ワインは葡萄で造られますが、実は殆んどの場合複数の種類の葡萄をブレンドします。アルザスやブルゴーニュは単独で造ることが多いのですが、大産地であるボルドーやローヌなどの南仏ではほぼ必ずブレンドです。
これは本来天候によるリスクを収穫期の違う葡萄を植えることで回避したり、強すぎる個性の葡萄に優しさを加えたり、或いは控えめな葡萄にちょっと個性を添えたりして欠点を隠すような意図があったのだろうと思います。
勿論、現在でもそれはあるのですが、栽培技術や醸造技術が進んだ今日では「より芸術的」な意味合いが強くなっていると言っていいと思います。特に南仏のワインに於いては認可されている品種は殆んど変わっていませんが、その比率が変わってきています。或いはその品種の収穫後の状態が良くなっていることによる出来上がりの健全さも目を見張るものがあります。
力強いが繊細で、スパイシーな香りのバックボーンにはフルーティさがあり、強すぎないタンニンに熟成感も感じられます。
逆にある意味、健全すぎてねえ、と言う意見もあるかもしれません。しかし多くの場合、うまく行っていると言っていいのではないでしょうか。少なくとも少し前に南仏なのにボルドー系の品種を強調したり、ブルゴーニュ系のピノノワールやシャルドネをやっているワイナリーが目立ちましたが最近では地元品種のブレンドに回帰しています。(と私のは見えていますが・・・)
何しろ複数の葡萄の個性が万華鏡のように現れるわけですからソムリエ的にはあわせる料理が楽しくなります。特に白ワインに於いては温度の幅が広がり、まずは冷やして喉を癒し、時間とともに温度が上がり、まろやかさと複雑さが広がって、料理の選択肢が増えるのです。同じワインでもグラスと温度の選択で違う料理に合わせられるのです。
と言うことでそむりえ亭では今月のグラスワインは赤白合わせ7種の南仏のワイン、2種のボルドーワイン、そうそうシャンパーニュも2種ありますね。どうぞブレンドの妙をお楽しみくださいませませ!!!