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小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

マッサンと竹鶴翁

2014-11-29 09:13:29 | Weblog

こちらは銀座の山形うまいものプラザで購入した藤沢かぶ。甘酢漬けにしていただきます♪

 

朝ドラ「マッサン」毎日見ています。
ニッカの竹鶴も買いました。水の良さを感じる、たしかに日本人でないと作れないウイスキーですね。

今週のラストシーン。
実家広島の道を2人で歩くロングショットは、なかなかの名場面。チャップリンの「モダンタイムス」のラストに似ています。
もっとも道の遠くに去っていくモダンタイムスに対して、朝ドラの方は主人公たちが、視聴者に向かって歩いていく反対方向。

もしかしたらチャップリンを意識して撮った?

いつもの山ね家、お造り盛り合わせです♪

 

 

さて、そんな風に毎日楽しんで見ているマッサンですが、今週は気になる点が2つありました。

ドラマの恒例として、実話をベースに物語を発展させていくというのは定石で、知られているように、マッサンもまた、ニッカウイスキーの創業者・竹鶴政孝とその妻リタをモデルにしています。

お話なので実話から大きくいても、それは構わないわけで、たとえばロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」などは、ベートーベンをモデルにしながら、主人公のジャンは、幼少期以外は、かの楽聖と違った生涯を送っていく物語になっています。

そうは言っても、実話に対して尊重しないといけない部分があることもたしかです。

私は、大男のスコットランド人貿易商が「日本は文化が遅れている、日本人に本当のウイスキーが作れるわけがない」というセリフに違和感を感じました。

この部分の実話、以下wiki引用。

1923年、大阪の洋酒製造販売業者寿屋(現在のサントリー)が本格ウイスキーの国内製造を企画。社長の鳥井信治郎がスコットランドに適任者がいないか問い合わせたところ、「わざわざ呼び寄せなくても、日本には竹鶴という適任者がいるはずだ」という回答を得た[]

鳥井は以前摂津酒造に模造ワイン製造を委託していたことがあり、竹鶴とも数度面会したことがあった。鳥井は竹鶴を年俸四千円という破格の給料で採用した。

問い合わせ先は、「紙とペンだけで、本場のウイスキーの作り方を」盗んでいったヤツが竹鶴だ」と言ったらしく、もちろんこの『盗む』というのは褒め言葉として使っています。

この実話。
なかなか良い話なのに、なんでわざわざ本場のスコットランド人を悪役にするかなあ。その方が視聴者は食いつきやすいだろうけど、あれはウイスキー作りを教えてくれたスコットランド人に失礼じゃないかと、ふと思いました。

まあ、おおげさに騒ぐ話でもないんだけど。

もうひとつ、これは注文でもないのですが、竹鶴翁が職のない時期に先生をやっていたのは実話で、ドラマではそれをしないことになっています。これって、フリーランスには身につまされる話でもあります。

私自身、仕事に困ってる時(今でもそうですが♪)に、「うちの会社で働かないか」という話が何度か来たことがあります。

安定するお金が入ってきますから、そりゃ心が動きます。
ただ、それをすれば、その時につきあっていたクライアントとの仕事をあきらめるとはいかないまでも、前のままでいかなくなりますので、結局は断ってきたわけです。

竹鶴翁のすごいところは、それでもニッカを立ち上げて、日本のウイスキー作りを実現したということでしょうか。

そうは言っても、エリーちゃんも可愛いし、来週も引き続き見るつもりです。
ちょっとした感想でした♪

 
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2014-11-28 09:07:35 | Weblog

ヤマガタ・サンダンデロ~最上赤にんにくの会

こちらが「丸山さんのヤギとの煮込み、酸っぱい赤にんにく、つや姫添え」です♪

 

昨日は銀座のヤマガタ・サンダンデロで、はじめて「山形ファンクラブの会」に出席しました。山形物産展からメールはよく来るのですが、実際に生産者の会に主席するのは初めてです。

今回のお題は最上地方の在来野菜「赤にんにく」。
にんにくといえば、何と言っても青森のホワイト六片が有名ですが、近年はこの赤にんにくの人気もグイグイ上がってきたそうです。

在来野菜の豊富な山形県ですが、こちら赤にんにくは最上地方だけでひっそりと栽培されてきたこの作物。それを赤倉ファームの代表・高木厚さんという方が、栽培とブランド化の取組んで有名にしたとか。

こちらが赤倉の赤にんにくです♡

この日は赤にんにくづくしの会。
本人はわかりませんが、いったいどんなニオイになっているか。
人と会うのがちょっとコワいかな♪

でも最上赤にんにくのホクホクした食感。
たまりませんでした♡

水菜のシーザーサラダ、赤にんにくアンチョビソース

 

 

赤にんにくのオイルで煮た、釜揚げしらすのクロスティーニ。シェフが世界一番旨いと折り紙をつける静岡・用宗(もちむね)産のしらすです

 

 

鯛の天火焼きと白髪ネギ、赤にんにくソース

 

 

一番最初に出たのが、タマネギ90℃炒めと厚めにスライスした赤にんにく。90℃で2時間炒めたそうです。

 

 

赤にんにくを使ったバーニャカウダ。カリフラワーに赤にんにくを加えたそうです♪

 

 

赤にんにく入りフレッシュトマトスパゲッティ

 

 

ハンター佐藤さんが狩ってきた真鴨のスープ。赤にんにく、ゴボウ、セリ添え。

 

 

イタリア伝統菓子、ズコットと塩ミルクジェラート。ズコットとは「法王の帽子」という意味で、ホールにすると帽子型になります。

 

 

料理の説明をする奥田シェフ。バックの絵は山寺と朝日連峰、飯豊山の拙画です

 

 

生産者高木さんからのご挨拶。

 
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「貝合わせ」作りました!

2014-11-27 09:14:42 | Weblog

春先、赤坂の小料理屋「山ね家」さんでいただいたハマグリに、イタリアのお客さまが絵を描いてほしいとリクエストに応えて、貝合わせ風の作品を作りました。

「貝合わせ」とは実は平安のいにしえより伝わる、やんごとなき遊びです。
貝はちがったものどうしでは合うことがありませんから、百人一首など貴族の遊びから、江戸時代になると嫁入り道具のひとつとして、贈答などに使われるようになったそうです。

しかし外国人のリクエストなので、顧客は百人一首のことは知りません。
貝はくっついたままにしてくれというリクエストでしたが、実は制作過程で一旦取れてしまいました。

そこで別々に描いてから、最後に市販の強力な瞬間接着剤でくっつけようとしましたが、接合部分が小さいのでなかなかくっつきません。

説明書を見る「瞬間接着剤」と書いてあるのに、完全に固まるには20分ほどかかるとのこと。二枚の貝がぐらついて取れないように、両手で静かに接着するのを待ちましたが、気温が低かったせいか、20分経ってようやく固定してきた感触。

さらに待つこと50分。鼻がカユくなってもガマンしながら、両手で押さえていると、ようやく固まってくる感触が♪ まわりも接着剤で補強しながら、朝起きたらすっかり貝はくっついていました。

貝がそんなに大きくないせいか、二枚つながっていた方が豪華に見えます。
これなら銭取れるわ♡

そういえば昔、メキシコやサルディニアなどの海岸でひろった貝にガネーシャを描いたことはあるのですが、日本産ハマグリに描くのは初めて。金箔を貼って、少し豪華な感じを出しました。

今後はなまけ蛙くん同様、受注注文をはじめたいと思います。

現在、クライアント(またもイタリア人です)から、別の貝合わせを制作ちう。
近日UPいたしますので、お楽しみに!

 

↓ こちらは貝の注文主の客に頼まれ、日本酒の瓶に絵付けをしたもの。
ご本人は頼んでおいたのを忘れていたようですが(笑)、快く引き取っていただけました♪

 
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パワハラ in 寅福・表参道店

2014-11-26 09:06:15 | Weblog

先日、友だちたちと表参道にある寅福*という、ご飯の美味しい和食店に行った時のこと。店長と思しき人のひどいパワハラに遭遇しました(もちろん店長から私たちに直接の無礼があったわけではありませんが)。

この店は、いつ行ってもご飯もおかずも美味しく、おかわりも自由にできる良い店です。しかし、俗に「飯がまずくなる」なんて言いますが、この日はその人の怒鳴り声でせっかくのご飯が台なしになりました。

それは先週の土曜日、昼過ぎ1時半くらいの時の話。

店内は外で待つ人がいるくらいの混雑で、普段は厨房から遠い広いスペースに座るのですが、この日はたまたまお米を炊く大きなお釜がならぶ、厨房近くの席に座りました。

そこで聞いたのが、店長の傍若無人とも言えるスタッフに対する怒号です。

「お前、そうじゃないだろ~!」

「モタモタするんじゃねえよ、それは、そっちだろ」

「おいコラ! なにやってんだよ!」

具体的に何を言っていたのかは、はっきりと覚えていませんが、そんな意味の言葉だったと思います。

もちろん、店長は私たちに怒鳴っているわけではありません。しかし、食事中に聞こえて来る怒号で、せっかくの栗ご飯が台無です。

同席してた友人の女性たちは「せっかくのご飯が不味くなるよね」「こっちが怒られてるみたい」。文字通り怒られているように感じるせいか、せっかくの会食がまるで通夜の席です。

店内が混雑していたためか、怒号は何時まで経っても止まなかったので、仕方なく、わたくしは店長に「すみません、お静かにお願いします」と注意いたしました。

店長は一旦は素直に「すみません」とは謝ってくれたものの、5分くらいすると、また同じように怒鳴りはじめました。

私が部下の前で注意し、面子を潰してしまったせいか、今度は「早くしてください」「それはそっちでしょう」と、言葉づかいは丁寧になったものの、声のトーンやテンションは変わりません。

むしろ、私たちに当てつけるかのように怒号は続き、同席していた外国人の友だちは「何を言ってるかわからないけどフユカイね~」。言葉が丁寧になっても、感情的なものは伝わりますから、それは同じことです。

まったく注意されても改める気がないのは、実に可愛げがありませんわ。

さらに言えば、注意されていたスタッフにそれほど能力がないとも思えません。食事は美味しいですし、混雑している割にはすんなり料理も出てくるわけだしね。

しかし、店員はみな一様に萎縮していて、むしろ怒号によって出来ることも出来なくなってるんでしょうね。部下の芽を摘む上司とはまさにこのことかもしれません。

そんなもんで「なんだかおかわりも頼みづらいよね」と遠慮がち。ま、みんなおかわりしてましたが(笑)。

こんな記事の時にUPして申し訳ないですが、赤坂サカスにあるテラスのお店、P.C.Aのエビフライ。誤解のないように申し上げると、こちらは味、接客とも満点でした♪

 

 

今まで何度もこの店を使っていて、このことはさほど気にはならなかったのですが、それは怒号が聞こえづらい奥の席に座っていたからでしょう。察するに、この状況は日常ではないのかと思います。

本来ならば、このことは「食べログ」や「ぐるなび」などに投稿すれば良いような話ですが、それではせっかく美味しいご飯を炊いている料理人の方々にも気の毒です。
て、ブログに書いちゃったけど(笑)。

私は良い人なので、お店の評判を落としたいわけではありません。むしろ美味しいご飯を提供している店には頑張って欲しいと思っているわけであります。

幸いというか、寅福はピザーラやジョエル・ロブションなどを傘下にする「フォーシーズ」というフランチャイズ会社が母体なようです。

大人の男性に二度注意するのは難義でしたので、この一部始終は本社の社長宛に書簡を送りました。

寅福関連の方がいたら、このブログの記事を読んでいただきたいですが、このことを本社に進言したのはわたくしです。逃げも隠れもしないので、どうか改善をしていただければと思います。

店員に対する怒号は、牛丼などのチェーン店でもよく見かけますが、決して愉快なものではありません。注意はお客の見えないところでしていただきたいものですね。

 
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ハイドン、108曲の交響曲は良いドン!

2014-11-25 16:46:55 | Weblog

赤坂サカスにあるテラスのあるレストラン、P.C.A・パブ・カーディナル・アカサカンのエビフライ。良い店だけど、店名が長過ぎますわな~

ひょんなことから友だちからドラティ指揮のハイドン交響曲全集をいただき、仕事の合間に聞いてます。

ハイドンといえば学校の音楽室に貼ってある年表に「交響曲の父」と書かれている、文字通りの祖(ところでバッハは『音楽の父』、ヘンデルは『音楽の母』とされていて、私は最初、ヘンデルは女性だと思ってました)。

生涯書いたシンフォニーは108曲、10月に聞きはじめて、ようやく100番「軍隊」まで到達しました。

四十路を過ぎるとハイドンの良さがわかると良い、あの吉田秀和先生も大好きだったというハイドン。若い頃は退屈だと思っていたハイドンですが、四十路どころか五十路を過ぎて、しみいるようにハイドンが良いと感じるようになりました。

とはいえ、最初に書かれた初期のものは本当に退屈で、一度聞けば十分という感じで、どれも同じように聞こえます。これはモーツァルトのシンフォニーでも同じことですが、41番まであるモーツァルトに対して、ハイドンの交響曲は全部で108曲!

70番くらいまでは、まったく惰性のBGMとして聞いていたのですが、80番あたりから曲の輪郭がハッキリわかるようになってきます。

コンソメは手間がかかりますからねー。地味ですが丁寧な仕事でした。

96番は有名な「驚愕」。
曲のタイトルにもなった、2楽章のド、ド、ミ、ミ、ソ、ソ、ミーの平凡なメロディは、こんなんで昔の人はびっくりしたんかと思うくらいですが、この平明な曲想が何とも言えません。

文字通り眠くなるようなメロディと、びっくり音はちょっとした曲全体のアクセントになっています。

それにしても驚いたのは、108ものシンフォニーを続けて聞くと、ハイドンの進化というのが如実に伺え、さらにハイドンの進化イコール音楽の歴史だということです。

バッハが完成させた平均律の12音は、ハイドンによってモーツアルトやベートーベンに受け継がれていったわけですが、その後継者たちの音楽の礎がハイドンの交響曲の中にあるのですね。

モーツアルトのジュピター交響曲の終楽章の「ド・レ・ファミ」や、ベートーベンの5番の動機も、ハイドン抜きには考えられません。

なんでもハイドンは、けっこうな恐妻家だったそうで、奥さんはハイドンがいっぱい曲を書いてお金を稼ぐと機嫌が良かったなんて話もありますが、仕事って、いっぱいやると何かができるという典型なようです。

あとCD2枚ほどでハイドンのシンフォニー制覇。
今度はカルテットでも聞いてみよっと♪

ハイドンは良いドン!・・・なんて、ウフッ♪

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インドに牛肉市場ってホントにあるの?

2014-11-24 09:20:11 | Weblog

最近ハマっているビーツカレー。赤い色をより濃く出すためターメリックなどのスパイスは少なめにしました。食べると汗が出てくるビーツの力。ウクライナやロシアでボルシチとして食されるわけが良くわかります♪

白鵬32回目の優勝、大したモンです。
14日目と千秋楽はリアルタイムで見られなかったけど、先ほど千秋楽の鶴竜との一番は、勝負強さを遺憾無く発揮した一番でした。

ここ一番が稀勢の里にあったらなあ・・・
記録の阻止もできなかった今場所は誠に残念!

というわけで、本日はいつもの「医食同源・かれーな印度カレーを召し上かれー17」をUPします。

 

かれーな印度カレーを召し上かれー17
インドに牛肉市場ってホントにあるの?
掲載日:2006年04月05日

 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

いやあ、お客さん。新年度を迎えるに当たって、お気持ちはいかがかい?

こちとら、おかげさまでスイサンドンヤ・ドットコムさんのキャンペーン、「これで解決、牛肉の仕入れ」は大好評だ!

やっぱり玄人のみなさまには、わかっていただけるんだな~。品揃えや品質、価格の面などで、このイダテンのゲンさんも自信は持ってはいたものの、まさか品薄になるまで反響があるたあ思わなかったぜ!

お客さんがたも、遠慮するこたあないから、どうぞワガママを言っておくんなせえ。パンフレットにもあるように、ヤングビーフなど注文ベースでいただいているものもある。出来ることは、なるべく対応させていただくもんで、何卒よろしくたのんまあな。

先日も日経平均が17,000円を回復とのこと。みなさまにもゴールデンウイーク商戦に、勝ちをもぎ取ってほしいと切に願う次第だが、どうやら期待できそうな雲行きだよな~。

ともかくも新しい年度がはじまって、あっしイダテンのゲンさんもスイサンドンヤさんも気合い入れてスタンバイOKだ。みなさま、よろしくお頼み申しますよ!

 トロピカルにビーフカレーはいかが?

今回も牛肉キャンペーンにともない、本場インドに無いビーフカレーとやらを、本場の味でご提供しよう。前回は、和風カレーの定番に一味加えたレシピだったが、今回のレシピはまさにインドの味だ。

こいつは南インドでラムやエビに使われるレシピを、牛肉に応用したもの。南インドの料理については、いずれゆっくりお話するが、ココナッツミルクやマスタードを頻繁に使うのが特徴だ。味つけもあっさり目で軽やかなので、日本人には向いていると思うよ。

ともかくも論より証拠。早速、そのレシピとやらをご覧いただこうかい♪

インドに牛肉市場ってホントにあるの? 

ところでインド人が絶対に牛肉を食べないかというと、決してそんなことはない。インド人が牛を神聖視して食べないのは有名だが、正確に言うと、それはヒンドゥー教徒に限った話だ。クリスチャンやイスラム教徒、シーク教徒などのように牛肉の禁忌がない宗教の人は、当然ながら平気でビーフを食べる。

もちろん人口の約8割を占めるヒンドゥー教徒に慮ってるか、インド国内では表だって売ってるところは少なく、牛肉自体の入手が難かしい。ただ、コルカタのイスラム居住区には牛肉市場が公然とあり、脂身の黄色いインド独特の牛肉が、ところ狭しと吊り下げられているんだから驚きだ。まさにインドで絶対はない、という良い例さね。

(このあたりで前々回使われた、コルカタの牛肉市場の写真を使ってください。

キャプションは『コルカタはイスラム居住区の牛肉市場』でお願いします)。

コルカタはインドの中では食の禁忌が少ない土地柄で、ニューマーケット近くのリットン・ホテルでは、地下のレストランでビフテキを出す。あっしも一度、そのインディアン・ビーフをいただいたことがあるんだが・・・ただ、あえてもう一度食べようとは思わないな~(同行した米国人は、よほど牛肉に飢えていたのか『旨い、旨い』って食べてたけどね)。

やっぱり、インドでは牛肉を食べる文化がないせいだろう。肉は固いし、ちょっとクセのある香り(黄色い脂身が臭いのもとなんだろう)はあまり日本人向きとは言えない。あえて言うならヨーロッパ牛肉に近い濃厚な味だが、もちろん肉文化の成熟した欧州とは比較にはならない。わざわざインドで牛肉を食べることもないって話さね。

意外なことに、実はインドはけっこうな牛の輸出国だ。ゼラチンや薬剤のカプセルに用いられるものが多いそうだが、おそらく経営しているのはイスラム教徒やキリスト教徒など、牛肉に禁忌のない宗教の経営者なんだろう。

そのあたりが、宗教間の火種の一因になっているそうだが・・・日本と欧米の捕鯨問題をとってみてもわかる通り、口に入るものってえのはリクツじゃないだけに、何とも厄介なもんさね。

イスラム教徒はなぜ豚肉を食べない?

牛肉と同様、インドで見かけることのないのが豚肉だ。これはみなさんもご存じだろうが、豚肉はイスラム教で固く禁じられているからだ。

ヒンドゥー教で牛が「神聖視」するから食べないのと違い、イスラム教において豚は「穢れた」生き物なので食べられない。もっともイスラムでは豚に限らず、鶏でも羊でもハラールと呼ばれる正式なをした肉以外は、決して口にすることはできない。アッラー(神)の名を唱えながら、一気に喉をかき切った肉以外は食べてならないんだ。

おっと、誤解のないように申し上げておくが、ハラールは肉だけの呼称じゃない。イスラムの律法にのっとっり、アッラーに許された食べ物すべてを「ハラール」(※1)と呼んでいるんだ。それ以外のものはハラーム(まぎらわしいよな~)と呼び、アッラーにより無条件に禁じられている。

豚はハラール違反の代表格だが、それ以外にも動物の血液やその副産物、 肉食動物、爬虫類や昆虫も禁じている。また、イスラム法に従ってされていない動物や、アッラー以外の名によりされた動物――動物の死体、される前に死んだ動物も食べてはいけない。肉以外の食品でも、アルコールなどはその範疇に入る食品ってワケさね。

ラードを使った食品は当然ながらハラール違反だ。以前、インドネシアで「味の素」に豚の酵素が使われていたことが問題になったことを覚えておいでかい? そのあたり食の禁忌というのは日本人には分かりにくい話だが、どんな少量でもハラールでないものはダメなのさ。

さて、イスラム教徒はなぜ豚肉を食べないかといえば、さまざまな理由が考えられる。

イスラム教の兄貴分にあたるユダヤ教も豚肉を禁じており、この仲のわるい兄貴の教えを受け継いだという説。

豚肉を食べて大勢が死んだり病気になったことがあったからだあという説、などなど。

ただこういった理由づけは、いかにも日本人の発想だ。彼らにしてみればアッラーがダメというからダメであって、神さまの言うことに口を挟むなんてとんでもない、理由を考えるなんて意味がないって話なのさ。

ただ、豚肉はいかなる時でもダメというわけではなく、山中において三日三晩、食べるものがない場合は食べてよしという教えがあるらしい。死ぬくらいだったら、豚であろうと食べてよしということなんだろう。

さーて、時間が来やがった。

それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!

※1 ハラールはコーラン用語で「合法の」という意味。ハラームはコーラン用語で「不法な」という意味。

かれーな印度カレーを召し上かれー
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神谷町のピッツエリア、ペッペの店に行きました!

2014-11-23 09:49:39 | Weblog

貝類のリングイッネ。どこにパスタがあるのか探してしまうほど貝があるのカイ?・・・なんて、ウフッ♪

 

貝類のリングィッネ。パスタがどこにあるか見えないほどの魚介盛りです♪

金曜は痛風発症後、めっきり行く機会が減った神谷町ペッペの店「ナポリ・スタカ」に久々に行きました。

ナポリの元ヤンキー、ペッペは健在。ピッツァは主に弟にまかせて、自分はお客まわりをしてますが、お味の方は健在。
築地は大好きらしく、週に1~2度は新鮮な魚介類を仕入れてお店で出しています。

ピッツァ以外の目玉料理にしたいようですが、まさしく本場イタリアのペーシェ(魚)!

コチかホウボウと思しき魚と、小エビのフリットです。



こちらは北海道産の生ガキ。ペッパーの効いたオリーブベースのソースでいただきます。同じ生ガキでも違った趣向♪



マグロとイカのカルパッチョ。この料理の名は16世紀ベネチアの画家ビットーレ。カルパッチョに由来する。20世紀半ば、ベネチアでカルパッチョの大回顧展を行ったときに、ハリーズ・バーという店が、生牛肉の薄切りにオリーブオイルとパルミジャーノ・レッジャーノをかけて作った料理がはじまりとされる。

 

 

この日はイタリア人3人と日本人4人という組み合わせでしたが、ペッペも加わって完全にアウエー状態。

神谷町にいるのに、雰囲気は完全にイタリアの夜でした。

この時、はじめて友だちになったイタリア人男性2人に拙著「おちゃめなイタリア人!」を見せたところ、食い入るように見てました。もちろん日本語はわからないんだけど、イラストを見てイタリア人が日本人にどう見られているのか興味津々だったご様子。

はじめは見せるだけのつもりでしたが、あまりに熱心に見てるので、差し上げることにしました。1人は出版関係の人なようだし、私の書棚のこやしになってるよりは本国で見てもらった方が良いに決まってますものね。

それにしても、この本の取材でイタリアを訪れてる時に、サッカー日本代表がイランを破り、はじめてのW杯進出を果たしたのでした。
思えば、ずいぶん時が経ったものです。

師匠のサルヴァトーレ・クオモの名を取った「ドン・サルヴォ」。星の先にはリコッタチーズが入っていて、変わりピッツァとは思えない美味しさ。はっきり言ってクオモのピッツァよりずっと上だと思いますが、ペッペにとってはビジネスの師匠であるようです。
それにしても「ドン」なんて、ゴッドファーザーっぽいですな(笑)。



こちらは定番マルゲリータ♪



ピスタチオとリコッタチーズのピッツァは新機軸でした♪



ドルチェはピスタチオのジェラート。ティラミス、ズッパなんとか。ももも、もう食えん! ゲフー!



 
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ビーフカレーにインド人もびっくり?!

2014-11-22 11:43:32 | Weblog

かれーな印度カレーを召し上かれー16

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大森の南インド料理店「ケララの風」のミールスは、何度食べても飽きることがありません♪

 

 

連休の初日ということもあって、本日も平和に「医食同源・かれーな印度カレーを召し上かれー」のUPをいたしましょう。

ところで今回の原稿には、あえて書かれていないのですが、実はインドは世界第7位の牛肉輸出国!
牛革に至っては、ウルグアイやアルゼンチンと世界一の座を毎年争っています。

もちろんインドには、牛を神聖視するヒンドゥー教徒だけでなく、イスラム教徒やキリスト教徒のように牛肉を食べる人たちも数多くいるので、そうした人たちがこうしたビジネスに関わっているのでしょうが、インド人はあまり話したがりません。

牛も必ずしも大切に扱われているわけでなく、インド国内ではひそかに問題になっていることを付け加えておきましょう。

それはともかく、今夏はビーフカレー編。
お楽しみいただければ幸いです。

かれーな印度カレーを召し上かれー16 
ビーフカレーにインド人もびっくり?! 
掲載日:2006年03月22日

まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

お客さんがた! スイサンドンヤ・ドットコムさんのキャンペーン、「これで解決、牛肉の仕入れ」はお試しいただいたかい?

何と言っても、この牛肉メニュー57商品は、イダテンのゲンさんと牛のプロフェッショナルがタッグを組んで取り揃えた苦労の結晶だ。他様とは、一味も二味も違うメリットが目白押しさ。

まずは、ゴマかしのないカット。丁寧なトリミング。お手軽な発注。安定した焼き肉メニュー。さらには、国産銘柄牛のお好みのプライマルカット(部分肉)を、安定してお買い上げいただけること。オーストラリア産牛肉のプライマルカットを各等級ごとに、お手軽に発注できること。さまざまな牛内臓肉の品揃え。

そして何よりも食の安全性!

おかげさまで玄人のみなさまにも有難い評価をいただいて、注文が殺到している最中さね。遠慮することはないから、お品がなくならないうち、ジャンジャン注文しておくんな。

ともかくもみなさま! ご注文のほど、お待ち申しあげやすぜ!

ビーフカレーにインド人もびっくり?!

てなワケで、今回はスイサンドンヤ・ドットコムさんの「牛肉大特集」に合わせて、ビーフカレーを取り上げてみよう。

もっとも、そのビーフカレーとやらが本場インドにないのは、みなさまご承知のことだろう。宗教上の理由で、インドには牛肉食べるという習慣がないからな~。

以前に其の四(ジャンプ)でもお話したが、もともとインドは仏教発祥の地だ。当然ながら、仏教の母体・ヒンドゥー教にも不殺生の考え方があり、おのずとインドはベジタリアンの多いお国柄になっている。

中でもインドにおいて、牛は神聖な動物に位置づけられている。ヒンドゥー教(※1)の最高神シヴァが「ナンディン」と呼ばれる牛を乗り物にしている、というのがその理由だ。なんせ、神さまの乗り物だ。インド人にとって牛肉を食べることは、大切にしているワンちゃん&ニャンちゃんを肉にしちまう以上のモンなんだよ。

もっともあっしに言わせれば、「牛が神さまの乗り物だから食べちゃいけない」ってえのは4000年前に出来た後づけの理由だ。なんせ牛って動物は、古今東西を問わず、実に人間にとって都合の良い生き物であり、富のシンボルだったからな~。

牛は草を食べるだけでミルクを出すし、歩けば田畑を耕す動力になり、糞を放り出せば、そいつが肥料や燃料になって生活を支えてくれる。そんな有難いお牛さまを殺して肉にしようなんてえのは、金の卵を生むニワトリを絞め殺しちまうようなもんだ。

おそらくは、そのことが、インドでも牛肉禁忌の一番の理由だったのだろう。

ローマ時代のイタリアでも牛を勝手に殺せば罪に問われたというし、現在でも酪農が盛んなインドで牛は特別な存在だというわけさ。

※1 インドの人口の8割以上を占める。つまり6億人ほどいることになる。

 

本場にはない、本場のビーフカレーでい!

牛がまだ畑を耕す動力源だった時代、安定した飼育が難かしかった時代は、牛肉を食べることはままならなかった。肉食と思われてる欧米諸国だって、今のように誰でも肉が食べられる時代は、そんな昔からの話じゃない。

もちろん日本におけるビーフの歴史も、周知のようにごくごく最近の話。だが、以前にも申し上げたように、牛肉そのものの歴史は明治以前からあったのさ。肉は力がつくんで、権力者たちは自分たちだけで肉を食べ、庶民には禁じていた経緯がある。近江牛などはその典型で、なにせ将軍さまに献上されていた歴史があるくらいだ。

つまり日本の牛肉ってえのは、食文化として成熟した歴史を持っていたわけさね。

そんな意味でビーフカレーは、日本における肉文化の4番バッター。

今回はインド式にこだわらず、市販のルーを使っても美味しいレシピをご紹介した。お試しいただければ有難えってなもんでさあ。

クローブ、カルダモン、シナモン、ブラックペッパー!

スパイスに詳しい玄人さんはお気づきかもしれないが、今回はじめてあっしがレシピに用いたスパイスが4つある。何だかおわかりかい?

ゲンさん。そいつは、クローブにカルダモン、そしてシナモンとブラックペッパーだろうって?

お客さん! 大当たりだよ、さすがだね。

そう。これら4つのスパイスはどれも芳香が個性的で、ブラックペッパーを除いては、単独で使うと薬臭く感じるという特徴がある。だが肉料理において、味的にも栄養的にも、こいつらはバツグンの効力を発揮するんだ。

今まであっしが、この4つのスパイスを封じてきたのは、チキンや野菜では芳香が強過ぎて、スパイスに素材が負けてしまうからなのさ(※2)。本国インドでもラムやマトン、一部の魚介類などにポイントで使用されるスパイスと考えて良いだろう。

甘いバニラ臭のするクローブは、ウスターソースなどトンカツソースの原料にもなっていて、ハンバーグやミートソースなどにも相性が良い。

カルダモンは清涼感のあるスパイスで、いくぶん樟脳に似た香りがある。

シナモンは京都の八つ橋などに使われるニッキと呼ばれるスパイスで、正倉院にも保存されているという、日本には馴染み深い香辛料だ。甘味を引き立てる香りで、アップルパイなどには欠かせない。

そして、言わずと知れたブラックペッパー。

この4つは油との相性が良いので、最初のカレーベースを作る段階で丸のまま入れておくと、より香りが楽しめる。

粒の食感が気になる方は、ミキサーかミルサーで砕いてから使うと良いだろう。

この4つのスパイスについては、もう少し詳しく話したいところだが・・・さてさて、時間が来やがった!

それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに!

※2 チキンや野菜カレーでも、使い方しだいでは上手に仕上がる。それはまたの機会に・・・

かれーな印度カレーを召し上かれー
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女性の味方、お豆のカレーはいかがかな?

2014-11-21 07:57:51 | Weblog

かれーな印度カレーを召し上かれー15

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いつもの「山ね家」さんですが、本日は趣向を変えてエビ芋のつきだしと銀杏の炒めもの。痛風持ちにはやさしい逸品です♪

 

 

昨日の稀勢の里は横綱に張り差しで動きを止められ完敗。記録にたちはだかるどこでない相撲でがっかりでしたが、琴奨菊が逸ノ城に大関の意地を見せる素晴らしい相撲で完勝。

でも、おすもうについて書く気がまるでしないので、本日はいつもの「医食同源・かれーな印度カレーを召し上かれー」の15話目をUPします。

引き続きお楽しみくださいませ!

かれーな印度カレーを召し上かれー15
女性の味方、お豆のカレーはいかがかな?
掲載日:2006年03月8日 

 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

お客さんがた、スイサンドンヤ・ドットコムさんからキャンペーン&特売セールのお知らせは届いたかい? これからゴールデンウィークに向け、飲食業界の天王山ともいえる時期を迎えるわけだが、お客さまがたに強力な後押しとして、スイサンドンヤさんでは嬉しい企画をいくつもブチ上げた。

その中の目玉は、何といっても「牛肉大特集」だ。お客さんがたも、米国産牛肉の一件以降、牛の仕入れにギュウギュウ締め付けられてたろう? そんな頭痛のタネも、スイサンドンヤさんが一発解消! こちとら国内最大の牛肉輸入会社&国産牛の専門販売会社とタイアップし、プロのみなさまにもご満足いただけるよう、徹底的に勉強したんだ。

ともかく、今お使いの牛肉とスイサンドンヤさんの牛肉を比べておくれ。こちらの牛がいかに素晴らしいかわかるハズだ。品質とお値段を見れば、お客さんがたもウッシッシとモー大満足だよ!(ぶわーっはは、また、うちの女子社員に口をきいてもらえなくなっちまうな~♪)

ともかくも新しい年度にむけて、あっしイダテンのゲンさんもスイサンドンヤさんも臨戦体制だ。みなさま、よろしくお頼み申しますよ!

女性の味方、お豆のカレーはいかがかな?

さてさて、今回の華麗なレシピ編。前回に引き続き、インド大衆の味&野菜カレーの定番として、「チャナ豆のカレー」をご紹介しよう。

よく「1日1回、豆とイモ」なんてことを言うが、お豆さんもおイモさんも体によろしいのは、みなさまご承知のことだろう。もっともあっしの若え頃は、こいつらを食うと屁が出るってんで、敬遠するご婦人が多かったもんだが、最近は誰もそんなことを言わないみたいで、まあ結構なことさね。

豆類や芋類を食べると転失気(※1)が出るってえのは俗説だが、お通じに良いのは間違いない。ご婦人がたはこの素晴らしい食材をせっせと食べて、より美しくなってほしいもんだねえ(もっとも全般に女性は、豆やイモのようにホクホクした食材を好むようだ。あっしなんぞが、言われなくても食べてくれるだろうがね)。

また豆は便秘に良いだけでなく、「畑の肉」と呼ばれるほどタンパク質が豊富で、文字通り体を作る食材だ。ベジタリアンの多いインドでは、主なタンパク源が豆か乳製品に限られるわけで、体に有難い食べ物と言えるだろう。

ところで、インド女性には便秘が至極少ない。もちろん衛生面から下り腹になることもあるだろうが、クリーンな環境に暮らしてる人でも便秘は少ないわけだから、やはり豆やイモをタップリ摂る食生活は大きい。

美しい肌への早道は便秘の解消にはじまる。よく食べ、よく動き、よく出せば、人間ってえのは自然とその表面にも輝きを増してくるもんさね。

※1 転失気/てんしき。江戸時代の医学用語でおならのこと。落語で有名。

世界に広がるチャナ豆の輪

インドで食されてる豆の中で、チャナ豆はもっとも一般的なもののひとつであり、日本で言えば大豆にあたる存在だ。

上のレシピ・イラストを見ればおわかりだが、日本ではその形からひよこ豆と呼ばれている(もっとも、玄人のみなさまは別にして、一般的にひよこ豆と聞いてピンとくる方は少ないだろう)。

日本ではまだ馴染みの薄いチャナ豆だが、西アジアから地中海沿岸から南北アメリカと、世界中で広く食されている豆で、イスラエルでは「小さい鼻」、エジプトでは「鷹の顔をした豆」。イタリアではエジプト豆。北米からスペイン語圏ではガルバンゾーと、さまざまに呼ばれている。ま、このコーナーはインド料理なのでチャナ豆で統一だ。それに、最近ではチャナ豆かガルバンゾーのどちらかで呼ばれることが多いようだからね。

チャナ豆は固くて煮込むのにやや時間がかかるけど、固めに煮ればナッツに似た味わいを——柔らかく煮込めばホクホクした味わいを楽しめる、実に旨~いお豆さんだ。

また、同じレシピで黒豆やインゲン豆を使ってみても味わい深いものになる。ともかくも美容と健康に最適なお豆さんを使ったカレーだ。どうぞお試しになっておくんなせえ。

野菜カレーにはクミンが合うぜ!

ポテトボールのカレーにしても、チャナ豆のカレーにしてもそうだが、野菜カレーというのは、総じてあまり沢山の種類のスパイスを用いない。

双方のレシピを見てもわかる通り、使用しているスパイスは、クミンにレッドペッパー、ターメリック、コリアンダーにガラムマサラの5種類と、すこぶる少ない。それだけにスパイスひとつひとつが果たす役割は大きく――中でも、香りに関してもっとも重要な役割をなしているスパイスは、何と言ってもクミンなんだ。

そう。カレーがカレーたる香りを醸すのは、クミンの力に他ならない。クミンの香り=カレー粉の香りと言っても過言ではないんだよ。

この特有の香味成分がクミナール、またはクミンアルデヒドと呼ばれるもので、こいつが「ああ、インド!」と思わせる独特の香りの正体だ。ただ、クミンは単独で使うと日本人には少々匂いがキツすぎる。ヨーロッパ人はソーセージやチャツネ、ピクルスに単独で用いるが、日本人にはそれが薬臭く感じてしまう傾向があるようだ。

その点、カレーって食い物は、香りのバランスが実によく考えられている。クミンにレッドペッパーやターメリックなど、ほんの数種類のスパイスと併用するだけで、クセは緩和され、逆に食欲を増進させる魅力的な匂いに変化してくるんだ。

スパイスで使われる場合、クミンはシードとパウダーに使い分けられる。シードはやや苦みに加え、舌に残る感触があるので、はじめて使う方はパウダーだけでも良いだろう。

余談ながら、クミンと形のよく似たスパイスで、キャラウェイとアニスというのがあるが、香りも用途もまったく異なるので、間違えないでいただきてえもんだ。

さーて、時間が来やがった!

それじゃ、お客さん。次回をお楽しみに! 

かれーな印度カレーを召し上かれー15
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白鵬の記録に立ちはだかる、鬼門の稀勢の里!

2014-11-20 10:10:52 | Weblog

昨日の結びの大一番。

いやあ、われらが稀勢の里!
やってくれました。

はるまに何も出来ず押し出された一昨日の相撲とは別人の相撲でした。
まったく、こんな空気を読まない力士がほかにいるでしょうか?

これだから稀勢の里の応援はやめられません。

そこで関心は本日の一番。
稀勢の里 vs 白鵬の大一番です。

昨日の白鵬は3連敗中の豪栄道になりふり構わぬ、はたき込みの相撲。
照の富士のダメ押しといい、相撲ぶりも所作も目に余る大横綱ですが、こんな相撲が優勝すれば大鵬の記録にならぶというのですから困ったものです。

赤坂のベルギー料理店、シェ・ミカワのサーロインステーキ。
スープとサラダ、ライスがついて1000円とは素晴らしいコスパです!

昨日、たまりにいた白鵬。
例によって大汗をかいてましたが、あれは3連敗している豪栄道に対する汗もあるでしょうけど、やっぱり稀勢の里に対する冷や汗なんじゃないかな。

白鵬は逸ノ城を「抜かれるのはこの子」と指名しているそうですが、土俵上の表情を見る限りは、やっぱり一番怖いと思ってるのは稀勢の里なのではないかと思います。

双葉山連勝記録もそうだし、ことごとく記録達成に立ちはだかってきたのは稀勢の里でした。

最近は白鵬の土俵態度に対する風当たりが強くなってきましたが、本人は意地を張っているのかどうか、改める気はないようですから、おそらく今日の相撲は、昨日の豪栄道戦以上に、なりふり構わない相撲を取ってくるでしょう。

立ち合いにかけひきをするか、それとも、もしかしたら「変化」とか。ともかくも、きせ関は余計なことを考えずに全力で相撲をとっていただきたいと思う次第。

行け! 行け! われらが稀勢の里!

ところで白鵬に色々非難が集まる昨今、擁護するこんな記事を見かけました。

横綱・白鵬の土俵態度にダメ出しをする風潮

いや、ひどい記事です。以下、あ@花さんと私のツイ

どう見ても問題ある白鵬の土俵態度。観客にダメ出しをする執筆者に、何を考えてるとしか良いようがありません @ 横綱・白鵬の土俵態度にダメ出しをする風潮#ldnews news.livedoor.com/article/detail…

なんか言ってることが左巻きの小学校の教師っぽい。あ、おはようございます!今日は勝つよ(稀勢が

勝つね。だって、白鵬は大鵬の記録がかかってるもん。記事はホント左巻きやね

割と世の中の会話ってさ、バランス感覚あるでしょ。誰かを責める人がいればそれを引き戻す人が出てくる。それって小学校ぽいでしょ。本心じゃなくバランスを優先する。それが私にはウソくさく思えるんだよね。けなす時にはてってーてきにけなす!

バ、バランス・・・そこか。だって、誰が見たって白鵬の土俵態度は問題でしょ。それを「懸賞をもぎとるように見える所作は、実はマナーにのっとってる」とか、ワケわからないリクツを並べるのは、ほとんどウソつきだよね。

なんか知らんけど、誰かが集中して責められてる状況に耐えられなくてそういういいこちゃんぽいこと言い出すやつがいる。たいてい卑屈。

ともかくも本日は全力でベッカム・・・じゃない、オーエンです!・・・なんて、ウフッ♪

 
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「ポテトボールのカレー」で美人になろう!

2014-11-19 09:38:40 | Weblog

かれーな印度カレーを召し上かれー14

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青山一丁目にあるスリランカ料理タップロボーン。ちょっと食べたところでは、まあまあという感じですが、何となくクセになりそうなお味です。
通には評判のお店だそうなので、次回はスリランカ家庭料理プレートを食べてみようと思います。

 

昨日の稀勢の里は日馬富士に完敗。
なんじゃ、あの相撲はって感じで、本日は久々に医食同源「かれーな印度カレーを召し上かれー」の14話をUPいたします。

どうぞ、お楽しみいただければ幸いです!

かれーな印度カレーを召し上かれー14
 「ポテトボールのカレー」で美人になろう!
掲載日:2006年02月22日

 まいど、まいど、イダテンのゲンさんです!

 さ~て、お客さん。「かれーな印度カレーを召し上かれー」もけっこうな回数を迎えるが、世間じゃあ、再びカレーが注目されはじめているようだな~。

このスイサンドンヤさんもお世話になっている、食の総合サイト・Food’ Fooさん(フーズ・フー/三井物産グループさんのサイトだよ!)では、以前から「カレー道(みち)」という部屋をもうけていて、こいつが大変な人気ぶりだ。

そこでは水野仁輔さんってえ、レトルトカレー1000食以上を食べ切ったというTVチャンピオンみてえなお方が、師範代をつとめてらっしゃる。それでこのたび、その「カレー道」の中に「レトルトカレー道場」なる部屋が設けられ、エビ太郎のエカキ先生がマンガを描くことになったんだそうだ(現在このサイトは存在しません。そちらのマンガは原稿がありますので、近日hpにUPしたいと思います)

あっしも「レトルトカレー道場」を覗いてみたんだが、毎回、西日本・東日本のレトルトカレーを10種類づつ紹介していく予定で、マンガと合わせてなかなか楽しい部屋になっている。身内の宣伝になっちまうが、読んでやっていただければ有難いってもんだ。

あっしもそちらさんに負けてられねえや。今後とも、さまざまなキャンペーンでお客さまがたのサポートをしていくもんで、どうかゲンさんの医食同源ともども、よろしくお願いしやすぜ!

 

「ポテトボールのカレー」で美人になろう!

ご好評いただいてる「華麗なレシピ編」。今まではどちらかというと、インド料理店で出されるよそ行きの味を紹介してきたが、今回はいよいよインド家庭の味、インド大衆の味をご紹介しよう。

ここ10数年の間、日本にも本格的なインド料理店は増えてきたが、以前にも申し上げた通り、そのメニューのほとんどは北インドの高級料理に限られている。まあ言うなれば、外国の日本料理店といえば、寿司と天ぷらばかりあるみたいなもんだ。

和食が寿司や天ぷらだけでないように、インド料理もタンドリーチキンと濃厚でスパイシーなカレーばかりではない。

究極のインド料理は野菜カレーにあり、というのがあっし持論だが――どういうワケか、日本のインド料理店に出てくるベジタブルカレーは、ポテトにミックスベジタブルを混ぜたようなものばかり。あれはあれで悪くはないが、インドには旨い野菜カレーが星の数ほどあるのに、何とも芸のない話さね。まあ、インド料理店の客にはアメリカ人をはじめ、欧米のお客さんが少なくないから、どうしても肉が中心になるのかもしれないがね。

今回はインド人が、もっとも頻繁に食べる野菜のひとつ・・・ジャガイモを使った「ポテトボールのカレー」をご紹介しよう。ジャガイモとカレーの相性がバツグンなのは、みなさま先刻ご承知だろうが、これは完全にポテトが主役のカレーだ。

ビタミンCがタップリのジャガイモを、豊富なスパイスとと一緒に摂るんだから、美容と健康にわるいワケはねえ。ジャガイモは意外とカロリーが低めだし、特に便秘に悩む世の女性にはオススメの一品だ。

なんせ、インドって国は、今まで何度もミスコンの優勝者を出している美人大国だ。元ミス・ユニバースの国民的大女優アイシュワリヤー・ラーイなんて絶世の美女も、案外おイモを食べて美人に育ったのかもしれねえぜ。

遠慮することはねえから、お嬢さまがた――「ポテトボールのカレー」を食べて、ますます美人になっておくんなせえよ!

「立った香り」こそインド料理の真骨頂なり!

ところでみなさん。上のレシピをご覧になって、煮込まずアッサリ火を通しているのに、お気付きになったかい? カレーは煮込めば煮込むほど旨くなる、というアタマがある日本人にとっては意外かもしれないが、実はこれがインド家庭料理の真骨頂なのさ。

日本式カレーや欧風カレーってえのは、ベースがシチューにあるから、どうしても長時間煮込んだものを有難がる。1日置いたカレーが美味しい、なんてリクツも同じことで・・・やはり日本人ってえのは、旨味成分が多い食べ物が好きなんだな。洋食系統のものとなれば、なおさらさね。

もちろん、それはそれで美味しいもんだ。あっしも煮込んだカレーや、1日置いてコクとまろ味を増したカレーは大好きだが、それだとインド人が重視する「スパイスの立った香り」というのは失われる。

たとえば、前回の「ホウレンソウとチキンのカレー」が、コリアンダー小さじ7杯とタップリ入れてるのに対して、この「ポテトボールのカレー」では使わなくても良い、ということになっている。

それというのもコリアンダーってえのは、少なくとも30分以上煮込まないと美味しくならないスパイスだからなんだ。香りのスパイスはクミンとガラムマサラのみとシンプルだが、そいつを短時間でサッと火を通すとインド人の大好きな「立った香り」が味わえるってワケさね。

インドにある町の定食屋に行くと、意外に旨い店が中華鍋を使っている場合がある。高温で短時間で火を通す中華の技法が、こういった大衆料理のカレーだと都合が良かったりするってワケさね。

「粉もの」はインド食文化の大立者!

注目していただきたいのがポテトに混ぜるベサン粉だ。こいつはインドでチャナ豆(※1)の一種、チャナダルと呼ばれる豆を挽いて粉にしたものだ。

ことインド料理において「粉もの」ってえのは、関西のそれに匹敵する食文化の大立者だ。日本人が米にこだわるのと同じように、インド人も粉にこだわるワケだが、このベサン粉も独特の風味があり、当然ながらカレーとの相性はバツグン。豆だから、当然体にも良いわけで、ベジタリアンの多いインドでは欠かせない食材なんだ。

ポテトボールに小麦粉を混ぜてもできないことはないが、それだとデンプンどうしで、ベサン粉を混ぜたような風味は絶対のぞめない。うどんをおかずに御飯を食べる関西のお方たちも、ぜひこのベサン粉を試していただきてえ。新たなカレーの世界が広がってくるはずだよ。

余談ながら同じ豆を使った粉でも、きな粉ではまったく代用にならない。豆は粉にした時、独特の香りが出るんだが、きな粉とカレーは相性がよろしくないんだな。

そういえば「美味しんぼ」のカレー勝負の巻に、豆の粉を材料にした具材でカレーを作る話が出てくる。あっしの友だちで、さっそく同じレシピをきな粉で試した奴がいたんだが、食えたもんじゃなかったと言っていた。

どうかみなさん。ジャガイモにきな粉をまぜることだけは、避けた方が身のためですぜ。

さーて、時間が来やがった。

それじゃあ、お客さん。次回をお楽しみに!

※1 日本ではその形からひよこ豆と呼ばれている。地中海沿岸から南北アメリカと、世界中で食されており、イタリアではエジプト豆、北米からスペイン語圏ではガルバンゾーと、呼び名はさまざまだが、ここではチャナ豆で統一したい。

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白鵬、またもダメ押しはあかんやろ!

2014-11-18 08:18:13 | Weblog

なまけ姫蛙エルザさまが無事、クライアントさまのもとに届きました♪
今回ははじめてピンクに金箔を使いました。
なまけ蛙史上初めての女王さまキャラの誕生です!

ここ数日、大相撲は結びまで見られない日が続いていましたところ、昨日、ジムのプールで大相撲仲間のご婦人から、「昨日の白鵬の相撲、ご覧になりました? 若い力士にひどいダメ押し!ひどいですわよね~、何あれ」
と聞かされました。

そこで、ぐぐって白鵬 vs 照の富士の相撲を検索。

ははあ、なんで一昨日から「白鵬のだめ押し、如何なものか」拙ブログのアクセスのトップになっていたのか納得しました。

前の栃煌山とのだめ押しと違い、今度のは、土俵に落ちてからのひと突き。
照の富士の巨体が砂かぶりのお客さんにもノシかかり、観客にも危険なダメ押しです。これはたしかにひどい。

さすがの相撲協会の審判部も親方に注意とのことですが、今朝のNHKのニュースは逸ノ城に完勝した相撲を放送するだけで、ダメ押しにはふれず。
事なかれ主義か、いけませんね~!

もっとも勝ち名乗りをあげた白鵬、目に指でも入ったようなしぐさをしていました。
姑息な照の富士が横綱の目に指でも入れたのでしょうが、双葉山、大鵬だったら、ぜったいあんなダメ押しはしないでしょう。

さて、われらが稀勢の里は豊響に土俵際近くまで押し込まれてからの投げ。

立ち合いに不満が残るというのは、アナウンス&解説の弁ではあり、それは確かにそうなのですが、何より勝ち星は薬です。
それを言えば、今場所好調と言われている全勝の横綱・鶴竜の相撲、昨日は碧山に横綱相撲でしたが、前半のほとんどはサーカス相撲。
横綱相撲とはお世辞にも言えない内容でした。

今日の日馬富士戦、期待して見たいところです。

ところで逸ノ城、マゲを結ってから男前が上がりましたね~。
先場所のザンバラ髪でいる頃は、見るからにブ男という感じ。まさに「グラップラー 刃牙」の悪役に出て来そうなバケモノキャラでしたが、マゲを結うとあ~ら不思議。
立派な力士顔ではありませんか。

ともかくも後半戦の九州場所に期待ですが、白鵬は大鵬に並ぶ32回の優勝がかかる場所・・・何をあせっているのか、ダメ押しなどで汚してはいけませんね。

 
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映画「聖者たちの食卓」見ました!

2014-11-17 10:04:03 | Weblog

先週の水曜になりますが、ドキュメンタリー映画「聖者たちの食卓」見てきました。

いや~、セリフが一切ないので、ところどころ眠くなりましたが、なかなか近頃ない感動を得ましたね~。

場所はインド西部、パキスタンとの国境をともにするパンジャブ州の州都アムリトサルにあるハリマンディル・サヒーブ(黄金寺院)。あのターバンを巻いた人たち、シーク教徒の総本山ですね。

私もこの映画で初めて知りましたが、ここでは500年前から巡礼者や旅行者に無料で食事を提供しているランガル(無料食堂)という施しをしているのだそうです。

本編は、その1日10万食を施す無料食堂の舞台裏を淡々と撮影した作品というわけです。

上映劇場は渋谷宇田川町のはずれにあるアップリンクというミニシアター。こじんまりと地味な作品を上映してるようで、次回はダム破壊のドキュメンタリー。これも見に行きたい♪

食事を用意する方も全員ボランティアだそうですが、芋掘りからタマネギの皮むきまで、みな慣れた手つきで行います。

タマネギは皮むき部隊と、刻み部隊が別になっていて、さすが500年も続いただけあって、すごくシステマチック。そして何より、意外・・・と言っては失礼ですが、とっても清潔感があるのですね。

10万人分の豆カレーを作る大鍋も、ステンレス製の食器も、使い込んでいますが、よく磨かれて衛生的。
厨房の床も掃除が行き届いていて、何やら禅寺のそれを思い出させます。

シーク教は16世紀にヒンドゥーの教えから生まれた、インドにおいては新しい宗教です。輪廻転生などベースは受け継いでいるそうですが、イスラム教の影響でカーストは完全否定。

無料食堂も階級、男女、子どもの違いはなく、誰でも受け入れ、同じ場所に座るというルールがあります。

以下、10万人の食卓ランガル(無料食堂)のルール

■寺院に入る前は、手を洗い、靴を預け、足を清める

■宗教、階級はもちろん、女性、男性、子どもがすべて一緒に座る

■ターバン、またはタオルを着用(レンタル有)

■残さず食べること。おかわりは自由

■使った食器は指定の場所に戻す

■酒、たばこ、革製品の持ち込みは禁止

■一度の食事を5000人で取るので、譲り合いを忘れない

いや、当たり前のことなようで、なかなか素晴らしい。

シーク教はインド人口のわずか2%に過ぎませんが、外交官、警官、軍人など目立つ職業についてる人が多いため、インド人といえばターバンを巻いているイメージがあるのですね。

インド料理の代表に思われてるタンドリーチキンやナンも、実はこのシーク教のお膝元パンジャブ地方の郷土料理です。

外国で活躍する人の多いシーク教徒が海外に輸出した結果、インド料理といえばナンとタンドリーチキンと思われるようになったわけです。

ただ、無料食堂10万人の食事をタンドール窯で出すわけにはいきません。
同じ小麦粉を使ったパンでも、発酵させず鉄板で一度に沢山焼けるチャパティを、これまたシステマチックに作って行く様子は何とも面白いもの。

インドという国の懐の深さを知るに十分な映画。

今年の私のベスト1候補の1本、ぜひみなさまゴラン(ご覧)高原・・・なんて、ウフッ♪

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「高野山の名宝」展、見ました!

2014-11-16 11:59:17 | Weblog

チューリッヒ美術館展と同じ日に、サントリー美術館の「高野山の秘宝」展を見に行きました。こちらも見応え満点でした。

何と言っても目玉になっている八大童子が見もの。
うち6体が運慶の作で、あとの2点はほかの仏師の作なようですが、明らかに造作が違います。どれも国宝ですが、もちろん運慶作の方が良い。

↓ こちらパンフレット左上の8体のうち、左端と右端のものが別の仏師作。
遠目で見るとわかりにくいですが、やや繊細さに欠けています。

運慶の代表作といえば、東大寺の山門にある金剛力士像・阿吽の2体のイメージが強いのですが、あの荒々しく力強い表現は実は運慶には珍しい作品です。

もっと小さな仏像は丹念に磨かれていたり、細かい顔の表情、内面まで表現しているものが多いのですね。

それにしても運慶の時代から空海の時代を見ると、約400年もの隔たりがあり、これは私たちの時代から関ヶ原の合戦を遡るのと同じくらいです。

鎌倉時代といえば、日蓮宗や浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗などが完成した時代で、いわば当時の新興宗教で、空海が完成させた真言密教ははるか昔に出来上がった教えでした。

運慶が特に宗旨にこだわったという話は聞きませんが、運慶作と伝えられるお寺は密教、あるいは密教の要素が入った寺(例・東大寺)が多いのは何か理由があるのでしょうか。

密教は言葉だけでは伝えることのできない教えとして、マンダラや独鈷などの法具を用いることで知られてますが、この八大童子に見られる深い表情にはそんな要素がうかがえるような気がします。

古代インドの兵器だった独鈷杵(とっこしょ)。武器転じて、悪霊をおさめる法具と変化したそうです。こちらはネパールのもの。

印象的だったのが、独鈷杵と呼ばれている法具ですが、いかにも何か法力がありそうな雰囲気です。

ちょっと霊感があるという友だちは、高野山で護摩を焚いて祈祷してもらったそうですが、高野山の独鈷杵のパワーはすごいというようなことを言ってました。
霊感のない私にはわかりませんが、「法力がありそうだな」というのは見ていてビンビン感じました。

でも、この法具。

修行を積んでないフツーの人が持ったら、たぶん独鈷杵のパワーに押し潰されるな。
良いものも悪いものも一切合切運んできそうな感じを漂わせていました。

密教というのはダークサイドのパワーも凄く、中には邪教として知られ、呪殺もいとわない「いざなぎ流」とかいう呪術団もあるとか。

密教というのは仏教でありながら、実はお釈迦さまをご本尊としない宗派です。密教のご本尊は宇宙の中心であり、宇宙そのものであるという大日如来さまです。

お釈迦さまは、あまたさぶらいける様々な仏さまの一部に過ぎず、必ずしもブッダの教えを重視していない仏教というのが密教最大の特徴ですね。

ざっくり言うと、インドで生まれた仏教が、もののベースにあったバラモン教(ヒンドゥー教)に先祖返りしたとも言いましょうか。

ヒンドゥー教の要素が強い密教ですから、当然ながら仏様や神様の数は多く、しかもダークサイドのフォースを持ってる神仏が多い。

そんな中、圧巻だったのが孔雀明王でしょうか。
孔雀は美しい羽に似合わず悪食で、コブラでも平気で食べてしまうという怪鳥。

その孔雀のパワーにあやかって、童子の姿をしている孔雀明王の真言はすごいと聞きます。

この展覧会は12月7日まで。

大きな大きな孔雀明王を見るだけでも行く価値がありますぞよ♪
ご興味ある方は是非足をお運びくださいませ。

ランチに赤坂檜町公園のふもとにある広東料理店「新甫苑(しんぷえん)」の海鮮定食をいただきました♪

 
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チューリッヒ美術館展、見てきました!

2014-11-15 12:31:27 | Weblog

昨日は六本木の新国立美術館に「チューリッヒ美術館展」を見に行きました。
チューリッヒは実は20代の時に、いちばん最初に訪れた外国。

美術館も当然行きましたが、まるで記憶はなく、近代のコレクションを集めた良い美術館だったということしか覚えていませんでした。

当然見るのも初めてという作品ばかりでしたが、スイスの美術館ということもあって、スイスの画家以外でもアルプスの光線に合った寒色系をベースにした作品が目立ちました。

目玉は6mあるモネの睡蓮。
最晩年のモネは目を悪くしたこともあって、キャンバスの四隅を塗り残した作品が多く、モノによってはそれが欠点に見えるものもあるのですが、これは圧巻。
見なきゃ、”あっかん”でえ・・・なんて、ウフッ♪

近代の抽象画を予感させる傑作です。

しかし、今回私がいちばん心を動かされたのは、何と嫌いなココシュカでした。

いや、はっきり今でも大嫌いなんですが、ここまで自分のダークサイドを出すかってくらい。これでもか、これでもかと心のがん細胞を自ら切り取って摘出しているかに見えます。

世の中にこれほど醜悪な絵があろうか、でも凄い・・・て驚きですね。

醜い絵を描く画家は世に大勢いますが、そこには磨き上げて人に見せられる工夫をします。たとえばエイリアンのH・R・ギーガーも醜い怪物を描きますけど、あれは一種のイラストで、本物を見ると意外に軽い。自分の情念を吐き出しているのではなく、淡々と仕事をこなしているようです。

ところがココシュカは溜まりに溜まって仕方ない情念をキャンバスにぶつけている。

ここまでやった画家はそうそう見当たるものではありません。
まあ、やっぱり嫌いなんだけど(笑)。

ココシュカは情念を吐き出してスッキリしていたのか、94歳まで生きています。
画家は長生きするの典型ですね。

好きなアーチストで印象に残ったのは絵画でなく、ジャコメッティの彫刻です。
あの細長い人物像で知られるスイスの彫刻家ですね。

実際に実物を見ると、角度によって人物が普通になったり細長くなったり。まるで空間に歪みができているような面白さがあります。

手塚治虫の「火の鳥」に、脳に損傷を負って人間が針金のように見えるという場面がありますが、手塚はジャコメッティの彫刻を見て考えたのかも。
だって、そっくりだもの。

チューリッヒ美術館展は12月15日まで。
地味ですが、地味に強い宝富士関のように見所満載です。
(今日は勝てよ、稀勢の里!)

それから本日18:30より弦楽四重奏による演奏会があります。
モーツァルトの弦楽四重奏と日本人作曲家のプログラム。

リハーサルを聞く幸運に恵まれましたが、美術館とクラシックは相性が良く、何とも素晴らしい雰囲気でした。

 

 
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