昨日は去年に引き続き、年末の第九を聴きに行く。
場所は錦糸町の「
すみだトリフォニーホール」で、これまた去年と同じ。
本当はリニューアルしたサントリーホールに行きたかったのだが、こちらは早々どのチケットも売り切れ。
だが、トリフォニーホールは素晴らしく音響の良いコンサートホールなので、その点は言うことなし。
昨年は広上淳一・指揮の演奏が、まことにスケールが大きく見事だったが、
今回は同じ新日本フィルにハインリヒ・シフという、チェリスト出身のオーストリア人はタクトを振った。
はたして演奏はというと、これぞ本場のベートーベン!
ベートーベンが何を考えて、この音楽を創造したのか、実に深く考えて掘り下げたものだった。
当然ながら、4楽章でバリトンが「オ、オ~、フロイデ」と歌うまで、この音楽に人の声は入らない。
歌には意味があって、その点でも抽象的な器楽の演奏とは対照的だ。
4楽章の「声」に到達するまで、聴衆は45分から50分という時間、3つのまったく違った楽章を聴かなければならない。
そこにベートーベンの意図がある。
どんな意図かは、長くなるし言葉で言い尽くせるものでもないが、
あえて無理して言うと、この宇宙を構成するものがすべて
第九という音楽の中に入っているとでも言おうか。
第九ではないが、たとえば有名な第五交響曲の運命の動機。
あれはベートーベンにとって、分子や原子のような音の最小単位なんだと思う。
色んなところに出てくるもんね。
今回はそんなことを感じさせた演奏でした。
また、それに応えることのできる新日本フィルも凄い。
今や日本人の演奏家の水準は世界トップレベルだね。
終ったあとの拍手はまさに賞賛の嵐。
第九のあとには珍しく、ソリスト4人によるドイツ民謡。
そしてシフが自らチェロをとってバッハの無伴奏1番から「サラバンド」という、2曲のアンコール。
嬉しいクリスマスプレゼントだね。
本当に満足のコンサートでした。