小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

ガンが治る! 陽子線治療と命の値段

2011-10-15 08:25:12 | Weblog
昨日は知り合いのつきあいで、
まったく専門外ではありますが、ガンの放射線治療のシンポジウムに行きました。
(正式には”筑波大学 陽子線医学利用研究センター 設立10周年記念講演会”)

私の父も亡くなる前にガンを2回、胃ガンと直腸ガンを患いました。
胃ガンは内視鏡による摘出で、術後に手を振るほどの元気ぶりで、
直腸ガンは放射線治療で、ほぼ治癒しました。
(亡くなったのは誤嚥による肺炎だったので、ガンではいちおう克服したことになります)。

今ではガンは治る病。
黒澤明監督の「生きる」の時代と違い、本人だけが知らない時代ではありません。


昨日聞きに行ったのは、この放射線治療の中でも先端を行く、「陽子線治療」という方法です。
(以下の説明、シロートゆえ不正確。ご容赦を)。


陽子線治療は「加速器」という、とてつもなく大規模な装置を使った医療です。

加速器というのは、原子の中から陽子のみを取り出し、
何キロもある長いトンネルの中で、
その陽子をぶつけるという物理実験を目的にした装置をベースにしています。
(拙著”マンガでわかる物理のしくみ”による、イラスト参照)。

何キロも先にあるところから陽子を発射する巨大な装置ゆえ、東京では設置できず、
日本では全国で8箇所のみ。
設置に80億とか120億かかるバケモノみたいな装置ですね。

 

陽子線治療は、放射線治療の一種ですが、
通常の放射線治療は(光子線治療という)、ガンに照射されてからもスリ抜けて、
うしろにある正常な臓器も傷つけるのに対し、
陽子線は、原子のツブツブを拾い出して当てるため(粒子線治療)、
ガン細胞にぶつかって、それ以上うしろに行かないというメリットがあります。

簡単に言うと、正確にピンポイントでガン細胞を殺せるちゅうわけですね。


国立ガンセンターや虎ノ門病院の肝臓や小児ガンの専門家の先生や、
患者の会の代表の方など集まり、3時間半。
シロートにもわかりやすくお話をしてくれました。


ただ、陽子線治療は120億もかかる装置に加え、
保険が効かないこともあって治療費は数100万単位とまだ高価。
(それでもまったくモトはとれないそうです)。

タイトルに”命の値段”とありますが、それは当然のことですね。


早く保険が適応できるようになると良いですが、
尽力をつして役所にはたらきかけてる先生もいて、その話にも感動しました。

最後につくばの副学長さんがご挨拶をし、
「放射線というと、福島原発で恐ろしいものだと思われていますが、
 利用の仕方次第では、医療として大勢の人を救い、これからもその可能性を広げていくものです」
とおっしゃっておりました。

ランダムに照射される放射線は、正常な細胞を破壊するので危険ですが、
放射線治療は悪い細胞をピンポイントで殺します。
(よく、医療の放射線と原発の放射線は違うと言う人もおりますが、それは不正確です)。

ともかくも有意義な講演会。
つくば国際会議場の立派さ、広さにもただただびっくりでした。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする