小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

2018年のシメは「フェルメール展」でした♪

2018-12-31 10:09:10 | Weblog

話題のフェルメール展、行ってきました。

チケット入手方法が煩雑だ、予約制でも並ぶ、2500円と高い。
そう言われている本展ですが、結論から申し上げると絶対行った方が良い。
それが私の意見です。

周知の通り、現存する作品は37点と、レオナルド・ダ・ヴィンチに次ぐ寡作作家であるのに、その9点(1月9日までは8点)が上野の集まっていると言うことです。

前座と行っても差し支えない、6室に分かれたオランダ絵画を見た後、光の回廊を通って見るフェルメールはまさしく別物です。外国でご覧になった人も多いと思いますが、5都市に分散していたフェルメールが一堂に会する様子はまさしく圧巻。

見たことある方も行った方が良いと思います。

私がフェルメールの名を知ったのは、中学2年生くらいの時でしょうか。
親に買ってもらったダリの画集の中に、彼の名とデルフトの地名があったことで、興味を持ったことがあります。

ダリはフェルメールの熱心な信奉者でした。
彼はフェルメールが描いたデルフトの眺望を自分の絵の中にオマージュとして何度も取り入れていましたが、もしかすると今日のフェルメール人気を最初に拓いた人は、かのサルバドール・ダリだったかもしれません。

それにしてもフェルメール。
一見、何の変哲もない室内の様子を描いた作品なのに、不思議としか言いようのない空間です。それは、のちにダリをはじめとするシュールレアリズムの絵画に共通する「この絵の中に入ると、いったいどんな世界があるのだろう?」と言うことを、感じさせずにはいられません。

見る人を絵の世界に引きずりこみ、画家の目や脳の裏側に潜んでいる世界を、見る人に共有させる。それがある意味、シュールレアリズムの本質なのですが、フェルメールの持っている不思議な空間が、21世紀になってもダリをはじめ、多くの人々の心を捉えると言うのはきわめて興味ふかいことですね。

別の意味で興味深かったのは、左上の「牛乳を注ぐ女」の色が修復で明るくなっていたことでしょうか。

この絵は、私にとっては小学館発行の「美術の図鑑」を見て親しんでいた絵ですが、半世紀ほど前の印刷ではもっと茶色っぽい絵でした。
30年ほど前にアムステルダムで本物を初めて見た時も、色合いに関しては、そんなに違和感を覚えなかったのですが、今回の来日ではだいぶ明るくなっていて、あのラピスラズリの青もよりクリアに見えていました。

もっとも美術館というのは、けっこうマメに修復をするケースもあるようです。他の作品もこまめに直しているかもしれません。

ともあれフェルメール展、チケットのゲットと入場は思ったより面倒ですが、それでも行く価値アリです。2度と集まらない本展、東京が終わると大阪でも開催するそうです。

ぜひ足を運ばれてはいかがでしょう。

カテゴリー: Weblog   作成者: マスオさん パーマリンク

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草津温泉・一井旅館で味わった昭和のなつかしいお味

2018-12-30 09:22:13 | Weblog

草津温泉から一週間経ちました。

草津温泉は山の中なのですが、新潟が近いために意外に刺身がうまいと聞きました。実際に頂いてみると、なるほど流通の良い昨今。東京で食す刺身となんら遜色ありません。

でもやっぱり奥山に入れ分けた地では、魚よりも米や豆、野菜に肉などが嬉しいですね。味を言葉にすると言うのは、なかなか難しいことなのですが、泊まった一井旅館で驚いたのが、昭和のなつかしいお味でした。

▲こちら、見た目は普通の旅館の食事ですが、鶏肉のソースが何か懐かしい味。

そうだ、子どもの時に食べた洋食の味です!

食べ物というのは、文字通り食べるとなくなってしまう一過性のものなので、そのお皿がどんな料理であったかは、本当の意味で言うと記憶でしか残りません。

マクドナルドやケンタッキーフライドチキンが日本に上陸したのは、私が小学生から中学生くらいの時で、その前後では食生活が劇的に変わりました。

そう、ここ一井旅館の味は、私がケンタッキー前に食べていたお味だったのです。

試しに仲居さんに「板長はおいくつくらいの方ですか」と聞いたところ、「50代の方です」とのお答えが!

ビンゴ!

先付けに出てきた創作料理も美味しかったけど、個人的な好みでいうと、やっぱり昭和洋食の味かな〜。

赤坂田町通りにはマルーモという創業40年と言うイタリアンの老舗があるのですが、実はその前にサンワと言う洋食の店がありました(そんなこと言っても、誰も知らない話ですが(笑)。

そこのデミグラスソースやホワイトソース(今はベシャメルソースって言うよね)の味が、草津温泉で味わえるとは!

古代ローマの美食は、今のイタリアのようにトマトは使われておらず(南米から伝わったのが17世紀の大航海時代)、リンゴとハチミツをベースにした酸味と甘みの料理だったそうです。本国イタリアでは古代ローマのお味は失われたものの、遠くドイツや北欧に、その酸味と甘味が残されたなんて聞きます。まあ、もちろんそれを証明することはできませんが。

以前、鎌倉で食べた洋食にそんななつかしさを覚えたことがありますが、いや〜、昭和は遠くになりにけり。

草津温泉、また行きたいなあ♪

 

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「恐怖の報酬」(1977年版)リバイバルに行きました!〜サスペリアのオリジナル版も実は意外に良く出来ていました

2018-12-27 09:54:01 | Weblog

「恐怖の報酬」、エクソシストのウイリアム・フリードキン監督による、1977年のリメイク版が40年ぶりのリバイバルと聞き、行ってきました。

ざっくり物語言うと………
南米で起こった油田の火事を消し止めるために、300km先の現場までニトログリセリンを、別々の理由で集まった四人の犯罪者がトラックで運ぶと言う内容です。

予告編はこちら

この映画のオリジナルは、「七人の侍」と同じ1953年に作られたイヴ・モンタン主演のフランス映画で、私の子どもの時分にはよくテレビ放映をされていたもの。
そのリメイクがフリードキンによる本編というわけです。

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督によるオリジナルは、名画の誉れ高いモノクロ作品でしたが、フリードキン版は公開当時、評論家からクソミソに言われたこともあってか大コケ。

現在の価格で100億もの製作費をかけた大作でしたが、スターウォーズの大ヒットとカチ合ったり、監督に無断で30分カットされた短縮版が公開されたりと、コケるはモメるはと言う、曰く付きの映画だったようです。

私も未見だったこともあり、長らく金をかけた駄作だと思っていたのですが、実は最近になって、評価の高い傑作らしいと聞いてびっくり!

タンジェリン・ドリームの音楽は何度も聞いていたのですが、当時の低評価に尻込みして見ていなかったので、フリードキンによる完全版とやらを見に行きことにしました。

見れば、なるほどの傑作でした!
(本作がどう傑作なのかは、ネタばれになるので、皆様には劇場に足を運んで頂くか、いずれDVDで見ていただきたいと思います)。

モノクロのオリジナルとは、まったく違う仕上がりだったので、評論家に嫌われたと言うこともあるのでしょうね。

実はフリードキン監督、エクソシストの呪いなのか、あの映画を作ってからと言うものトンとついてなかったようです。
▼こちらの記事にもあるように、ドミニカ共和国で100万ドルの吊橋のセットを作ったのに、川が干上がってメキシコで作り直しや撮り直しを繰り返しそうです。

制作遅延と予算超過を繰り返していくのに、フリードキンは「呪われている」と思ったとか。

40年経過して、ようやく呪いが説かれたのでしょうか。

それにしても、作品の真の評価とは時間が経たないとわからないもの。

先日、CSで「サスペリア」のオリジナルを見てしまったのですが、意外に良く出来ていたのに驚きました。
こちらは大ヒットしたものの、評論家からクソミソに言われた作品ですが、思ったより格調が高く、後年キューブリックの「シャイニング」が、こちらの影響を受けたと思われるカットがいくつもあって、こちらも驚きでした。

まあ、脚本は結構ザツでしたけど、さすがイタリア人による映画。美術のセンスの良さは目を惹くものがあったなあ。

こちらもリメイク版が公開とのこと。
ちょっといってみようかな。

あ、その前に「ボヘミアン・ラプソディ」見にいかんと(笑)♪

 

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花風社浅見社長+南雲さんの共同ブログ「片道切符でいいんですか?」で思い出したこと

2018-12-26 09:58:39 | Weblog

花風社の浅見社長と南雲明彦さんの共同ブログ「片道切符でいいんですか?」のイラストがアップしてされました。
サイトの関係で今のところ一部が切れてしまってますが、近く調整予定です。とりあえずイラスト全体をこちらでお楽しみくださいませ。

さて、こちらのブログ。
こんなサブタイトルがついています。

発達障害の人が実社会で活躍するのを応援するブログです。南雲明彦、浅見淳子が共同で運営していきます。

そう。文字通り、発達障害の人が「実社会」で活躍するのを応援するブログなのですね。実社会……この言葉が大切です。
支援という名のもとに、発達障害の人を囲い込み、税金で飼い殺しにされる人を無くそう、というブログでもあります。

発達障害の世界とは違いますが、私が生まれた前後の大昔に、それに近いことで死に追いやられた人がいました。私の叔母です。

私が生まれた日から数日後の丁度今頃、20代だった叔母は自ら命を絶ちました。
母は長いことそのことを私に言いませんでしたが、あることをきっかけで話してくれました。

叔母は今で言う、うつだったのでしょうね。
母方の祖父と祖母は五人姉妹(うち、その叔母を含めて二人は早世。もう一人は病死)、先に生まれた孫は皆女の子で、私が初めての男の子でしたら、喜びはひとしおだったでしょうけれど、その数日後に姉妹が自殺というのは、何ということでしょう。

一家の気持ちを思うと、何も言葉がありません。長いこと、生まれた子供……すなわち私に話さなかったことも当然かもしれません。

母の話では、亡き叔母は精神病院に入れられて、電気ショックなどの療法を受けていたそうです。あのイーストウッド監督の「チェンジリング」にも出てくる、悪名高い電気ショック療法です。

今となっては、その病院に非があったのかどうかを知ることは出来ません。でも、それはまちがいなくギルティ(有罪)でしょうね。
現在でも患者を治さないで「固定資産」にしている精神病院が多いと聞きます。

▼ いや、普通の医療でもこういうことがあるのですね。
医者も色々〜こんな医療はまっぴらです!

共同ブログ「片道切符でいいんですか?」のイラストをアップして、ついそんなことを思い出してしまいました。と言うか、そんなことを許してはいかんだろ!
何のための支援や医療なのか。世のため、人のため、そんなものはなくしてしまわないといけません。

花風社浅見社長+南雲さんの共同ブログ「片道切符でいいんですか?」を心より応援いたします。

 

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「パッドマン」素晴らしかったです!〜でも、劇場TOHOシネマズ・シャンテ(元シネ・シャンテ)のシステム、何とかなりませんか?

2018-12-25 10:15:38 | Weblog

主演のパッドマン役・アクシャイ・クマールです(Wikiより)。

なかなか、ボヘミアン・ラプソディーにたどり着けません(笑)。
昨日も行くつもりでいながら、すでにインド映画「パッドマン」が公開されていることから、急遽変更して、そちらに行くことにしました。

「パッドマン」の概要はこちら予告編を!

連休11:00の回とあって、館内は満員御礼。
時代は変わったものです。大森で見たバーフバリよりお客が入っているじゃありませんか。いや〜、10億の人口を抱えるインド映画の勢いはすごいですね。

舞台はヒンドゥー教の聖地でもあるバラーナス(ベナレス、バラナシとも言います)周辺の村で、聖なるガンジス川の流域です。
時代は2001年ですが、 今でもカースト制度をはじめとする因習が深く残るところですから、当然、男性が女性の生理用品を作るなんてとんでもない話で、これがしかもインドの実話をもとにした話というのが驚きです。

過去を現在の価値基準で裁けないというのが私の持論ではありますが、それは「裁けない」ということだけで、どう考えてもダメだろうという昔の価値基準があることは確かです。

宗教によって存在するカースト制度や、女性蔑視などはその典型で、それが現在でも続いているのならなおさらです。

内容の詳細は是非とも劇場に足を運んで、見て頂ければと思います。

今年はインド映画にはじまり、インド映画に終わるという感じで、間違いなく今年の一本はこれでしょうね。

さて、映画が素晴らしかっただけに残念だったのが、劇場の対応です。
前日、インターネット予約をしたにも関わらず、寒空の下で窓口に並ばないといけないのにびっくり。

それというのも、日比谷ミッドタウン周辺の映画館は同じような名前の映画館が、3箇所もあるのですね。

1、ミッドタウン本体の中にはTOHOシネマズ 日比谷 スクリーン1〜11
2、宝塚ビルの地下には、TOHOシネマズ 日比谷 スクリーン12・13
こちらは以前スカラ座と呼ばれた映画館です。

私たちが見たのは3番目の TOHOシネマズ・シャンテと言って、以前のシネ・シャンテだったところです。
ここには各階で発券機が1台づつしかなく、3つある寒い窓口に並ばないとチケットが買えないというシステムなので、どうしても休日には長い行列が出来てしまうというわけです。それを係の人が、いちいち大声で説明しないといけないので、窓口前は大混乱という寸法。

今の券売システムに慣れてる人の中には、けっこうギリギリになって来る方もいるので、座ってる人の膝をかき分け入って来る人が絶えないのです。

TOHOシネマズ・シャンテさん、今時こんな不親切な対応はいけませんよ。
名前が同じようなものなのに、場所が違うのも紛らわしい。

他に劇場の選択肢はいくらでもあるのですから、せめて発券機を増やすくらいの対応はしていただきたいものです。

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草津良いとこ一度はおいで♨︎

2018-12-23 12:23:33 | Weblog

昨日は私の何度目かの誕生日(笑)。

歳を重ねるのが嬉しい年齢でもありませんが、妻が「プレゼント何が良い?」と聞くので、迷わず温泉と答えました。

近場の温泉に日帰りでも良かったのですが、色々調べてくれて、かの草津温泉に夫婦共々初めて行くことに! 西の横綱有馬温泉に対して、草津温泉は東の横綱と呼ばれているそうですが、たまたま、今年の夏と年末で両方とも体験できることになりました。

有馬温泉は家内の親戚の結婚式のついでに立ち寄った感じで、泊まりは神戸だったのですが、草津はもちろんお泊まりです。
草津温泉は群馬県の中でも東京から見ると長野よりで、意外と遠い。

バスだと新宿から4時間半、新幹線だと長野新幹線で軽井沢まで行ってから、バスで1時間半ですから、乗り物に乗ってる時間は有馬温泉に行くのとあまり変わらないのですね。

草津温泉の中心地は「湯畑」と呼ばれる源泉の地区ですが、ここはどこも温泉がコンコンと湧き出ているようで、近くのお寺の鐘などは硫黄成分のため、普通は1000年以上持つはずが、70年くらいでダメになってしまうようで、確かのボロボロの鐘にびっくりでした。

草津名物の湯もみは、95度くらいある源泉を冷ます作業ですが、いまでは熱湯温泉というところでショーとして行われているだけのようです。

私たちが泊まったのは「一井」という老舗旅館でしたが、いざこの湯に入ってびっくり。俗に「お医者さまで草津の湯でも」なんて言いますが、本当に素晴らしい温泉でした。

レモン水より酸性が強いという湯は、もちろん熱め。

入ってる時の気分の良さはもちろんですが、ゆったり湯に浸かった後にいくらでも噴き出してくる汗に驚きでした。
お酒も湯の後では意外なほど回りが良く、一〜二合で酔っ払ってしまい、酔い覚ましに夜の草津を歩いた後もポカポカはひきませんでした。

まさに東の横綱・草津温泉!
今まで入った湯の中でもトップクラスかな。

1月は家内の誕生日に箱根の湯に浸かる予定です♨︎

 

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ゲーテの「ファウスト」はお金の話だった!?〜悲劇の第二部を読了しました

2018-12-19 14:52:35 | Weblog

先日、FMでグノーのオペラ「ファウスト」を耳にして、そういえばうちにゲーテのファウスト原作(池内紀訳、山本容子の装画)があったことを思い出し、本棚の奥を探してみました。

あった、あった♪

手前味噌になりますが、拙著「シエスタおじさん」にある精霊の唄は、ゲーテの「ファウスト・第二部」の終幕を引用したものでした。
終幕の「神秘の合唱」を愛した人は数多くいて、「一千人の交響曲」と呼ばれるマーラーの第八交響曲の第二部も、まさしくこの場面を音楽にしたものです。

ゲーテに対して不遜とは思ったものの、シエスタおじさんを書く上の参考資料として、20年ほど前に購入したのでした。
文脈の関係で、「シエスタおじさん」では池内紀訳をあえて使わず、編集者の知り合いだったドイツ語の先生に詩の意味を教えてもらい、自分の文章にして書いたものでした。

ゲーテのファウストを最初に読んだのは、背伸びしたい盛りの中学生3年の時でした。父のすすめで700ページはあろうかという分厚い新潮文庫を、ワクワクしながらページをめくっていった覚えがあります。

第一部はわかりやすい話だったので、面白くて一気に読了したのですが、第二部はあまりに長大で難解だったため、字面だけ追いかけて、ようやく読み終えました。ただ、当時マーラーの第八が好きだったことや、最後の「神秘の合唱」だけはなぜか惹かれるものがありました。

シエスタおじさんを書いた時も、実は全部は読まずに、マーラーの第八に使われた歌詞をテキストにして、拙著に使う部分を抜粋したのです。

そんなわけで、今回は第二部から読み返すことにしたのですが、読んでびっくり!

ゲーテの「ファウスト」って、お金の話じゃありませんか!

ファウストをご存知ない方のために、超ダイジェストで申し上げると………

この世のすべての知識を得ながら、真理を知ることができなかった老博士ファウストが、悪魔メフィストフェレスに魂を売る契約を交わし、もう一度若さを取り戻す。

若返ったファウストは、この世のあらゆる快楽と悲哀を体験して、素朴な町娘グレートヒェンとの恋に落ち、エトセトラ、etc。
最後に死して魂をメフィストに奪われる直前、かつての恋人グレートヒェンが天上での祈りを捧げ、ファウストの魂は昇天する。

15世紀頃のドイツに実在したと言われる、錬金術師ドクトル・ ファウストス博士をモデルにゲーテが書き上げた長大な戯曲と言われてる。

第一部は若さを得たファウストが、グレートヒェンと恋に落ち、子を宿しながら、彼女の母と兄を殺してしまうという、壮絶かつわかりやすい話ですが、第二部はそうではありません。(余談ながら、グレートヒェンの名は、プリズンブレイク3、4で、凄腕の女殺し屋の名前に使われてます)。

第二部は眠りから覚めたファウストが再びメフィストを従えて、ギリシャ神話からゲルマン神話の世界など、あらゆる西洋伝説にワープしていきます。
ファウストの弟子だったヴァーグナーが作った、人造人間ホムンクルスも、この中の重要なキャラクターですが、とにかく登場人物が多くて多彩です。

ファウストの恋愛が、第一部で登場したグレートヒェンから、トロイアの美女ヘレナに変わるところも、「なぜ?」って感じで、どんな物語なのか把握しにくい。

また、脳の深い部分まで潜っていく構成でもあるため、かのユングでさえファウストの第二部には近寄らなかったと言われていました。

ところが、ところが!

何よりも驚いたことが先にも申し上げたように、ゲーテの「 ファウスト」はお金の話だったのです。

もちろん、そう言い切ってしまえるほど、ゲーテの「ファウスト」は単純な物語ではありません。しかしながら、そもそも「お金とは何か?」と聞かれて、キチンと説明できる人は少ないと思います。

お金は物々交換だった時代から金銀や貨幣に変わリ、やがてそれは紙幣になり、現代ではクレジットカードやビットコインなどと言う、ほぼ実体のないものに変化していきます。いや、お金とは、もともと実体がないものと言っても良いかもしれません。

今のドイツの一部に当たる、ワイマール公国の財務局長だったゲーテは、そんなお金の本質をよく知っていたのかもしれません。
物語に何度も登場する錬金術もその一環です。

皇帝の言いつけで大量の紙幣を発行して、国が大混乱するのは、のちのナチス台頭前のインフレ……あの5億マルク紙幣の発行を予見してるとも言えましょう。

あたらめて読み直して驚いたのが、手塚治虫の「ネオ・ファウスト」(未完成の遺作)でした。
ファウストの物語を戦後復興期から、1960年代の学生紛争の時代に置き換えたストーリーを今、読み返すとこれまたお金の話。

さすが天才・手塚治虫。
物語を創作する力はもちろん、読む力も凄かったのですね。

第一部はこれから読み返して、またブログアップいたします。

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「ウイルス感染詐称詐欺」続き〜こんな表示は無視してください

2018-12-18 11:05:38 | Weblog

▲今朝になっても、Safariから上のような表示が出たので、アップルサポートに連絡をしました。

そしたら、こういう画面はアップルサポートの専門のスタッフが使ってるPCでも、月に2、3回は表示されることがあるそうです。

それというのも、赤字で囲んだところは本物のアップルの警告だそうで、グレーになっているところは、「ウイルス感染詐称詐欺」の会社がやってるサイトなんだそうです。

どういう仕組みで、こういうポップアップが表示されるのかわかりませんが、アップル本社が絡んでるだけに、完全に表示が出ないようにするのは難しいらしいですね。
その警告の文章にはドキッとされますが、特に実害が出るようなことは考えにくいようで……まあ、アップルにしても痛し痒しというところなのでしょう。

こういう表示が出たら、まず一つ前の履歴に一旦戻り、前の履歴を消去してくださいとのことでした。戻れないようでしたら、強制終了してくださいとのこと。
それで、問題は解決するそうです。

あとはサポートに従って余計なインストールを除去しましたので、とりあえずは良かったです。

みなさまのご参考まで。

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注意&拡散希望〜0120-923-568〜「ウイルス感染詐称詐欺」に引っ掛かりそうになりました!

2018-12-17 12:28:09 | Weblog

先程8時50分頃、インターネットのSafariを開いて見ていたところ、突然、画面が切り替わりアップルマークが表示されました。

そして「このPCは3種類のウイルスに感染されています。10分以内に対処しないとパソコンに重大なダメージがかかる可能性があります」という表示が出ました。

画面上に出ていた、0120-923-568という、24時間対応しているというフリーダイヤルにかけると、外国人女性がつたない日本語で「ダイジョウブデス、私タチガ、シッカリサポートシマス」と言いました。

「コノパソコンハ、フィリピン、ニナッテオリマス、イマ、フィリピン、のジョウタイデス」

フィリピン、フィリピン、って一体なんのことかと思ったら、「Sleeping」のこと。
外国人がカタカナ日本語を苦手なのはわかっていましたが、あまりにひどい日本語がに、怪しいとは思いつつも、かえって大丈夫かなと思い(んなわけないですが)、言われた通り、そのサポートを受けました。

遠隔操作アプリまで受けてしまい、画面いっぱいに訳の分からない数字とアルファベットが表示され、これは腹をくくるしかないと、変な開き直りをしてしまいました。

やがてテキストエディットにローマ字でMondaiten(問題点)============================================sabisu(サービス)========= sleeping============== teishi(停止)================================ jikko(実行)===== running

と表示され、
printer======tune up sabisu(チューンナップ・サービス)

1 nen kan==== 38000 YEN

2 nen kan==== 58000 YEN

3 nen======= 68000 YEN

と、サポートサービスを勧めるではありませんか。

「コノ、サポートヲ、エラバナイト。コノサキにススメマセン」
というので、さすがにこれは詐欺だと気づき、アップルのサポートデスクに携帯から同時に電話したところ、「弊社では そのようなサポートは一切していません」とのこと。

やられた!

不幸中の幸いというか、遠隔操作されているとはいえ、完全に乗っ取られたわけではなかったようで、急いでPCを終了させました。

念のため、インターネットバンクの口座を確認してパスワードを変え、カード類も確認。いや〜とりあえずは大事に至らなかったようでよかった!

 0120-923-568で検索すると、明らかなウイルス感染詐称詐欺だったようで、いやいや、世の中油断も隙もあったものではありません。

アップルのサポートに連絡し、こちらも遠隔操作してもらいながら(笑)、PCの様子を見てもらってたところ、「強引なサポートアプリの押し売りですが、ウイルスを植え付けたり、口座から預金を抜いたりはしないようです」とのこと。

ただ、アップルのロゴを無断で使用している時点で犯罪ですね。

初期化までは必要ないようですが、近々に一つ上のバージョンに上げた方が良いでしょうと言われました。

それにしても「自分は詐欺にかからない」とは、間違っても思わない方が良さそうです。本当にアブないところでした。

どうかみなさまもご注意を。拡散、希望いたします!

▼写真は赤坂紫月(しづき)の家庭料理です。

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「ピエール・ボナール展」見に行きました!〜ボナールはロダンの次にクズな野郎だった?

2018-12-16 17:24:31 | Weblog

一昨日、六本木の新国立美術館に「ピエール・ボナール展」を見に行きました。
本日が最終日で、今さら「良かった」というのが申し訳ないようですが、 素晴らしい展覧会でした。

私は長いこと、この人を印象派の後期に属する人だと思っていたのですが、実際にはナビ派と呼ばれる人だったことに、ある時期驚いた記憶があります。
なぜ、印象派だと思っていたかといえば、ボナールやヴュイヤール、ドニなどのナビ派の画家は、絵具のチューブからそのまま出した色あいや点描など、見た目には印象派と区別がつきにくいからです。

自然の光をそのまま捉える印象派の画家たちと違って、ナビ派の名前がヘブライ語で預言者を意味するように、彼らが目指していたアートはもっと思想的で象徴的なものでした。

▲ボナールを語る上で欠かせない存在が、この絵のモデルになったマルトでしょう。

マルトは本名マリア・ブルサン。あのチーズの名前と同じでしょうか。
ボナールに初めて会った時から、名前をいつわり、年も10歳以上ごまかしていたというから、なんか野村沙知代さんを思い出しますが、実際には神経症的な女性だったと言います。

▼Wikiによれば
異常なまでの入浴好きで、一日のかなりの時間を浴室で過ごしていたと言われる。実際、ボナールがマルトを描いた絵は、浴室の情景を表したものが多い。

32年同居して、籍を入れた時に初めてボナールは、マルトの本名と年を知ったそうですが、どの時彼がどう思ったかは、展覧会の資料には何も書いてませんでした。

まあ、それだけ長いこと一緒だったら、びっくりしなかったのでしょうね。

そんな経緯を見ながら絵を観賞すると、ますます興味深々という感じでした。

そもそも、32年も経ってなんで籍を入れたのかというと、当時のボナールにはルネという愛人がいたそうで、どっちを取るかという話になったそうです。

ルネはマルトより若く、ボナールの絵の中でマルトは隅に追いやられてしまいますから、当然、ルネの勝ち!……と思っていたところに、最終的にボナールはマルトを選んで籍を入れてしまいます。

その後、ルネはそれを悲しんだのか自殺してしまうというのだから、すごい話です。全くフランスの画家というか芸術家というのは、ロダンもそうですが、本当にクズ野郎が多いようです。

もっともロダンと違って、ボナールはもっと飄飄とした人だったようで、もちろんルネの自殺も悪意で追いやった訳ではないのでしょうが。

▲展覧会で興味深かったのは、ボナールの絵は立ち位置によって見え方が劇的に変わることでしょう。例えば上の、この絵は左斜めから見た時が一番、自然に見えるのですが、 それが絵によって変わって見えるのです。

ボナールはスケッチやクロッキーをした後は、モデルや風景を見ないで描いたそうですが、その分、空気感や臨場感がすごく、実際に画家が見ていただろう風景が思い浮かんで来ます。

立ち位置も同じことで、実際に画家が、その位置から数多く見ていたのではないかと想像させるところが面白いところです。

ボナール展、終わってしまって、オススメしても見られないのが残念なところですが、見た人の参考になればと思います。

余談ながら、オルセー美術館の所蔵が圧倒的に多かったのですが、やはり箱根のポーラ美術館所属に良い絵がありました。明るく輝かしい、ポーラが好みそうな絵で、「ええもん、お持ちでんな〜(ふろむニセ関西人)」と言いたくなるような作品でした。

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昨日は「ケララの風Ⅱ ミールス祭り」〜「バーフバリ 伝説誕生」という黄金のコースでした!

2018-12-09 13:07:18 | Weblog

 

来年から「ケララの風モーニング」へと再生する、その前のイベント「ミールス祭り」に行って参りました。同時にキネカ大森では「バーフバリ 伝説誕生」を上映中。

同じ大森で、昨日は食事時間と上映時間もぴったりなタイムテーブル。これは行くしかないと、意気揚揚に出かけました。

混雑が予想される「ミールス祭り」でしたが、昼食時間ど真ん中の12時半(実は一番狙いどころ)に到着したところ、前に3組ほどの列でしたからこれはもう想定内。運良く、ものの5分ほどで店内に案内されました。

この週は群馬から前橋チャンカラの岡田シェフのご参戦。
ケララの風のお味を踏襲しながらも、少しホットな味も交えたミールスはやはり絶品♫
ほうれん草のカレーは3度おかわりする美味しさでした。

店のシフトが変わるのは残念ですが、ケララの風はまだ味わえると、混雑の店内を早々にご挨拶して次の目的地、キネカ大森を目指します!

今年の初めに見た「バーフバリ 王の凱旋」は、2本あるバーフバリの後半の物語。
後半を先に見て、前半を後から見るという変則の見方でしたが、まあ、どっちから観ても変わらないかな(笑)。

キネカ大森では、本編の前に女優の片桐はいりさん主演の短編作品が上映されてるため、何ともぎり嬢がはいりさんご本人という、豪華なオマケつき♪
本物は細身で背の高い素敵な方でした。

ご本人から撮影の許可をいただき、上映ホールに突入です!
はいりさん、実はケララの風ミールス祭りにも、こっそりいらしていたようです。

先週「踊るマハラジャ」を見ていたので、もう少し免疫ができたかなと思いましたが、やっぱりインド映画はすごい!

あのガガさまをして「次はボリウッドの時代よ」と言わしめるほど……いや、ボリウッドはボンベイ(現ムンバイ)のことですから、テルグ語のバーフバリはさしずめテルウッド??

後編の「バーフバリ 王の凱旋」は2時間半が回想シーンなのにびっくりしましたが、前編も1時間くらいが回想シーンなのに、さらにびっくり!

前後編合わせて5時間半のうち、3時間半が回想シーンというびっくりでした。

インドの古代叙事詩「マハバーラタ」をベースにしてるというだけあった、白眉は何と言っても戦闘シーンですが、主人公バーフバリ(とその息子シヴドゥ)のマンガ顔負けの超人ぶりにも堪能です。

見終わって大満足したものの、圧倒的なインドパワーの前に、しばしぐったり。

3回おかわりしたケララの風ミールス祭りもすっかり消化され、ともかくも半日以上の大森滞在を堪能しました。
沼尻シェフ、1月4日のダジャレかるた大会は参加の方向ですので、何卒よろしくお願い致しますね♡

さーて、最初に見ようと思って、まだ見ていない「ボヘミアン・ラプソディ」。いったい、いつ行こうかな(笑)。

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LGBTとその支援者、そして全然違うゲイバーのママさん

2018-12-07 10:08:51 | Weblog

先月末、セブン区議のビジネスフォーラムに出席したときのこと。

出席者の中でもひときわ目立つ、ピンクでふわふわのジャケットを纏ったおじさんとお話しする機会がありました。見たまんま、いわゆるニューハーフの方ですが、カルーセル麻紀と同期とおっしゃっていましたから、そこそこのお年です。

ゲイバーなんて言葉、今時あまり言いませんが、赤坂3丁目にあるお店のママさんだそうで、赤坂芸者さんと一緒に会の盛り立てに一役買っておりました。

130人以上はいた出席者の中でも、つい目が行ってしまう存在ではありましたが、出席者の多くは遠巻きに見るわけでもなく普通に会話をしていました。わたしも立食のテーブルが一緒になったところで、ちょっとだけ立ち話。

「わたしねえ、カルーセル麻紀と同期なのよ。あの人はホントに女になっちゃったけど、わたしはそこまでしたくなかったから」

「もう、ご経歴は長いんですね」

「そうよ、この歳で続けていくの、けっこう大変なんだから」

「そうでしょうね〜」

「今度、お店来てちょうだい。アンタ、タイプだから」

「い、いやいや、わたしはそんな……(笑)」

まあ、あまり好かれても困りますが、業界では有名な方みたいで、ずっとこの道一筋でご飯を食べているのですから立派なものです。

そこで最近マスコミで喧しいLGBTの話を降ったのですが、あまり関心がなかったようです。というかママさんはそんなことより、お店に来て欲しいのですね。

長い経歴から差別なんて山ほどされて来たでしょうし、好きな人、嫌がる人も大勢見て来ただろうから、「今更そんな話?」って感じでした。余計なこと聞いちゃったよね。そもそも、LGBTなんてその方の時代にはなかった言葉だしねえ。

さて。その翌日……テレビでNHKをつけたらLGBT専用の下着開発のニュースをやっていました。

うーん。
開発してる人は真剣だろうけど、それって朝から必要なニュースか??

拙ブログでもいまだわたしは同性婚に反対でしたのアクセスは多いのですが、今更ながらですが、気持ちわるいのはLGBTの当事者ではなく、それを殊更持ちあげようとする人たちだったようです。

プロのママさんは特別なケースだけど、一般には目立ちたくないLGBTだって多いはず。そっとしてあげれば良いのにねえ。

▼写真は先日、会食をしたエリックサウス紀尾井町店の南インド料理です。

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「踊るマハラジャ」〜サントラも凄いです!

2018-12-06 10:32:29 | Weblog

先日、ガマン出来ずに「踊るマハラジャ」のサントラを購入。

「ウルバン、ウルバン、ウルバーニ♪
ウルゲニ、マッチャバ、ナニパーニ♫
ミミゲニ、ミミゲニ、リッパバ、ナニパーニ(空耳です)」

「ミミゲニ、ミミゲニ」が、何度聴いても「耳毛に耳毛に」と聞こえてしまうのですが、タミル語で一体何と言ってるのでしょう。

とにかく元気の出るサントラなのですが、ずっと聴いてると疲れてくるので、クラシックのピアノ曲と交互に楽しんでいる毎日です。

仕事と言っても、掃除したり片づけしている時に聴くのがオススメかな。

今度はDVDも買ってしまおうかと言う勢いです。やっぱりインドは凄いですな。

▼こちら、顧客宅の居間に鎮座しているガネーシャさま。 一番新参者なのに まるで主のようです(笑)。

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「ルーベンス展」行きました〜会場でぶつかってくるおじさん+席譲れおばさん

2018-12-01 10:46:53 | Weblog

王の画家にして、画家の王。

学生時代に美術史家の中山公男先生が「西洋絵画はルーベンスを見なければわからない」とおっしゃっていたのを思い出します。当日、初めて欧州を旅行して、どこに行っても山のように飾られているルーベンスを目にして「そんなものか」と思った覚えがありますが、今にして考えると、まさにその言葉の通りであります。

そんなルーベンスのイタリア修業時代を中心にした、この度の展覧会。
平日ながら超満員の会場を見て、時代も変わったなと実感いたしました。

画家といえばゴッホのように生きているうちは、まったく認められず、死んでから有名になった人とは、まさに真逆の画家。
まさにルーベンスほど成功をほしいままにした画家は西洋絵画史上はもちろん、世界の絵画でも稀な存在でしょう。
なにせ宮廷筆頭画家であるだけでなく、フランドルの外務大臣までこなしていたというのですから驚きです。

画家でありながら、宮廷の仕事をこなしていたという意味では、スペインのベラスケスが思い浮かびますが、寡作な彼とは対照的に、弟子に仕事を割り振り膨大な作品を残したことでは対照的な画家と言えましょう。

今でいうと、ゴルゴ13のさいとうたかを先生が、脚本・作画・構成などを割り振って、膨大な仕事を残していることになぞらえることができます。画家が生きて行く上で、一番手本にすべき画家と言えるかもしれません。

「経営はルーベンスに学べ」なんてビジネス本、あったら売れるとかもしれませんね(笑)。

ルーベンスは、ルーベンス一人でこなした仕事と、弟子に割り振った仕事の割合で、細かい料金設定を決めていたそうです。

ただ、今回の展覧会はそういう受注された仕事以外に、西洋美術館所蔵の二人の子どもを描いたものなど、 ルーベンスの家族を描いたものもいくつかあったのが注目すべきところ。

それは神話を描いた作品とは一味違った、家族に対する愛情の溢れた作品なのですが、ルーベンスにいた8人の子どものうち、何人かは死別しているのですね。

とかくルーベンスといえば成功した画家ということにスポットが当たりがちですが、逆縁は辛いものだったに違いありません。

また、大勢の弟子をかかえていたり、自分の作品を版画にさせる時に銅版画家たちと軋轢があったりと、成功した人はした人で、私たちにわからない苦労もいっぱいあったことでしょう。

ほかにもこの展覧会は、絵と一緒にその時代背景などを読みながら見ると、楽しみは倍増です。

ただ、残念だったのは人出が多いせいもあるのですが、黙ってぶつかってくるおじさん(おばさんも)の多いことでした。
中にはチケットを出したところで、それをさえぎって出ようとしたおじさんがいて、これにはびっくりしました。まあ、トイレに行きたくてガマンできなかったのかもしれませんね(苦笑)。

歴史上、最も成功した画家の展覧会に、いささか残念ではありましたが、とどめは会場ではなく、帰りの地下鉄にいた「席譲れおばさん」です。年の頃は70才前後でしょうか。譲るかどうか微妙な年齢でしたが、席を譲って礼も言わなそうな感じだったので、私はそのまま動かないでいることにしました。

そしたら「席譲れおばさん」……正面にいた隣の女性に、バッグでスマホを押してプレッシャーを与えてはじめたではありませんか!

ものともせずスマホを見てた隣の女性でしたが、「席譲れおばさん」の後ろの席が空いた瞬間、最後っ屁のようにバッグをスマホにブチ当てました。

当てた瞬間、脱兎の如く後ろの席を確保。
そこまで速い動きが出来るんだったら、立っててくださいって感じですね。

まあ、昨今の高齢者……この人たちはどうにもならないので、自分がそうならないよう気をつけるほかはありません。

写真は展覧会の前に腹ごしらえをした、ヴェジハーブ・サーガの品々。
ここの野菜カレーはまさに絶品。展覧会と食事が良かったから、良しとしましょう♫

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