やしていく。それは社会保障の財政基盤を強くすることになりますし、当然、防衛費をしっかりと増やしていくこともできます」と解説しました。

明治維新の富国強兵は、富国のための強兵でした。欧米列強の植民地となり、国土を食い散らかされないための強兵です。しかし、安倍政権のそれは、強兵のための富国、防衛費を増やすためのアベノミクスにほかならない。まさに、過去のファシストが追求した強さや力に固執するために、経済を成長させようとしている。そのためには、弱者を切り捨て、日銀の自由も取り上げた。そう米国で白状したのです。

 異論を認めず、多様性を否定したファシズムに取りつかれた指導者たちは、国家を崩壊させています。
日本もその二の舞いになる危険性は高いでしょうね。
(浜矩子・同志社大大学院教授)


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 4年ほど前に親戚の山(湿地)からいただいてきた数十株のミョウガが、広がった。
 もちろん、1メートル幅程度の畝として囲ってあるので、収穫は楽。
 8月中旬前から採れ始め、今は、ずんぐりと膨らんだ実がたくさん。
 このあたりの自生種のミョウガの時期は「中晩生」種との印象。

 昨年植えた「陣田早生」は、6月末から出ている。
    (6月28日ブログ⇒ ◆早生ミョウガの出始め/昨年春に植えた「陣田早生」から
 時期が過ぎたけれど、今、プックリしたいい実が出て来る。

 それらをパートナーが料理してくれたので、今日のブログにその写真をもらった。
 ところで先日18日、中日新聞の文化欄に上野千鶴子さんの写真入りの大きな記事があった。併せて、ブログに。

 なお、今朝パソコンを立ち上げたら、不調の気配を感じたのでセーフモードで立ち上げ直した。
 今年の春のパソコンのトラブルで、(私の)デスクトップPCのタッチディスプレイはセーフモードを表示しないことが分かっていたので、倉庫の作業で使っている前機のWin-7のディスプレイを外してきてセットする手間がいった。
 ともかく、復調。でブログを作った。

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●ミョウガが、たくさんとれはじめた。
プックリしているのはつぼみの部分、花ミョウガとも


形の良いものは、甘酢漬け


長く伸びたし具の部分と、大きすぎるもの、
ふくらんでいなくて堅そうなのは、
薄切りにして、炒め煮に。


最後に花かつおを入れて、火を止めれば、
香りのよい常備菜に。


甘酢漬けは、一日たてば、おいしい。

●先日、中日新聞の文化欄に上野千鶴子さんの写真入りの大きな記事。

7月17日、名古屋のウイルあいちでのわいわいWANの
イベントの前の「全国一斉アクション」での記事。



2015年8月18日 中日新聞
写真をクリックすると拡大。

<曖昧語が映す社会>(3) 
社会学者・上野千鶴子さん 

2015年8月18日 中日新聞

 歩みの遅い台風11号が過ぎた七月十八日。名古屋市内の歩道に立つ八十人を超す市民らに向かい、上野千鶴子さん(67)がメガホンを握った。「このまま安保法案を通したら、国会丸ごと違憲です。今踏みとどまらなかったら、後の子どもたちに顔向けできない」。強い存在感。理事長を務める認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)のイベント前、作家の澤地久枝さんが呼び掛けた全国一斉アクションで“ほえた”。

 政治の中で意味をなさなくなっている言葉として「信頼」を挙げる。

◆裏切りに怒りを表す時
 「私を信じてくださいというのは白紙委任と同じ。ぐだぐだ言うな、注文付けるな、多数決で選ばれたんだから後は私に任せなさいと。それを普通は独裁というの。全権委任なんてした覚えないよ」

 安全保障関連法案の衆院特別委員会強行採決、衆院可決、参院審議へと、強引に進める安倍晋三首相がさまざまな場面でいう「私を信じてください」「確信しています」に怒っている。

 「信頼して」と言い続けた政治家たちが、いかに信頼を裏切ってきたか、上野さんは指摘する。消えた年金、年金情報流出と続く年金不祥事。さらに福島第一原発事故も。「当時の野田首相の収束宣言も、東京五輪招致での安倍首相の『アンダーコントロール』(管理されている)もうそっぱちだった」。東京電力や科学者に対する信頼も揺らいだ。さかのぼれば、戦時中の「必勝の信念」。神風は、吹かなかった。

 「そうなると、信頼してくださいという言葉自体が『それウソだろう』と皆が感じる言葉になっている。どこまでしらを切るかという、役者度が政治家のバロメーターみたいになっている」

 民主主義で必要なのは、主権者の「信頼」を獲得することではなく、「納得」を獲得することだと強調する。「主権者は納得すれば同意する」。そして「根拠を示せば納得できる」。原発事故では、根拠を示すどころか、あらゆる面で秘密体質だったと憤る。

 信頼は何度も揺らいでいるのに、誰も責任を取っていないことにも怒っている。「安倍首相は責任を負うようなことを発言するけど、でも人質事件の際にもそう言ったのに二人の命が奪われた。責任取った? 原発再稼働も同じ。命が失われたらどうやって責任取るの? 取れないよ」。責任という言葉も誰も信じなくなった。

 そして-。「信頼を何度も裏切られた人たちが感じる感情は怒り」だと。だから今、国民は皆怒っている。「もともと怒っていたと思う。やっと、怒りを表現している」

 一九六〇年安保闘争で国会を二、三十万人ともいわれるデモ隊が囲み、岸内閣が退陣に追い込まれた。原発事故の際は、脱原発を叫び、最大二十万人(主催者発表)が国会前に。上野さんは「再稼働ができない日々が続いたのは、国民の声の力」と見る。

 今、若者たちが「あのときが分かれ目だったって後で言われたくない」と活動を続け、政治的な発言を普通はしない学者たちも、速いスピードで「学者の会」を組織した。各地で市民らが怒りの声を上げている。「信頼を裏切ることへの怒りがこれほど怖いことだというのを思い知れよということ」

 新国立競技場計画の白紙撤回を、安保法案が衆院を通過した翌日に発表したことも、前向きに考える。「納得できないと言い続けてついに押し戻した。おかしいと声を上げれば、変わるのだという『勝ち癖』の実感がすごく大事」。どれだけ怒りが続くか、忘れずにいられるか。「怒りやあらゆる要求は、表現しない限り存在しないのと同じだからね」。WANのイベントでも繰り返し、参加者にハッパを掛けた。

 政治家は、本来、信頼という言葉をどう使うべきなのか。上野さんは苦笑して、臨床心理学者の故霜山徳爾さんの言葉を教えてくれた。「信頼とは獲得するものではなく、贈られるものである」

 「信頼は自分がほしいと求めるものではなく、信頼を受ける相手から贈られるもの。素晴らしい言葉でしょ。求めて得られるものじゃないんです」
(野村由美子)

 <うえの・ちづこ>1948年富山県生まれ。東京大名誉教授、立命館大特別招聘教授。京都大大学院博士課程修了。専門は女性学、ジェンダー研究。94年『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞受賞。「安全保障関連法案に反対する学者の会」の発起人も務め、自身も国会前や各地のデモなどに参加している。 



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 昨日は議会改革特別委員会の行政視察で宝塚市議会へ出かけた。研修が済んで、私はすぐに帰途に。この土日の名古屋での口座の資料作りがあるから。

 ところで、今日は「グーグル(Google)」に関しての話題を幾つかブログに記録しておく。

 一つは、アメリカでの裁判の話。「グーグル」とソフトウエア大手の「オラクル」が争っている著作権訴訟で、アメリカの連邦最高裁判所は6月末、グーグルの上告を棄却、控訴審判決を支持する判断を示したという。「オラクル」はパソコンでも、自動的に更新などされてくる「Java」としてなじみの。

 ロイターによれば、
★《訴訟は、グーグルのモバイル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」で、オラクルのプログラミング言語「Java」の著作権保護がどの程度認められるかが争われている。》
★《控訴審はJavaの一部著作権を認めるとしてオラクルに有利な判決を下したが、グーグルはライセンス費用を支払うことなくJavaを自由に利用できるはずだとして上訴していた。》

 それに対して、米最高裁がグーグルの上告を却下した、というわけ。

 次は、「ユーザー・顧客の囲い込み」的なことについて。
  CNET Japan(2015/06/30)は次のように伝えている。
★《検索クエリに対してGoogleコンテンツを目立つ形で表示することにより、Googleは検索における自社の独占的地位を利用して、当該コンテンツの顧客を獲得することが可能だ。》
★《これは、検索における独占的地位を利用して自社コンテンツを優先表示することで、Googleは消費者に質の低い検索結果と関連性を提供し、それによって社会の福祉を損なっている》

 次は、提供開始から10周年を迎えた「Google Earth」。(CNET Japan 2015/06/30 )
 Google Earthは、地図と衛星写真を表示できるほか、山や谷などの地形や、都市部の建造物などを斜め方向から見たように3D表示できるソフトウェア 地球上の好きな場所にジャンプできる。GIS(地理情報システム)データとの連携などが行える商用利用版「Google Earth Pro」は最近まで有償提供していたが、2015年2月に無料化した。

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●グーグル対オラクルのJava訴訟、米最高裁がグーグルの上告を棄却--Reuters
             CNET Japan  翻訳校正: 編集部 2015/06/30
 米連邦最高裁判所は米国時間6月29日、著作権訴訟に関するGoogleの上告を棄却したとReutersが報じた。これによって、GoogleはOracleに対し、Javaプログラミング言語を使用するためのライセンス料を支払う義務が生じる可能性がある。2014年に控訴裁判所がOracleに有利な判決を下したことを受け、Googleが最高裁判所に上告していた。

 Oracleは29日の声明で、最高裁の判断を歓迎した。

 「29日の最高裁判所の判断は、イノベーションと、著作権保護を拠り所にイノベーションを推進する技術業界にとっての勝利である」とOracleの法務顧問を務めるDorian Daley氏は声明で述べた。

 Googleは、法廷での争いを続けたい意向を表明した。

 「ソフトウェア業界でイノベーションと競争を促進する相互運用性を引き続き擁護していくつもりだ」とGoogleの広報担当者は述べた。

 The Wall Street Journal(WSJ)によると、Googleは、基本的なJavaコマンドに関する著作権をOracleが主張できるべきではないと主張してきたという。しかしOracleは、Javaコードは同社の所有物であり、Javaを開発したSun Microsystemsを2009年に買収したことで同社が著作権を有していると反論していた。

 今回の裁決は、Googleが「Android」モバイルOSでのJavaの使用に対して、ライセンス料と10億ドルにものぼる恐れのある損害賠償を、Oracleに支払わなければならない可能性があることだけを意味するものではない。この裁決で、ソフトウェア開発者が基本的なコードに関する排他的な権利を確保するために著作権法を適用することができるかどうかという問題があぶり出される。この動きにより、他の開発者がそのコードを基に開発を行う権利が制限される可能性がある。

 Oracleが2010年に、AndroidにおけるJava APIの使用が特許と著作権を侵害しているとしてGoogleを提訴したことに端を発して、両社の間で係争が続けられてきた。今回の最高裁判所の裁決は、この係争で最新の展開となるものだ。

●米最高裁がグーグルの上告棄却、オラクルとの著作権訴訟
       ロイター 2015年 06月 30日
[ワシントン 29日 ロイター] - 米インターネット検索大手グーグルとソフトウエア大手オラクルが争っている著作権訴訟で、連邦最高裁判所は29日、グーグルの上告を棄却、控訴審判決を支持する判断を示した。

訴訟ではグーグルのモバイル端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」をめぐり、オラクルのプログラミング言語Javaの著作権保護がどの程度認められるかが争われている。

控訴審はJavaの一部著作権を認めるとしてオラクルに有利な判決を下したが、グーグルはライセンス費用を支払うことなくJavaを自由に利用できるはずだとして上訴していた。

●米最高裁、グーグルの上告を却下 オラクルとのJava訴訟で
   ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2015 年 6 月 30 日
 米連邦最高裁は14年5月にJavaの要素が著作権保護の対象になるとのオラクルに有利な判断をした米連邦巡回控訴裁判所の判決を覆すことを拒否した Associated Press
 【ワシントン】米グーグルのモバイル端末向け無償基本ソフト(OS)「アンドロイド」が米オラクルのプログラミング言語「Java(ジャバ)」に関わる著作権を侵害したとされる件で、米連邦最高裁判所は29日、著作権保護に制限を設けてオラクルの訴訟を阻止しようとしたグーグルの上告を却下した。

 この訴訟は2010年にオラクルがグーグルを提訴して以来続いている。

 最高裁判事らは、Javaの要素が著作権保護の対象になるとのオラクルに有利な判断をした米連邦巡回控訴裁判所の14年5月の判決を覆すことを拒否した。理由は明らかにしなかった。控訴裁は37のJavaパッケージは著作権保護の対象になるとして、オラクルに著作権保護を認めなかった12年の連邦地裁の判断を覆していた。

 オラクルは10億ドル(約1230億円)以上の損害賠償を求めている。陪審は当初、グーグルがオラクルの著作権を侵害したとの評決を下したが、グーグルは公平な利用にとどめているとして控訴していた。今後、下級裁判所で再度審議する必要がある。

 グーグルは最高裁に審理を要請したほか、ソフトウエアメーカーによる著作権保護を後ろ盾としたコンピュータープログラムの独占権行使を制限するよう求めた。また、オラクルに対して基本的なソフトウエアのコマンドで著作権を主張すべきでないと訴えた。

 一方、オラクルはソフトウエアのコードが独自かつ独創的なものだとし、グーグルの主張はソフトウエアの重要な法的保護を損ねるとの見方を示した。グーグルはライセンス料を支払うか、新たに独自のコードを作成すべきだと主張した。

 この訴訟問題はハイテク業界で高い注目を集めている。最高裁も米オバマ政権に同裁判所が介入すべきか意見を問うなど当初は関心を寄せていた。

 これに対して政府代理人のドナルド・ベリリ氏は公正な利用に関する問題が下級裁判所で解決されていないとして最高裁に不介入を求めた。ベリリ氏はJavaの著作権に関するグーグルの主な主張は法的根拠がないと指摘していた。

●米最高裁がGoogleの訴えを却下、OracleとのJava著作権訴訟で
      IT Pro 2015/06/30鈴木 英子
 米Googleが米OracleのJava関連の著作権を侵害したとされる訴訟で、米連邦最高裁判所が現地時間2015年6月29日にGoogleの上告を却下したと、複数の海外メディア(米Wall Street Journal、米Computerworld、米Reutersなど)が報じた。

 最高裁が米連邦巡回控訴裁判所の判断を覆すことを拒否したことにより、OracleはGoogleに一部Java言語の使用料を要求できる。Googleは、ライセンス料を払わなくてもJavaを使用できるはずだと主張していた。

 この係争は、OracleがGoogleのモバイルプラットフォーム「Android」にJavaの知的所有権を侵害されたとして2010年に起こしたもので、米カリフォルニア州北部連邦地方裁判所は2012年に、Oracleが問題とするJava APIは著作権法の対象ではないとの判断を下した。Oracleがこれを不服として上訴すると、控訴裁は2014年、問題のJava APIは著作権法による保護の下にあると見なし、地裁の判決を覆した(関連記事:「Java APIは著作権の対象」と控訴裁が判断、Oracle対Google訴訟で)。

 APIに著作権を主張できるかという点で、この係争は技術業界で高い注目を集めている。しかし、たとえAPIが著作権保護の対象だとしても、Googleはフェアユース規定が適用されると主張している。Oracleは10億ドル以上の損害賠償を求めているが、GoogleのAndroidにおけるJava使用がフェアユースの範囲かどうか、今後下級裁判所で審理されることになる。

●グーグルの自社コンテンツ優先で検索結果の質が低下--コロンビア大教授が指摘
           CNET Japan 翻訳校正: 中村智恵子 高橋朋子 (ガリレオ) 2015/06/30
 UPDATE Googleは自社コンテンツを優先し、検索結果の質を落としている疑いがあると、コロンビア大学ロースクール教授で著述家のTim Wu氏が共同で執筆した論文の中で主張している。

 この研究論文は、英国時間6月27および28日に開催されたオックスフォード大学の「Antitrust Enforcement Symposium」(独占禁止法執行シンポジウム)において発表されたもの。この論文が注目に値するのは、Wu氏がGoogleの元研究員で、「ネットの中立性」の提唱者であるという点だ。Wu氏はまた「The Master Switch: The Rise and Fall of Information Empires」(マスタースイッチ 「正しい独裁者」を模索するアメリカ)の著者としても知られる。

 論文において、Wu氏とハーバード大学のMichael Luca氏、およびYelpのデータサイエンスチームは、Googleの自社コンテンツ優先方針がユーザーエンゲージメントを低下させていることを、比較テストを用いて明らかにした。論文によると、その結果Googleは「社会福祉に不利益を与えている」という。すなわちGoogleは自社のレビューをライバル企業のそれに優先して表示し、検索結果の質を落としているというのだ。

 欧州の規制当局が目下、Googleのビジネス慣行に調査の目を向けていることから、Wu氏の論文は一定の注目を集めるだろう。ただし、Wu氏は今回の論文執筆でYelpから報酬を受け取っているとBloombergは報じている。

 この論文の最大の問題点は、クリック数をユーザーエンゲージメントに直接結びつける前提に大きく依存していることだ。結果が一目で表示できるなら、余計なクリックは不要だとGoogleは反論するだろう。また、Google検索は広告市場に大きな影響力を確立しているため、売る側と買う側をつなぐユーティリティのような存在とみなされている点も注目に値する。

 論文には以下のように記されている。

 検索クエリに対してGoogleコンテンツを目立つ形で表示することにより、Googleは検索における自社の独占的地位を利用して、当該コンテンツの顧客を獲得することが可能だ。この自社コンテンツがオーガニック検索の結果より劣っていた場合、これは重大な懸念を生じる。この点について調査するため、われわれはユーザーに異なる検索結果を示すランダム化比較試験を実施し、Googleの現行ポリシーに沿ったGoogleコンテンツ優先の検索結果と、他社コンテンツが表示される検索結果とを比較した。

すると、ユーザーがユニバーサル検索の結果(Googleの検索結果ページに目立つ形で地図が表示されるもの)に関心を示す率は、オーガニックな検索結果を表示した場合のほうが45%高いことが明らかになった。これは、検索における独占的地位を利用して自社コンテンツを優先表示することで、Googleは消費者に質の低い検索結果と関連性を提供し、それによって社会の福祉を損なっていることを示唆するものだ。

 上述の試験は、2種類の検索結果を比較するという方法をとっている。1つはGoogleのユニバーサル検索、もう1つは「Focus On The User」という別のプラグインを利用したもので、こちらはGoogleのアルゴリズムを利用しながらも、「Google+」のコンテンツを優先しない検索結果を表示する。

 Wu氏の論文は、Googleがビジネス関連の検索結果の質を意図的に落としており、この「意図的な無視」が市場のあらゆる方面に損失をもたらしていると主張している。

●グーグル、「Google Earth」10周年--「Earth View」コレクションを拡充
     CNET Japan  佐藤信彦 2015/06/30
スタイル Googleの3D表示可能な地図ソフトウェア「Google Earth」が米国時間6月29日、提供開始から10周年を迎えた。

地球上の好きな場所にジャンプできる(出典:Google)
 Google Earthは、地図と衛星写真を表示できるほか、山や谷などの地形や、都市部の建造物などを斜め方向から見たように3D表示できるソフトウェア。魅力的な機能の一つに、地球上の好きな場所に「ジャンプ」して仮想的な旅行を楽しめる表示レイヤ「Voyager」がある。ストリートビューで街並みや雄大な観光地を疑似体験したり、衛星画像で見事な自然の造形を楽しんだりできる。

  GIS(地理情報システム)データとの連携などが行える商用利用版「Google Earth Pro」は最近まで有償提供していたが、2015年2月に無料化した。

 2005年6月に提供開始されたGoogle Earthは、同年8月にハリケーン「Katrina(カトリーナ)」が米国の南東部を襲った際、救援活動に活用された。具体的には、救援隊がGoogle Earthで被災前後の衛星画像を見比べ、被災者がいる可能性の高い場所を探したという。また、被災者が自宅の状態を確認したり、家の場所に伝言を書く形で家族や知人と連絡を取り合ったりするためにGoogle Earthを利用した例もある。

 Google Earthの10周年を記念し、Googleは地球の姿を宇宙から眺められる「Earth View」コレクションを拡充し、世界中の大陸や海岸など1500カ所の画像を見られるようにした。これら画像は、Chrome拡張機能や新設したウェブギャラリーで閲覧可能。高解像度の壁紙もダウンロード提供している。

 なお、10周年をGoogle公式ブログで発表したGoogle Earth担当エンジニアリングマネージャのSean Askay氏は、大学院生時代に研究データの視覚化にGoogle Earthを利用した経験がある。この活動がGoogleに在籍していた「インターネットの父」と称されるVint Cerf氏の目にとまり、Googleに入社してGoogle Earth担当になる道へとつながったそうだ。

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 「インターネットは、なくてはならない者」の一人となってしまった。
 とはいえ、車までインターネット・・・は想像していない。
  ・・・でも、車のシステムはコンピュター、ナビもコントルール下か・・・

 ところで、クライスラーが、ネット接続車の大量リコールを発表。
 便利なのか便利でないのかよくわからない事態になった。そこで少し調べてみた。

 リコール発表前の指摘だった(ギズモード・ジャパン 2015.07.22)(「ネタ元のWiredにて」とある)には、
★《セキュリティを調査した研究員のデモンストレーションでは、ハッキングして、車のコントロールを奪うことに成功。車はハイウェイを走行中だったので、ハッカーの姿は記者の視界にはありません。つまり、いきなり車の制御がきかなくなったという状態なわけです。》

★《いろいろなモノがシステムと繋がりデータのやりとりをする機会が増えるということは、ハッキングの可能性も広がるということです。今回のリサーチで、システムの弱点が明らかになったものの、まだ事件は起きていません。何か起きる前に対処すべきなのですが…。》とあった。

 メーカーは「ソフトウェアのアップデートを無料で提供」というけれど、会社や団体・組織や家庭のパソコン・ネットでのハッキングと違って「即・いのち」にかかわる問題。ネットと多用な機器はしんちょうに、ということの予告か・・・・
 でも、各種のホームセキュリティもネットでという話も聞くけど、遠慮したいところ。

 なお、「クライスラー」とは「欧米自動車連合フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)」らしい。

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●クライスラー社の車、システムハッキングで遠隔操作される危険性が明らかに
      ギズモード・ジャパン 2015.07.22
ハッキングで、車が危険に晒されるなんて…。

クライスラー社の車に関するセキュリティ調査で、重大なことがわかりました。47万1000台もの車に影響すると思われるこのセキュリティ問題は、なんとハッカーが遠隔操作して車のコントロールを奪うことができるという恐ろしいものなのです。

セキュリティを調査した研究員のCharlie Miller氏とChris Valasek氏が、ネタ元のWiredにて、クライスラー車におけるハッキングの危険性を語り、デモンストレーションまでしてみせました。デモでは、WiredのGreenberg記者が運転するジープチェロキー(クライスラー社の四輪駆動車)をハッキングして、車のコントロールを奪うことに成功してしまいました。車はセントルイス郊外のハイウェイを走行中だったので、ハッカーの姿はGreenberg記者の視界にはありません。つまり、いきなり車の制御がきかなくなったという状態なわけです。

ハッキングは、ジープに搭載されているUconnectシステム(セルラーネットワークに繋がる仕組み)を使うことで、車のエンタメシステムのコントロールを掴み、そこからファームウェアを書き、その他のシステムにコマンドを送るという方法。この他のシステムというのが、例えばブレーキだったり、ステアリングだったりするのが車ハックの何より恐ろしいところ。何百キロも離れたところにいるハッカーが、自分の車のハンドルを勝手に握るということなのです。

車でのハッキング体験をしたGreenberg記者は、「エアコン、ラジオ、ワイパーが勝手に動いたと思ったら、次は急に車が減速しはじめた。これは笑いごとじゃない」とコメント。ハッキングのデモとわかっていても、自分の乗っている車の制御を失うのはかなり恐ろしい体験だったのではないでしょうか。

このシステムの脆弱性の恐ろしさはもちろんですが、最も恐ろしいのはクライスラーはこれを知っていて適切な対処をしていないということです。もちろん、対応用パッチはクライスラーから配布されています。が、パッチはディーラーで入れてもらうか、USBドライブ経由で自分で入れなければなりません(Uconnectのソフトウェアアップデートはこちらから)。あまりに危険で恐ろしいハッキングの可能性があるというわりに、この対応では十分とは言えないと思います。

いろいろなモノがシステムと繋がりデータのやりとりをする機会が増えるということは、ハッキングの可能性も広がるということです。今回のリサーチで、システムの弱点が明らかになったものの、まだ事件は起きていません。何か起きる前に対処すべきなのですが…。


このセキュリティ問題に関しては、近日中に研究員がさらなる詳細を発表予定。

●クライスラーが140万台のリコールを発表。ハッキングによる遠隔操作に対処
        ギズモード・ジャパン 2015.07.25
笑いながら遠隔操作するハッカーの姿は衝撃でしたよね。

フィアット・クライスラー社が、ジープ・グランドチェロキーなどをふくむ140万台のリコールを発表しました。これは、Wiredの動画によって明らかになった、UConnectシステムの脆弱性に対処するためのもの。ちなみに、ハッキングが原因で実際に事故が起きたケースなどは報告されていないとのことです。

クライスラー社は、UConnectシステムを搭載した車の所有者に対してUSBスティックで新しいバージョンのソフトウェアを配布すると決定。ウェブページではリコール対象となる車の一覧が確認できます。また、ソフトウェアアップデートが必要かどうかを確認できるページも用意されています。

対象となるのは以下の車種のなかで、8.4インチのタッチスクリーンを搭載している場合です:
・・・・・・(略)・・・
クライスラー社の車が2人のハッカーによって、いとも簡単にハッキングされてしまう動画。すでに見たよ! という人も多いはず。ハンドルが勝手に操作されたり、音楽が爆音で再生されてしまったり。もし自分がドライバーだったら、と想像しただけで怖くなっちゃいます。

それにしても更新プログラムをUSBスティックで配布っていうのも、なんだか頼りなく思えてしまいますよね。IoTに取り組む自動車メーカーが、こういった危険性にどう対処していくのか。今回の動画をきっかけに、より多くの人々が関心をもつようになったのは間違いなさそうです。

●ネット通信車に遠隔操作の危険性、140万台リコール
        TBS 動画ニュース(25日16:27)
 インターネット通信機能を備えた車がハッカー攻撃で遠隔操作される危険性が明らかになり、アメリカで対象の車140万台がリコールされることになりました。

 手を放してもハンドルが勝手に動きます。車が遠隔操作されているのです。ドアもロックが外されました。これはアメリカの専門誌「ワイアード」が公開した動画で、サイバーセキュリティの専門家が遠く離れた車のシステムをハッキングし、実際に車を操っている様子です。

 「エンジン切るよ」(専門家)
 「加速できない。表示は時速およそ40マイル(64キロ)だが、スピードが出ない」(運転手)

 運転手は駐車をしようとしてみますが・・・車のブレーキが利かないよう遠隔操作され、そのまま道から外れてしまいました。ここがもしも崖などの危険な場所だったら大惨事です。

 遠隔操作されたのはFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の「ジープ・チェロキー」で、インターネットの通信機能を備えたものだということです。

 「コンピューターがハッキングされて写真が盗まれるのは不快だけど、車のブレーキが利かなくなるのは全く別次元の話で本当に怖いです」(車を遠隔操作したチャーリー・ミラー氏)

 動画の公開はインターネット接続機能が付いた車のセキュリティに警鐘を鳴らした形で、FCAは24日、対象となる車種およそ140万台をソフトウェア更新のためリコールすると発表しました。対象となるのは、2014~2015年製の「ジープ・チェロキー」や「ジープ・グランドチェロキー」など、インターネット接続機能を備えた7車種です。

 サイバーセキュリティの問題で車がリコールされるのは初めてだということです。

●ネット接続機能車、乗っ取られる危険 米で140万台リコール
     中日 2015年7月25日
 【ニューヨーク=東條仁史】米自動車大手「FCA US」(旧クライスラー)は二十四日、インターネットに接続できる機能を備えた車種約百四十万台を米国でリコール(無料の回収・修理)すると発表した。運転手の意図にかかわらず遠隔操作で急に動いたり、停止するなど乗っ取られるおそれがあることが分かったため。ネットと接続し、情報を入手したり運転の支援をする次世代カーの弱点を狙った攻撃を防ぐため、無線通信用のソフトウエアを更新する。

 ネットにつながる車は、日本の大手メーカーも技術の開発や導入に力を入れている。トヨタ自動車はカーナビの画面でスマートフォンのアプリを使える米フォード・モーターの技術を導入する方向で合意。今回、米国で乗っ取りの危険性が具体的に明らかになったことで、日本でも安全対策の議論が活発になりそうだ。

 日系自動車メーカー関係者は米国で起きた問題について「ネットと接続し道路情報などを入手できる機能は最新車種の多くに搭載されている。クライスラーのシステムの仕組みが分からないので、ハッカーがどう侵入できたかなどの解析を進めている」と、関心を示している。

 遠隔操作の問題は、今月二十一日にIT関連の米専門誌が掲載したことで分かった。公開された動画では、二人の著名なハッカーが実験で、車から離れた場所からパソコンを使いクライスラー車のネット接続システムに侵入。運転手が何もしていないのにエンジンは切られ突然、減速した。運転手がエンジンをかけようとしても、車は反応しなかった。エアコンやラジオなども遠隔操作で動いた。

 動画は米国で大きな反響を呼び、同誌は車がネットにつながることで起きる課題を広く知らせることが目的と説明した。FCAによると、今回のリコールに関連したけが人などは出ていないという。

 リコールの対象は、二〇一四~一五年型の「ジープ・グランドチェロキー」や「ダッジ・デュランゴ」などで、タッチパネル式の通信機器が備えられた車種。

●フィアットがハッキング懸念受けリコール、米当局は調査開始
        ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2015 年 7 月 25 日
 欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は24日、サイバーセキュリティー上の問題が報道された一部のタッチスクリーン式カーステレオを搭載した車両140万台をリコールし、ステレオのソフトウエアを更新すると発表した。

 リコール対象車の年式は2013〜15年で、ピックアップトラック「ラム」からジープ「グランド・チェロキー」および「チェロキー」、クライスラーのセダンまで幅広い車種が含まれる。対象車のオーナーにはソフトを更新するUSBデバイスが配布される。同社によると、このソフトの問題に関連する負傷、苦情、保証請求、事故は報告されていない。

 フィアットは、対象車の安全性に落ち度はなく、リコールはあくまでも予防措置だと強調した。

 米運輸省の道路交通安全局(NHTSA)は24日、このリコールについての調査を開始した。フィアットは、顧客は自分で何もする必要がないソフトへのパッチとネットワークレベルの措置を適用するとしている。セキュリティー面の脆弱(ぜいじゃく)性に対するこうした対処法がNHTSAの調査対象になる。

 NHTSAのローズカインド局長は、NHTSAのセキュリティー専門家がリコールを取り調べ、同社の対応について「より踏み込んだ評価」ができるようにすると述べた。ローズカインド局長は声明で、NHTSAがフィアットにこのリコールの実施を「勧めた」ことを認めた。

 フィアットの広報担当者は、当局の調査に同社は協力しており、同社製品は全て米国の安全基準を上回っていると述べた。

 今週発行された米誌ワイアードには、セキュリティー研究者2人が無線通信システムを通じて走行中のチェロキーの空調やカーステレオ、エンジンを遠隔地から制御するのに成功したとの記事が掲載され、サイバーセキュリティー面の弱点が明るみに出た。これについてフィアットは24日、車両の制御を遠隔で行うには何層ものセキュリティーをクリアする必要があるとして、懸念の解消に努めた。

 同社は声明で「今回のリコールで対応したソフトウエア操作は、独自の膨大な専門知識、長期にわたる対象車両への実際のアクセス、また膨大な時間を費やしたコードを書く行為が伴い、それなしでは行えない」と説明した。

●走行中のジープ、ハッキングで乗っ取り成功修正プログラム配布
        時事 〔AFP=時事〕(2015/07/24-14:05)
【サンフランシスコAFP=時事】欧米自動車連合フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は22日、ネット接続機能を備えた車種の一部を対象に、ソフトウェアの修正プログラムを提供すると発表した。これに先立ち、米誌ワイヤードは、走行中の同社製「ジープ・チェロキー」2014年モデルがハッキングにより遠隔操作される様子を伝えていた。

 21日に掲載されたアンディ・グリーンバーグ記者によるワイヤード誌の記事は、システムの脆弱性を示すための実験として、コンピューターセキュリティー専門家のチャーリー・ミラー氏とクリス・バラセク氏が、チェロキーを遠隔操作する様子を伝えている。
 記事では、ハッカーらが自宅からノートPCを使って、チェロキーのハンドルやブレーキ、ラジオ、ワイパーなどを遠隔操作できることを指摘していた。

 一方のFCAは、自社の車がハッキングされたという情報は直接入手していないと主張。プレスリリースの中では、ソフトウェアのアップデートは「自動車システムに無許可で不法にアクセスする潜在的なリスクを減らすためのセキュリティー対策の強化のために」時に必要となると説明している。

 FCAは、ネット接続機能「UConnect」を備えた車種で、2013~2014年に製造された「クライスラー」、「ダッジ」、「ジープ」、「ラム」と、今年製造された「クライスラー200」の一部に関して、ソフトウェアのアップデートを無料で提供している。

●「FCA US」、ハッキングのおそれがあるとして140万台リコール
      FNN 07/25
アメリカの自動車メーカー大手「FCA US」は24日、ハッキングにより、車の運転機能が外部から操作されるおそれがあるとして、140万台をリコールすると発表した。

リコールされたのは、「ジープ」ブランドの「チェロキー」など、あわせて140万台。
外部からのハッキングで、エンジンやステアリングなど、運転に関わる機能が、外部から操作されるおそれがあるとして、「FCA US」は、ソフトウエアを更新する。



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 昨日に続いて、ギリシャのことを調べてみた。なにしろ、一つの国が「経済破たん」するか否かのタイミング。
 どのように破たんしていくのか、あるいは、どのように回避されるのか・・・、興味がある。

 専門家は《このままではいずれにせよギリシャの破綻は“時間の問題”である。》という。
(ダイヤモンド・オンライン)
 《時間切れでギリシャが自壊、“実質的な離脱”の可能性はある。「借用証書による取引が増えてユーロに取って代わり、“実質的なユーロ離脱”となる可能性はある」。問題は長期化する公算が大きくなった。今しばらくは、世界がギリシャに振り回される日々が続きそうだ。》

 ところで、明日8日(水)15時は岐阜地裁で住民訴訟のラウンドテーブル。
 今回は、被告が裁判所の求めに応じて、「なぜ、遅れたのか」の主張の書面を出すことになっていたところ、5日に受け取った。それで今朝2時半に起きて、反論の書面、書証などをイメージした。
 この後、調整、精査して修正し、夕方までに裁判所に提出したいと思っている。

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●欧州激震:国民投票の衝撃/上 ギリシャ「屈辱感」増幅 EUに反発、緊縮策拒否6割 ユーロ圏、あす首脳会議
         毎日新聞 2015年07月07日
 ギリシャの選択は「ノー」だった−−。金融支援の条件として欧州連合(EU)などが提示した財政緊縮策への賛否を問う5日のギリシャ国民投票で、反対が6割を超えた。東京の金融市場で日経平均株価が一時500円超下落するなど、賛成多数を予想していた世界の市場は動揺。ユーロ圏離脱の不安をあおって「賛成」を迫っていたユーロ圏諸国は急きょ、7日(日本時間8日)の首脳会議開催を決めた。ギリシャのチプラス首相も出席して再交渉を試みるが、各国の不信感は強い。ギリシャ国内のユーロが底をつく前に妥協できるかは不透明だ。

 国民投票から一夜明けた6日朝、アテネ市内の銀行支店前には多くの高齢者の姿があった。年金は、最低賃金の月収の5分の1程度となる120ユーロ(約1万6000円)しか引き出しが認められていない。人々の表情は不安の影が濃かった。

 だが、アテネ中心部のシンダグマ広場を5日夜に埋め尽くした反対派は、債務不履行(デフォルト)やユーロ圏離脱の不安など無縁という熱狂ぶりだった。

 タクシー運転手のマノリス・イエルマナキスさん(61)は2010年に緊縮策が導入されてからの5年間で収入が半分以下に減った。「電気代も電話代もまともに払えなくなった」と怒りをぶちまける。

 10年から14年までにギリシャの国内総生産(GDP)は25%減少した。現在の失業率は25・6%、25歳未満に限ると49・7%だ。格差も拡大して暮らしが苦しくなったことと、財政政策をEUに握られた「屈辱感」が反感を増幅させた。

 ギリシャ人は、古代文明と民主主義の発祥の地であることを誇っている。その誇りを踏みにじられたことで「反EU、反ドイツ、反IMF(国際通貨基金)という空気がある」。シンクタンク「ギリシャ欧州外交政策財団」のディミトリ・ソティロプロス研究員は、国民心理をこう解説した。

 動きはむしろEU側で慌ただしい。フランスのオランド大統領は投票直後、ドイツのメルケル首相と電話協議し、7日のユーロ圏首脳会議開催に合意。さらに両首脳は6日、パリで直接会った。AFP通信によると、メルケル首相はさらにチプラス首相と電話で話し、首脳会議にギリシャが新提案を提示することで一致。ドイツのガブリエル副首相は、人道支援の必要性を語り始めた。IMFのラガルド専務理事も6日、「情勢を注視しつつ、求められればギリシャを支援する用意がある」との声明を出し、EUとの協議がまとまれば支援に同調する構えだ。

 欧州では、10年以降の債務危機での緊縮策が若者や貧困層に打撃を与え、「反緊縮」「反EU」を叫ぶ大衆迎合的な新興政党が出現しているスペインやイタリアへの影響を懸念する声もある。ギリシャへの対応を誤れば、こうした政党を勢いづかせてしまうからだ。

 一方でギリシャは交渉の態勢作りを始めた。ユーロ圏財務相会合で他国閣僚と衝突することが多かったバルファキス財務相が突然、辞任を表明した。EU側と合意するためには財務相辞任が望ましいというチプラス首相の判断だという。

 国民投票で政治的立場を強めたチプラス氏は6日、主要3野党から交渉に協力する確約を取り付けた。

 終日大荒れとなった東京市場で、あるエコノミストは「ユーロがそもそも壮大な実験と言われたが、離脱も壮大な実験だ。初めてなので、何が起こるか誰にも分からない」と話した。これまでイメージしてこなかった「ユーロからの離脱」を一部の投資家は真剣に想定し始めた。【アテネ福島良典、ロンドン坂井隆之、ブリュッセル斎藤義彦】

●ギリシャに迫る時間 財務相辞任、EUは譲歩難しく
        日経 2015/7/7 2:01
【ブリュッセル=森本学】ギリシャの国民投票が欧州連合(EU)の求めた緊縮策を拒む結果となり、財政危機に直面するギリシャへの金融支援交渉の行方は一段と混迷してきた。ギリシャはユーロ残留へ新たな金融支援を求める構えだ。民意を追い風に緊縮緩和や債務減免を求める構えのチプラス政権に、EUはどこまで譲歩するのか。難しい判断を迫られる。

バルファキス財務相の辞任がEUとの交渉にどう影響するか=AP
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バルファキス財務相の辞任がEUとの交渉にどう影響するか=AP
 ギリシャのチプラス首相は民意を反映し、年金支給の削減といった緊縮策の緩和や、債務元本の減免を盛り込んだ金融支援をEUに要請する方針だ。EUは7日、ブリュッセルで緊急のユーロ圏首脳会議と財務相会合を開き、ギリシャ側が示す新たな提案への対応を協議する。

 チプラス首相は6日、EUとの交渉を担当してきたバルファキス財務相の辞任を認めた。EU側の評判が良くなかった同氏を外し、交渉を前に進める狙いとみられる。

 EUもまずはギリシャのユーロ残留をめざして新たな金融支援策での合意を探る。ただ、ギリシャの国民投票が否決したEUの緊縮策は、ギリシャ側に最大限譲歩した内容だ。さらなる歩み寄りにはユーロ圏各国の反発も予想される。交渉は難航が避けられない。

 EUとギリシャの神経戦は続く。

 ギリシャの銀行は手元にユーロが無くなりつつある。欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行の資金繰りを支えるために実施している資金供給の額を据え置いているためだ。

 この額が増えなければ6月29日から休業している銀行は営業を再開できない。ECBは今のところ資金供給額の上積みに応じる気配をみせておらず、ギリシャの銀行は営業再開をめざしていた7日以降も休業を続けざるを得ない状況だ。

 ヤマ場は20日のECBが保有する国債(35億ユーロ)の償還だ。償還資金を手当てできなければ、ECBはギリシャの国内銀行への資金繰り支援を打ち切るかどうか厳しい判断を迫られる。

 ギリシャとEUが互いに強硬姿勢を崩さなければ交渉が決裂し、ギリシャのユーロ離脱が早々に現実となりかねない。

 「(ユーロ離脱が)現実的なシナリオになった」(スロバキアのカジミール財務相)。対ロシアなど安全保障面で要衝にあるギリシャがユーロ圏から離れるのを許すのは非現実的との見方が根強いものの、ドイツを中心にギリシャへの強硬論もくすぶる。

 ギリシャへの金融支援が早急にまとまるには、ギリシャ側がEUと緊縮策で合意し、財政改革関連の法案を成立させるなど改革実行の確証をEU側にみせる必要がある。ただ、国民の6割が「緊縮反対」を表明したギリシャ政府や議会が応じる可能性は乏しい。

●ギリシャ第3次救済に青信号ともるか、ユーログループ7日会合
           ブルームバーグ 2015/07/07 01:16
  (ブルームバーグ):ギリシャが第3次救済を受けられるかは、交渉再開をユーロ圏の財務相らが承認するかどうかにかかっている。
ギリシャのチプラス首相は先週、欧州安定化メカニズム(ESM )を活用した2年間の融資プログラムを要請したが、財務相らによる検討はギリシャ国民投票をはさんで途中で止まった。欧州連合(EU)の欧州委員会はユーロ圏財務相会合(ユーログループ)の承認がなければ、ギリシャ救済の新プログラムをめぐる交渉を再開できない。

欧州委のドムブロフスキス副委員長は6日のインタビューで、「ユーログループから作業を付託されることが必要だ。その場合にのみ、ギリシャと新プログラムについて交渉を開始できる」と語った。

ユーログループは7日に会合を開く。そこでギリシャが引き出せる譲歩は救済の新プログラム設計を開始する許可くらいだろうと、ユーロ圏当局者2人が匿名を条件に述べた。交渉が再開されたとしても、プログラムの設計や条件設定、債務分析に数週間はかかるという。
ギリシャが新たな救済を受けられるという見通しは、銀行システムへの緊急流動性支援(ELA)を受け続けるために必須だ。政治協議が続いている間、欧州中央銀行(ECB)はELAを停止するかどうかの決定を遅らせる公算がある。

●EUはギリシャに譲歩するしかないのか ギリシャ国民の「No」で
著しく上がった交渉のハードル

              ダイヤモンド・オンライン編集部 2015年7月7日(編集部 河野拓郎)
 ギリシャ国民の「No」で 著しく上がった交渉のハードル
 ギリシャ問題は、いっそうの隘路に陥ることになった。7月5日に行われた、緊縮策を受け入れるか否かをギリシャ国民に問う国民投票の結果は、大方の予想を覆して「No」となった。

チプラス首相が強調する通り、これが即、ギリシャのユーロ離脱を意味するわけではない。7月7日にもユーロ圏首脳会合が開かれる予定だが、EU(ユーロ圏各国)などの債権団とギリシャの交渉は、今後継続されるだろう。

ただこれは、債権団が交渉を“門前払いはしない”ということであって、ギリシャの主張を認めたわけではない。チプラス首相はギリシャ国民の意志を強調するが、逆にドイツなどの国民からすれば、自分たちの税金でなぜギリシャを救済しなければならないのか、という話になる。

「もともとあった利害対立が先鋭化してしまった。交渉成立のハードルは著しく上がった」(丸山義正・SMBC日興証券シニアエコノミスト)

「国民投票前まではギリシャのユーロ離脱は確率20%と考えていたが、今は7割くらいになっている」(中空麻奈・BNPパリバ証券チーフクレジットアナリスト)

目先のポイントは、欧州中央銀行(ECB)がギリシャの銀行に対して行っている資金供給を、どこまで続けるかだ。要は、ECBがギリシャにどこまで時間的余地を与えるかということだ。これが停止すると、同国の銀行は即座に破綻の危機に直面する。

政府は枯渇するユーロの代わりに「借用証書」の発行で公務員の賃金や年金の支払いを行い、急場をしのぐ可能性があるが、この借用証書はユーロに対し大幅に割り引かれた、価値の低いものとなるだろう。同国の経済と国民生活は、大混乱を免れ得ない。これは、ギリシャがユーロを離脱して新通貨に移行しても、少なくとも短期的には同じである。

当面のデッドラインは、ECBが保有する国債35億ユーロの償還日である7月20日だ。「おそらく、ECBはその頃までは資金供給を続けるのではないか」(岸田英樹・野村證券シニアエコノミスト)との見方はあるが、このままではいずれにせよギリシャの破綻は“時間の問題”である。「ECBやユーロ圏側の、この1、2日の動きが極めて重要」(中空チーフクレジットアナリスト)との指摘もある。彼らにギリシャを助ける意志がなければ、その時点で交渉打ち切りとなるリスクも拭えない。

ユーロを“離脱させる”のも難しい
ある程度の譲歩はせざるを得ない

双方に、歩み寄る余地がないわけではない。「チプラス政権としては、何か一つでも譲歩を引き出せれば“これまでの政権とは違う”と言うことができる」(岸田シニアエコノミスト)。

もちろん、債権団は一方的に譲歩するわけにはいかない。要求している財政再建策の基本路線は崩せない。例えば、焦点の一つとなっている年金に関して、「給付の削減という“方向”自体は譲れない」(岸田シニアエコノミスト)。また、これまで“口約束”に終わって来た改革の実行を確実にするため、「ギリシャ国会の議決を通すのが重要」(丸山シニアエコノミスト)だ。最低限、ギリシャ側が、それらをのむのが前提である。

債権団が譲歩し得るものとしては、例えば、支援の条件とされている年金支給開始年齢の引き上げに関して時期を遅らせる、付加価値税(VAT)引き上げの対象範囲や引き上げ幅を緩める、といったことが考えられる。また、「改革プログラム達成後の次のステップとしてきた、債務負担の軽減策を前倒しで提示することや、現在、俎上に乗っている支援プログラムとは別に、5ヵ月程度の短期的な緊急支援策が組まれる可能性もある」(伊藤さゆり・ニッセイ基礎研究所主任研究員)。

見方を変えると、ギリシャのユーロ離脱を避けようとする限り、ユーロ圏各国やECB側はある程度の譲歩はせざるを得ない、ということである。そして、「現実問題として、ユーロ圏の側から“ギリシャを離脱させる”のは非常に難しい」(伊藤主任研究員)。

ユーロ離脱を強制する規定がないこともあるが、ユーロ圏側にとっても、それがやはり大きなリスクをはらむからだ。「ギリシャ経済が破綻すれば、国民が欧州内に移民として溢れ出し、政治的な問題が生じかねない。英のEU脱退の動きにも影響を与え得る。また同国を孤立させると、ロシア、中国が接近し、地政学的リスクも出てくる。ユーロも弱くなり、スペインやイタリア等の地方選挙で野党勢力が伸びざるを得ない。各地域に飛び火するのはまちがいない」(中空チーフクレジットアナリスト)。

その一方で、スペイン、イタリアなどの債務国に“ごね得”という認識が広がると、厄介なことになる。債権団としてはそれも避けねばならない。つまるところは「どう妥協するかという、完全な政治問題」(中空チーフクレジットアナリスト)である。

時間切れでギリシャが自壊、“実質的な離脱”の可能性はある

交渉の難航は必至である。先述の通り、債権団側もギリシャ側も簡単に「ユーロ離脱」という結論に踏み切ることはできないが、時間が経過するうちにギリシャの資金繰りがいよいよ行き詰まり、「借用証書による取引が増えてユーロに取って代わり、“実質的なユーロ離脱”となる可能性はある」(丸山シニアエコノミスト)。

また、仮に債権団側が“ギリシャを離脱させるしかない”と判断したとしても、そのプロセスは「管理しながら、時間をかけて準備することになる」(伊藤上席研究員)だろう。

7月6日、当然のことながら、市場は世界的な株安、ユーロ安・円高と、リスクオフの荒れ模様となった。もっとも現時点では、相対的にその震度は大きくなく、市場はある程度、織り込み済みだったとの評価が多い。

イタリアやスペインなどへの波及の懸念も今のところは大きくなく、また波及の兆候があれば、EUやECBは即座にそれをとどめる措置を取ると思われる。国債買い入れなど、そのための制度も整っている。問題がギリシャだけに封じ込められている限り、市場もいずれ落ち着きを取り戻すだろう。

半面で、問題は長期化する公算が大きくなった。今しばらくは、世界がギリシャに振り回される日々が続きそうだ。

●未知の領域に入るギリシャとユーロ圏、圧倒的「反対」で
      ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2015 年 7 月 6 日 18:44
 ここにきて唯一確かなことは、先行きが不透明だということだ。

 5日に行われたギリシャの国民投票がどんな結果だったとしても、混乱期の到来を告げるものとなったことは間違いない。だが結果が「反対」派の圧勝だったことで、いまギリシャとユーロ圏は未知の領域に踏み込みつつある。

 ユーロ圏財務相会合で議長を務めるオランダのダイセルブルーム財務相は国民投票の結果について、「ギリシャの未来にとって非常に残念だ」とし、「困難な措置と改革は避けられない」と述べた。

 ギリシャは実際にユーロ圏から離脱するだろうか。離脱するだろうとの見方がギリシャ内外で優勢だ。これは先行きに不透明感が漂うなか、確実に予想できることがいくつかあることを意味する。

 ギリシャは国際債権団との交渉を早急にまとめることはしないだろう。フランスのサパン財務相が「反対」票多数の場合として予測していたようにだ。

 他のユーロ加盟各国がどんな動きに出るのかは不明だが、どの方向に進むにしても、早急には動かないだろう。たとえギリシャの国民投票で示された断固とした結果が、欧州の各国首脳にとって衝撃だったとしても。

 国民投票の結果を受けた対応策を練り上げる上で中心的な役割を果たしているドイツのメルケル首相はフランスのオランド大統領と会談するため6日にパリへ飛ぶ予定だ。オランド政権はユーロ加盟諸国の中でギリシャに最も同情的な姿勢を貫いている。

 メルケル首相の報道官によると、首相とオランド大統領は電話会談を行い、「ギリシャ市民の投票結果を尊重する」ことで合意した後、両首脳は7日に欧州首脳会議を招集した。

 ユーロ加盟各国は勝利を収めたチプラス首相率いる左派政権に対し、早急に甘い措置を打ち出すことには慎重だ。そうした対応はユーロ圏の他の国にも、ギリシャの先例に倣(なら)って反旗を翻そうとする動機を与えるリスクを伴う。

 欧州各国の高官らは先週、国民投票で「反対」多数となった場合に大幅な債務救済があるとみるギリシャ国民の期待は間違いだと非公式に指摘した。ただ国民投票で「反対」票が圧倒的多数を占めたことで、チプラス首相の要求をすべてはねつけることは、より難しくなるだろう。

 ギリシャに対して強硬姿勢を取り、ユーロ加盟各国が資金拠出する救済基金への返済でギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥った場合には、債権者に裏目に出て、諸外国が抱える損失を拡大させることになりかねない。

 ドイツ一国だけでも救済基金を通して600億ユーロ(約8兆円)強を負担している。ドイツの銀行や欧州中央銀行(ECB)など、他の支援元を合わせれば金額はさらに膨れあがる。次に重要な日付は7月20日だ。ECBが抱えるギリシャ国債のうち、34億6000万ユーロが償還期限を迎えるためだ。

 他にも確かなことがある。ギリシャの銀行は6日になっても営業は再開されない。たとえ信頼感が急速に戻ったとしても、向こう数週間は再開されない可能性が高い。ギリシャ国外への資本流出を防ぐ資本統制はさらに長く続けられる可能性が高い。

 2013年に比較的早く救済策がまとまったキプロスの場合、銀行は12日間営業停止した。

 ハーバード大学のケネディスクール公共政策大学院で国際金融を教えるカーメン・ラインハート教授は、ギリシャの状況と最もよく似ている最近の例として2つの国が挙げられると話す。2001年のアルゼンチンと1989年のパナマだ。独自の紙幣を持たず、米ドルに依存しているパナマでは銀行が閉鎖され、9週間にわたって預金引き出し額に厳しい上限が設けられた。アルゼンチンでは預金引き出し額の上限設定は1年間続いた。

 ラインハート教授は「銀行の営業停止は資本統制と同様、一時的な措置として導入されることが多い。だが、現実に信頼感がすぐに回復しない場合、長く続く傾向がある」と指摘する。ギリシャの銀行は確固たる合意が存在するという安心感がなければ、再開できないだろう。同教授は「『合意に近づいている』という言葉だけでは信頼感は回復できない」と話す。

 銀行預金の通貨単位がユーロから元のドラクマへ再び変更されるリデノミネーションが実施されるとの懸念から、銀行が再開されたとたんに預金の取り付け騒ぎが発生する可能性が高い。

 2008年に経済・金融危機に見舞われたアイスランドでは当時導入された資本統制がいまだに続いている。

 ギリシャ政府は当面、ユーロ不足に陥る公算が大きい。ギリシャの中央銀行はもうユーロを発行することができない。またECBは、ギリシャがユーロ圏に残るという強い政治的シグナルがなければこれ以上支援するつもりはないだろう。

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 ギリシャの国民投票で緊縮策拒否が示された。「緊縮賛成」が勝つではないかと予測する傾向がわずかに強いとみていたけれど。

 政権交代したばかりの現首相が、突然の国民投票に逆転をかけた。結果は思う通りになったとはいえ、先行きはかえって混迷することに。ギリシャの将来について、今時点の報道は厳しい。EU(ヨーロッパ連合)の支えなしには破綻する国が、EUと強く交渉することになれば、亀裂が深まる状況は素直な予測。

 (ロイター)《緊縮策拒否が示されたことで、ギリシャ情勢が混迷の度を増すことは必至。ユーロ圏内での政治・金融面での立場が危うくなり、支援を受けることができなければ銀行破綻も視野に入る。》

 (毎日)《ギリシャが緊縮策拒否の姿勢を強めるのは確実。長期間の交渉になり、ギリシャ経済が立ち行かなくなる恐れもある。・・市場に衝撃が走りそうだ。ユーロ圏離脱観測が高まり、週明け6日の各国市場でユーロ下落や株安などの混乱が広がる恐れがある。

 今朝はこんなニュースを整理してみた。

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●“賛否”どちらも混乱招く…ギリシャ国民投票始まる"
          ヤフー 2015年7月5日(日)
 財政危機のギリシャで、いよいよ国民投票が始まりました。世論は賛成と反対が拮抗(きっこう)し、大接戦になる見通しです。今回の国民投票では、EU(ヨーロッパ連合)側の提示する財政再建策の賛否が問われていますが、「反対」が多数を占めればギリシャはユーロ圏から離脱する可能性が高まり、世界経済に影響を与える懸念があります。一方、「賛成」が多数の場合でも政権は総辞職するとみられ、政情不安に陥る恐れが出てきます。現地ギリシャのアテネから報告です。(テレビ朝日系(ANN))

●ギリシャ国民投票は緊縮反対が優勢、混迷度増す
    ロイター 2015年 07月 6日
[アテネ 5日 ロイター] - 欧州連合(EU)が求める緊縮策の是非を問うギリシャ国民投票が5日行われ、予想以上の差で受け入れ拒否が優勢となっている。

開票が半分近く進んだ時点で61%が反対となっており、内務省の公式予想でも最終的に同様の結果になることが確認された。

緊縮策拒否が示されたことで、ギリシャ情勢が混迷の度を増すことは必至。ユーロ圏内での政治・金融面での立場が危うくなり、支援を受けることができなければ銀行破綻も視野に入る。

首都アテネ中心部の議会前にあるシンタグマ広場では、反対派の市民が投票結果を祝して集まりはじめている。

ギリシャのスクルレティス労働相は、「政府は今や、われわれに新たな道を開く合意に向け強力な交渉ツールを得た」と債権団との交渉力を高まるとの認識を示した。

ユーロ圏当局者は、6日にユーロ圏の緊急財務相会合(ユーログループ)は予定されていない、と述べた。

欧州中央銀行(ECB)は6日午前に理事会を開く予定。ギリシャ政府報道官は緊急流動性支援(ELA)の「増額を要請する」と述べたが、ECBは増額に後ろ向きとみられる。

ギリシャのメルケル首相は6日午後にパリでフランスのオランド大統領と会談する予定。欧州委員会は7日に会合を開き、欧州議会に状況を報告する予定。

ただ「EU首脳は直ちに会合を開くべき」(ドイツ社会民主党幹部)との声もでている。

●ギリシャ国民投票 緊縮策反対派が賛成派を大きくリードか
 fnn-news 07/06
財政危機に陥っているギリシャで実施された、緊縮策受け入れの是非を問う国民投票は、開票作業が行われているが、反対派が賛成派を大きくリードしている。
反対派リードの一報を受けて、アテネの国会議事堂前の広場には、反対票を投じた人たちが、徐々に集まり始めている。
国民投票は、日本時間6日午前1時に締め切られた。
ギリシャ政府発表の速報値によると、開票率が50%を超えた時点で、反対票が、賛成票を20ポイント以上引き離していて、反対派の勝利が濃厚な情勢。
これを受けて、ギリシャ政府は「すぐにでも交渉をまとめるべく、あらゆる努力をする」との声明を発表、チプラス首相の動向に注目が集まっている。

●ギリシャ:国民投票 賛否傾向、所得で差 緊縮策 富める者は〇、貧する者は×
            毎日新聞 2015年07月06日
 【アテネ宮川裕章、福島良典】欧州におけるギリシャの未来を占う国民投票が5日実施された。欧州連合(EU)など債権者が金融支援の条件として突き付けた財政緊縮策を受け入れるか、拒否するか−−。世論は「イエス(緊縮策受け入れ)」と「ノー(拒否)」で割れた。5年に及ぶ緊縮策の痛みを肌で感じる労働者が多い地区では「ノー」が優勢で、ユーロ圏にとどまることで恩恵を受けているエリート層は「イエス」が多数派だった。経済的な格差が反映されているようだ。

 労働者階級が多いアテネ郊外のペリステリ地区では「ノー」が多く、取材に応じた10人中7人が反対票を投じた。

 元技師のマブルディス・ディミトリスさん(60)は「数年で年金支給額が半分以下になり、電気代など公共料金の支払いも滞っている」と緊縮策への不満をぶちまけた。「このままでは国民が窒息してしまう。反対票を投じることで、ギリシャは強い立場でEUと交渉できる」

 「ノー」が勝った場合でも、「(ユーロ圏離脱は)ドイツやフランスが脅しているだけで、現実には有り得ない」と考えている。反対票を投じた他の6人もユーロ圏からの離脱は望んでいない。

 感じられるのは「侮辱された」という思いだ。元電話会社勤務のアナスタショプロス・ユアニスさん(69)は「EUの先進国から内政に介入され、国家の尊厳が傷つけられている。欧州の発展はギリシャ文明が起源だということを彼らに知らしめたい」と力説した。

 賛成票を投じた若い世代もいた。大学生の女性、アドリアナ・ヤカクさん(22)は「賛成なら融資を受け続けられると思う。でも、欧州の他国から信用されていない気がするし、私たちの未来を誰も保証してくれない。投票結果がどうなっても、その後、何が起こるか不安だ」と語った。

 一方、アテネ中心部で外国大使館などが集まる高級住宅街コロナキ地区。投票所が設置された小学校の構内では「イエス」陣営のステッカーをシャツに貼った運動員が有権者に賛成を呼びかけていた。取材した有権者10人のうち反対は1人だけで、9人が賛成票を投じた。

 エコノミストのデフィミトリオス・ジェルシスさん(65)は「問われているのはユーロ圏に残るかどうか。(緊縮策履行という)困難はつきまとうが、残らなければならない」と指摘。年金生活者のステリィオスさん(82)は「ギリシャには『悪いもの二つから選ぶなら、より悪くない方を選べ』という言葉がある。『イエス』なら欧州とユーロ圏にとどまれる」と話す。

 高級住宅街にも、1週間に及ぶ資本規制が暗い影を落としている。銀行閉鎖のため預金引き出しは現金自動受払機(ATM)での1日60ユーロ(約8200円)が上限。投票の帰りにATMに立ち寄り、行列する有権者の姿が目立った。

 コロナキ地区の薬局店主、ゼネツァノスさん(55)が「小児用の解熱剤、血圧降下剤、抗うつ剤が不足気味だ」と明かす。女性医師(45)は「患者は医薬品の輸入が止まるのではないかと心配している。心臓病や糖尿病などの慢性疾患の患者は3〜4カ月分の薬を買いだめしている」と語った。

●ギリシャ:展望開けず 国民投票後も厳しい交渉
     毎日新聞 2015年07月06日
 欧州連合(EU)などの示した財政緊縮策受け入れの是非を問うギリシャの国民投票は、「賛成」と「反対」のどちらが多数になっても今後の展開は難しい。「賛成」でも「困難な話し合い」(ユンケル欧州委員長)だ。「反対」の場合でもEUは「交渉に応じる」(メルケル独首相)という立場だが、ギリシャが緊縮策拒否の姿勢を強めるのは確実。長期間の交渉になり、ギリシャ経済が立ち行かなくなる恐れもある。

 「賛成」の場合の問題はギリシャへの信頼感がなくなっている点だ。チプラス首相は「賛成」なら辞任すると示唆しているが、居座れば「だれが再建策を実行できるのか」(EU外交筋)との疑問は強い。さらに、ユーロ圏19カ国すべての議会承認が必要な新支援枠組みを使うため、より厳しい緊縮策でないと承認は得られないとみられる。

 「反対」の場合、チプラス首相が民意を背景にEUとの再交渉に臨む。首相側が緊縮策を受け入れるかは不明で、交渉長期化は避けられない。欧州中央銀行(ECB)のユーロ供給制限が続く可能性があり、企業の倒産などが懸念される。

 トゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)は4日「国民投票はユーロ圏残留を問うものではない。(反対という結果でも)ギリシャをユーロ圏内にとどめる」と離脱説を否定した。

 一方、金融市場では今回の国民投票について、「ギリシャがユーロ圏にとどまるか否かの選択」との受け止めが強い。

 ギリシャは債務不履行(デフォルト)状態に陥ったが、EUが危機対応策を強化していることもあり、市場への影響は限定的だった。今回の国民投票も、「賛成が多数を占めると予想する投資家が多い」(英証券大手)という。それだけに、反対多数の結果はサプライズ(驚き)となり、市場に衝撃が走りそうだ。ユーロ圏離脱観測が高まり、週明け6日の各国市場でユーロ下落や株安などの混乱が広がる恐れがある。【小倉祥徳、ブリュッセル斎藤義彦】

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 ヤマダ電機は、それなりに品揃えがいいので、結構、利用してきた。岐阜の長良店とか、時には県庁前店とか。
 この数年(いや、それ以上前から)、フロアーの店員らが減り、サービスが悪くなったと感じていた。
 会社全体の状況が厳しいらしいことは、ネットのニュースなどで見たことがあった。

 それが、今回、各地の店舗の大幅な閉鎖などする、という。
 以下、ライブドアニュース 2015年6月24日、から。
 ★《5月25日、5月末までにスクラップ&ビルドや業態転換を含めて46店舗を閉鎖すると発表した。一部報道によれば、続く6月末も、11店舗を閉鎖や業態転換すると報じられた。》

 ★《4月の速報値では、グループ全店の売上高が前年同月比で110%となり、5月も112.6%と、消費増税の反動減から脱出しつつある明るい兆しが見られた。しかし、インターネット販売業者の普及や少子高齢化による国内家電マーケットの縮小など、ヤマダ電機をはじめとする家電量販店を取り巻く環境は激変している。業界トップのヤマダ電機の大胆な構造改革の進ちょくと行方に注目が集まる。》
 
 ・・さてさて、便利な店をどこに見つけるか、・・・そもそも、時代の流れに対してどういう考え方をするか・・・
 ということで、ブログに次を記録した。
 ●ヤマダ電機、さらに国内11店舗閉鎖へ…6月末/読売 2015年06月25日
 ●46店舗閉鎖のヤマダ電機 中国台湾資本に格好の標的と大前氏/週刊ポスト 7月3日
 ●沈みゆくヤマダ電機、突然の大量店舗閉鎖の暴走? 復活は恐らく難しいといえる理由/ビジネスジャーナル 6.25
 ●ヤマダ電機の盤石な経営モデル TV買い替え需要が減った時期に異変/ライブドアニュース 6月24日
 ●ヤマダ電機「閉店ラッシュ」が意味するもの /賢者の知恵 現代ビジネス 6月14日
 ●ヤマダ電機はなぜ失速したのか!? - 足を引っ張る"郊外店"と"住宅事業"/マイナビニュース 5/27

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●ヤマダ電機、さらに国内11店舗閉鎖へ…6月末
        読売 2015年06月25日
 ヤマダ電機は6月30日に、国内11店舗を追加閉鎖することになった。

 先月も46店舗の閉鎖を発表したばかりで、急成長を支えてきた拡大路線の転換を進めている。

 新たに閉鎖するのは、いずれもテックランドという郊外店で、県別では、茨城県が笠間店など4店で最も多い。地元のケーズデンキとの厳しい競争にさらされている。

 閉鎖する店舗の一部は新たな業態で再スタートする。従業員の雇用は周辺店舗への配置転換などで継続する方針だ。

 ヤマダは近年、インターネット通販の普及や他社との価格競争の激化で苦戦している。収益改善のため、都市部など高収益が見込める店舗や、省電力住宅など、家電以外の事業を強化している。

●46店舗閉鎖のヤマダ電機 中国台湾資本に格好の標的と大前氏
    │NEWSポストセブン ※週刊ポスト2015年7月3日号
 家電量販店で初の全国都道府県出店を果たすなど一時代を築いたヤマダ電機が、苦境に立たされている。5月には46店舗を閉鎖し、大きなニュースとして取り上げられた。量販店ビジネスとヤマダ電機の今後について、大前研一氏が解説する。

 * * *
 家電量販最大手のヤマダ電機は先月、地方や郊外の不採算店を中心に46店舗を閉鎖した。2011年3月期に2兆1533億円に達した売上高が2015年3月期は1兆6644億円にまで減少したからで、まだ売上高は2位のビックカメラの2倍だが、減収減益のジリ貧状態に陥っている。ただし、この現象はヤマダ電機だけの問題ではなく、販売拠点を全国展開している小売企業すべてが直面している構造変化でもある。

 もともと家電販売店は、松下電器産業(現パナソニック)が全国津々に地域密着型の特約店「ナショナルショップ」を2万6000店も作って成長した「街の電器屋さん」の時代が、値段の安い量販店の登場によって1980年代に崩壊した。地域電器店でさえ家電メーカーから仕入れるよりも量販店で仕入れたほうが安いという状況になったのだ。

 量販店ビジネスは、商品をたくさん売れば売るほど多くなるメーカーからの「期末報奨金」を前もって値段に反映し、ディスカウントするというものだ。しかし、もはや量販店はショールーム化している。多くの消費者は近所の量販店で商品の実物を見て説明を聞いた上で、価格比較サイト「カカクコム(価格.com)」で最安値の店を探してネットで買うのが当たり前になり、量販店ビジネスが崩壊し始めているのだ。

 それだけではない。より大きな問題として、もう一つ社会的な要因がある。大半の地方や郊外ではアベノミクスで給料が上がるどころか、物価の上昇などで生活が苦しくなって将来に不安を感じる人が増え、財布の紐がますます固くなっている。だから、大都市圏以外では多くの量販店が苦戦している。この“二重の崩壊”が、全都道府県に店舗網を拡大したヤマダ電機を直撃したのである。

 2015年2月期決算で、カジュアル衣料のしまむらが1988年の上場以来初の2期連続減益になったり、小売業最大手のイオンがGMS(総合スーパー)の不振から3期連続減益に沈んだりしているのも、地方や郊外の消費低迷の影響が大きい。全国展開で強さを誇ってきた会社が、軒並み苦境に陥っているのだ。

 このままではヤマダ電機は地方店や郊外店の閉鎖にとどまらず、急失速する可能性もあるだろう。蘇寧電器(中国の家電量販店最大手)のラオックス買収に刺激された中国・台湾資本が虎視眈々と2匹目のドジョウを狙っているので、ヤマダ電機が抜本策を講じなければ恰好の標的となるだろう。

●沈みゆくヤマダ電機、突然の大量店舗閉鎖の暴走? 復活は恐らく難しいといえる理由
       ビジネスジャーナル 2015.06.25 文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

 5月末、大手家電量販店チェーンのヤマダ電機が46店舗を閉鎖した。5月25日に発表した時点ですでに3店舗を閉鎖済みであり、残りの43店舗については発表直後の閉鎖となったため、地域の消費者や従業員を驚かせた。
 一方、年内に新規出店も行う予定であり、ヤマダとしては「店舗のスクラップ&ビルド」だとしている。閉店するのは、テックランドNew江東潮見店(東京都江東区)、同名古屋南丹後通り店(愛知県名古屋市)、同枚方店(大阪府枚方市)、同新南陽店(山口県周南市)など地方や郊外にある不採算店が中心。これまでの拡大路線を転換し、東京・八重洲など都市部の大型店や免税専門店といった収益力の高い店づくりに注力するとしている。
 日本全国津々浦々に、家電の大型量販店舗を展開する。自社だけの店舗展開だけでは間に合わなければ、業界他社をM&A(合併&買収)して「マーケット・カバレッジの最優先」という戦略を徹底する。これが従来のヤマダの「勝てる王道戦略」だった。その結果、15年3月期末での店舗数は1016店舗にまで達していた。

 ヤマダの山田昇社長は今回の閉店を発表する直前の5月21日付朝日新聞のインタビューで「出店余地はなく、ビジネス・モデルを変えないといけない」と語っており、今回のスクラップ&ビルドは明確な戦略転換だと認めている。つまり全社経営戦略の本格的な変更による電光石火の大量店舗閉鎖だったのだ。そんなことができるのは、創業社長である山田氏ゆえだろう。

 業績低迷について、山田氏の悩みは深い。連結の年商は11年3月期に2兆1500億円とピークを記録し我が世の春を謳歌したが、その後は減少の一途。15年3月期では売上高1兆6643億円(前年同期比12.1%減)、営業利益199億円(前年同期比41.9%減)、経常利益355億円(前年同期比29.2%減)という結果に沈んでいる。
 実店舗の巨艦主義に走ったメガ・リテール(大規模小売企業)が破綻した例は記憶に多い。百貨店ではそごうが、総合スーパー(GMS)ではダイエーがそれぞれ一時は栄華を誇ったが、前者は小売業としては当時(00年)日本最大の負債を抱えて民事再生法を申請し、後者も経営破綻して今年1月イオンに救済合併された。

●ヤマダ電機の盤石な経営モデル TV買い替え需要が減った時期に異変
     ライブドアニュース 2015年6月24日
 「定石から外れている」――。ある家電流通の担当者は、ヤマダ電機(山田昇社長)の店舗数と1店舗当たり売上高の推移についてそう語った。これまで盤石だったヤマダ電機のビジネスモデルに異変が起きている。
郊外型テックランドや都市型LABIが成長をけん引していた

 表は、2000年3月期以降のヤマダ電機の店舗数と1店当たりの売上高の推移を示したものだ。表から類推できるように、直営店がまだ109店しかなかった2000年3月期から、600店体制で過去最高の売上高2兆1532億円をたたき出した11年3月期まで、ヤマダ電機の1店当たりの売上高はコンスタントに30億~40億円を稼いでいた。これにより、出店するたびに売上高が安定して増えていくという「定石」を踏んでいた。

ヤマダ電機の店舗数と1店当たり売上高推移
 特筆されるのは、郊外型のテックランドを出店していた初期のころだけではなく、06年3月期に全国に店舗網を構築したり、同社初の都市型店舗LABI1 NAMBAを出店したときも、また08年3月期にぷれっそホールディングスやマツヤデンキ、サトームセン、星電社を連結対象にするなどして、異なるカルチャーの家電量販店が加わっても、1店舗当たりの売上高30億~40億円をキープし続けていたことである。

 ちなみに、ヤマダ電機の従業員1人当たりの年間売上高が1億円以上(臨時雇用除く)というのも、同社の強さを語るときに使われる数字である。01年3月期の1億400万円から年々伸ばして、ピークは07年3月期の2億400万円。その後は減りこそするものの11年3月期でも1億7300万円の高水準を維持していた。

1店舗当たりの売上高が急ブレーキ
 こうしたヤマダ電機の盤石だったビジネスモデルに異変が起きたのは、地上デジタル放送への完全移行によるテレビの買い替え需要が減った12年3月期からだ。1店舗当たりの売上高は26億3000万円と30億円を割り込む。

 その後も13年3月期は17億5100万円、14年3月期が19億2300万円、直近の15年3月期に至っては、初の1000店突破の1016店を達成したものの、1店舗当たりの売上高が16億3800万円まで落ち込んでいる。06年、07年3月期に出した42億円の、実に4割程度にまで下がっている。

 12年3月期は、住宅メーカーのエス・バイ・エルを子会社化したり、約1000平方メートルの小商圏向け小型店舗の出店戦略を加速させている。従業員1人当たり売上高も、12年3月期は1億3100万円と、かろうじて1億円以上を維持したが、翌13年3月期が8000万円、14年3月期がやや復調して9000万円となっている。15年3月期は、現在までのところ公表されていない。

5月は10万平方メートル規模の閉店に
 店舗効率の向上が喫緊の課題であるヤマダ電機は、構造改革によって状況を打開しようと大ナタを振るった。5月25日、5月末までにスクラップ&ビルドや業態転換を含めて46店舗を閉鎖すると発表した。一部報道によれば、続く6月末も、11店舗を閉鎖や業態転換すると報じられた。JR水戸駅前にあるLABI水戸などの大型店舗も含まれるが、先の小商圏向けのテックランドも多く含まれているようだ。

 5月の月次速報値からは、閉店店舗の面積で約10万平方メートルがなくなったことが明らかになっている。期初にあった1016店舗の274万平方メートルからは、4月の開店と閉店を含めて3.3%の削減となる。

 一部はアウトレット店や4月10日に東京・新橋でオープンしたような免税専門店に業態を転換して、店舗効率を高めていく。年内には、訪日外国人(インバウンド)需要の取り込みを狙って東京駅前の八重洲に都市型店舗を出店する。今年度の新規出店は15店と、昨年度の31店舗の半分に抑えるなど、まずは構造改革に早急に着手する。

 店舗の閉鎖や業態転換にかかる費用は、5月7日に発表したソフトバンクとの資本業務提携による第3者割当で調達した227億円のうちの81億円でまかなう。81億円の内訳は、既存店の改修・改装に24億円、スクラップ&ビルドに42億円、免税対応店への業態転換に10億円、アウトレット店への業態転換に5億円となっている。

 4月の速報値では、グループ全店の売上高が前年同月比で110%となり、5月も112.6%と、消費増税の反動減から脱出しつつある明るい兆しが見られた。しかし、インターネット販売業者の普及や少子高齢化による国内家電マーケットの縮小など、ヤマダ電機をはじめとする家電量販店を取り巻く環境は激変している。業界トップのヤマダ電機の大胆な構造改革の進ちょくと行方に注目が集まる。(BCN・細田 立圭志)

● ヤマダ電機「閉店ラッシュ」が意味するもの 
       | 賢者の知恵 | 現代ビジネス 2015年06月14日(日) 週刊現代
量販店の巨象が苦しんでいる—一時は売上高2兆円超を誇ったヤマダ電機のことだ。人口減やネット通販の浸透で、大規模店に種々雑多な商品を陳列するビジネスモデルは曲がり角を迎えている。

客よりも店員が多い
「店が潰れるらしいという噂が流れはじめたのは4月頃でした。はっきりわかったのは5月の中旬、閉店の2週間前です。販売員たちの士気はすっかり低下してしまって、雰囲気は最悪ですよ。とりあえずリストラはないということでしたが、遠くの店舗へ異動を命じられたら通えなくて辞める人も出てくるでしょう。私もまだ転職できる年齢のうちに資格でも取ろうと考えています」

こう話すのは、ヤマダ電機テックランドNew江東潮見店(東京都)の若手男性販売員。家電量販最大手のヤマダ電機は5月25日、同月末までに全国で約1000店舗ある直営店のうち46店を閉めることを正式発表した。江東潮見店も閉店リストに入っており、敷地の周辺には「閉店セール」とプリントされた赤いのぼりが目に付く。

だが、派手派手しいのぼりとは裏腹に、広い店内は閑散としている。売れ筋のはずの季節家電のコーナーでは扇風機の風にあおられ、大きな綿ぼこりが転がっていた。フロアによっては客よりも店員の数が上回っているほどだ。客の入りがいちばん目立ったのは、マッサージチェアの一角。といっても、年配の人たちが何を買うでもなく、マッサージ機にゆっくりと身を横たえている姿が目に付くくらいだ。日用品売り場でフライパンを物色していた女性客が語る。

「冷蔵庫もテレビも、電球や文房具も全部ヤマダで買ってきました。今回の閉店はショックです。駅前にスーパーはまだありますが、他の日用品はどこで買えばいいかわからない。陸の孤島のようになって、治安も悪くならないか心配です」

積極的に新店をオープンし続け、全国津々浦々に販売網を築いてきたヤマダ電機の売上高は、'11年3月期に達成した2兆1532億円をピークに急激に減少。'15年3月期には1兆6643億円にまで落ち込んでいる。エコポイント制度やテレビの地デジ化などによる買い換え需要が一段落し、消費増税後の反動もあって、急激な落ち込みようだ。家電流通に詳しいプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏が語る。

「都心で中国人観光客の『爆買い』を取り込むことに成功しているヨドバシカメラやビックカメラとは対照的に、ヤマダは郊外・地方を中心に成長してきたため、人口減少などで消費力が落ちている地方経済低迷のダメージをもろに受けています」

ヤマダを悩ませているのは売り上げ減だけではない。旧村上ファンドの出身者たちがシンガポールで創設したファンド、エフィッシモに、大量に株を買い占められているのだ。同ファンドはヤマダの株の13%超を保有しており、今後、筆頭株主としてさまざまな要求を突き付けてくる可能性が高い。

まさしく内憂外患の窮地に立たされているヤマダ電機。'90年代にはコジマやカトーデンキ(現ケーズホールディングス)と「YKK戦争」と呼ばれる激安競争をくり広げ、その勝利者となった。だが現在、同社を脅かしているのは他の量販店ではなく、圧倒的な品揃えと販売価格を誇るインターネット通販だ。

・・・・・・・・・・・・・
そして廃墟になる
スーパーが扱う生鮮食料品は、本来ネット通販と相性が悪い商品だ。しかし、そのようなジャンルにまでアマゾンは進出しようとしているのだ。

さらに、この波は飲食業にまで広がっており、今まで宅配営業に無関心だった企業も、ネット通販に乗り出している。スターバックスがいい例で、同社のハワード・シュルツ会長は「すべての飲食業はデリバリーを検討しないと生き残れない」と語っている。

大型量販店は町の個人商店ではとうていかなわない品揃えと価格競争力で集客してきた。しかし巨大な物流センターを備え、注文した翌日には品物が届くといった利便性を売りにするネット通販の前では、品揃えも価格競争力も見劣りがしてしまう。モールに行けば、必要なものが安く手に入るという常識はもはや通用しないのだ。

では、ネット通販では期待できないサービスを提供できるかといえば、その面では地域に密着した個人商店のようなきめ細かな対応は不可能だ。商品が多すぎて、販売員自身がその商品の特徴をわかっていないということもしょっちゅうある。だが結局、「量販店がネット店舗に対抗するためには接客力を上げるしかない」と堀田経営コンサルティング事務所代表の堀田泰希氏は語る。

「高度な接客を求めがちな高齢者が増えるにつれて、もっとアナログな顧客管理が大切になってくるでしょう。ポイントカードなどを通じて顧客情報を吸い上げるデジタルな管理は進んでいますが、その逆が大切なのです」

価格で勝負できないなら、付加価値をつけるしかない。しかし、それはかつて量販店が拡大したときに個人商店が試みてなしえなかったことだ。ネット通販の前に量販店も同じ戦いを強いられることになるだろう。郊外のモールが駅前のシャッター街のように閑散とする日も近いかもしれない。すぐ目の前に物流倉庫があって、ありとあらゆる商品が並んでいるのに、インターネットを使わないとそれも手に入らない—そんな不可解な時代がやってくる。だが、それも我々消費者が低価格と手軽さを追求し、自ら招いた結果なのだ。

冒頭の閉店が決まったヤマダ電機で呼び込みをしていた店員に「閉店セールで、本当にお買い得な商品はどれか」と尋ねてみた。すると、「それは在庫一掃処分ということで……」と口ごもり、「ちょっと失礼します」と立ち去ってしまった。床には、相変わらず綿ぼこりが扇風機の風に舞い続けていた。

●【コラム】窪田真之の「時事深層」22 ヤマダ電機はなぜ失速したのか!? - 足を引っ張る"郊外店"と"住宅事業"
          マイナビニュース  [2015/05/27]
4月から5月末までに46店を閉鎖、攻めの経営が転換点

ヤマダ電機は、4月から5月末までに46店を閉鎖すると発表した。これまで一貫して攻めの経営を続けてきたが、ついに転換点を迎えた可能性がある。

ヤマダ電機の強みは、圧倒的な規模にあった。家電製品はどこで買っても同じメーカー品が中心なので、自然、値段の叩きあいになる。ヤマダ電機は、量販店でトップの売上規模を保ち、その強みで安く仕入れて、安く売る競争に勝ってきた。積極的に出店と同業他社の買収を行い、都心にも郊外にも店舗網を拡大した。

ところが、郊外にも積極出店したことが裏目に出た。2014年度は、都心店と郊外店ではっきり明暗が分かれた。都心店舗は、インバウンド(訪日外国人の買い物)需要を取り込んで好調だ。特に中国人観光客の"爆買い"がある銀座店は、絶好調だ。ところが、インバウンド需要の入らない郊外店は、軒並み不振となった。

家電量販各社の2014年度の業績は、都心店舗が多いか少ないかで明暗が分かれた。都心店舗が多いヨドバシカメラやビックカメラは比較的好調だが、都心だけでなく郊外にも多くの店舗を持つヤマダ電機は、郊外店の売上げが苦戦した。

今回、ヤマダ電機が閉店するのは、郊外の不採算店が中心となる。同社は「追加のスクラップ&ビルドや店舗閉鎖、業態転換については、新規出店等を踏まえ、現在、精査中」としている。今後、郊外店を中心に、さらに閉店が拡大する可能性もある。

ヤマダ電機の業績の足を引っ張っている住宅事業

ヤマダ電機の業績の足を引っ張っているものが、もう1つある。不退転の覚悟で参入した住宅事業だ。同社は、2011年10月に住宅大手エスバイエルを、株式公開買付と増資引き受けによって子会社とした。2013年6月には、社名をヤマダ・エスバイエルホームに変更している。住宅と家電を融合させた「スマートハウス」を開発し、新規事業として成長させる方針だ。

ところが、住宅事業は赤字で苦戦している。そもそも家電量販店による住宅事業参入には、当初からアナリストの間で無謀との声が多かった。

住宅の販売員には高度な専門知識が必要で、家電量販店でその人員を育成するのは容易でなかった。住宅事業の経営そのものにも、下請け業者の管理や部材の調達などで家電量販店とはまったく異なるノウハウが必要である。

少子化が進み住宅業界の競争が激化するタイミングでの参入にも疑問符がついた。2014年4月の消費増税前に駆け込み受注が一瞬盛り上がったが、諸費増税後は、再び受注環境が悪化している。

新商品の開発競争も厳しい。スマートハウスや介護住宅の開発では、積水ハウスや旭化成など住宅大手各社がしのぎを削っている。家電製品との融合ならば、パナホームが早くから手がけてきた。

旧エスバイエルは、ツーバイフォー工法で安価な規格品を作るのに強みがあったが、多様な商品開発が求められる時代に入って、競争力が低下しつつあったタイミングで、ヤマダ電機の傘下に入った。

ヤマダ電機は、今年3月にソフトバンクと資本業務提携を結んだ。ソフトバンクの通信事業まで活用して、スマートハウスを成功させる覚悟である。それでも、住宅事業建て直しは容易でない。

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 ギリシャ危機の可能性は以前から言われていた。実際その時になって、ふむふむとみている。
 最近、政権が変わったこと、つまり国民が緊縮策に否定的な選択をしたことで、こうなったともいえそう。

 ともかく、これからしばらくの経過を見越すために、次の三件をブログに記録した。
 ●ギリシャ、30日期限のIMFへの返済行わない=政府高官/ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 6月30日 03:17
 ●深まるギリシャ危機、今後予想されるシナリオ/ロイター 6月 29日 13:21
 ●OL特別レポート 本日支払期限!ギリシャに白旗以外の選択肢はもはやない/ダイヤモンド・オンライン編集部 6月30日

 この中から、例えば次を抜き出しておく。(いずれも、ダイヤモンド・オンライン)

 ★《・・さらに、支払い期限先延ばし等でこれを乗り切ったとしても、7月20日の国債償還が「決定打」となる。35億ユーロと多額であり、EFSFやECBとしても看過するのが難しいからだ。・・
 7月5日の国民投票だ。・・・今のところ、国民投票の結果は「Yes」、つまり債権団の要求を受け入れることになるとの見方が大勢を占める。・・・これが「最良シナリオ」である。
 一方、「最悪のシナリオ」は、国民投票の結果が「No」となり、ツィプラス首相も居座って強硬姿勢を崩さない場合だ。こうなると、ギリシャのユーロ離脱の現実味が一気に高まる。
 ・・市場や世界経済への影響は 「どう転んでも限定的」か。・・・国民投票の結果が「Yes」でも・・・・仮に国民投票結果が「No」となっても・・》

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●ギリシャ、30日期限のIMFへの返済行わない=政府高官
       ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2015 年 6 月 30 日 03:17
 【アテネ】ギリシャ政府高官は29日、あす30日に期限を迎える国際通貨基金(IMF)への債務返済を実行しない方針を明らかにした。

 ギリシャは今月初旬にIMFに対し、6月中に期限を迎える数件の債務約16億ユーロ(約2190億円)を30日までにまとめて一括返済する計画を申し入れていた。

 IMFはギリシャが期限までに債務を返済できない場合、即座に滞納とみなす方針を明らかにしている。

 IMFによると、滞納となればラガルド専務理事が速やかに理事会に通知する。この手続きに至ると、ギリシャ向けのユーロ圏金融支援に盛り込まれたクロスデフォルト条項(融資のデフォルトが宣言された時点で同じ借り手に提供されている他の融資もデフォルトしたことになり得る条項)が発動される可能性もある。

 ギリシャ政府関係者らはこれまでにも、IMFや欧州中央銀行(ECB)、国内機関への返済に必要な追加資金を受け取る条件について国際債権団と合意に至らなければ、30日の債務返済を履行できないとの見方を示していた。

●深まるギリシャ危機、今後予想されるシナリオ
        ロイター 2015年 06月 29日 13:21
 6月28日、ギリシャ支援をめぐる同国政府と債権団の話し合いは決裂し、ギリシャ政府は30日を期限とするIMFへの16億ユーロの返済が不履行に陥る恐れがある。
[ブリュッセル 28日 ロイター] - ギリシャ支援をめぐる同国政府と債権団の話し合いは決裂し、ギリシャ政府は30日を期限とする国際通貨基金(IMF)への16億ユーロの返済が不履行に陥る恐れがある。

今後予想されるギリシャ問題の展開をまとめた。

◎30日以降の動き
ギリシャはIMFへの返済ができない恐れがあるが、ユーロ圏当局者からはIMFがギリシャ政府に対して即座に債務不履行を宣言せずに返済遅延にとどめると期待する声が出ている。

その場合、ユーロ圏と欧州中央銀行(ECB)は、ギリシャはテクニカル的には債務不履行ではないと主張することが可能で、他の貸し手が返済を要求する状況を回避し、ECBはギリシャの銀行への資金提供を継続する余地が得られる。

◎ECBの緊急流動性支援
ECBは28日、ギリシャの銀行に緊急流動性支援(ELA)を提供し、支援を続けることを決めた。ECB当局者は、ギリシャの銀行が十分な担保を保有する限り支援を継続すると示唆している。

しかしギリシャがIMFへの返済で明確に不履行に陥り、ユーロ圏から金融支援を受けられる見通しが立たなければ、ギリシャの担保の価値は大幅に低下してELAは打ち切られる。

◎ECBが保有するギリシャ国債の扱い
ECBは同行が保有するギリシャ国債35億ユーロ相当が償還期限を迎える7月20日まで支援の撤回を先送りする道を選ぶかもしれない。ギリシャがこの期限に支払いができなければ、ユーロ圏の支援を受けずに財源を見付けることは不可能で、ECBがギリシャ銀に資金を提供するのは難しくなる。

◎IOU導入とユーロ圏からの段階的離脱
ギリシャの銀行セクターは、ECBからの支援がなければ経営破綻に陥り、政府は国内での支払いを賄うためにIOU(借用証書)など通貨の代替手段を導入せざるを得ない。

ユーロに代わる支払いの代替手段がギリシャの新通貨となる可能性もある。ギリシャが2種類の通貨をどの程度維持できるか、維持するつもりかはっきりしないが、IOUはすぐに大幅な減価に見舞われるだろう。

◎EU提案めぐる国民投票
ギリシャはキャッシュが不足して資本統制が導入され、社会不安の起きる恐れがある状態の中、7月5日にEUが提示した財政改革案の受け入れの是非を決める国民投票を実施する。政府は債権団の要求を拒否する方向に世論を誘導している。ギリシャやユーロ圏の政治家の一部は、投票はユーロ離脱の是非を問うに等しいものだとみている。

◎EUの財政改革案が承認された場合
債権団側が追加支援の条件として示した提案が国民投票で支持されれば、ギリシャ政府は国際的な貸し手に第3弾の支援計画を求め、交渉しなければならない。当局者によると、その場合は先週末に決裂したよりも厳しい話し合いになり、数週間あるいは数カ月を要する可能性があるという。

●OL特別レポート 本日支払期限!ギリシャに白旗以外の選択肢はもはやない
        ダイヤモンド・オンライン編集部 2015年6月30日
・・・・・(略)・・・
 むしろ、重要なのはECB(欧州中央銀行)が行っているギリシャ国内の銀行への資金供給、EU各国がEFSF(欧州金融安定基金)を通じて行ってきた金融支援に、これがどう影響するかである。具体的には、ECBは資金供給を続けるのか、EFSFは自身の持つ債券もデフォルトと判断するのか否か、だ。

ギリシャの命運を握るECBの資金供給 “見放される”契機が次々訪れる

 ギリシャの銀行は資金流出が加速し、29日には休業・預金引き出し制限に追い込まれた。今や同国の銀行の資金繰りはECBの資金供給が生命線であり、これが停止すると「引き出し制限どころか、払い出しそのものができなくなり、破綻しかねない」(岸田英樹・野村證券シニアエコノミスト)状況となる。

 一方で、ECBはこれまでにギリシャの銀行に対し、890億ユーロもの資金を供与してきており、もはやそれらに返済能力がないとなれば、「早晩、どこかで行き詰まる」(中空麻奈・BNPパリバ証券チーフクレジットアナリスト)。6月30日の支払い遅延は、ECBがギリシャの銀行を“見放す”契機となり得る。ECB理事会は7月1日にこの件で協議を行うと報じられているが、「同日の時点で資金供与を止めてしまう可能性はある」(岸田シニアエコノミスト)。

 仮に7月1日時点で猶予を得たとしても、ギリシャには今後、次々と資金返済・債務償還の時が訪れる。7月5日のECB保有国債の利払い、7月14日の円建て国債(サムライ債)の償還、7月20日のECB保有国債の償還などである。これらの支払い・償還が滞れば、いずれもECBによる資金供給停止の引き金となり得る。

 EFSFのデフォルト判断も、これに大きく関係する。EFSFは、「クロスデフォルト条項」に基づき、IMFへの返済を含む他の債務の返済が行われない場合、自身がギリシャに対して持つ債券もデフォルトと認定、前倒し返済を請求できる。そうなれば、ECBも立場上、ギリシャの銀行への資金供給を続けることは難しくなる。

 中空チーフクレジットアナリストは、まず14日のサムライ債の償還が重要と指摘する。債権者である日本の金融機関への影響もさることながら、「6月30日以降で最初に来る、民間債券の償還であるため」だ。金額としては約117億円(約0.8億ユーロ)と大きくはないため、デフォルトとなってもそれ自体のインパクトは小さいが、これがクロスデフォルト条項に抵触する可能性がある。

 さらに、支払い期限先延ばし等でこれを乗り切ったとしても、7月20日の国債償還が「決定打」となる。35億ユーロと多額であり、EFSFやECBとしても看過するのが難しいからだ。

7月20日がデッドライン それまでにギリシャが折れるか

言い換えれば、これらがギリシャにとっての“デッドライン”となる、ということである。ECBやEUの支援なしにギリシャが事態を乗り切れる可能性はゼロであり、このままでは同国は遅かれ早かれ“本当のデフォルト”に追い込まれる。要は、それまでの間に、ギリシャが現実路線に転換できるか否かだ。

 その意味で、まず最初の節目となるのは、やはり7月5日の国民投票だ。

 国民投票は、“支援の条件となる、債権団の財政再建策を受け入れるか否か”を問うもので、先述の通り支援プログラムは6月30日で失効しているため、7月5日の時点ではすでに意味を失っている。ただ、その結果はギリシャの姿勢を占う意味で重要な材料とされるだろう。なお、ギリシャが国民投票自体を撤回し、債権団に対して新たな提案を行うこともあり得るが、可能性としては低い。

 今のところ、国民投票の結果は「Yes」、つまり債権団の要求を受け入れることになるとの見方が大勢を占める。銀行預金の引き出し制限等で最も打撃を被っているのはギリシャ国民自身であり、常識的に考えれば、国民は事態の深刻さを認識せざるを得ないからだ。そうなれば、支援の再開・延長に向け、協議が再開される芽が出てくる。

 ツィプラス政権がどうなるかも、ポイントである。いずれにせよツィプラス首相は辞任せざるを得ない、との見方が大勢だ。この場合、新政権が後を引き継ぐか、解散総選挙となってその間は暫定政権が成立するかとなる。国民投票の結果が「Yes」であれば、新政権はより現実的な姿勢を取り、交渉が再開される可能性が高いだろう。

 これが「最良シナリオ」(中空チーフクレジットアナリスト)である。一方、「最悪のシナリオ」は、国民投票の結果が「No」となり、ツィプラス首相も居座って強硬姿勢を崩さない場合だ。こうなると、ギリシャのユーロ離脱の現実味が一気に高まる。

市場や世界経済への影響は 「どう転んでも限定的」か

 問題は、各シナリオにおける、株式・為替・債券等の各市場や世界経済への影響だ。

 実は現状では、どう転んでも影響は限定的、というのが多くの専門家の見方だ。

 国民投票でギリシャ国民が、遅ればせながら財政再建策の受け入れ姿勢を示し、支援協議が再開されれば、マーケットの混乱は収まり、ユーロ安(円高)や世界的な株安の動きも反転することになるだろう。現状ではこれがメインシナリオでもある。ギリシャの国民や政権が要求を拒み続けても、ますます自らを苦境に追い込むだけだからだ。

 国民投票の結果が「Yes」でも、「ドイツなどがさらに厳しい条件を突きつけ、ギリシャとの交渉がまたも噛み合わなくなる可能性」(岸田シニアエコノミスト)はあり、今しばらくは不透明な情勢が続くのは必至だ。だが、2012年の欧州債務危機時と異なり、現在はユーロ圏の危機対応のシステムが整っている。イタリア、スペイン等の他国へ危機が波及して深刻化する可能性は低い。

 民間の債権債務関係もかなり整理済みで、ギリシャに対する債権者はユーロ圏の各国政府を中心とした公的機関であるため、金融システムへの波及の懸念も今のところ小さい。これらから、「市場のリスクオフは今週がピーク」(丸山シニアエコノミスト)との見解も少なくない。

仮に国民投票結果が「No」となっても、“お荷物が片付く”と見なされ、「むしろユーロは買われるのではないか」(村田通貨ストラテジスト)という見方もある。

 ただし、ギリシャのユーロ離脱というシナリオを市場が十分に織り込んでいるかと言えば、疑問も残る。そもそもユーロ圏からの離脱は想定されておらず、規定がないため、仮にそうなれば欧州は“未体験ゾーン”に突入することになる。そのとき、市場がどう反応するかは、読み切れない面がある。

 「ギリシャのユーロ離脱は確率としては低いが、もしそうなれば何が起きるかは分からない」(中空チーフクレジットアナリスト)。楽観して良い、と言うには、まだ時期尚早だ。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 河野拓郎)

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 国民共通番号、マイナンバー制度、国民背番号制は、生年月日や住所、所得や社会保障制度などを一元管理する。
 今年の10月に個人番号・法人番号の付番を行い、来年1月からは写真付きのICカードの交付を始めることとされている。

 マイナンバーは、住民基本台帳とは比べ物にならないほど多くの情報を一元管理する。 ITmediaによれば、、
 ★《国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。》

 これをさらに改正する案が国会で審議中である。
 ★《マイナンバー法改正案は2015年3月閣議決定され、当初の社会保障(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策分野から、2018年より預金口座、乳幼児が受けた予防接種の記録などにも適用できるよう利用範囲を広げる改正案で6月に成立する見込みだった。》(ITmedia)
 
 ★《衆議院は2015年5月21日、個人情報保護法とマイナンバー法の両改正案を自民、民主、維新、公明党の賛成多数で原案通り可決した》(日経)。
 
 ★《参院内閣委員会は9日の理事懇談会で、マイナンバー法と個人情報保護法の改正案の審議を当面見送ることで合意した。年金情報の流出問題を踏まえ、政府の原因究明や国民の不安解消を優先させる。参院での採決のめどは立っておらず、6月中の法案成立は困難な情勢となった》(産経)

 ★《政府は番号カードに健康保険証の役割も持たせるなど機能を増やし、普及を後押しする方針だ。一八年からは預金口座への適用も開始。当初は利用者の任意だが、二一年からは義務化も検討する》(東京)

 制度への批判は強いし、年金機構の100万件以上の情報流出の問題をいうまでもなく不安も払しょくされていない。
 個人資産への監視が強まることや、企業の事務負担増を懸念する声もある。
 マイナンバーは行政機関だけでなく民間事業 者も保有しており、情報提供ネットワークシステムの仕組みをどのように作ろうと、保有する行政機関や民間事業者からマイナンバーの漏えいが起きることは確実、とみるべき。
 
 ということで、ブログには、下記のように法案の改正の経過から国会審議の状況などを記録した
 ところで、今日は議会の定例会の閉会日。
 9時から追加提案などについての議会運営委員会の会議、10時からの本会議で、議案について討論採決がある。

●≪個人情報保護 マイナンバー 法改正案を閣議決定≫/東京 2015年3月10日
●≪個人情報保護法:データベース提供罪新設…改正案閣議決定≫毎日 3月10日

●衆院、個人情報保護法とマイナンバー法の両改正案を原案通り可決/日経 5/21

●マイナンバー法と個人情報保護法、参院審議を当面見送り 年金情報流出問題で/産経 6.9
●マイナンバー法改正案、採決当面見送りへ 年金機構の漏えい事件影響/itmedia 6月09日

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 ● 地方公共団体における社会保障・税番号制度の導入について/総務省自治行政局住民制度課 年金情報漏えいと番号(マイナンバー)制度/2015 年 6 月 8 日 共通番号いらないネットの資料中から



●≪個人情報保護 マイナンバー 法改正案を閣議決定≫
         東京 2015年3月10日
▼ 政府は十日の閣議で、個人情報保護法とマイナンバー法の改正案を決定した。
 個人情報保護法では、ルールを明確にして企業が個人情報をビジネスに利用しやすくするとともに、罰則を強化して不正利用を防ぐ。
二〇一六年一月開始のマイナンバー制度では、行政手続きに利用される個人番号を一八年から預金口座にも適用する。国が個人資産を正確に把握し、脱税などを防ぐ狙いがある。 

 政府は両法案を十日にも今国会に提出し、早期成立を目指す。企業は個人情報を使いやすくなる半面、厳格な情報管理を求められる。
マイナンバーの適用拡大では個人資産への監視が強まることや、企業の事務負担増を懸念する声も出ている。


 個人情報保護法の改正案は、氏名を削除するなど個人を特定できないようにした情報は本人の同意がなくても第三者への提供を可能とした。
「ビッグデータ」と呼ばれる膨大な情報を企業が活用する動きが強まっていることに対応した。

 ベネッセコーポレーションの情報流出事件を踏まえ、個人情報を扱う企業の従業員などが不正な利益を得る目的で情報を提供する行為は処罰する規定も新たに盛り込んだ。

 情報提供を受ける企業には取得経緯などを確認するよう求め、人種や信条、病歴などの情報は本人の同意を得て取得するよう義務付けた。
政府は不正行為を監視するため「個人情報保護委員会」を設置し、立ち入り検査の権限も与えた。


 マイナンバー制度はことし十月、国民に十二桁の番号が通知され、一六年一月には番号カードが配られて、税金の確定申告などに活用される。
一八年からは預金口座への適用も開始。当初は利用者の任意だが、二一年からは義務化も検討する。
政府は番号カードに健康保険証の役割も持たせるなど機能を増やし、普及を後押しする方針だ。

▼個人情報保護法
 氏名や住所といった個人を特定できる情報の取り扱いを定めた法律。
現行法では情報の利用目的を本人に示し、第三者への情報提供は原則として本人の同意が必要と定めている。違反する行為があった場合、国が中止や是正を勧告・命令する。
マイナンバー法は、国民一人一人に番号を割り当てる新制度のための法律。納税や年金関連など制度ごとに管理されている情報を個人番号で一元化し、行政事務を効率化して、国民の手続きも簡素にする狙いがある。

●≪個人情報保護法:データベース提供罪新設…改正案閣議決定≫
        毎日新聞 2015年03月10日
▼ 政府は10日、個人情報保護法の改正案を閣議決定した。監督行政を一元化し、立ち入り検査などの権限を持つ第三者機関「個人情報保護委員会」を新設することや、「データベース提供罪」の創設などを盛り込んだ。今国会での成立を目指す。

 現在、民間の27業界に計40のガイドラインが存在する個人情報保護行政を、同委員会に一元化する。メンバー構成などは改正案では明示しなかった。

 データベース提供罪は、ベネッセの情報漏えい事件を契機に「名簿屋」などへの対策として創設した。個人情報データベースなどを取り扱う業務に従事する者などが、不正な利益を図る目的で個人情報を提供したり、盗用したりした場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すとしている。
個人情報を受け取った者に対し、提供者の名前や取得経緯を確認し、一定期間その内容を保存することを義務付ける。

 人種や信条など、とくに保護が必要な情報を「要配慮個人情報」として分類し、利用に関する制限を強化。「顔認識データ」など、個人の身体的特徴を変換した情報も個人情報に含むことを明確化した。

●衆院、個人情報保護法とマイナンバー法の両改正案を原案通り可決
            日経 2015/05/21大豆生田 崇志=日経コンピュータ
 衆議院は2015年5月21日、個人情報保護法とマイナンバー法の両改正案を自民、民主、維新、公明党の賛成多数で原案通り可決した。法案は参議院に送られる見通し。

 個人情報保護法の改正では、特定の個人を識別できる符号を個人情報と位置づけて、符号などを削除して復元できないようにした「匿名加工情報」の扱い方を定めるほか、個人情報保護委員会を設置する。またマイナンバー法改正で、行政機関が預貯金口座や特定健康診査(メタボ健診)などの管理にマイナンバーを利用できるようにする。

 両改正案を審議した衆院内閣委員会では、自民などからの提案で付帯決議を盛り込んだ。個人情報などの定義を政令で定めることについて、「消費者及び事業者に分かりやすいものになるよう広く丁寧な意見聴取に努め、保護対象を可能な限り明確すること」などを求めた。

●マイナンバー法と個人情報保護法、参院審議を当面見送り 年金情報流出問題で
        産経 2015.6.9
 参院内閣委員会は9日の理事懇談会で、マイナンバー法と個人情報保護法の改正案の審議を当面見送ることで合意した。年金情報の流出問題を踏まえ、政府の原因究明や国民の不安解消を優先させる。参院での採決のめどは立っておらず、今月中の法案成立は困難な情勢となった。

 マイナンバー法改正案は、国民全員に個人番号を割り当てるマイナンバー制度を、2018年から金融機関の預金口座にも適用する内容。個人情報を企業が活用しやすくする個人情報保護法改正案とともに5月21日に衆院を通過し、今月上旬にも参院本会議で成立する見通しだった。

 政府が来年1月から行政手続きなどでマイナンバーを導入することは決まっている。改正法案の審議が難航すれば、制度への反対論が強まる可能性があり、マイナンバーの活用範囲を拡大するスケジュールにも影響を与えそうだ。

●マイナンバー法改正案、採決当面見送りへ 年金機構の漏えい事件影響
    itmedia 2015年06月09日[岩城俊介,ITmedia]
 先日衆院を通過したマイナンバー法改正案の採決が当面先送りになることが分かった。

 先日発生した日本年金機構の情報漏えい事件を受け、参院内閣委員会が5月21日に衆議院内閣委員会で可決されたマイナンバー法改正案の採決を当面先送りすると決めたことが分かった。全国紙サイトが伝えた。

 マイナンバー法改正案は、当初の社会保障(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策分野から、2018年より預金口座、乳幼児が受けた予防接種の記録などにも適用できるよう利用範囲を広げる改正案で、2016年6月中に参院を通過し、成立する見通しだった。

 日本年金機構の漏えい事件を受け、マイナンバー制度担当の甘利明社会保障・税一体改革担当相は2016年1月のマイナンバー制度そのものはスケジュール通りに実施すると明言したが、年金分野へのマイナンバー利用については「今回の事件をしっかりと検証し、その上で対処したい」と時期を遅らす考えを示唆。マイナンバーの利用範囲の拡大は、当初は企業にコストや手間、リスクを強いる同制度において今後の新ビジネスの創出が期待されているが、この改正案も「年金機構の問題を精査し、原因究明に努めなければ国民の不安は払拭されない」と待ったがかかることになった。

★マイナンバー制度とは
 マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。

 国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。

 利用機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する帳票や届出への記載に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。

 マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。

 マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。

 マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。

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  空き家対策特別措置法が全面施行された。所有者の管理が行き届かず、倒壊の恐れや衛生上の問題がある空き家について、市町村が撤去命令を出せる権限を新たに定めた。

 空家は都市部でも、周辺部でも、田舎でも、過疎地でも増えている。深刻な問題。
 町や田舎に関係なく、道路沿いの崩れそうな家を見かけることもあり、深刻。
 《空き家は全国に約820万戸あり、全住宅の7〜8戸に1戸の割合。今も増え続け、20年後には3戸に1戸になるとの予想もある。》(5月30日 毎日)

 空き家対策特別措置法も施行された。
 (関連) 2015年3月3日ブログ ⇒ ◆果たして空き家は減るか? 空き家対策特別措置法が成立/認定されると固定資産税の優遇が除外に

 中日新聞の白井康彦氏は、特集を書き、「特別措置法により、問題解決は進むか」として、
 《周囲に危険を及ぼす可能性がある空き家を何とかしようという対症療法的な施策。今ある空き家だけでなく、大量に存在する「空き家予備軍」を含めて、多くの人が知恵を絞り対応を考える必要がある。》と結んでいる。

 ところで、ここ山県市の6月議会は昨日開会、今日12時が一般質問の通告期限。通告文の仕上げに集中する午前。
 
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 現状として、放置された「空き家」は年々増えている/2013年調査では、空き家率は13.5%と過去最高に。


出典 www.stat.go.jp 総務省統計局

 ● 空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26 年法律第127 号)の概要

 ● 全国で増殖する「放置された空き家」 倒壊寸前の建物を「強制解体」するための新制度(弁護士ドットコム-2015/06/01)

●<空き家820万戸> 過疎地の実家の管理、懸念
  中日 2015年6月4日
 先月二十六日に全面施行された空き家対策特別措置法。本紙生活部に「空き家所有者の負担が重くなる」と、長野県の山に囲まれた町に住む七十代後半の男性から電話があった。「近く住む家が空き家になる」という男性を小さな集落に訪ねた。

 人口五千人未満の山深い町。築四十年近い平屋建ての一軒家は、小高い坂の途中に立つ。「この家を相続する人は誰もいない」。一人で住む男性は言う。

 もともとは、男性の両親が住んでいた。男性は車で片道二時間ほどかかる別の地域で働いていたが、退職後、父親の死去もあってこの地に転居。父親の仕事を引き継いでいる。以前働いていた地域に建てた家には、妻が一人で住む。

 「長男は県内の遠い地域にマイホームを構えた。長女も嫁に行ったので戻ってこない」

 男性も、今の仕事を近いうちに辞め、元の家で妻と一緒に暮らすつもりだ。そうすると今の家は空き家に。定期的に通って管理しないと、家が荒れて特別措置法の「特定空き家」に指定される可能性もある。政府は先月、おおむね三度超の建物の傾斜、ごみの放置による悪臭の発生などを、特定空き家に指定する基準として示した。

 特定空き家になり、問題箇所の改善を勧告されると、敷地の固定資産税が六倍になることもある。「今は畑などを合わせても固定資産税は年間二万円しないが、六倍となれば大きな痛手」。解体すれば周囲に迷惑をかけることはなくなるが、解体費用は百万円ほどになりそう。「大幅に固定資産税が増えるのも、解体費用を捻出するのもどちらもきつい」

 男性宅周辺を歩くと、空き家と思われる建物が十軒ほど。ネコやイタチがわが物顔で出入りする家に、植物が生い茂り傷みが激しい家…。

 管理し続けるか、更地にするか。特定空き家指定を避ける選択肢はそう多くない。それだけに、空き家の所有者となる可能性がある場合は、早めに親族らと協議し、将来にわたる対応を考えておかないと、急に負担増を強いられることになりかねない。

◆実質はマイナスの財産
 空き家問題に詳しい不動産コンサルタント会社「オラガHSC」代表取締役の牧野知弘さん(55)=写真=は、活用できない空き家を「負動産」と呼び、「不動産は資産」との認識に待ったをかける。空き家問題をどう考えるか聞いた。

写真
 -空き家の問題は、全国的に深刻さが増している。

 不動産の所有者には漠然と「流動性があるから大丈夫」と考えている人が多い。しかし、人口減少が進み、買い手や賃借人が見つかりにくい地域が増えている。空き家は以前は地方の問題だったが、今は大都市郊外の地域や東京二十三区内でも目立ち始めている。

 -「負動産」との言葉に込めた意味は。

 管理が大変な上、固定資産税を払わなくてはならない。解体にも二百万円以上の費用がかかるケースも。高齢の親の実家を「相続したくない」と子どもたちで押しつけ合うことも多い。こうした物件は資産とはいえない。実質的にはマイナスの財産だ。

 -特別措置法により、問題解決は進むか。

 周囲に危険を及ぼす可能性がある空き家を何とかしようという対症療法的な施策。今ある空き家だけでなく、大量に存在する「空き家予備軍」を含めて、多くの人が知恵を絞り対応を考える必要がある。 (白井康彦)

●社説:空き家対策法 住宅文化を見直す契機
     毎日新聞 2015年05月30日
 空き家対策特別措置法が全面施行された。所有者の管理が行き届かず、倒壊の恐れや衛生上の問題がある空き家について、市町村が撤去命令を出せる権限を新たに定めた。

 空き家は全国に約820万戸あり、全住宅の7〜8戸に1戸の割合だ。今も増え続け、20年後には3戸に1戸になるとの予想もある。

 防災や防犯、生活環境などさまざまな面で空き家の増加は問題が大きい。老朽空き家の撤去はやむを得ない。同時に将来を見据え、法の施行を住宅文化を見直して空き家を減らす契機としたい。

 特措法は、放置され近隣の生活環境に悪影響を及ぼす空き家などを「特定空き家」と定義する。市町村は立ち入り調査し、撤去や修繕を所有者に指導、勧告、命令できる。勧告後は固定資産税の優遇措置が解除される。命令違反には過料が科せられ、強制的な解体もできる。

 特措法は空き家所有者に適切な対応を促す面では有効だ。ただし、空き家を減らすには、空き家の活用を進める施策が欠かせない。

 日本の住宅総数は6000万戸を超え、既に総世帯数を上回る。それでも年間100万戸の新築住宅が建てられる。住宅の建築戸数が景気判断の材料とされ、景気対策として建設が促進されてきたからだ。税制面などで新規住宅の購入を促す施策も建設を後押しした。

 だが、これから本格的な人口減少社会を迎える。新たな住宅を増やせば空き家も増え、街の衰退につながりかねない。中古住宅の流通を活発化させる方が望ましいだろう。

 日本の全住宅流通量に占める中古住宅の割合は約15%にすぎない。良質の住宅に手を入れて長く住み続ける欧米と比べ格段に少ない。国土交通省の審議会で、住宅政策の見直しについて議論が始まる。中古住宅の活性化策を示してほしい。

 市町村など自治体の知恵も試される。空き家を取り壊し、災害時の避難場所にしたり、移住者を呼び込む手段として活用したり、空き家率の比較的高い地方の都市でもさまざまな試行がされている。

 東京23区で唯一、将来の消滅可能性都市に挙げられた東京都豊島区は、シングルマザーや高齢者ら住宅が必要な人を空き家に呼び込む支援をしている。民間と協力してリノベーションと呼ばれる大規模改修で中古住宅をよみがえらせる取り組みも始めた。実際の物件の再利用計画を競わせる講座を開き、所有者と合意し実現に向けて動き出した事案もある。

 空き家の活用は、新たな街の魅力を開拓し、街を活性化することにつながるだけに、自治体は一層力を入れてもらいたい。

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 日本年金機構の年金情報の流出の報道。
 それらによると、流出は約125万件、一部は生年月日や住所も流出。国内の公的機関としては過去最大規模の情報流出。被害はさらに拡大する可能性もあり。今後のマイナンバーの運用に逆風になる。・・・

 ※ 総務省/番号制度の導入と 個人番号カードについて - 地方公共団体・・「市町村長は、当該市町村が備える住民基本台帳に記録されている者に対し、その者の申請により、その者に係る個人番号カードを交付するものとする。(番号法第17条第1項)」※

 最大規模の情報流出に、驚く人、案の定と思う人、それぞれだろう。
 ちょうど昨日の議会運営委員会に示された議案の中には、「マイナンバー」関連の予算もある。
 そこで、基礎データの一つとして、まとまった報道を記録。
 そのうちのいくつか要点を以下に整理。
 
●毎日 《機構によると、国民年金、厚生年金などの加入者に付与される10桁の基礎年金番号と氏名、生年月日の3情報が約116万7000件▽3情報と住所の計4情報が約5万2000件▽基礎年金番号と氏名の2情報が約3万1000件−−の計約125万件に上るとみられる。警視庁は不正指令電磁的記録(ウイルス)供用容疑などにあたる可能性があるとみて捜査を始めた。》

●日経 《マイナンバーに逆風も 政府、管理体制洗い直し
 日本年金機構の情報流出問題は、2016年1月から始まる税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度にも影響しかねない。政府は税や社会保険料の個人情報に加え、18年度から医療や戸籍など、より私的な個人情報にも活用する方向。今回の年金機構の問題を受けて個人情報保護への不信感が高まれば、今後のマイナンバーの運用に逆風になる可能性がある。

●産経 《詐欺被害に悪用懸念 「詐欺など2次被害の恐れ」
「加入者本人になりすますことによる年金の不正受給だけでなく、2次被害が考えられる」。流出情報に生年月日や住所が含まれるケースもあることから、特に高齢者が、機構の職員らを装った人物に「年金番号の変更手続きには○万円かかる」などと持ちかけられ、振り込め詐欺などの被害に遭う可能性も考えられる。他の情報と結びつけて悪用されることもあり得る。今回の情報流出に関連した電話やメールなどを疑ってかかり、子供などの第三者に相談すべきだ。》

 なお、今日は、議会の全員協議会。
 ところで、今、検討中の無料のアクセスカウンターの点検。
 昨日5月31日のブログのアクセス通知は「閲覧数 10301」。
 「訪問者数 2792」だった。
 先日、ブログの左バーに設置した無料のカウンターは「2245」の表示。

 「訪問者数」について2つのカウントを比較すると
 1、2倍。 昨日の比較は1、6倍。
 その前は、 1、7倍、 1、4倍。
 不安定な印象。

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●年金機構125万件流出 職員、ウイルスメール開封
      日経 2015/6/1
 日本年金機構は1日、職員の端末がサイバー攻撃を受け、約125万件の年金情報が外部に流出したと発表した。いずれも加入者の基礎年金番号(3面きょうのことば)と氏名が含まれ、うち約5万2千件は生年月日や住所も流出した。国内の公的機関としては過去最大規模の情報流出。被害はさらに拡大する可能性もあり、国の情報管理のあり方に対する国民の不信が高まりそうだ。警視庁は不正アクセス禁止法違反容疑を視野に捜査する。(関連記事2、3、5面、社会面に)

 機構は国からの委託で公的年金の保険料徴収や給付実務を担っている。今後、情報流出が確認された人の基礎年金番号を変更する。現時点では基幹システムである「社会保険オンラインシステム」への不正アクセスは確認されていない。

 安倍晋三首相は「受給者のことを第一に考えて万全を期すよう塩崎恭久厚生労働相に指示した」と記者団に述べた。政府は関係府省庁でつくるサイバーセキュリティ対策推進会議を開き、情報の適正管理を指示した。社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度の導入を控え、政府は対策強化を迫られそうだ。

 機構の水島藤一郎理事長は記者会見で「深くおわびする。誠に申し訳ない」と陳謝した。

 機構によると、流出したのは年金記録を管理するため一人一人に割り当てられている基礎年金番号と氏名の計約125万件。このうち約116万7千件に生年月日、約5万2千件には住所と生年月日が含まれていた。番号は年金を受け取る権利の確認などに使われる。

 学術機関の職員を装った電子メールに、セミナーの案内状と称したウイルス付きの文書ファイルが添付されており、これを開封した少なくとも2人の機構職員の端末が感染した。端末同士をつなぐLANシステム内のファイル共有サーバーに保管されていた基礎年金番号や氏名などの情報が、ファイルごと抜き取られたとみられる。

 年金受給額などを管理する社会保険オンラインシステムとLANシステムはつながっていない。

 職員の端末がウイルスに感染していることが分かったのは5月8日。18日までに別の職員の端末も感染していることが確認され、翌日に警視庁に相談した。同月28日、同庁からの連絡で情報流出が判明した。

 警視庁は公的機関の情報を狙った「標的型メール」が送られたとみて、不正アクセス禁止法違反容疑などを視野に調べる方針。ただウイルスの発信元が海外の場合、接続経路をたどるのは容易ではなく、難しい捜査を迫られそうだ。

 機構は情報が流出した加入者に個別に連絡し謝罪する。これらの人から年金に関わる手続きの申請があった場合は本人確認をした上で対応する。専用電話窓口も設けた。

 国や公的機関などがサイバー攻撃を受け、情報流出などの被害に遭うケースは後を絶たない。

 農林水産省は12年1~4月に内部文書124点が流出した可能性があるとの調査結果を13年に明らかにした。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加をめぐる内部文書も含まれるとみられる。警視庁によると、09年以降、政府機関や防衛・重要インフラ関連企業など30以上がサイバー攻撃を受け、100台以上のパソコンでウイルス感染が確認された。

 政府はサイバー犯罪対策を急いでいる。サイバーセキュリティ基本法が今年1月に全面施行。内閣に司令塔となるサイバーセキュリティ戦略本部を新設し、各省庁に防御策などを勧告する権限を持たせた。

●マイナンバーに逆風も 政府、管理体制洗い直し
       2015/6/2 日本経済新聞
 日本年金機構の情報流出問題は、2016年1月から始まる税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度にも影響しかねない。政府は税や社会保険料の個人情報に加え、18年度から医療や戸籍など、より私的な個人情報にも活用する方向。今回の年金機構の問題を受けて個人情報保護への不信感が高まれば、今後のマイナンバーの運用に逆風になる可能性がある。

 「国民の目が厳しくなるのは間違いない」。年金機構の問題を聞いた政府…

●【年金機構情報流出】米、韓など不正被害…マイナンバー制度にも波紋 
       2015.6.1 産経
 日本年金機構の不正アクセスによる情報流出は、平成28年1月に制度開始が予定される社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度の信頼性にも影を落とす恐れがある。国民一人一人の情報を管理する番号制度の利用範囲が比較的広い米国や韓国では、不正や流出被害も起きており、今後はマイナンバーを管理する企業も対応を迫られる。

 マイナンバーは、国民一人一人に12ケタの番号を割り振り、納税などの行政手続きや預金口座の管理に適用する仕組み。今年10月から番号の「通知カード」が全国の世帯に送られ、来年から税、社会保障、災害対策の3分野で活用する。別の行政機関で管理していた所得や年金支給額、健康保険などの個人情報が結びつくことで、事務作業の効率化や、公平な社会保障制度の実現に役立つという。

 マイナンバーの個人情報を扱うシステムは内閣官房で管理しており、28年度からは総務省が管理する。甘利明社会保障と税の一体改革担当相は、年金情報とマイナンバーの個人情報は「独立した別の機関が管理しており、ファイアウオール(安全隔壁)も敷かれている」と述べ、日本年金機構の問題がマイナンバーの情報流出に直結することはないと強調した。

ただ、来年1月以降は、企業が従業員の源泉徴収票にマイナンバーを記入するなど、企業も個人番号の集約や管理を行うことになる。管理態勢に問題があれば不正利用や情報漏(ろう)洩(えい)につながる恐れもある。

 情報セキュリティー大手のトレンドマイクロによると、実際に、マイナンバーにあたる社会保障番号を導入した米国やカナダ、韓国などでは不正アクセスによる個人情報の盗難などが発生しているという。米国では他人による「なりすまし」で年金の不正取得が発覚したほか、韓国でもオンラインでの利用が活発化した1990年代以降、番号の流出事例が相次いだ。

 このため総務省は昨夏、自治体システムで強力なセキュリティー対策を実施するマニュアルを公表。また、オーストリアが既に導入した番号の暗号化などの対策を取る計画だ。

 ただ、こうした対策も万能ではない。堅(けん)牢(ろう)なセキュリティーシステムを構築しても、システムの穴を探るサイバー攻撃に対し安全とは言い切れないからだ。今後の制度設計には波紋が広がっている。

●【年金機構情報流出】 詐欺被害に悪用懸念 「詐欺など2次被害の恐れ」
     産経 2015.6.1 22:23
 日本年金機構では今後、流出した約125万人分の基礎年金番号を変更するなどの対策を取る方針だ。流出情報の悪用を防ぐためには、加入者はどんなことに気をつければいいのか。

 神戸大大学院の森井昌克教授(情報通信工学)は「加入者本人になりすますことによる年金の不正受給だけでなく、2次被害が考えられる」と指摘する。

 森井教授によると、流出情報に生年月日や住所が含まれるケースもあることから、特に高齢者が、機構の職員らを装った人物に「年金番号の変更手続きには○万円かかる」などと持ちかけられ、振り込め詐欺などの被害に遭う可能性も考えられるという。

 森井教授は「他の情報と結びつけて悪用されることもあり得る。今回の情報流出に関連した電話やメールなどを疑ってかかり、子供などの第三者に相談すべきだ」と強調している。

●年金情報:125万件流出 職員PCにウイルス 機構、対策怠り拡大
       毎日新聞 2015年06月02日 
 日本年金機構は1日、職員のパソコンに外部からウイルスメールによる不正アクセスがあり、国民年金や厚生年金などの加入者と受給者の個人情報が外部に流出したと発表した。機構によると、国民年金、厚生年金などの加入者に付与される10桁の基礎年金番号と氏名、生年月日の3情報が約116万7000件▽3情報と住所の計4情報が約5万2000件▽基礎年金番号と氏名の2情報が約3万1000件−−の計約125万件に上るとみられる。警視庁は不正指令電磁的記録(ウイルス)供用容疑などにあたる可能性があるとみて捜査を始めた。

 機構によると、職員のパソコンにウイルスが入ったファイルが添付されたメールが届き、職員がファイルを開け、5月8日にウイルス感染が確認された。機構はソフト会社にウイルス対策を依頼する一方、不審なメールに注意するよう全職員に通知した。

 個人情報は職員のパソコンと、LAN(構内情報通信網)ネットワークでつながるサーバーに保管されていたが、機構は感染したパソコン1台だけをネットワークから切り離し、他は接続状態のままにした。その結果、18日までに十数件のメールがパソコンに届き、通知の不徹底もあって少なくとも別の職員1人がファイルを開いて感染が拡大した。19日に警視庁に相談し、28日に約125万件の情報流出が判明した。機構によると、情報が悪用された被害は確認されていない。

 また、機構は個人情報を記録したファイルにはパスワードを設定するよう内規に定めていたが、約125万件のうち約55万件には内規に反してパスワードが設定されておらず、誰でも開ける状態で流出した。ウイルス対策ソフトを使用していたが、ウイルスが新種で防げなかったという。保険料の納付や受給に関する年金情報の基幹システムである「社会保険オンラインシステム」への不正アクセスは確認されていない。

 厚生労働省で記者会見した機構の水島藤一郎理事長は「お客様に万が一にも迷惑を掛けないよう、組織の全力を尽くして対応する」と陳謝した。機構は今後、情報が流出した加入者の基礎年金番号を変更し、手続きの際に本人確認を徹底するなど流出情報の悪用防止を図る。フリーダイヤル(0120・818211)で午前8時半〜午後9時、問い合わせを受け付ける。

 特定の企業や組織を狙ってウイルスを添付したメールを送りつける「標的型メール攻撃」について、警察当局が昨年1年間に防衛やエネルギー関連などの事業者を通して把握したのは1723件に上り、前年の約3・5倍に急増している。【古関俊樹、金秀蓮、長谷川豊】

==============
 ◇日本年金機構と前身の社会保険庁の主な不祥事

 <社会保険庁>
2005年 1月 書籍などの監修料を受け取っていた問題で幹部らを処分

     12月 有名人らの年金記録ののぞき見問題で、最終的に職員3273人を処分

  06年 5月 国民年金保険料の不正免除問題発覚。後に約1700人を処分

  07年 2月 持ち主不明の「宙に浮いた年金記録」が約5000万件に達することが判明。その後、払った保険料の記録がない「消えた年金」問題も浮上

  08年 9月 厚生年金保険料の算定基準となる標準報酬月額改ざんへの社会保険事務所職員の関与を社保庁が認める

 <日本年金機構>(社保庁から10年1月に改組)
  12年 2月 約7万1900人から所得税額を多く源泉徴収するミスがあったと発表

  13年 6月 日本年金機構発足から約3年で事務処理ミスが4590件あったことが判明

  15年 6月 約125万件に上る個人情報流出発覚

●年金情報流出:PC全面遮断、20日後 新種ウイルス検知できず
       毎日新聞 2015年06月02日 
 1日発覚した日本年金機構の個人情報大量流出問題は、業務のため加入者らの名前や住所などを移したサーバーに接続するパソコン(PC)がウイルス感染して起きた。最新のウイルスソフトを入れていたが「新種」のため検知できず、1台目の感染が発覚した後も、さらに他のPCに感染が広がっていた。専門家は機構の危機管理に疑問を投げかけている。【関谷俊介、内橋寿明、岸達也、松本惇】

 年金機構によると、今回流出した情報は、保険料や納付状況を管理する社会保険オンラインシステムから業務に必要なデータだけをCD−ROMなどで移したサーバーに入っていた。職員が5月8日、届いたメールの添付ファイルをサーバーに接続したPCで開封したところ、外部との不審な通信があった。この際、PCがウイルスに感染し、サーバーから情報が盗み取られたとみられる。

 このPCは直ちにサーバーのネットワークから切断したが、その後も18日まで十数件の不審なメールが届き、別の職員1人も添付ファイルを開いていた。職員たちのPCはLAN(構内情報通信網)で結ばれており、最終的に数十台がウイルス感染したため、ネットワークから切り離した。この間、情報を盗む外部からの不審な通信を遮断できなかったとみられる。年金機構は28日に警視庁の指摘で情報流出に気づき、29日に外部へのインターネット接続を禁止した。

 年金機構は職員に対し、以前から不審なメールの添付ファイルを開かないよう注意しており、1台目の問題発覚後も全職員に改めて注意喚起した。メールの文面は業務を装い「年金」の文字も入っていたが、よく読むと業務と直接関係ないことが分かるという。情報セキュリティー会社や警視庁は感染ウイルスを新種と判断したものの、年金機構幹部は「結果的に見れば、8日の判断が甘かったかもしれない」と振り返る。

 個人情報の入ったサーバーと接続するPCで外部とやり取りする業務をしていたことが、結果的に情報流出につながった。ネットワークから切り離された社会保険オンラインシステムには影響がない。これについて年金機構の徳武康雄理事は「外部と完全に遮断されたサーバーへの保存も検討するが、作業の方法を大幅に変える必要があり、簡単にはできない」と述べた。

 情報セキュリティー大手トレンドマイクロの鰆目順介・シニアスペシャリストは「個人情報を扱う端末を外部と切り離し、必要がなくなった情報は端末に残しておかないことも対策の一つだ」と指摘する。

 一方、情報セキュリティー会社ラックの西本逸郎・最高技術責任者は「インターネットに接続された端末で個人情報を取り扱うのは業務上やむを得ないと思うが、5月8日に感染に気づきながら、不審な通信をシャットアウトする対策が十分取られなかったため、流出拡大につながった可能性が高い」と話した。

 ◇政府機関へ標的メール SNS悪用の手口も
 中央省庁などを標的にしたサイバー攻撃対応の司令塔機能を担う「内閣サイバーセキュリティセンター」(NISC)の関係者によると、5月29日に年金機構を所管する厚生労働省から相談が寄せられた。政府は1日、サイバーセキュリティ対策推進会議の会合を開き、議長を務める杉田和博官房副長官が類似手口による攻撃を調査するとともに、各府省庁や所管する特殊法人などで重要情報の適正管理を職員に徹底するよう求めた。

 今回は特定組織の機密情報盗み出しを狙う「標的型メール攻撃」の可能性が高い。政府の情報セキュリティ政策会議(当時)が昨年7月にまとめた資料で、NISCが政府機関への標的型メールとみられる不審メールを確認し注意喚起した件数は、2011年度209件▽12年度415件▽13年度381件。13年度は独立行政法人を狙った攻撃も多かった。最近は、事前にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などで個人情報を収集してメールを送る「カスタマイズ型」が目立ち、防御しにくくなっているという。

 NISCによると中央省庁の情報セキュリティー対策は統一規範・基準を設け、府省庁ごとに専門組織整備やセキュリティーに関する最高責任者の配置を求めている。省庁ごとに扱う情報の種類が異なることも踏まえ独自に情報のリスクを評価するようにもしている。

 一方、来年1月には国民に番号を割り当て、税や社会保障に関する情報と結びつけるマイナンバー制度がスタートする。内閣官房社会保障改革担当室などによると、インターネットを通じてマイナンバーを扱う可能性もあるため、外部からのサイバー攻撃で流出する恐れは否定できない。ただ、年金や税、介護などの情報は各機関が保管し、情報をつなぐネットワークシステムは外部から閉ざされているため情報が芋づる式に抜き取られることはないとしている。

 これに対し醍醐聡・東京大名誉教授(会計学)は「個人情報は極力分散管理するのが鉄則だ。マイナンバーが導入されれば現在より桁違いの情報が集積され、リスクを集積する」と指摘している。

●年金の個人情報125万件流出か サイバー攻撃
       朝日 2015年6月1日
 日本年金機構は1日、サイバー攻撃を受け、年金の受給者と加入者の基礎年金番号や氏名などの個人情報が流出した、と発表した。現時点で約125万件が流出したとみられ、さらに増える可能性がある。年金の支払い業務に特段の影響はないとしている。機構側の相談を受けた警視庁公安部は、不正アクセス禁止法違反や不正指令電磁的記録作成などの疑いがあるとみて捜査を始めた。

年金情報流出 不審な連絡あったら専用電話へ
 日本年金機構によると、5月8日に職員がパソコンに届いた電子メールに添付されたファイルを開いたところ、ウイルスに感染。18日までに複数のパソコンがウイルス感染した。19日に相談をした警視庁から、28日になって情報流出を指摘された。ウイルス入りのファイルを開いたことで不正アクセスされたという。

 不正アクセスされたのは一部の職員に見る権限が限られている「情報系システム」の情報で、流出したとみられるのは「基礎年金番号と氏名」が約3万1千件、「番号、氏名、生年月日」が約116万7千件、「番号、氏名、生年月日、住所」が約5万2千件。年金記録を管理する「社会保険オンラインシステム」は情報系システムとは分離されており、不正アクセスは確認されていないという。

 年金番号、氏名、生年月日、住所という四つの情報があっても個人情報はほかに免許証などで確認した上で答えているといい、機構は「何らかのなりすまし行為が行われることは考えにくい」と説明。該当者の情報を扱う場合は職員の端末の画面が点滅して警告する仕組みを2日から始める。機構は該当者については「細心の注意を払って本人確認をする」としている。

 機構は近く外部有識者を含めた委員会を立ち上げ、原因の調査や再発防止策を検討していく。1日に記者会見した塩崎恭久厚生労働相は、「悪意のある不正アクセスだったとしても極めて残念で、備えが不十分だったことは率直に認めないといけない」と話した。

 政府は1日夕、首相官邸で各府省庁の関係者による「サイバーセキュリティ対策推進会議」を開き、杉田和博官房副長官が独立行政法人や特殊法人も含め情報システムが類似した手口の攻撃を受けていないか点検を指示した。また、警視庁公安部は過去のサイバー攻撃の例などから、国外からの組織的な攻撃だった可能性もあるとみている。

     ◇
 年金加入者の個人情報が漏れたとされる問題で、警視庁は、日本年金機構から被害相談を受け、事実関係の確認を始めた。

     ◇
 〈基礎年金番号〉 国民年金や厚生年金などに加入する際、原則1人に一つずつ付けられる番号。年金記録の確認や住所の変更、年金の振込口座の変更などの手続きに必要になる。日本年金機構は、この番号を使って年金記録を管理しており、2013年度末時点で加入者6718万人分、受給者3950万人分の番号がある。07年には、誰の基礎年金番号にも合わない持ち主不明の「宙に浮いた年金記録」が約5100万件あることが判明。重複して番号が付けられたり、日本年金機構の前身の旧社会保険庁の管理がずさんだったりしたことなどが原因で、いまだに約2千万件が未解明のまま残されている。

●【年金機構情報流出】情報狙い無差別攻撃 複雑経路「捜査は困難極める」
    産経 2015.6.1
 日本年金機構から、ウイルスメールによる不正アクセスで、年金情報約125万人分が流出したことが1日、明らかになった。漏れたのは基礎年金番号や氏名など。職員のメールが狙われる典型的な「標的型メール」攻撃で抜き取られていた。不正アクセスの狙いは何なのか。警視庁は事実関係の確認を進めるなど捜査に着手したが、標的型メールによる不正アクセスは海外のIPアドレス(インターネット上の住所)を使用したうえ、サーバーを複数経由することが多く、送信元の追跡には難航が予想される。

 年金機構に送られた標的型メールは、不特定多数に大量に送られるメールとは異なり、特定の組織や人に送られるため、セキュリティーソフトで遮断される前に、標的とするメール受信者まで届いてしまうことが多い。

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 以前テレビで見たことがある、海底の砂にサークルを描く魚。
 「アマミホシゾラフグ」と書くと覚えにくそう。・・でも、字をあててみたらすんなり。
 勝手に当て字で「奄美 星空 フグ」。
・・・・・
 その魚が描くステリーサークルは、実は巣。
 そのフグが「世界の新種トップ10」になったのとニュースがあった。
 面白そうなので、調べてみてブログに記録。

 なお、今日15時からは岐阜地裁で、住民訴訟のラウンドテーブルがある。
 ところで、昨日5月21日のブログのアクセス通知は「訪問者数 1938」だった。が、先日設置した無料のカウンターは「1398」。昨日同様に5割近く少ない。
 時間があるときにカウンターを他のサービスに付け替えよう。

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  ●アマミホシゾラフグ
  奄美大島の瀬戸内町文化遺産活用実行委員会
 このウェブサイトでは奄美大島瀬戸内町の次世代へ伝えていくべき価値のある文化・自然的な「もの」すべての情報を公開しています。
 

フグ科 学名 Torquigener albomaculosus
奄美大島・瀬戸内町の清水と嘉鉄海域で発見された海底ミステリーサークルの作者である。成魚の体長は約12cm。
このサークルは毎年、春から夏にかけて海底の砂地に出現する。
約30本の均一な幅、深さの溝が中心円から放射状に掘られた美しく不思議な紋様のサークルで直径約2mになる。
ミステリーサークルの正体が、このフグの産卵場所である。
オスが約1週間かけてサークルを作り、メスが中心円部分に産卵する。

産卵から約1週間後、新たな生命が誕生する。
ミステリーサークルは、言わば“生命のドラマが繰り広げられる舞台”である。
今後、新種として登録され正式和名が付けられる事になる。
※2014年9月に和名が決まりました。

●ミステリーサークル描くフグ「世界の新種」に
        読売 2015年05月22日 00時23分
 鹿児島・奄美大島で海底に美しい「ミステリーサークル」を描くフグが、国際的な研究組織が選ぶ今年の「世界の新種トップ10」に入ったと、国立科学博物館が21日発表した。

 奄美大島では例年、春から夏にかけ、海底の砂地に直径2メートルほどの謎の二重円が出現。地元のダイバーらが調査し、3年前、オスのフグがメスの産卵用に約1週間かけて作ることを突き止めた。同館の松浦啓一・名誉研究員(66)らが新種と確認し、昨年、星をちりばめたような模様から「アマミホシゾラフグ」と命名した。

 トップ10は、米国に事務局がある「国際生物種探査研究所」が毎年、前年に発表された新種の中からユニークな生物を選出。アマミホシゾラフグは世界で約1万8000種の新種から選ばれた。調査に参加した水中写真家の大方洋二さん(73)は、「何十年も潜って一番驚いた発見」と喜んでいる。

●アマミホシゾラフグ:巣作り名人、「新種トップ10」に
       毎日新聞 2015年05月21日 
 米ニューヨーク州立大の国際生物種探査研究所は21日、鹿児島県・奄美大島近海に生息し、ユニークな巣を作る「アマミホシゾラフグ」を今年の「世界の新種トップ10」に選んだと発表した。地元では砂地の海底で見つかる円形の模様が20年以上前から知られていたが、正体は謎で、この魚のオスが作った巣と4年前に分かるまでは「ミステリーサークル」と呼ばれていた。

 新種として昨年論文を発表した松浦啓一・国立科学博物館名誉研究員(魚類学)によると、フグは世界に約180種いる。このフグはシッポウフグ属と考えられたが、知られていた他の19種とは体表のとげの位置や模様が異なっていた。体長は雌雄とも約12センチ。

 オスは4〜7月を中心に、尾ひれを振るなどして浅い海底の砂地に直径約2メートルの円形の模様を描く。外側に二重の土手があり、中心部から放射状に二十数本の線が伸びる。この模様に引きつけられるとみられるメスが中心部で産卵し、ふ化までの約5日間、オスが巣を守る。同じペアで場所を変えて産卵を複数回繰り返す。

 2011年、水中写真家の大方洋二氏が初めて、この魚が模様を描く姿を目撃。同博物館の調査チームが14年に雌雄各1匹を捕獲し、新種と分かった。松浦さんは「同様の巣を作る魚類はほかにない。同じペアが複数回産卵行動を取るフグもほかにはおらず、重要な発見だ」と指摘した。

 同研究所は生物多様性の保全などを目的に08年からトップ10を発表。今回は昨年新種とされた約1万8000種から選んだ。日本から選ばれるのは初めて。【去石信一】

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 高齢の方を標的に広がる詐欺。それとは別に、バリバリの個人であろうと会社であろうと狙われるのがオンライン銀行詐欺。
 インターネットバンキングの不正送金事件に関する警察庁の調査が2月の初めに発表された。その公表の翌朝はネットにデータを出していなかったので改めて見てみた。ブログでリンク・抜粋しておく。

 報道では、
 日経 ★《利用者がログインしたのを察知し、自動的に不正送金する新手のウイルスが出現。新たに判明したのは「マン・イン・ザ・ブラウザー」と呼ばれる手口。利用者がネットバンキングのサイトにログインすると、閲覧ソフト(ブラウザー)内に潜んでいたウイルスが自動で活動を始める点が特徴だ。このウイルスにパソコンが感染していた場合、暗証番号などを入力する偽画面が表示され、利用者は金融機関の正規サイトにアクセスしたつもりで、偽画面と知らずに入力してしまう。攻撃者は入手した暗証番号を使って送金。身に覚えのない送金の履歴を見るまで被害に気づかない。》

 朝日★《前年より561件、約15億400万円多く、ともに過去最悪。地方銀行などの法人口座が狙われている》

 警察庁は、法人・企業の被害が増えたとしている。確かにそのようだけど、もともと依然として個人の方が件数も被害額も多いことには注意したい。
 警察庁データでは 金融機関による「不正送金阻止率」(未然に防いだ率)は、数年前の一けた台から30%に上昇という。とはいえ、その程度の自衛能力かと思うしかない。

 個人や法人の対策の在り方として、昨年7月の読売の「不正送金、企業被害の実態」が分かりやすい、ブログの最後に記録しておく。

 今日は以下を記録。
★警察庁 広報/平成26年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について/2月12日
●被害、最悪29億円 地銀の口座が標的/朝日 2月12日
●新手被害 ログイン→自動で不正送金/日経 2/12
●昨年被害最悪29億円 新型認証でも/毎日 2月12日
●不正送金被害は約29億円 - 被害額が前年から倍増/Security NEXT 02/13

●ネットバンキング不正送金、企業被害の実態/読売 2014年07月25日

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 ● 警察庁 サイバー犯罪対策

    ★ 広 報 資 料 平 成 2 7年 2 月 1 2日警 察 庁
平成26年中のインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生状況等について


(1) 発生件数及び被害額 1,876件 約29億1000万円
(2) 特徴 
 ○ 被害が多くの地方銀行や信用金庫・信用組合に拡大するとともに、法人名義口座に係る被害が拡大
 ○ 不正送金処理を自動で行うウイルスの利用等手口の悪質・巧妙化

・・・・・・・・(略)・・・

1 被害金融機関   102金融機関
 都市銀行・ネット専業銀行・信託銀行・その他の銀行 16行
 地方銀行 64行
 信用金庫 18金庫
 信用組合 4組合
・・・・・・・・・・・・(略)・・・



6 不正送金阻止状況
※ 「不正送金阻止」とは、事前に凍結された口座への送金指示に対する送金処理の取り消し、法人サービスにおける当日送金の停止等により、金融機関が不正送金を未然に阻止したもの



●ネットバンキング被害、最悪29億円 地銀の口座が標的
       朝日 2015年2月12日
インターネットバンキングの不正送金の被害額
 インターネットバンキングの口座から預金が不正に送金される被害は昨年1年間で1876件あり、被害額は約29億1千万円に上ることがわかった。前年より561件、約15億400万円多く、ともに過去最悪。地方銀行などの法人口座が狙われているという。

 警察庁が12日、発表した。客がアクセスしたのを検知し、自動的に犯人側の口座に不正送金する手続きを始める「自立型ウイルス」によるとみられる被害も春以降に国内で146件確認したという。

 警察庁のまとめでは、被害が確認された金融機関は前年の32から102に増えた。金融機関の種別では、地銀・信用金庫・信用組合の被害額が約10億500万円(前年比約8億8200万円増)で増加が目立った。口座の種別では、法人口座の被害額が約10億8800万円(同約9億9千万円増)で、このうち、地銀・信金・信組のものが約8億3700万円(同約7億9千万円増)を占めた。

●ネットバンクに新手被害 ログイン→自動で不正送金
      日経 2015/2/12 11:45
 インターネットバンキングの不正送金事件に関する警察庁の調査では、昨年から利用者がログインしたのを察知し、自動的に不正送金する新手のウイルスが出現していることが分かった。

 警察庁によると、新たに判明したのは「マン・イン・ザ・ブラウザー」と呼ばれる手口。利用者がネットバンキングのサイトにログインすると、閲覧ソフト(ブラウザー)内に潜んでいたウイルスが自動で活動を始める点が特徴だ。


 このウイルスにパソコンが感染していた場合、暗証番号などを入力する偽画面が表示され、利用者は金融機関の正規サイトにアクセスしたつもりで、偽画面と知らずに入力してしまう。攻撃者は入手した暗証番号を使って送金。身に覚えのない送金の履歴を見るまで被害に気づかない。

 これまでにも主に欧米では存在が確認されていたが、国内では今回の調査で初めて明らかになった。昨年の被害は少なくとも146件で、不正送金全体の約7.8%を占めた。

 米情報セキュリティー大手シマンテックの日本法人の担当者は「セキュリティー対策が取られていないパソコンを使い、ウイルスが仕込まれたサイトを閲覧した際に感染することが多い」と警鐘を鳴らす。

 対策として専門家らは、ウイルス対策ソフトを最新のものにする▽ログイン後の画面におかしな点がないか注視する▽銀行のホームページをこまめにチェックする――ことなどを挙げている。

 各金融機関の取り組みを背景に、14年の被害額約29億1千万円のうち、約16%に当たる約4億7400万円は、実際に別口座に移されず、金融機関で止まった。未然防止策が少しずつ成果を見せ始めたなかで現れた手口。警察庁は今後も金融機関との連携を進めるなど警戒を強め、被害の拡大を食い止めたい考えだ。

●ネットバンク不正:昨年被害最悪29億円 新型認証でも
      毎日新聞 2015年02月12日
インターネットバンキングの不正送金被害の推移

 警察庁は12日、2014年にインターネットバンキングの口座から現金が不正に引き出された被害が1876件、約29億1000万円に上り、過去最悪だった13年の件数・被害額をいずれも更新したと発表した。特に被害額は13年の2倍に達した。不正な指示を出すウイルスが巧妙化し、防止対策の「ワンタイムパスワード」を使っていても被害に遭ったとみられるケースが146件あったことも初めて判明。全体の被害は昨年後半から減少傾向もみられるが、同庁幹部は「次々に新しいウイルスが出ており楽観できない」と話す。

 被害を受けた金融機関はメガバンクから地方銀行や信用金庫、信用組合まで広がり、前年の3倍を超える102社。預金額の多い法人口座が狙われる傾向も続き、地銀と信金信組の法人口座被害額の合計は前年の約18倍の約8億3700万円となった。

 新たに確認されたワンタイムパスワードを巡る不正は、利用者がワンタイムパスワードでログインした後、本来の手続きにはない画面が表示され、改めて同パスワードを入力させる手口。パソコンに入り込んでいたウイルスが、ワンタイムパスワード利用時に別口座への送金を指示しているとみられる。パソコンから盗み取ったパスワードを使い、外部から送金指示を出す従来の手口とは異なり「自立型」と呼ばれる。

 こうしたウイルスは銀行ごとに異なる暗号システムにも対応。推定される被害は146件だが、警察は被害全体の約4割しかパソコン分析の協力を得られておらず、実際はさらに多くの被害が出ている可能性もある。

 一方で、法人口座から送金する際の本人確認徹底など金融機関による安全対策が奏功し、上半期(1〜6月)は1257件(18億5140万円)だった被害が下半期(7〜12月)は619件(10億5830万円)まで減少。地銀を中心に8月から当日送金を停止するサービスを導入したことで、被害を受けても不正送金を止めることができた「阻止率」も上半期の7・6%から31・4%に増えた。

捜査の面では、警察は米連邦捜査局(FBI)などが主導するウイルス除去作戦に参加し、国内で確認された約15万5000件の感染端末利用者に除去を依頼。詐欺などの容疑で233人を摘発したが、ほとんどが口座売買グループや現金引き出し役で、首謀格は逮捕できていない。警察幹部は「ウイルスを作成して指示を出す人物が海外にいる痕跡はあるが、全容は分かっていない」としている。【長谷川豊】

 【ことば】ワンタイムパスワード
 インターネットバンキングで取引を行う際、一定時間ごとに自動変更される6桁程度のパスワードを使用する認証方式。金融機関から渡されるキーホルダー大の端末の液晶部分に表示される方式やメールで知らされる方法が多く、ネットバンキングのコンピューターと連動している。一度使った番号は無効になるため、盗まれても悪用される危険が少ないとして、多くの金融機関で導入されている。

●ネットバンク不正送金被害は約29億円 - 被害額が前年から倍増
   (Security NEXT - 2015/02/13 )
オンラインバンキングの不正送金による被害が増加している。被害額ベースで見ると、2014年は前年の2倍にあたる約29億1000万円にのぼった。

オンラインバンキングでの不正送金に関する被害や検挙状況を取りまとめた警察庁によれば、2014年のオンラインバンキングによる不正送金の発生件数は1876件。1315件と急増した2013年からさらに約1.4倍へと拡大した。

2013年なかばより被害件数が上昇。ピークを迎えた2014年1月と3月には300件近く発生した。後半は比較的落ち着きを取り戻し、7月以降は9月を除いて150件以下で推移している。

また被害状況を金額ベースで見ると、被害額は約29億1000万円にのぼり、2013年の約14億600万円から倍増。2013年に続いて過去最悪を更新した。
また都市銀行だけでなく、地方銀行や信用金庫、信用組合にも被害が拡大。102の金融機関で被害が発生している。2013年は32機関、2012年は5機関であったことを踏まえると、ターゲットとされる金融機関が急速な勢いで増加していることがわかる。特に被害に遭った地銀は20行から64行へと一気に拡大。2013年には被害が確認されていなかった信用金庫や信用組合にも広がった。

口座の種類別に見ると、法人口座での被害増加が目立つ。被害額ベースで、2013年は個人口座が93.1%と圧倒的多数を占め、全体の6.9%に過ぎなかった法人口座だが、2014年は法人口座の割合が37.4%へと上昇。特に地銀では83.3%を占めており、法人を中心に被害が発生している。

送金方法を見ると、不正売買で取得した口座に送金し、出金役の「出し子」がATMから現金を引き出すケースが1198件で全体の72.7%を占めた。次に多かったのが、資金移動業者を介した国外への送金で190件だった。

2014年は、115の事件で233人を検挙。そのうち中国人が134人で日本人が86人だった。2013年と比較すると、日本人の割合が10.3%から36.9%に増加している。

こうした動きを受けて、金融機関は当日送金の受付を停止するなど対策を講じているが、効果も徐々に現れはじめた。凍結口座への送金や当日送金の停止などによって送金を阻止できたケースは、金額ベースで2013年は5%前後と少なかったが、2014年上半期には7.6%に増加。下半期には31.4%まで上昇している。

●ネットバンキング不正送金、企業被害の実態
   読売 2014年07月25日 19時38分
 ウイルス感染によるネットバンキング不正送金の被害が増える中、企業での被害も深刻になっている。全国銀行協会が出した「6条件」のセキュリティー対策と、法人を狙う手口について見てみる。(ITジャーナリスト・三上洋)
全国銀行協会が企業被害補償に指針

オンライン銀行詐欺ツールの国別検出割合。最近になって日本が狙われていることがよくわかる(トレンドマイクロ・金融関連サイバー犯罪解説セミナー)

 ネットバンキング不正送金の被害は、今年5月の時点で14億1700万円と昨年の被害額を超え、史上最悪となった。特に目立つのは法人向け(企業)ネットバンキングでの被害だ。

 警察庁によると全体の被害件数のうち、企業での被害は12%、109件で、昨年の4%から大幅に増えている。また企業での被害額も大きく、今年だけで4億8000万円と全体の33%を占めている(以前の記事「対策ソフトで検知不能、ネット銀行被害最悪に:サイバー護身術」参照)。

 この状況をふまえ、全国銀行協会では、7月17日に法人向けネットバンキングでの被害補償についての新たな指針を発表した(法人向けインターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方:全銀協)。

 今まで個人の被害については、預金保護法に基づき補償を行ってきたが、企業は原則として対象外になっていた。しかし企業での被害が増える中、一定のセキュリティー対策をしていることを条件として、法人のネットバンキングも補償するとの指針を出した。

 法人が守るべきネットバンキングのセキュリティー対策は以下の通り。これを実施していない企業は、補償の対象外となる。

日本を狙うオンライン銀行詐欺ツール
 ネットバンキング被害について、セキュリティー大手・トレンドマイクロが「金融関連サイバー犯罪解説セミナー」を7月10日に開催した。セミナーを行ったトレンドマイクロのシニアスペシャリスト・岡本勝之氏によると、日本でのオンライン銀行詐欺ツールの被害が急拡大しているとのことだ。

 記事冒頭の表はオンライン銀行詐欺ツールの検出数の割合を、国ごとにまとめたものだ(トレンドマイクロによる)。昨年前半での日本の割合は3~4%程度だったが、2013年第4四半期には19%と急増。2014年第1四半期は10%と落ち着いたものの、アメリカについで世界2位となっている。日本の銀行が狙われているのだ。

・・・・(略)・・・
企業を狙う手口が巧妙化
 このようにネットバンキングで企業を狙う手口が巧妙化しており、さらに被害が拡大する可能性が高い。企業のネットバンキング担当者は、今すぐ対策を厳重に行うべきだ。

 同様に個人でも、改めてネットバンキング不正送金の被害に遭わないように注意したい。以前の記事「【速報】H.I.S.が改ざん被害、銀行ウイルス感染:サイバー護身術」で取り上げたが、ネットバンキング詐欺のウイルスは一般サイトの閲覧でも感染する。企業などのウェブサイトが改ざんされて、ネットバンキング詐欺のウイルスに感染させようとするからだ。

 ユーザーの対策が甘い場合、改ざんされた一般サイトを閲覧するだけでウイルスに感染し、その後にネットバンキングを利用した際にネットバンキングからお金を盗み取られるという被害に発展する。このような被害に遭わないために、以下の対策を守ってほしい。


●各種ソフトウェアを最新にする
 OS、ブラウザー、Adobe Flash Player、Java、PDFなどのソフトウェアを自動更新に設定。常に最新のバージョンを使う。

●ウイルス対策ソフトを必ず導入
 ウイルス対策ソフトは、WindowsだけでなくMacでも必ず入れて欲しい。怪しい動きを検知する「ふるまい検知」、不正な動きをするサイトをシャットアウトする「Webレピュテーション(ブラックリスト機能)」があるソフトを勧めたい。

●ネットバンキングで「パスワード全入力」は詐欺
 ネットバンキングでパスワードや秘密の質問をすべて入力させるのは詐欺。そのような画面が出た場合、ウイルス感染の可能性が大なので、すぐにウイルス対策ソフトでチェックしよう。

 この三つは、ネット利用をする人すべてが実行し覚えておくべきこと。今すぐ実行して、ネットバンキング不正送金の被害に遭わないようにしよう。


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 昨日、電話が鳴った。「○○(地区)の○○」と言います、とまず自らを示されての市民の方からの電話だった。
 お名前からも、声や口調からも、まったく知らない人。

 前段の話から、長年の自民党支持の方かと受けとれた。
 「・・・いまだかつて、日本がテロの対象になるなんてことは、なかった。そういう歴史がある。そうなのに、安倍政権はなんということをするんだ。安倍をひきずりおろす運動をしてくれ・・・」と、今回の事件に怒り心頭、それで私に電話があったようだ。

 気持ちはおおむね一緒。(でも、私が今、その運動を??)と内心思いつつ、お聞きした。
 そんなこともあり、今日のブログは、今後も日々高まっていくであろう、「安倍首相の事件への対応の問題」。
 これを主観的に集めて、記録しておく。
 特に明確に読めるのは次。

 日刊ゲンダイ・2月2日の「接触も交渉も『なかった』…安倍政権が踏み入れた泥沼報復戦」には次のようにある。
 ★≪・・・戦争は一度、踏み込んだが最後、後戻りはできない。だからこそ、トップは一時の感情に流されてはいけないのに、勇ましさだけの安倍首相はそこがわかっていない。恐ろしいのは安倍首相の好戦思想には感情論だけでなく、確信犯の要素もあることです。後藤さんの殺害もあらかじめ分析、織り込み済みで、こういう対応をしているのだとしたら、怖くなります」(森田実氏)
 英キャメロン首相は「この殺人犯を捜し出し、裁くためにできることは何でもする」と訴え、日本に対し、イスラム国撲滅に向けた共闘を呼びかけた。安倍首相に報復合戦をやらせたら、もう後戻りはできなくなる。≫

 他、次を記録。
●後藤さん殺害か:安倍首相の発言全文/毎日 2月01日
●【後藤健二さん殺害】「安倍首相の発言が引き金に」 孫崎享さんがイスラム国への対応を批判/ハフィントンポスト 2月01日
●安倍首相「卑劣なテロ…その罪を償わせる」/中央日報 2月02日
●自衛隊派兵の「口実」も=人質事件で安倍政権警戒-中国メディア/時事 2/02

●「その罪を償わせる」…安倍首相が自ら声明に加筆していた/日刊ゲンダイ 2月2日
●接触も交渉も「なかった」…安倍政権が踏み入れた泥沼報復戦/日刊ゲンダイ 2月2日
●集団脱走、戦闘員処刑 イスラム国「内部で異変」と専門家の声/日刊ゲンダイ 1月31日
●最悪の結末となった日本人人質事件ー「テロに屈しない」ために“教訓”とすべき姿勢とは/ビジネスジャーナル 2.03 江川紹子

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● 後藤さん殺害か:安倍首相の発言全文
                毎日新聞 2015年02月01日
 安倍晋三首相が1日朝、日本人人質事件に関して記者団に語った発言の全文は次の通り。

 湯川遥菜さんに続いて、後藤健二さんを殺害したとみられる動画が公開されました。ご家族のご心痛を思うと言葉もありません。政府として全力で対応してまいりましたが、誠に痛恨の極みであります。非道、卑劣きわまりないテロ行為に強い怒りを覚えます。

 テロリストたちを決して許しません。その罪を償わさせるために国際社会と連携してまいります。

 日本がテロに屈することは決してありません。食料支援、医療支援といった人道支援をさらに拡充してまいります。

 そして、テロと戦う、国際社会において、日本としての責任を毅然(きぜん)として果たしていきます。今回のテロ行為に対して、日本に対して強い連帯を表明し、また、解放に向けて協力をしていただいた世界の指導者、日本の友人たちに心から感謝申し上げたいと思います。

 またヨルダンのアブドラ国王には惜しみない支援をいただきました。国民を代表して御礼を申し上げます。今後とも国内外の日本人の安全に万全を期してまいります。

●【後藤健二さん殺害】「安倍首相の発言が引き金に」 孫崎享さんがイスラム国への対応を批判
     ハフィントンポスト 2015年02月01日
過激派組織「イスラム国」による後藤健二さん殺害事件をめぐり、元外務省国際情報局長の孫崎享氏は、ハフポスト日本版の取材に対し、「今回の事件で一番、重要なことは、後藤さんがイスラム国に何か危害を与えて殺されたのではなく、日本人であるが故に殺されたことにある」と指摘した。

そして、安倍首相が1月中旬に中近東を訪れ、イスラム国への敵対姿勢を明確にしたことが事件の引き金になったとの見方を示した。

孫崎氏は、安倍首相がエジプト訪問の際に「ISIL(イスラム国)がもたらす脅威を少しでも食い止めるため、2億ドルを出す」と表明したことを問題視。

今回の後藤さん殺害事件後にも、安倍首相が「テロリストたちを絶対に許さない。その罪を償わさせるために、国際社会と連携していく」と述べ、イスラム国を中心とした過激派組織との対決姿勢をさらに打ち出したことから、今後も日本人や日本企業がターゲットにされて攻撃される可能性が高まった、と孫崎氏は指摘した。

また、イスラム国には、フランスから約1200人、イギリスとドイツが各約600人、中近東からはモロッコが約1500人、リビアが約600人、エジプトが約360人などといったように、欧州や中近東、北アフリカ、インド亜大陸など極めて広範囲な地域からテロリストが参加している点を重視。「かりにイスラム国が抹殺されたとしても、それぞれの自国でテロ活動をする可能性が高い。武力で制圧することは基本的に難しい」との認識を示した。

●安倍首相「卑劣なテロ…その罪を償わせる」
      中央日報日本語版 2015年02月02日
1日午前5時10分ごろ、後藤健二氏(47)の斬首の急報が伝わった日本政府は衝撃と怒りに包まれた。首相官邸から50メートル離れた公館に待機していた安倍晋三首相は6時ごろ官邸に移動した。記者たちの質問攻勢が続いたが、あまりにも衝撃が大きいためなのか何の言葉も出せなかった。約30分後に再び記者たちの前に立った安倍首相の目は涙があふれそうだった。

彼は「卑劣きわまりないテロに強い怒りを覚える。テロリストを決して許さない。その罪を償わせるため国際社会と連携する」と、とりわけ強い表現でイスラム国(IS)を非難した。あらかじめ準備された発言メモを持っていた安倍首相の右手はずっと震えていた。

だが午前7時に招集された関係閣僚会議に座った安倍首相の顔は決然とした表情に変わっていた。ISが追加で日本を「ターゲット」とみなすことを明確にしたのは一種の非常事態だという判断のためだ。

ISはこの日明け方に公開した動画で、安倍首相に向かって「安倍よ、勝つこともできない戦争に参加しようとするお前の無謀な決断のためにこの刃で健二を殺害するだけでなく、お前の国民がどこにいても殺りくを継続するだろう。日本の悪夢は始まった」とした。

日本政府は直ちに国内外の日本人の安全確保に万全を期するよう在外公館などに緊急指示した。シリア-トルコ国境地帯にいた日本人取材陣も国境検問所付近から撤退した。中谷元・防衛相は国連平和維持活動(PKO)などのために海外に派遣された自衛隊員の単独外出を禁止した。安倍首相の警護も強化された。

安倍政権は今回の事態に対する「安倍責任論」が台頭することを憂慮し、ISに対する先制強硬措置を出した。菅義偉官房長官はこの日の午後の会見で今後、日本の自衛隊による自国民救出が可能なように法整備をする方針を明確にした。

●自衛隊派兵の「口実」も=人質事件で安倍政権警戒-中国メディア
     時事 2015/02/02
 【北京時事】2日付の中国メディアは過激組織「イスラム国」が人質の後藤健二さんを殺害したとみられる事件について大きく報じた。「テロには屈しない」と主張する安倍晋三首相の発言を伝える一方で、「安倍首相は自衛隊の海外派兵問題の突破口を開くための口実を得た」(新華社論評)などと日本の動きを警戒する論調も目立つ。

 京華時報は後藤さんが湯川遥菜さんを救出するためにシリア入りし拘束されたと背景に言及。「戦争のない社会をつくりたい」と願った後藤さんの遺志を引き継いでいかねばならないと訴える後藤さんの母のコメントも報じた。

 一方、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は社説で「安倍政権が中東の複雑な情勢への対応能力に欠けていることを改めて示した」と主張。米国の有志連合に参加することで「日本の防衛は危険な立場になっている」と訴えた。

●「その罪を償わせる」…安倍首相が自ら声明に加筆していた
         日刊ゲンダイ 2015年2月2日
 イスラム国を「テロリスト」と名指しし、「罪を償わせる」と厳しい言葉で非難――。後藤さんの殺害映像が公開された直後、安倍首相が記者団に発表した勇ましいメッセージは、安倍首相が自ら加筆したものだった。

 2日の日経新聞によると、安倍首相は声明発表の30分前、隣接する首相公邸から官邸に移った際、事務方が用意していた「首相声明」に自ら手を入れたという。書き加えたのは「テロリストたちを決して許さない」に続く、「その罪を償わせる」という強烈な言葉だ。

 首相が加筆した“宣戦布告”とも受け取れる言葉は、イスラム国に自国民を殺害された米英の首脳の声明に似ている。イスラム国と戦う国々のトップと同じような言い回しを使うことで、国際社会との連携を強めることを内外にアピールする狙いがあるのだろう。

 米オバマ大統領は自国民が殺害された直後、イスラム国への空爆をシリア領内に拡大。英キャメロン首相は下院で空爆参加の承認を取り付けた。憲法で武力行使を禁じられた日本のトップが米英両国を模倣して、どうする気なのか。安倍首相は完全に冷静さを失っている。

●接触も交渉も「なかった」…安倍政権が踏み入れた泥沼報復戦
         日刊ゲンダイ 2015年2月2日
 過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件は、湯川遥菜さんに続き、後藤健二さんの殺害画像もインターネット上に公開され、事態は発覚後13日目に最悪の結末となった。

 安倍首相は「非道、卑劣極まりないテロ行為に強い憤りを覚える」と非難したが、この間、日本政府がやっていたのは、はっきり言って、パフォーマンスだけだ。

 後藤さん殺害動画を受けて記者会見した菅官房長官は「犯行組織と日本政府の直接的な接触はあったのか?」と問われて、「なかった」と答えた。「身代金交渉は?」と問われると、「まったくなかった」と明言した。

 後藤さんの妻はイスラム国と直接、メールでやりとりしていたのに、政府は何にもしなかった、ということだ。

「テロに屈しない」ということは、「テロリストと交渉しないこと」という理屈らしいが、だったら、この12日間、一体何をやっていたのか。「情報収集」という名のアリバイづくりだ。緊急閣僚会議にしても、テレビに映させるために集まっただけ。「全力を挙げています」というポーズである。

■「その罪を償わせる」と報復を宣言
 改めて、安倍政権の無能、無力、いい加減さに呆れるが、悲劇的な結末に安倍首相は反省するどころか、興奮、高揚している。

「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携していく」

 記者団に囲まれた安倍首相はこう言い放ったのである。

「“罪を償わせる”ってなんですか。まさしく、報復の思想ではないですか。私は9・11テロ後のブッシュ大統領のセリフを思い出しましたよ」(政治評論家の森田実氏)

 米ブッシュ前大統領は同時多発テロを受けて、「これは戦争行為だ」「善対悪の歴史に残る戦いだ」「戦いに時間はかかっても米国は必ず、敵に打ち勝つ」と宣言した。その後、米国はアフガン侵攻を経て、泥沼のイラク戦争に踏み込んでいく。
「結局、イラクの大量破壊兵器保有の疑惑はデッチ上げでした。この戦争が今日の中東の泥沼を招いたのに、安倍首相は同じことをやろうとしている。戦争は一度、踏み込んだが最後、後戻りはできない。だからこそ、トップは一時の感情に流されてはいけないのに、勇ましさだけの安倍首相はそこがわかっていない。恐ろしいのは安倍首相の好戦思想には感情論だけでなく、確信犯の要素もあることです。後藤さんの殺害もあらかじめ分析、織り込み済みで、こういう対応をしているのだとしたら、怖くなります」(森田実氏)

 英キャメロン首相は「この殺人犯を捜し出し、裁くためにできることは何でもする」と訴え、日本に対し、イスラム国撲滅に向けた共闘を呼びかけた。安倍首相に報復合戦をやらせたら、もう後戻りはできなくなる。

<「日刊ゲンダイ」2月3日号より ※本紙では3ページに渡り特集記事を掲載しています>

●集団脱走、戦闘員処刑 イスラム国「内部で異変」と専門家の声
      日刊ゲンダイ 2015年1月31日
 イスラム国に翻弄されつづけている日本政府。その一方、イスラム国も“内部分裂”が進んでいるという見方が強まっている。

「イスラム国の警察組織ヒスパの指導者が部下50人をつれて逃げ出した」――。シリア人ジャーナリストがフェイスブックにこう書き込むなど、内部崩壊を示す情報が急速に増えている。昨年末には英紙が、「イスラム国からの脱出を企てた外国人戦闘員100人を処刑」と報じている。

 イスラム国の“首都”ラッカの街は、商店も多く、一見、他の中東の街と変わらないというが、米軍の空爆が始まった昨年8月以降、経済状況が悪化し、内輪モメが頻発するようになったという。

「この10日間のイスラム国の動きは、支離滅裂です。後藤健二さんと湯川遥菜さんを拘束し、最初は2億ドルの身代金を要求していたのに、突然、要求を人質交換に変更するなど一貫していない。なにより、これまでイスラム国は、相手に要求を突きつけ、要求が受け入れられなければ、即座に人質を殺害することで、イスラム国とは交渉の余地がないと思わせてきたのに、今回は後藤さん殺害の期限を“24時間以内”“日没まで”と延期している。これまでのやり方と大きく変わっている。内部に異変が起きているのは間違いないと思う」(軍事ジャーナリスト・神浦元彰氏)
 もともとイスラム国は、シリア兵、イラク兵、外国人志願兵という寄せ集めの集団。恐怖支配と高給というアメとムチで鉄の規律を保ってきたが、米軍の空爆によって戦況が不利になりはじめたことで、バラバラになっても不思議ではない。最悪なのは、イスラム国の混乱が、日本政府を揺さぶる結果になっていることだ。

「いま中東では真偽不明の情報が飛び交い、メディアも誤報つづきです。恐らく、それぞれのパイプを使ってイスラム国の幹部から情報を取ろうとしても、聞く相手によって“人質は解放される”“いや解放されない”と答えがバラバラなのでしょう。その結果、日本国内もその情報に振り回される形になっています」(神浦元彰氏)

 崩壊が近づいた分、さらにイスラム国が暴走する危険も高まっている。

●連載 江川紹子の「事件ウオッチ」第22回/最悪の結末となった日本人人質事件ーー「テロに屈しない」ために“教訓”とすべき姿勢とは
        ビジネスジャーナル/Business Journal 2015.02.03 文=江川紹子/ジャーナリスト
・・・・・・・・・・(略)・・・
 今回の事件に臨んで、日本政府は「テロには屈しない」と言い続けてきた。後藤さん殺害の映像が配信された直後も、安倍首相は「痛恨の極み」と述べつつ、「日本がテロに屈することは、決してありません」と断言した。

 テロに屈しない。その通りだろう。大事なのは、そのために具体的に何をどうするか、私たち自身が考えることだ。
 先月20日にISISが2人の映像を公開し、日本に2億ドルの身代金を要求して以来、多くの人が2人の無事を願った。湯川さん殺害の後も、後藤さんの命を救おうとたくさんの人が声を挙げた。しかしインターネットの世界では、事件を政治的なアピールに利用しようとする残念な発言も実に多く見られた。

 それは、一方では、このような事態になったのは安倍首相の責任だと糾弾し、退陣を要求する声。ネット上のみならず、官邸前で後藤さん救出のアピールを行った人々の中にも、安倍首相を敵視する表示や、安倍政権の政策に反対するプラカードなどが見られた。集団的自衛権や憲法改正の問題は大事だが、後藤さん救出のための動きに乗じて、そうした政治主張を展開するのは違うのではないか。

 もう一方には、政権を擁護するあまりか、「自己責任」を言い募りデマまで飛ばして、被害者である2人を批判する声がある。田母神俊雄・元航空幕僚長のように、「後藤健二さんと、その母親の石堂順子さんは姓が違いますが、どうなっているのでしょうか。ネットでは在日の方で通名を使っているからだという情報が流れています」などとデマを拡散した揚げ句、母親の謝罪がないと、これまた事実に基づかない非難をしている者もいた。

 いずれも、敵を見間違えている、といわざるをえない。今回の事態について非難されるべきは、被害者でも日本政府でもなく、非道なテロ行為を行っているテロ組織にほかならない。

●必要な検証と今後の支援
 拉致や殺害によって人々に恐怖を与え、自国の政府を非難させて政情を不安定にさせようというのは、ISISの常套手段。ヨルダンでも、拘束された空軍パイロットの救出を求める声が政府批判の動きにもなっている。これもISISにとっては“成果”だろう。また、被害者の責任をあげつらうことも、非難の矛先をそらすことになる。どちらも、ISISの宣伝戦に乗せられているとしか思えない。

 そう指摘すると、「政府に対する批判をしてはいけないというのか」と逆ギレする人が少なくない。もちろん、そんなことを言っているのではない。大事なのは、テロリストに躍らされるのはやめようということだ。

「テロに屈しない」とは、衝撃や悲しみや憤りの中でも理性を失わず、テロリストが望む行動はとらないというのが基本だろう。そして、私たちの日常や社会を彼らに支配されない、日本の国の基本的方針をテロによって動かされない、ということではないか。
 そのためにも、事件をしっかりと検証し、できるだけ影響を受けないための対策をとることは必要だ。

・・・・(略)・・・



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 「21世紀の資本」の著者「トマ・ピケティ」が29日に来日した。 
      1月29日ブログ ⇒ ◆「アベノミクスに警鐘」/世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者「トマ・ピケティ」
 その後の発言などもニュースで流されるようになった。それなりに興味があるので、ネットで見て、ブログに記録しておく。

 「消費増税より若い人たち優遇の政策を」「格差解消訴え」「資産家に高い税金を」など、明快。
 しかし、安倍晋三首相は国会で、 ピケティ氏提言の資産課税強化について「導入にあたって執行面で難しい」と否定的。
 政権の方針として、法人税減税は実施すると決めているのに。

 ともかく、記事などの見出しを並べるだけでも、想像できそう。

●ピケティ氏「若い人たち優遇の政策を」/NHK 1月31日
●消費増税より若者優遇を=格差解消訴え―ピケティ氏会見/時事通信 1月31日(土)

●ピケティ氏「物価上昇には賃金増しかない」 都内でパネル討論/日経 1/29
●ピケティ教授、東大で講義 「公平な社会を作って」/日経 1/31
●「21世紀の資本」著者ピケティ氏がアベノミクスに“ダメ出し”/日刊ゲンダイ 1月30日
●「資産家に高い税金を」ピケティ氏が持論展開/読売 1月31日

●<21世紀の資本>広がるピケティ現象…異例のベストセラー/毎日 1月31日

●首相と民主、格差論争…ピケティ氏著作巡り/読売 1月30日
●安倍首相「執行面で難しい」ピケティ氏提言の資産課税強化について/j-cast 1/29

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●トマ・ピケティ 経済学者生年月日: 1971年5月7日 (43歳)
          ウィキペディア
トマ・ピケティ(Thomas Piketty、1971年5月7日 - )は、フランスの経済学者。クリシー出身。経済学博士。パリの高等師範学校の出身で、経済的不平等の専門家であり、特に歴史比較の観点からの研究を行っている。2002年にフランス最優秀若手経済学者賞 (Prix du meilleur jeune économiste de France) を受賞。パリ経済学校 (École d'économie de Paris, EEP) 設立の中心人物であり、現在はその教授である。また、社会科学高等研究院 (EHESS)の研究代表者でもある。

トマ・ピケティは、フランスの経済学者。クリシー出身。経済学博士。パリの高等師範学校の出身で、経済的不平等の専門家であり、特に歴史比較の観点からの研究を行っている。2002年にフランス最優秀若手経済学者賞を受賞。パリ経済学校設立の中心人物であり、現在はその教授である。

●ピケティ氏「若い人たち優遇の政策を」
        NHK 1月31日 13時02分
 来日中の、格差の拡大を論じた著書で知られるフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏が31日に東京都内で会見し、日本でも格差拡大を抑えるために、累進課税を強化するなど、若い人たちを優遇するような政策をとるべきだという考えを示しました。

トマ・ピケティ氏が書いた「21世紀の資本」は、20か国以上の納税記録などの膨大なデータを分析して資本主義の下で格差が拡大したことを実証しようとしたもので、世界で100万部以上が売れたとされています。

また、日本語版も先月の発売以来13万部販売されるなど、700ページを超える経済専門書としては異例のベストセラーとなっています。
日本記者クラブで会見したピケティ氏は、日本などで格差に対する関心が高まっている理由として、「多くの人たちが、統計を見るまでもなく、富裕層のほうが中間層などよりも所得が増えていると感じている。とりわけ成長率が低い国では不平等を感じるのだ」と述べました。

さらにピケティ氏は「日本は、アメリカほどの極端な格差はないが、若い世代は富へのアクセスが難しくなっている。所得の低い人たちの税を低減し、富を蓄積した世代の所得税や不動産税を増大するなど、若者を利する政策をとるべきだ」と述べて、累進課税や教育支援の強化などを通じて、所得格差の拡大を抑制すべきだという考えを示しました。

●消費増税より若者優遇を=格差解消訴え―ピケティ氏会見
       時事通信 1月31日(土)15時35分配信
 経済格差の問題を取り上げた著書「21世紀の資本」が世界的ベストセラーとなったフランスの経済学者トマ・ピケティ氏が31日、東京都内の日本記者クラブで会見し、日本は格差が拡大しており、消費増税よりも、「若者に有利となる税制改正」を実施すべきだと述べた。

 同氏は質疑応答で、「万人に課す消費税(率)を上げても、あまり良い結果を生んでいない。日本の財政再建は、高所得層に高税を課したり、富を持たない若者や中低所得層の所得税を引き下げたりする取り組みが優先事項だ」と語った。

 同書の日本語版発売を機に来日。行き過ぎた格差は、一国の成長に悪影響を及ぼす政治・経済両面の問題だと強調し、制度や政策の見直しによる是正の重要性を訴えた。

 欧州で相次いだ多国籍企業の納税回避については、不正抑止に向け、法人税の最低税率を国際的に統一する必要があると指摘。日米欧にルール導入の模索を呼び掛けた。

●ピケティ氏「物価上昇には賃金増しかない」 都内でパネル討論
        日経 2015/1/29 20:38
 来日中のパリ経済学校教授のトマ・ピケティ氏は29日、東京都内で講演し、各国で広がる富や所得の格差は「グローバル化の結果だけではない」と述べた。「教育や労働市場、企業統治、財政政策が長期的に決定する」として、各国の制度や政策が大きな影響を与えると強調した。日本経済については「低成長が続くなかで、過去に蓄積した富が不平等につながる」と指摘した。

 ピケティ氏は世界的なベストセラーになった著書「21世紀の資本」で、資本主義社会では「資本収益率が経済成長率を上回り、富や所得の格差が拡大する」とする仮説を唱えた。

 講演では、格差の是正策として「累進課税は最も透明性が高く、民主的な制度だ」と強調。日本経済に関しては「国民所得に対する資産の比率は欧州の推移と似ている。比率はこの数十年上がってきており、相続財産に依存する社会に戻ってきている」と述べた。

 講演後のパネル討論ではアベノミクスに触れて「リフレ政策は不動産バブルにならないか」と懸念を示し、「物価を上昇させるなら賃金を増やすしかない」と指摘した。

●ピケティ教授、東大で講義 「公平な社会を作って」
          日経 2015/1/31
 『21世紀の資本』が各国で話題になっているパリ経済学校のトマ・ピケティ教授が31日、東大で学生らに講義を開いた。お金持ちでないと一流大学に行きにくい現状を問題視した同氏に学生は「幸運にも良い教育を受けている我々は何をすべきか」と質問。「(親の所得に関係ない)公平な社会をつくってほしい。私の本はそのために書かれたものだ」と答えた。

 同氏は著書の中で、預金や株式、不動産などの純資産を持つ人に資産額に応じた税金を世界共通で課すよう提言している。講義では「経済成長が鈍る一方で資本収益率は高いままだ」と語り、富の集中を是正しないと19世紀のような格差社会に戻ると訴えた。

 「格差是正には相続税の方が受け入れられやすいのでは」との質問には「相続税は一部の資産にしか課税されない。(保有する株や不動産に税金を課す)累進資本課税の方が富の集中を回避できる」と語った。

 同日、ピケティ教授は日本記者クラブでも記者会見した。アベノミクスについて問われると「若者に利する税制改革が必要だ」と語り、若い中低所得層の税を引き下げるべきだと語った。消費増税については「日本の成長に対して良い結果を生んでいない」と否定的な見方を述べた。

●「21世紀の資本」著者ピケティ氏がアベノミクスに“ダメ出し”
        日刊ゲンダイ 2015年1月30日
 5940円もする経済専門書が発売から1カ月強で13万部のバカ売れ。日本でも空前の大ブームとなっている「21世紀の資本」の著者、仏経済学者トマ・ピケティ氏(43=パリ経済学校教授)が初来日し、29日に都内でシンポジウムが開かれた。

 資本主義社会で拡大する格差を、世界20カ国以上の過去200年の税務データから実証したピケティ氏。その主張は簡単に言えば、〈株や不動産などの投資で得られる利益率は、労働による賃金の上昇率を上回る。その結果、財産のある富裕層がさらに金持ちになり、格差拡大は止まらない。是正のためには、富裕層への世界的な資産課税強化が必要〉というものだ。

 さて、講演でのピケティ氏は、日本の現状についてこう言った。

日本も資産課税の強化が必要で、加えて男女平等により、出生率を上げる重要性を指摘した。

■消費増税や量的緩和にも厳しい指摘
 後半はパネルディスカッションだったのだが、パネリストのひとり、西村康稔内閣府副大臣が、政府の「雇用者100万人増」や「トリクルダウンの試み」について説明。「アベノミクスが格差を拡大しているというのは誤解である」と力説した。

 しかし、ピケティ氏はこれにやんわり反論。

「確かに日本の格差は米国ほどではない。しかし、上位10%の富裕層の所得は、国民所得全体の30~40%まで広がっています。日本がゼロに近い低成長なのに、上位の所得が増えているということは、裏を返せば、実質的に購買力を減らしている人がいるということです。日本の最高所得税率は1960~70年代より下がっています。上位10%の所得が増えているのに、税率が低い状態では格差が広がるばかり。所得税の累進性を高めるべきです」

「日本のように人口減かつ低成長の国では、過去に蓄積された資産が相続によって一部の富裕層により集中し、格差拡大の要因になる」
ピケティ氏は、消費増税や量的緩和についても厳しい見方だった。

「消費増税は正しいのかどうか。むしろ低所得者への課税を弱め、富裕層の資産課税を強めるべきです。紙幣を増刷することもいいのかどうか。税制改正より紙幣を刷る方がやりやすいですが、緩和したマネーがどこへ行っているのか分かりません。金融政策だけでなく、財政改革、教育改革、累進性のある税制改革も必要です」

 国会審議ではこのところ、ピケティ氏の格差拡大論や資産課税論が引き合いに出される場面が増えている。経済界のロックスターとまで呼ばれる人気学者に“ダメ出し”された安倍首相。それでもまだ「この道しかない」と言い続けるのだろうか。

●「資産家に高い税金を」ピケティ氏が持論展開
     1月31日(土)12時46分 読売新聞
日本記者クラブで記者会見する経済学者のトマ・ピケティさん(31日午前10時40分、東京都千代田区で)=加藤祐治撮影
 格差問題について論じた世界的なベストセラー「21世紀の資本」の著者で、来日中の仏経済学者、トマ・ピケティ氏が31日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見した。

 主張は、経済が成長しても格差は解消されず、資産家への富の集中が続くことで、貧富の差はむしろ拡大していくというもの。ピケティ氏は「(広く薄く課税する)消費税を上げるのは、成長を促す観点でいい結果を生んでいない。資産家に高い税金をかけ、若者が有利になる累進課税にすべきだ」と持論を展開した。

 また、「米国が成長しているのは大学での技術革新の結果だ。日本も教育にもっと投資すべきだ」と指摘した。

 一方、ピケティ氏は「本を読む人が多い日本で私の本が売れて、うれしく感じる」と述べた。

●<21世紀の資本>広がるピケティ現象…異例のベストセラー
       毎日新聞 1月31日(土)8時31分配信
 膨大なデータを基に富の分配と格差問題を掘り下げた著書「21世紀の資本」が注目を集めている。約700ページの分厚い経済書にもかかわらず、世界で150万部以上が売れる異例のベストセラーとなり、執筆したフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏(43)は一躍「時の人」になった。格差拡大に警鐘を鳴らすピケティ氏だが、その主張には批判的な見方もあり、論争も呼んでいる。【竹地広憲、ワシントン清水憲司】

 ◇格差論争、世界で熱帯び
 「21世紀の資本」は2013年8月にフランスで出版されたが、ブームに火が付いたのは14年4月に米国で英語版が刊行されてから。貧富の格差が社会的な問題となっている米国では反響も大きく、50万部以上売り上げた。

 オバマ大統領は今月20日の一般教書演説で、年収50万ドル(約6000万円)以上の「上位1%の富裕層」への課税強化を打ち出し、格差是正に取り組む姿勢をアピールした。ニューヨーク・タイムズなど有力紙は、一般教書演説について、ピケティ氏の影響があったと指摘した。

 格差への不満が爆発した11年の「ウォール街占拠運動」もピケティ氏の過去の研究が支えになった。同氏の業績について、ノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン氏は「(富の偏在は)実力主義の結果だとの神話が突き崩された」と評価した。クリントン政権で財務長官だったローレンス・サマーズ氏も「有識者のスター」と称賛し、民主党に近い識者から歓迎されている。

 ◇日本語版も13万部発行
 「21世紀の資本」は日本でも売れている。日本語版は14年12月、みすず書房から刊行され、すでに13万部が発行(販売部数は未集計)された。経済学者らが同書を読み解く研究会を開くなど関心が高まっている。

 背景には格差拡大への懸念がある。日本は米国ほど格差は大きくないとされるが、正社員より収入が低い非正規雇用の比率は雇用者全体の4割近くに達した。政府は「アベノミクス効果で失業率が改善した」と強調するが、「非正規雇用が多く、格差が広がっている」との批判は根強い。東京都内の書店で「21世紀の資本」の解説本を購入した50代の男性は「日本でも関心が高いのは、格差問題に対する問題意識があるから」と指摘した。

 ◇「理論的説明不足」批判も
 「21世紀の資本」を巡っては、批判的な見解も出ている。

 03~05年にブッシュ共和党政権で大統領経済諮問委員長を務めたグレゴリー・マンキュー米ハーバード大教授は今月上旬の米経済学会の大会で、「21世紀の資本」が格差拡大の要因と指摘している「r>gの不等式」を批判的に取り上げた。

 「r>gの不等式」とは、「株式、預金、不動産などの資本の収益率(r)が、経済の成長率(g)を歴史的に上回っており、資本を多く持つ人ほど収入が増えて格差が拡大する」という「21世紀の資本」のキーワードだ。

 だが、マンキュー氏は「rを引き下げようとすれば、(企業などへの)投資が鈍り、(経済活動が弱まって)資本家も労働者も貧しくなる」と強調し、「ピケティ氏は富裕層が嫌いなようだ」と語った。この大会には、ピケティ氏も出席していて「富裕層は政治家や学者さえも『買って』しまう」とやり返した。

 「21世紀の資本」に関しては、膨大なデータを駆使して、格差の歴史を実証的に示したことを評価する声が多い。ただ、英紙フィナンシャル・タイムズが「データが恣意(しい)的」と指摘(ピケティ氏は反論)したほか、米経済学者らの間で「なぜ『r>g』が成り立つのか理論的な説明が不十分。今後、格差が拡大するとは限らない」との見方もある。今後も賛否両論を巻き起こしながら、ピケティ氏の主張を巡る論争が熱を帯びそうだ。

 ◇21世紀の資本◇
 欧米や日本など20カ国以上の膨大なデータを基に富の分配や格差の歴史を明らかにし、資本主義の下では格差が拡大しやすいと警告。上位1%の富裕層が国全体の所得の何%を得ているかなど、分かりやすいデータをふんだんに盛り込んだ。

 格差拡大の要因として示したのが「r>g」という不等式。株式や預金、不動産などの「資本」の収益率(r)が、経済の成長率(g)を上回るのが歴史的な事実と指摘。この結果、資本主義社会では、相続などで資本を多く持つ人ほど豊かになり、自動的に格差が拡大する懸念があることを示した。

 格差を解消する手段として、資本に対する国際的な累進課税を提唱。富裕層ほど高い税金を課すのが特徴だが、その実現性を疑問視する声も多い。

●首相と民主、格差論争…ピケティ氏著作巡り
     最終更新:1月30日(金)9時58分読売新聞
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 衆院予算委員会での質疑が29日に始まり、安倍首相と民主党が「格差」問題をめぐり、激しい論戦を展開した。

 民主党は格差問題を安倍内閣への対決軸として前面に打ち出す構えだ。だが、具体的な対案を示すには至っておらず、政策論議が深まるかどうかは微妙だ。

 民主党の長妻昭代表代行は、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の著書「21世紀の資本」に触れ、格差問題を追及した。経済協力開発機構(OECD)のリポートに基づき、「所得格差が拡大すると経済成長が低下する。税の再分配機能を強めていくべきだ」とただした。

 これに対し、首相は「ピケティ氏も成長は否定していない。成長せずに分配だけを考えていけば、じり貧になる」と真っ向から反論した。

 すると、長妻氏は「適切な分配がなければ、持続的な成長ができない」と応酬。首相は「ピケティ氏は本書で『日本は1945年以降、格差の顕著な拡大はない』と述べている」と指摘し、格差問題に固執する民主党や長妻氏をけん制した。

 首相側はこの日の論戦に向け、早くから準備を進めていた。

 長妻氏が、貧困家庭で子どもの教育機会が失われる「教育格差」について追及すると、首相はすかさず、政府が現在、取り組んでいる「高校生への奨学金拡充」「中学校などへのスクールソーシャルワーカーの配置」などの具体的な施策をいくつも並べて説明。既に手を打っていることをアピールした。

●安倍首相「執行面で難しい」ピケティ氏提言の資産課税強化について
      j-cast 2015/1/29 12:36
2015年1月28日、参議院本会議で安倍晋三首相はフランスの経済学者トマ・ピケティが格差解消のために資産課税を強化すべきという主張に対して、「導入にあたって執行面で難しい」と否定的な見解を述べた。日本を元気にする会の松田公太代表の質問で答えた。

松田氏の「ピケティ氏は首相の金融緩和に否定的な見方だ」という指摘には「日銀の金融緩和は固定化したデフレマインドを一掃し、持続的な経済成長の実現を目指すもの」と反論。「企業収益の拡大が賃金上昇や雇用拡大につながる」と述べた。


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