先のブログに書いたからと言うわけではないが、昼食もそこそこに桜山神社・神風連記念館に出かけた。お天気がよくて自転車をこいでいると汗ばんでくる。しかし境内に入ると、木立の中を吹き抜ける風が何とも気持ちがよい。落ち葉が走り回る音も、笹の葉が揺れる音も、いかにも神域である事を感じさせてくれる。館長補佐S氏にお目にかかる。東京のK氏・S氏の、「神風連」に関する書籍などが届けられている事を承知している私は、其の事をお話しして時間をいただいた。三時間にも及んだが、快く対応していただいたし又意気投合してしまった。しかし現実は中々厳しい。私がお邪魔してる間、一人の参観者もいない。神風連志士の純粋高邁な精神の継承や、これを顕彰しようとして身を削られた荒木精之氏の活動が、時を経て危さを感じさせる。私は、彼らの行動を賛美しようと思う者ではないが、「秋月の乱」や「佐賀の乱」「西南の役」など、不平士族の反乱とは確実に一線を画した行動で在った事はよく理解できる。打算のかけらが一つも見受けられない彼らの行動の背後には、残された家族の悲しくもけなげな人生が見て取れる。そんな先祖を誇らしげに思われる方が居られる一方、先祖の係わりをまったくご存知でないお宅が沢山あることも事実である。時の経過に顕彰の意義が埋没しているような危機を感じる。いまこそ「宇気比」が必要ではないのか。
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作家佐藤愛子氏は「人は負けると知りつつも戦わねばならぬ時がある」という言葉を父紅緑氏から受け継ぎ、座右の銘としていらっしゃいます。もとはバイロンの言葉だそうです。神風連も必死の戦いに挑みました。死を賛美するつもりは毛頭ないのですが、彼らが残した濁りのない澄んだ心に、清冽な感銘を覚えます。昨今の忌々しい事件を聞くにつけ、その清明さはますます精彩を放っているように思います。日本人に残してくれた財産ではないでしょうか。