小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

100分 de 名著~「マキャベリの君主論」

2011-10-06 10:03:02 | Weblog
昨日、BSをつけたら「100分 de 名著」をやっていて、お題はマキャベリの「君主論」でした。

昨日見たのは第1回で、マキャベリの有名な言葉として、

「愛される君主と恐れられる君主を比較するならば、
 愛されるより恐れられるほうがはるかに安全である」

が取り上げられていました。
(徹底した現実論ですね)。

この言葉ひとつとってみても、
あまりわが国のメディアと相性の良さそうな書物ではないのですが、
この番組では、ニーチェの「ツァラトウストラ」を取り上げたり、
(超人思想と言う、戦後民主主義とは明らかに背反する書物)
NHKは時々こういう番組を作りますね。


ただ、ちょっと驚いたのは司会の堀尾キャスターが、番組の最後の方で、
「つまりマキャベリは自分自身のことよりも、国家のためになることを選んだのですね」
と、感心したことでしょうか。

君主論の著者が、自分を含めた個人より国家を選ぶのは当たり前の話です。
別に感心するようなことではありません。

堀尾さんはNHKのキャスター出身としてやってきた人であり、
メディアのトップランナーとすると、”最初に個人ありき”の思考回路があるのでしょう。
これは当然の言葉かもしれません。
(かくいう私も会社員時代には、
 当時の社長が口にした「滅私暴行」という言葉に大いに反発した人間です)。


マキャベリの「君主論」は、徹底した現実論に思いますが、
現実論を見ないで通ろうというのは、戦後民主主義の弱点にも思えます。

昨日取り上げた、ケビン・メア氏の「決断できない日本」にしても、
沖縄問題というのは、騒音や米兵の少女強姦など許されざる問題点も多い一方で、
日米という国家全体を考えると、中国や北朝鮮への抑止として必要不可欠です。

しかしながら、メア氏を追いつめた平和主義の人たちや、一部の左翼系の人たちは
「北朝鮮や中国が攻めてくることなんて、あり得ない」というところから話を出発しています。
これでは話が噛み合うはずはないのだけど、
「君主論」に書かれていることは、「攻めてくることなんてあり得ない、なんてあり得ない」
といったことを出発点にした良い教訓の書です。


それにしても、語るに落ちたというと失礼ですが、
メディアがなぜ偏向報道をするのか、少しわかったような気がします。
故意に記事を流す場合もあるだろうけど、無意識にやってることも多いのね。


写真は先日の法事で撮った吉祥寺内の塔頭。
先の震災で倒れたままになっているものが多く見られました。
コメント (7)
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